※この作品はR-18です。

天使様じゃなくなるとき   作:小松 美堂

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35.天使様との交歓

 

もう何回めになるのだろうか。

さすがに精力剤でドーピングしたとはいえ、いくら淫らな天使様が相手とはいえ、卓夫も打ち止め寸前だった。

 

これを最後と、真昼に騎乗位になってもらっていた。

ぼちぼち中年の腰としても限界に近いのだ。

 

ただ、そのおかげで真っ白で美しいボディが、貪欲に赤黒いペニスを咥え込み、

腰を懸命に振る様を特等席で眺めることができる。

 

真昼は若さゆえか、まだまだ元気で自分の感じるポイントを淫棒に擦り付けることに余念がない。

 

「あっ、あっ、うん……これ、ここ、きもちいい……」

引き結んだ口から、ついつい言葉が零れる。

 

感じていることを口に出した方が、もっともっとゾクゾクするともう覚えてしまっているのだ。

 

ちろちろと覗くピンクの舌が、唇を舐めるのが艶めかしい。

 

たまらず卓夫は、胸に手を伸ばす。

 

真昼の腰の動きに合わせて、ゆさゆさと揉みしだき、両乳首を摘まむ。

 

「あっ、それされちゃ……あっあっあっ、卓夫、いぃぃぃぃーーー……」

 

ぎゅぎゅっ、真昼が感じる度に肉棒が締まり、精液を搾り取ろうとしてくる。

 

たっぷり放出しているので耐えられる。

気持ち良さだけが堪能できる。

 

「真昼、僕のがそんなに欲しいんだ、いやらしいね」

 

「あぁん、そんなことなぃぃ」

 

「ほんとにぃ?」

 

きゅきゅっと、乳首を強く摘まむ。

 

「やっ、だからそれ、弱いのぉっっっ。いぃっくーーーーー」

 

びくんびくん、強く痙攣が走る。

 

ぱたりと卓夫のからだにくずれ落ちる。

 

どうやらイったようだ。

 

目を瞑り、満足そうに微笑む天使様の頭をゆっくり撫で、背中をさする。

 

「よかったかい、真昼」

 

「うん……すごく」

 

「セックスって気持ちイイよね」

 

「こんなにいいものだなんて思いもしなかった……」

 

真昼の素直な言葉だ。

 

「わたし、頭がバカになっちゃうかと思った」

 

「気持ちよすぎて?」

 

「眼の裏がチカチカして、頭が真っ白になるの」

 

「女の子の快感は、男には及びもついかないらしいね」

 

「そうなの?」

 

「数値化できないから本当のところはわからないけど、女性は続けて何回も絶頂できるらしいからね」

 

「ふーん……そーなんだ?」

 

「試してみる?」

 

「えっ、きゃっ !!」

 

卓夫は、身体を起しまだそのまま挿入しているので、対面座位の態勢になり、腰をゆさゆさし始めた。

 

だいぶ休憩したから少しは動けそうだ。

 

軽い真昼の身体も持ち上げて、ばちゅんばちゅんと響かせる。

 

「あうっ、そんな……急に……」

 

「わたし、イったばかりだから……やめてぇ」

 

「だから、またイけるかの確認だよ」

 

「ほらほら、いくよっ!!」

 

「あん、つよい。当たる、奥に当たっちゃう !!」

 

「当ててんだよっ !」

 

膣奥を続けて突かれて、たちまち真昼は昂りはじめる。

 

「あんっ、そこがいい、いいの卓夫っ!」

 

「何回もイっていいからねっ」

 

「あんあんあんっっっ、いい、いいい……やっぱりバカになる。だめぇ壊れちゃう」

 

「壊れていいよ、バラバラにになっても大切に拾ってしまっておくから」

 

「だめぇ………あげなぃ…」

 

「卓夫、わたし、わたしまたイっちゃう。ねえ、今度は一緒に、一緒に行こう」

 

