◇◇◇
早々にまぐわった二人だが、もちろん一回で収まるはずもない。
「やん、やだこれ、何かすごく深い」
松葉崩しでつながり合う。
男女の両足を交差させるような体位は、一番深く繋がれるかもしれない。
「奥っ、ずっと当たるぅ……」
真昼に大きく足を上にあげさせ、卓夫はその左足を抱え、自分の左膝をついて強烈に腰を振る。
これは、卓夫がかなり動きやすく、真昼の感じる膣奥、ポルチオを的確に刺激できる。
「あっ、あっ、あっ、これ、だめだめだめ……奥が感じすぎるぅ~」
あっけなくイく真昼。
「ねえっ、これこわいわ落ちそう」
「それに、重いでしょ?」
「いやいや、真昼ちゃんはめちゃ軽いから、運動不足の僕でも大丈夫。
さあ、僕の首にもっとしがみついて」
駅弁の体位で、繋がり合う。
ゆさゆさ揺られると、ペニスがよく動き不意に色んなところを擦る。
「やんやだ……やっぱり落ちるぅ……」
感じ過ぎて、腕が緩めてしまう真昼をがっしり抱える卓夫。
その卓夫の逞しさに、頼もしさを覚えてしまう真昼。
「ほら、見てごらん。真昼ちゃんの真っ白なからだが、
美味しそうに僕のを呑み込んでるのがよく見えるよ」
ベッドに座る卓夫に上から背面座位でつながる真昼。
目の前の鏡に、その二人の欲深い性器同士の貪り合いが、あからさまに映る。
結合部の上にあるのは、真っ白からピンクに染まった美しい身体。
張りのある形の良い乳房。
ピンピンと尖り切って存在感を主張する乳首。
そして、その上にあるのはすっかり感じ切って淫蕩な表情を浮かべる美女の表情。
美少女ではなくオンナの気配を存分に醸し出す潤んだ目と、
快感のあまり少し開き気味の口。
そこから覗く舌はぬめぬめと動いている。
「だめ~っっ、恥ずかしぃ。見ないで」
目を瞑り、顔を背ける真昼。
「ダメだよ、よく見るんだ。自分がどれだけいやらしいかよくわかるよ。
真昼は、もう天使様なんかじゃない。普通のオンナなんだ。しかも淫らな。
こんなに物欲しげに腰を動かして」
真昼の顎をつかんで、しっかり正面を向かせる。
そう、背面座位で、両手を恋人繋ぎさせた真昼は、
懸命に腰を振らないと下の卓夫の動きでは物足りないのだ。
そう言っている間も、小刻みに腰を上下している。
ぐっちょぐっちょ、ぐっぽぐっぽ。
ピストンを繰り返す腰の動きは、指摘されてむしろ激しくなる。
あふれ出す白い本気汁が、卓夫のペニスにまとわりつき、あふれ出している。
「あっ、あっ、あっ、もう、わたし……」
きゅーんと、膣が締め上げ、卓夫からザーメンを絞り出そうとする。
「おっおっ、いくぞぉ」
「来て、来て、出して。一緒にいきたいの」
振り向いた真昼が、舌を求めて卓夫と舌を出し合って、れろれろとしながら、タイミングを合わせる。
びゅっ、どぴゅっ、びゅーーーーーっっ !!
