【問題】「勘違い系主人公が……(ピンポン!)自虐的クソザコ糸目女子の敗北CG回収物語! 異能闇組織の美少女ボスを添えて! 「正解!!」 ~何故だ! 何故分かる、バックショット!!~ 作:信頼できる語り手
「最近、『九歌隊』の動きが妙に活発だな」
陛下が振ってきた話題に、私は緑髪の1級異能者──ドルシトを思い出してギクリとする。
「そうですかね? だとしても、あまり重要な事だとは思いませんが……」
私はすっとぼけた。ドルシトとの繋がりがバレるのは不味い。裏切り者として粛清コースだ。
それよりも、ほら! 一応デートなんですから物騒な話はやめて、ショッピングを楽しみましょうよ! このアパレルコーナーで陛下に似合いそうな服を選んであげますよ!!
「やはり、君はよく分かっている。その通りだ。九歌隊はただの兵隊に過ぎない。意識すべきは指示を出している『上』の連中だ」
「上、ですか?」
「『エリア000』」
「……!?」
陛下の発言に動揺した私は、不注意によってマネキン人形にぶつかりかける。慌てて回避すると、今度は太り気味の男性に激突した。
「あ、すみません。……何か落としましたよ」
「……ああ」
男性の懐から落ちたライターを拾い、おずおずと返す。ついでに、視線が合ってしまった母娘連れにも愛想笑いしておいた。
「君は存外、そそっかしいな」
「ラノ様こそ……こんな場所で白昼堂々、そういう話をするのは如何なものかと」
「対策はしている。読唇できないように口の形をズラしているだろう? それに、君だけが聴こえるように意識して発声していた。『発術』の応用だ」
さらっと神業を披露していたようだ。
「まあ、本来はそこまで警戒する必要もないがな。ここは『財団』の縄張り。地球連邦の管理区域外だ。……でなければ、僕は素顔を晒して歩けんよ」
陛下が言うように、私達が来ているのは普通の複合商業施設ではない。反体制勢力『ノチェブランカ財団』の傘下である。
開放的な内装はお洒落なデザインなどではなく、闇組織同士の抗争で空いた大穴らしい。
「つまり、無法地帯ですよね?」
「そうだが」
そうだが、じゃないんですよ! 明らかに非合法なお薬や銃火器が売り場に並んでますよ!?
「頻繁に殺し合いが発生して賑やかだし、違法ドラッグを買いにきたカップルもそこら中を徘徊している。完璧なデートスポットだろう。さあ、君は何が欲しい?」
治安。
「凄く広い試着室です」
「ああ、財団は資金を贅沢に使うからな」
私は陛下と2人で試着室に入っていた。外でぼーっと待っていると、ならず者に襲われる心配があるからだ。
「一緒にお風呂に入った時も思いましたけど、ラノ様の下着……少々攻め過ぎではありませんか?」
両端を紐で結んだだけの、簡単に脱がされてしまいそうなショーツ。それもデザインがかなり際どい。性器部分の生地が透けており、形がくっきりと浮き出ている。
カリスマ的オーラを纏う僭賞濫刑のボスが、こんな淫靡な下着を履いているなんて……。一般構成員の男子諸君が知ったら、前屈み案件ですよ。
「そうか? 僕はファッションに疎いから、ホローに見繕って貰ったのだが」
見境ないな、あの痴女。陛下に対しても下心を隠さないとは、性欲に正直過ぎる。
「破廉恥です。羞恥心を持ってください」
「誰に見せるわけでもないのに、羞恥心と言われてもな。それを言うなら、君こそ下着姿で就寝する癖は直すべきだ」
「それは……ほら、息苦しいじゃないですか。寝る時くらいは解放感を味わいたいでしょう?」
ぶっちゃけ、男性に抱かれた後は気だるさに負けて裸で寝る事も多いが、陛下の呆れたジト目が痛いので隠しておく。
「しかし、君の言う事にも一理ある。連邦が推進する人口管理政策によって、性行為は単なる娯楽と化した。その風潮に迎合しない為にも、過度に扇情的な着衣は慎まねば」
隙あらば体制批判に繋げてくるな、この人。
というか、よく歴史について語ってるけど、陛下自身は何歳なのだろうか? 外見だけで判断するなら私よりも年下っぽい……いや、流石にそんなわけないよね?