真昼の甘い誘いに、これが今夜最後の放出とわかっていても、とても耐えられない。

 

「よし、真昼、いくよ、一緒にいこう」

 

「うん、いっしょ。うれしい……」

 

卓夫は、華奢な真昼の身体をぎゅっと抱きしめ、真昼はその細くて長い脚を卓夫の腰にしっかりと回して、

受け止める体制を整える。両腕は卓夫の頭をかき抱く。

 

ぴったりと、これ以上ないほどふたりは密着した。

 

「真昼、好きだ……離れたくない……!ずっと、ずっと一緒にいたい」

 

「卓夫……卓夫っ……!!わたしも、好きぃ……」

 

「愛してる。ずっと愛してる」

 

「……わたしもぉ、卓夫、愛してるぅ」

 

お互いに愛を告白し合い、貪るように口を重ねる。

 

 

(周くん、これは……今夜だけだから……嘘だから。許して……)

 

 

そんな真昼の一片の心情はどここへやら、偽りの恋人同士の交わりとはとてもいえない濃厚な愛の交歓だ。

 

「あっ、あん、わたしもうだめ、イクぅ……卓夫も」

 

「おっ、で、出るぅぅぅ。いくよ真昼」

 

どぷん、ぴっ、ぴゅっ、ぴゅーーーーっっっっ

 

「あついの、きたぁーーーうれしいっ。いっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

 

 

 

深夜をとうに越え

体力の限界を迎えた真昼はぐったりと意識を手放した。

 

その寝顔を見つめる卓夫。

 

(これで……終わりにするんだ……)

 

心に誓ったはずなのに、その寝顔の安らかさが惜しくてならない。

 

卓夫はそっと真昼を起こさないようにベッドから抜け出し、

クローゼットから新しいシーツを取り出して敷き替えた。

 

そして、汗や体液で汚れた真昼の身体を清潔なタオルで丁寧に拭き取り、その隣に自らも潜り込んだ。

 

「おやすみ、真昼。僕の大切な天使様……」

 

腕の中に抱き寄せると、無意識なのか真昼の方からもすり寄ってくる。

 

その温もりを感じながら、卓夫もまた静かに目を閉じた。

 

今夜だけは、この幸福な夢に浸らせてほしい。

 

そして明日からは―――。

 

 

◇◇◇

 

 

朝の光がカーテンの隙間から差し込み、まだ薄暗い室内に淡い光の筋を作っていた。

 

卓夫はゆっくりと瞼を開ける。

最初に視界に飛び込んできたのは、

自分の腕の中で安心しきったように寝息を立てる真昼のあどけない寝顔だった。

 

(やっぱり……綺麗な天使様だ……)

 

長いまつげが影を落とし、ふっくらとした唇がかすかに開いている。

 

昨夜あれほど乱れ、妖艶な姿を見せた同じ少女とは思えないほどの無防備さ。

 

そのギャップがたまらなく愛おしく、同時に胸を締め付けた。

 

(これが見納めか……)

 

この美しい顔を、声を、匂いを、温もりを、全て脳裏に焼き付けておこうと、卓夫はじっと見つめ続けた。

 

睫毛の一本一本、陶磁器のように滑らかな肌の質感、寝息に合わせてわずかに動く胸元まで、網膜に刻み込むように。

 

 

どれくらい時間が経っただろうか。

 

「ん……」

 

小さな呻き声と共に、真昼がゆっくりと目を開けた。

 

焦点の合わない瞳が何度か瞬きを繰り返し、やがて至近距離にある卓夫の顔を捉えると、

一瞬で昨夜の記憶が蘇ったのか、みるみるうちに頬が朱に染まった。

 

「おはよう、ございます……」

 

蚊の鳴くような声で呟くと、慌てて視線を逸らす。

 

その仕草があまりにも可愛らしくて、卓夫は堪らず真昼を抱き寄せ、唇を奪った。

 