「あんっ、イクイクいくのぉ。出てるぅ~」
二人の結合部から射精された精液がこんこんと沁み出していく。
「熱いっ、熱いの来てるぅ」
「なにが出てるの?」
「卓夫さんの熱いの」
「ザーメンだろ」
「ざーめん?」
「そうだ」
「あつい……ザーメン出てるぅ……あぁんっ……」
卓夫は、ナマで真昼と繋がれる興奮でいくらでも出せる気がしていた。
真昼も、身体に射精を感じる衝撃に溺れた。
だが、さすがに疲れを感じ、そろそろ身体を清めようと浴室に入った。
お互い、一番汚れているところを洗い合う。
「汗いっぱいかいちゃったね」
「うん」
「ここから、たーくさんエッチな汗出たね」
「あ、暑かったから……」
「そうだよねぇ」
「卓夫さんだって、ここからたくさん出したじゃない」
「そうだね、普通は二回か三回出したら、疲れて終わるもんなんだよ、男は。
僕もそうだったというか、歳のせいか最近は一回出せばだいたい満足だった」
「えっ ?? だって……」
真昼は、ソープをつけて洗っていたペニスを見下ろす。
洗ってるうちに、なんか、まだ硬さを感じる……
「なぜかね、真昼ちゃん相手だと、何回でもできる気がするんだ。
ていうか、何回してもし足りない。
だって、あの天使様とエッチできるんだよ、できる限りしないともったいないよ」
「えぇっ……そんなこといわれても……」
困惑する真昼だが、そんな話をしていると益々ペニスが固くなる。
「それに真昼ちゃんだってさ、なんかまた汗たくさんかいてない?」
卓夫の手が秘裂を開き、小陰唇をくぱっとさせると、
どろりと出てくるのは、先ほどから射込んでいる精液ではなく、もう透明な液だ。
「熱いから……」
「ふーん」
見つめ合うふたり。
お互いその眼の中に再び欲情の火が灯ったのは、言葉にしなくても伝わり合った。
おもむろに卓夫がバスタブに座ると、すぐに真昼が跨ってくる。
もはや手で持たなくても、慣れた感じで腰を動かすだけで嵌めつながる。
対面座位だ。
キスしやすい体制ゆえ、何度も口づけをかわし、腰を動かす。
すっかり自分で動くコツが掴めてきた真昼は、ちゃぷちゃぷと足がつかるお湯を飛ばして腰を振る。
「どうして、どうしてこんなに気持ちイイの? あぁん……」
「真昼ちゃんがいやらしいからだよ」
「う、嘘嘘、わたしは……」
「天使様かい?」
「そう、そうなの。天使様がいやらしいなんて……」
「みんなを騙していたことになるかい?」
「………」黙り込む真昼。
「いいんだよ、それで」
「 ? 」
こんな淫靡な状況でも、小首を傾げるその表情はやはり可憐で可愛らしい。
「真昼ちゃんの本当の気持ちだとか、エッチでいやらしいところとか、僕の前では存分に出していいよ。
人の悪口だって言ってもいい。僕は、真昼の全て受け入れるよ。」
「だって、周くんにもこんな姿を見せられないだろ」
「っっ……」
真昼の顔が歪む。
すかさず、下から突き上げながら真昼の上半身を抱きしめ、唇を奪う。
お互いの舌を絡み合わせて、想いを伝えあう。
「きみのすべてを受け入れる。何を言ってもいいよ」
(周くんも同じようなことは言ってくれるけど。今のこのいやらしいわたしの事はどう思うだろう……
彼も、わたしのことを理想の天使様と思う部分が全くないわけでは……ない……?)
(それに比べると、このひとはエッチなわたしでも好きだと言ってくれる……受け入れてくれる……)
(……ダメダメ、何を考えているの、卑劣なレイプ魔なのに)
頭が混乱する真昼は、もはや考えるのをやめ、快楽に溺れ激しく腰を動かすことに没頭した。
卓夫のピストンと真昼の腰のうごきつがシンクロし、ぴちゃぴちゃぐちょぐちよと淫靡なリズムを奏でる。
やがて
「あんっ、わたし、また……イク、いっちゃう~~」
「まひるぅ、愛してるよぉ……」
「わ、わたしも……」
びゅっびゅーっ、ドックン、トクトクトク……
まだこんなに出るかと思うほどの放出が続く。
「あぁっ、熱い。出てる。ザーメン出てるぅ。あぁんっ、ダメなのに感じちゃう」
ぎゅっと抱き合ったふたりは、火照った顔で見つめ合い、
深いディープキスを交わし満足した気持ちを交歓した。
◇◇◇
延長した時間もギリギリで、慌ただしくホテルを出たふたりは、
恋人つなぎをして歓楽街を抜け、夜道を何も言わずに歩いた。
ときおり、ぎゅっと手を握り合う、何かの気持ちをそれだけで伝えるように。
そのままマンションに上がるわけにはいかないとわかっているふたりは、
あの公園に入り、木陰でひしと抱き合い、またしてもキスを交わす。
真昼の髪に顔を埋めた卓夫
「今日はごめんね。R-1ではいろいろひどいことして。
お泊りとか色々聞いて、真昼が周くんとの仲が深まって、どこかに行ってしまう気がしてしまったんだ。」
「理不尽な考えだとわかってる。でもでもでも、僕は真昼を愛しているんだ。周くんよりも。」