「ところで、話は変わるが……そろそろ君の考えを訊かせてくれないか?」
「私の考え、ですか? そうですね……」
わざわざ話題転換を宣言したって事は、政策に関する話じゃないはずだ。だとしたら、本来の目的である服選びについて意見を求められているのだろう。
陛下が試着した控え目なデザインの上下セットと、今着ている少し派手なフリル付きワンピースを見比べる。
これは悩ましい選択だ。陛下は顔が良過ぎるのでどんな衣装でも似合うが、せっかくなら彼女にしか着こなせない服を選びたい。
「勿論、派手な方で」
「気が合うな」
陛下の指先から透き通った竜の爪が伸びる。あれは希少種である
「出てこい、サムネ」
竜爪から迸った雷が試着室のカーテンの隙間を通り、外にいる人物を襲った。
「僕の部下もこう言っている。派手に戦ろう」
そんな事、言ってませんけど!?
「終わった~。こんな場所で鉢合わせるとか、鬼凶日~。余の命運もここまでにゃ~」
カーテンの向こうで発された憂鬱そうな声に、私は驚いた。陛下の雷を受けて、無事な人間が存在するのか……?
「相変わらず、ネガティブな女だな。ノチェブランカ財団の『サムネイル』。君なら僕に勝てる目もあると思うが?」
「もちもち~、お前ちゃんだけならワンチャンありなんだけどね~。バックちゃんまで加わると鬼厳しげ~」
灰色の髪をサイドテールに結んだ喪服の女性が、するりと試着室に入ってきた。
「私はそれほど大層な者では……」
「あ~、言い訳は無駄~。余の元に集まった情報から逆算して、戦略評価はとっくに確定してるからにゃ~。鬼お得な拾い物したね~?」
「やらんぞ」
陛下に後ろから抱き締められる。私よりも背が低い癖に、凄まじい膂力だ。息が苦しい。誰か助けて。
「で、今日は余を潰しに来たん~? だとしたら、お手上げだよ~。財団の増援にも時間がかかるしさ~。鬼短い人生だったね~」
「白々しいな」
陛下が前に進み出て、サムネイルと対峙する。私は物理的ダイエットから解放された。
「お手上げだと? 下手な演技はよせ。君は既に『神器』を所有しているはずだ」
「……根拠は~?」
「単純な話だ。エリア000率いる連邦が手を焼く理由など、他にないだろう」
「はぁ~……」
サムネイルは明確な回答は返さずに、空気が漏れるような溜め息を吐く。
「同じ質問を返される覚悟はあるかにゃ~?」
「ああ、ならば答えよう。僕達も神器を確保している」
次の瞬間、目にも止まらぬ速さでサムネイルが抱き付いてきた。胸の谷間に手を突っ込まれる。
「鬼デカ~。カップ幾つ~?」
「なっ……いきなり何するんですか……!」
「ボディチェックだにゃ~」
お尻を撫でながら下着をズラされ、膣口にまで指を入れられた。少し冷たい指が私の入り口を執拗にまさぐる。
「ふゃ……っ!」
「ありゃ、外れ~。神器を預けるならバックちゃんだと予想したんだけど~。それとも……後ろの穴かにゃ~?」
「ひ……!」
アナルを弄られると、腰が跳ねた。
「この反応は開発済みっぽい~? エッチだね~。それじゃ、遠慮なく侵入して~……」
「そこまでにしておけ。殺すぞ」
陛下が低い声で威圧する。
「今日は君や財団をどうこうするつもりで来たわけではない。むしろ、有益な情報をくれてやる」
「具体的には~?」
「先にバックを離せ」
「はいにゃ~」
私はもう1度、陛下の腕に回収された。さっきよりも抱き締める力が強い。苦しい。死ぬ……。
「この建物の中に九歌隊が侵入している。恰幅の良い中年男性と一般人に扮した母娘だ。他は付近で待機中だと思われる」
「……掃討作戦か~。よく気付いたね~?」
「バックの手柄だ。男性にぶつかる振りをして、九歌隊が持ち歩くライター型の通信機を確認。その時の反応で芋づる式に仲間も炙り出した」
「となると、もう逃げてるかにゃ~?」
「いや、こうも鮮やかに正体を暴かれれば、猜疑心が拭えないはずだ。内通者の可能性も考えて、指揮は混乱する」
陛下が皮肉げに肩を竦める。
「その辺、連中は柔軟性がない。君も知っての通り、駒に徹する為の教育を受けているからな。想定外に弱く、現場判断ができない。おそらく、まだ撤退はしていないはずだ」