「んんっ!?」

 

突然のことに驚きつつも、真昼は抵抗することなくそれを受け入れる。

 

啄むようなキスから始まり、次第に深く舌を絡め合う濃厚なものへと変わっていく。

 

「ちゅぷ……ん…ふぁ……」

 

甘い吐息が混じり合う。

 

昨夜の情事の名残か、それとも朝特有の生理現象か、卓夫の下腹部が再び熱を持ち始めているのを真昼は太ももで感じていた。

 

「もう……本当に……ゆうべ、あれだけしたのに……」

 

呆れたように言う真昼だが、その声には棘がなく、どこか蠱惑的な響きがある。

 

無意識に太ももを擦り合わせるように動かし、その熱源を意識していることが卓夫には痛いほどわかった。

 

「ごめん……でも、このベッドを出たら最後だから……お願いだよ、真昼ちゃん」

 

縋るような声音で懇願する。

 

どこまで図々しいんだと自分でも呆れるが、ここで引くことなどできなかった。

この腕の中にいる天使を、一秒でも長く感じていたかったのだ。

 

 

「……しょうがない人ですね。性欲おばけなんだから……」

 

はぁ、と一つ溜息をつきながらも、真昼はそっと卓夫の首に腕を回した。

 

その言葉とは裏腹な仕草に、卓夫は歓喜とともに真昼をシーツの海に押し倒した。

 

◇◇◇

 

「んっ……あ…卓夫さん……」

 

正常位で向き合っての結合は、まるで昨夜の続きのように自然に始まった。

 

だが、明らかに違うのは真昼の反応だった。

 

そしてそれは、これまでの行為によって確実に開発されてきた証だった。

 

結合した瞬間から、その膣内は熱く、うねり、つぶつぶが泡立ち、卓夫のペニスを歓迎し、巻き締める。

 

昨夜の後半、完全に身体が卓夫を受け入れるように発情しているそのままだった。

 

これまでは、何回か情交した後になる状態だ。

 

まるで真昼の身体も、卓夫をずっと熱望していたように。

 

「ああっ……奥…ダメぇ……!」

 

深く突き入れられると、真昼は喉を反らせて切なげに喘ぐ。

 

以前は浅い部分での刺激に強い反応を示していたのに、

今では奥を穿たれることで得られる深い快感を知ってしまっている。

 

その成長(あるいは変化)が、卓夫にとってはたまらなく嬉しかった。

 

「真昼……すごい……奥でよく感じてるんだね……」

 

「やぁ……言わないで……恥ずかしい……」

 

顔を覆い隠そうとする真昼の手を優しく退け、その潤んだ瞳を真正面から見据える。

 

「綺麗だ……本当に綺麗だよ、真昼」

 

「んあっ……! 卓夫……卓夫っ……!」

 

最奥を執拗に突かれると、真昼は理性を手放すようにまた呼び捨てで卓夫の名を呼び続けた。

 

膣壁がうねるように陰茎を締め付け、限界が近いことを告げる。

 

「私……イキそうです……!」

 

「一緒に……一緒にイこう!」

 

ラストスパートをかけるように抽送が激しさを増す。

 

パンッパンッと肉がぶつかり合う乾いた音と、真昼の甲高い嬌声が部屋に響き渡った。

 

「イく……イっちゃう! 卓夫ぉ!!」

 

「僕も……出るっ!!」

 

真昼の身体が大きく跳ね上がり、膣が痛いほど陰茎を締め付けるのと同時に、

卓夫は昨夜から続く欲望の塊を再び解き放った。

 

ドクドクと脈打つたびに、真昼の胎内に熱い奔流が注ぎ込まれていく。

 

「はぁ……はぁ……いっぱい……出てる……」

 

ぐったりと力を抜き、真昼は卓夫の胸に頭を預けた。

 

その亜麻色の髪を梳くように撫でながら、卓夫は「ありがとう」と囁いた。

 