「少なくとも、両親に愛してもらえない辛さ、苦しさを本当の意味でわかってあげられるのは僕だ。彼じゃない」
「高校から寮に入るしかなかった僕。マンションでひとり暮らしすることになった真昼。
同じなんだよ。分かり合えるはずだ……………」
「なんてね、所詮中年の世迷言だね、ごめん」
真昼は何も言わず、卓夫の頭をただ撫でるだけだった。
そして、ふたりは再びゆっくりたっぷりと舌を絡ませ合い、そして離れた。
「それじゃあ、先に帰りますね。」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
真昼の華奢な肩が遠ざかるのを、卓夫はただ見つめていた。
◇◇◇
◇◇◇
「今から帰ります。今日はそのまま休みますね」
真昼からのメッセージがようやく届いた。
もう22時になろうとしている。
「遅すぎる……」
R-1で別れた後、真昼から
「今日は晩御飯が作れません。冷蔵庫のタッパにご飯とおかずが入っているので、
温めて食べてください。ごめんなさい」という、素っ気ないメッセージが届いたのみだ。
その後
「了解」
「何時ごろ帰る?」
「ちょっと遅くない? 心配だよ」
「迎えに行こうか」
など、メッセージしたが返信はなかった。
既読にもならず、先ほどようやく既読になったと思えば、「帰る」という返事だ。
慌てて、周は真昼の部屋に向かう。
合鍵で開ける
「さすがにまだ帰ってないか……」
よく片付けられた無人の部屋が迎える。
「おかしい。真昼が出かけてこんなに遅くなるなんて。
少なくとも、交流が始まってから今まで、こんなことなかった……」
ガチャリ、ドアが開く。
「あれ?……」
ぱちっと電源が点く。
周は電気も入れずに佇んでいたのだ。
「きゃっ……周くん、来てたんだ。びっくりしたわ……」
「真昼 !! 」
駆け寄る周は、真昼の肩を掴む。
「どこに行ってたんだよ。メッセも全然既読にならないし」
「ごめんなさい。用事が長引いてしまって……」
俯く真昼。
その時、真昼からは微かに石鹸のような匂いが香る。
( !! !! まさか、まさか……真昼は、どこかでお風呂に入って来た ! ?)
衝撃を受ける周。
そこで「どうして石鹸の匂いがするんだ !」と
聞くべきだろう。付き合ってるのだから、当然。
しかし、そこで一歩踏み込めないのが周だ。
(もし、もしも最悪の予想が的中したら、俺は俺は……)
過去に友人からの裏切りで、人間不信に陥った周はどうしても聞くことができない。
「どんな……用事なの?」
振り絞るように出たのは、かろうじてそんな言葉だった。
「友だちと会ってたの……」
俯き答える真昼。
決して、周の顔を見ない。
「と・も・だ・ち……あぁ、千歳とかと会ってたのか」
空元気で応える周。
(千歳と、スーパー銭湯に入ったとか、そんな……)
「うぅん。今の学校の友だちじゃなくて……その、中学の時の……」
「あっ、そうなんだ。それで久しぶりで盛り上がって遅くなったんだ」
「そ、そうなの。ごめんなさい遅くなって。
だから、ちょっと盛り上がり過ぎて、わたし疲れちゃって」
「あ、ああそうか。休むってメッセにあったもんね。
ごめん。じゃあ、また明日で」
「おやすみ、気を付けて」
「ありがとうございます。おやすみなさい」
◇◇◇
逃げるように帰る周。
(友だち、友だち? 真昼の中学時代の友だちの話なんて、俺は聞いたこともない。
それなのに、急に会うことになって盛り上がった??)
(そんなの、真昼には一番似合わないよ。孤高の天使様に)
部屋に戻って、ベッドに倒れ込む周。
「友だちだって……どんな友だちだよ……まだ男友だちとでも言われた方が……っっ !!」
がばっと起き上がる周。
「石鹸の匂いと言えば、タバコもだ。
この前真昼のカーディガンについていたタバコの臭い。
オトコ……友だちだとしたら。タバコを吸うような。
例えば、真昼が中一の時の中三の先輩だとしたら?
大学生なら吸っていても……いやそもそも本当に中学の友だちじゃなくて……
社会人なら……」
「真昼には、中学の頃に付き合っていた元カレがいたとか……
その元カレが最近また連絡してくるようになって、
真昼の行動が変わってきた、とか……!?」
頭をかきむしる周。
「そんな、そんなことが真昼に限ってあるはずが……」
「今日は、急に呼び出されてラブホにでも行って、だから石鹸の匂いが………」
「ぐぉぉぉぉっっっっ !! 俺は、俺は何てこと考えるんだ !!」
「真昼がそんなビッチであるはずないじゃないか……」
ベッドでごろごろと転がり苦しむ周。
一度悪い方向に考え出すと止まらない……
しかし、いくら妄想を逞しくしても、
よもやそのお相手が同じ階の中年男だなんてことは、欠片も想像はできなかった。