試着室を出ると同時に、2体の怪物は笑った。
「「──印芽、展開」」
太く禍々しい2本の角が、サムネイルの頭から生える。半透明の外皮が彼女の全身を覆い、一回り大きな輪郭を象った。
「九歌隊って『コズソルク師団』が前身なんでしょ~? 鬼懐かしい~。余達よりも強い後輩ちゃんも育ってたりして~」
竜の鱗を纏った陛下は、背後に翼を広げる。長い尾が床を叩いた。
「師団の黄金世代……『三女帝』と呼ばれた僕達が、今ではこの有り様だ。結局、体制側に残ったのは1人だけ。それが答えだろう?」
アパレルコーナーの外から、私がぶつかった肥満男性が走ってくる。どうやら、話の流れからして彼が敵っぽい。
可哀想に。陛下を相手に突撃しないといけないなんて、社畜の皆様は大変ですね。では、私は今のうちに避難を……。
「バック、あの男は任せた」
……え!? 私!?
「鬼よろしくにゃ~」
生物として別格の存在感を放つ者達に
「──では、手早く終わらせましょうか」
私はあっさりと、2人の圧に屈した。
「僭賞濫刑のバックショット! 貴様の悪名は耳に入っている! 今、ここで死ね!」
「おや、投降を促してはくれないのですね」
「……っ! それを試みた連中がどうなったか、知らないとは言わせんぞ!!」
何それ、知らない。
「記憶にない事を責められても困ります」
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!」
肥満男性の顔に透けた骸骨が被さる。
「まあ、レベルは全く違いますけど」
親の顔より見た走馬灯を脇に退けて、異能者としての思考を働かせる。
「すぅ……!」
私は『活術』と『呪術』が得意だ。
マナを活性化させる技術と、マナを押さえ込む技術。母様に教わりながら特訓したおかげで、悪くない精度だと自負している。
「敵を前に印芽を展開しないとは……その傲慢が命取りだぞ!」
展開、してます。(n回目)(半ギレ)
私の印芽は瞳にしか発現しないんです! マナ量が極小過ぎて、体内を流れるマナの勢いが貧弱過ぎて、外にほとんど出せないんですよ!!
才能に恵まれたエリート様には分からないでしょうね! マナハラで訴えますよ、この野郎!!
この体質はかなり真剣に悩みの種である。異能は遺伝の要素が強い為、印芽が小さい人間は婚活すら満足にできないのだ。私も若くして既に結婚を諦めている。
男性とのワンナイトに応じてしまうのも、そのコンプレックスから目を背ける為かもしれない。父様も母様も優秀なのに、どうして私だけ才能が皆無なのでしょうか……。
「はぁ……」
私は細めていた視界を抉じ開ける。瞳だけにマナを集中させ、虹色の瞳を外気に晒した。
「貴方、不運ですね」
「……!?」
偏見のシグネット。
ただ、他者からの印象を操作するだけの異能。この能力を最大限に使いこなせるのは、私のような弱者なのかもしれない。
私が他者に抱いた恐怖、絶望、悲観。その全てが
「あ、ああ……っ!!」
性格が悪い事は自覚しているが、このシグネットはエリートに効果が高い。慣れない感情を植え付けられれば、人は必ず動きを止める。
私はポケットから固形の入浴剤に似た物体を取り出し、肥満男性の顔に向けて投げた。
「1人で私に向かってきたのは失策でしたね」
そう、相手は1人。
──この限定的な条件下であれば、倒せる。
「流体には可能な限り全体の濃度を均一にしようとする性質がある。異能が絡むと例外も生まれるが、今は置いておこう」
強面な男性が骨董品のようなホワイトボードに図を描き、サングラスをクイッと指で直した。
「同様に、マナにも高い方から低い方へと移動する性質がある。ヒトミ、手を出してくれ」
「はい、父様」
私は印芽を展開した父と握手する。掌を通じて『何か』が激流のように流れ込んできた。
「私のマナがお前の方へと流れているのが分かるな? 今、まさに高い方から低い方に移動しているわけだ」
「父様ってデリカシーないですよね」
低い方で悪かったな。もしかして、マナを使い過ぎた後にエッチな気分になるのは、本能的な部分が接触による補給を求めている可能性が……?