二人はしばらく抱き合ったまま、事後の倦怠感と充足感に浸っていた。

 

 

 

真昼が用意した簡単な朝食を済ませると、別れの時はすぐにやってきた。

 

「じゃあ……帰りますね」

 

 

真昼が荷物を手に玄関に向かう。

その背中がやけに小さく見えるのは気のせいだろうか。

 

「うん……今までありがとう、真昼ちゃん」

 

「……こちらこそ、卓夫さん」

 

靴を履き終え、振り返った真昼の瞳には、様々な感情が揺らめいていた。

 

名残惜しさ、罪悪感、そしてほんの少しの未練。

 

そのどれもが読み取れてしまいそうで、卓夫は胸の痛みを押し殺して微笑んだ。

 

 

「さよならの……キスをしてもいいかな?」

 

「……はい、どうぞ」

 

真昼がゆっくりと目を閉じる。

 

その桜色の唇に、卓夫はそっと自分のそれを重ねた。

 

最初は優しく啄むようなキスだったが、何度も交わした行為だけに、一度火がついたら止まらない。

 

深く舌を差し入れ、真昼の口腔内を貪るように味わう。

 

真昼もそれに応えるように舌を絡め、二人はしばし言葉を忘れてキスに没頭した。

 

「ん……ちゅぷ……はぁ……」

 

唇が離れると、二人の間に銀糸が橋を架ける。

 

 

「……最後なのに、本当に容赦ないんですね」

少し潤んだ瞳で真昼が言う。

 

「ごめん……でも……やっぱり好きだから……」

 

「……知ってます」

 

ぽつりと呟くと、真昼は躊躇うように言った。

 

「性欲おばけさん……もう一回だけ、したいですか?」

 

なんと、真昼からの魔性の誘いが合図だった。

 

 

卓夫は無言で真昼を壁に押し付け、スカートを捲り上げる。

 

ショーツ越しにもわかるほどそこは既に熱く潤んでおり、卓夫は滾る肉棒を一気に突き入れた。

 

「ああんっ!!」

 

立ったまま前から迎え入れる、不安定な体勢で卓夫の猛攻を受け止めながらも、

真昼は背中に爪を立てて懸命に堪える。

 

「卓夫さんっ……いきなり激しい……! んあっ……!」

 

ショーツを横にずらしただけの乱暴な体位で、卓夫は激しく腰を打ち付ける。

 

理性などとうに吹き飛んでいた。

 

ただ、この愛しい存在に最後に刻みつけたい一心だった。

 

「真昼ちゃん……! 真昼!!」

 

「やっぱり、きみを離したくない、好きなんだ。でも、ダメなんだ。このままじゃ」

 

「わたし、わたしも卓夫が好きになっちゃった。どうしよう……」

 

お互い見つめ合い、気持ちをぶつけるような口づけをする……

 

今度は、言葉ではなく舌に想いを乗せる。

 

「真昼は、普通の高校生活を、周くんたちと楽しく……だから、僕は……」

 

「あんっ、それは……」

 

もはや無言になった卓夫は、懸命に想いを叩きつける。

 

「あぁっ……卓夫っ……イくっ……またイっちゃうっ!」

 

「まだ……イキたくない……」

 

ぎゅっと卓夫の肩に手で強く掴んで耐えようとするが、我慢できるはずもない……

 

絶叫に近い嬌声を上げながら、真昼は絶頂を迎える。

 

「だめっ、イ、イっくぅぅぅぅーーーー」

 

同時に卓夫も熱い奔流を彼女の体内に解き放った。

 

「はぁ……はぁ……」

 

ずるずると床に崩れ落ちそうな真昼を抱き留め、卓夫はその髪にそっと口づけた。

 

最後の情交の余韻を噛みしめ、ふたりは抱きしめあう。

 

卓夫のペニスが、ゆるりと抜け、昨夜から大量に注入されていた精液が、ぽたぽたと足元に垂れる。

 

