カルデアレーベル 夜の抜刀術 逃避行とその末路 ~ヒラクチ、メイド堕ち~ 作:ミサキル
その子との出会いは特に何か……運命的な感じもなく、ただいつの間にか近くに居た子という認識で特段特別な思いもなかったと思う。
バシン!
木刀で頭を叩かれる音。
いつも慣れない感覚。
だからだろう、いつも夢に見る光景は強く頭に残る痛みと彼女の得意気な顔だった。
「ぶべぇ……」
「はい。またわたしの勝ちね」
頭痛ではない頭の痛みにのたうち回りながら目の前でドヤ顔をする少女を見る
……なんなんだろうかそのドヤ顔。
明らかにこっちも見下してて無性に腹が立つしこっちの方が大きくて男なのに負けてていやだ。
「ふふん。藤丸はいつも負けててかわいそうねーー。よしよし」
「く……ぐぅ」
痛む頭を撫でられて少し滲む視界。
けどこれはきっと気のせいでまだ僕は負けてないとその時のオレは思っていた。
「彦ちゃんずるい!なんかつよい!」
「藤丸がよわいのが悪い」
子供らしい言い合い、それが大切なものだということをこの時のオレは認識していなかった。
ただこの想いが大切なものだと、そう認識するのは失ってからだから。
やっぱりこのまま何も無く純粋に言い合って笑いあった日が1番なのだろう。
「もう1回!もう1回!」
駄々をこねる少年とそれをみてやれやれと言いながら少年の要望に応える少女。
黒い髪の中に混じる純白の色。
その髪を美しいなんて思うことすらなくオレは彼女と日々を過ごしていた。
ぐちゃり。
音が響いて境界が揺れた。
ああ……いつもの見る再放送の夢が終わる。
舞台で見るような、臨場感があって心が惹かれて画面に穴を空けるほど見る夢の光景。
―――あの日をただ無性に求めたくなる日がくる。
そういう時は必ずと言ってもいいぐらいにこの夢を見る。
彼女と笑いあったその夢を。
―――オレは今更なんでこんな夢を見たんだろうか。
そう疑問に思い、考える間もなく。
ぐちゃり。
何かが潰れる音ともに闇に覆われた舞台が光に押し潰された。
舞台の上で上映されている2人の子供と共に。
・
猫の目が見えなくなるほど暗い夜はあの日を思ってしまう。
目つきが悪く可愛げもないような子供と、愛嬌がありながら確かな意思を宿すようなそんな子供が笑いあってる。
そんな。
そんな日を。
「ん……ぁ♡」
ぐちゅぐちゅに濡れる性器と脳。
頭が割れそうな程の快楽でついに意識がかち割れたらしい。
パンパンと肉と肉が重なる音。
「お゛……いぎゅ♡」
朦朧とした意識の中でただ快楽だけが無造作に脳を叩く。
手首は鎖に繋がれてどうにも出来ない。
ヒラクチと恐れられた女も命とも言える刀を持たないとこうも堕ちるのか。と自嘲したいがあいにくそんな口を叩ける程の力はなかった。
パンパン♡パンパン♡パンパン♡
無造作に振るわれる腰。
快楽が痛みのようにジンジン脳に響いていく。
いっその事それが痛みだったら良かったのにそれは痛みの形をしていなかった。
「らにゃ……めぇ♡」
必死の抵抗も甘い甘い蜜のような声でしか言えない。
声が枯れて、枯れて、死んでしまった。
こんな声ではただ男を悦ばせてしまうだけだ。
そんなのが分かりきっているのになんで自分はそんな声を出すのだろう。
……きっと、もう。
「お゛ぎゅみ゛♡にゃめにゃめ゛♡♡」
強く、硬い、意思がじゅくじゅくに溶けて融解した。
冷静な心とは対称的な声。
ずっと、ずっと終わって欲しいと願っている。
ような気がする。
本音はどこで建前はどこか。
わたしは分からなくなっている。
いつからか。
それも分からなくなっている。
―――ただ呆然と彼との思い出を抱えてる。
それが在りし日を思ってなのか、また別の思いなのか。
それすら分からないままわたしは男に犯された。
数週間前に男に捕まった時の話だ。
なぜその時の事を私は今さら思い出したのだろうか。