「私は数年前から、この現象の応用について研究していた。具体的には、他者からマナを強制的に吸い取る護身具として使えないかと。そして、完成したのがこれだ」
父様が机の上に白い塊を置いた。
「……入浴剤?」
「違う。これは『対異能者制圧薬』だ。対象の印芽に接触させる事でマナを奪い取り、急激なマナ低下による意識消失を誘発させる。ちなみに、マナ量が多い者ほどよく効く」
「す、凄いです! 流石、父様!」
私は拍手する。本当だとしたら、私達のような雑魚異能者にはありがたい話だ。
「まあ、欠陥品だが」
「やっぱり。今回は何が駄目だったんですか?」
「受け入れるのが早いな」
いつもの事なので。私が物心付く前から、父様は頻繁に失敗作を持って帰ってくる。成功作は外部に持ち出せないらしいが、言い訳じゃないかと私は内心で疑っていた。
「……携帯できなかったんだ」
父様が額にしわを寄せる。
「異能者を制圧する機会がいつ来るか予想できない以上、それまでは使用者が持ち歩く必要があるだろう?」
「そうですね」
「しかし、制圧薬を半日以上携帯した者は、全員が体調不良を訴えた。臨床試験の結果、どれだけ厳重に梱包しても所持者に悪影響が出てしまう事が判明している」
印芽に反応して無力化する性質が保管中にも牙を剥くわけだ、と父様は嘆いた。
「それに、少量だとしても、長期に渡って継続的にマナを吸い取られる感覚は不快だ。例えるなら、1秒ごとに画鋲でつつかれているような気分になる」
ストレス溜まりそう。
「これを使いこなせる人間がいるとしたら、印芽が極小……すなわち、マナ量が誰よりも低い異能者をおいて他にいない」
なるほど。でも、そんな人がいるわけ……。
「つまり、お前だ」
いました。
「いや、無理ですよ。活術で身体強化して投げても、私のマナ量だと大した投擲速度になりませんし」
正面からは避けられる。印芽が展開されている必要があるので、奇襲もできない。頭の回転が速い父様なら、分かっているはずだろうに。
「とりあえず、持っておけ。身体強化に関しては……莫大なマナを持つ異能者に抱き締められた直後とかなら、流れ込んできたマナで賄う事もできるだろう」
「そんな限定的な状況があり得るって、本気で思ってます? 明らかに在庫処分したいだけですよね?」
「……3万やる」
「お金で解決しようとしないでください!」
最終的に、5万で手を打った。
肥満男性の印芽が消え、床に倒れ込む。私はハンカチを取り出し、首筋から胸の谷間に落ちた冷や汗を拭った。
「ありましたね、限定的な状況……。父様、ありがとうございます」
「お見事デス」
「……! 誰ですか?」
「おっと、失礼しマシタ」
メイド服の女性が右足を斜め後ろに引き、左足の膝を軽く曲げて一礼する。暗い色の金髪がさらりと靡いた。
「ワタシは『ノチェブランカ財団』理事長直属メイド部隊『バルトアンデルス』の筆頭」
……? この人、何処かで……。
「──『ミメシス』と申しマス」
暴れて欲しいラスボス人気投票
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女性:【死線】ミス・リード
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女性:【最低の脱獄犯】ラウンドノーズ
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女性:【亡国鬼】サムネイル
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男性:【後追い】ナゼ
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男性:【眠らない傭兵】ステム
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女性:【閉鎖病棟】ギープキィ
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男性:【推定無罪】トゥルーエンド