 

 

「……帰ります」

 

 

身づくろいし、少し呼吸を整えると、真昼は毅然とした声で言った。

 

振り返らずにドアノブに手をかける。

 

 

「ああ……またね、なんて言えないけど……元気でね」

 

「ええ。卓夫さんも……仕事あまりご無理なさらないでくださいね」

 

それは、日常会話のように何気ない気遣い。

 

けれど今の卓夫にとっては何より嬉しい言葉だった。

 

 

ガチャリとドアが開き、朝の光が廊下から差し込む。

 

「――最後の一言ぐらいは……恋人みたいに言ってほしかったかな」

 

振り返った真昼の表情は逆光で見えなかった。

 

「ばいばい、性欲おばけさん」

 

「はは……それが僕にはお似合いだ」

 

ドアが静かに閉まる。

 

その音が、二人の関係の終わりを告げた。

 

卓夫は閉まったドアを見つめ続けた。

 

 

一度は手に入れたかに思えた天使様を手放すことになる寂寥感と、

しかしどこか清々しいような不思議な感覚を胸に抱きながら。

 

 

 

◇◇◇

◇◇◇

 

 

土曜日の朝、部屋に帰った真昼は、土日は周といつものように、食事をつくり、周の部屋の掃除をし、二人で映画を見たり、買い出しに出掛けた。

 

月曜日からは学校だ。

 

その朝「月曜だから、卓夫さんの朝食の準備を」と考えてしまった。

昨日の買い出しでは、無意識にその分も含めて買っていたのだ。

 

(そっか……もういらないんだ)

 

 

そして迎えた水曜日の朝。

 

「水曜だから、朝食の用意」とは考えなかったが、卓夫のことが少し気になった。

 

初めて行ったときに、何もなかったキッチン。

 

真昼が朝食を作るようになってからは、途中から朝食のおかずを多めに作って残しておいたり、自分と周の前夜の夕食の一部をタッパで冷蔵庫に入れたりしていたのだ。

 

 

その日の夕方、おすそ分けとしておかずを詰めて、卓夫の部屋を訪ねた。

 

(か、鍵を。合鍵を持ったままだったし……返さないと)

 

自分に言い訳して、卓夫の部屋の前に立った。

 

「ピンポーン……」

 

反応がない。

(在宅のお仕事よね……)

 

「ピンポーン、ピンポーン」

出てこない。

 

(出かけてるのかしら。タッパだけ置いて……)

 

合鍵で開けると……

 

ガランとした部屋が広がっていた……

 

 

◇◇◇

 

 

「あのぉ、502号室の肝付さんって、どうされたんですか?」

 

真昼は管理人室を訪れた。

 

「ん? ああ、あの方なら引越したよ。月曜日だったかな」

 

「えっ……」

 

「何か急にドタバタ引っ越してったねぇ」

 

「どちらに行かれたとかわかりますか?」

 

「いやぁ、特に聞いてないねえ」

 

「れ、連絡先ってご存じないですか?」

 

「携帯電話番号くらいしかわからないなぁ」

 

「それ、教えてもらえませんか?」

 

「いやいや、個人情報管理が最近うるさいから……」

 

「お、お借りしていて返してないものがあるんです、お願いします」

 

真昼の上目遣い攻撃に、初老の管理人は当然ひとたまりもない。

 

「仕方ないなぁ、私が言ったって、言わないでよ」

「すみません……」

 

卓夫の連絡先を聞いて、どうするどうしたいわけでもないのに、

何も言わずに引っ越した卓夫と一言話がしたかった。

 

メッセージアプリは、既に不通になっているのを、さっき確認した。

 

 

「おかけになった電話番号は、現在使われておりません……」

 

 

流れる機械音声は無常だった。

 

 

それを聞きながら、天使様の眼からはぽろぽろと涙が流れた。

 

なぜ泣けるのか、その理由は真昼にはわからなかった。

 

 

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