ちょっと大きい獲物 作:自棄ノ原
原作2巻 コミック3巻読了後推奨
無防備な姿で寝台に寝そべらされたグスタフの眼前において、凛々しい騎兵少将の美女が、妖しい微笑を浮かべている。
彼女は幾度か牡の部分に頬擦りをすると、既に張り詰めていた部分を両の手で触れた。オークの体格であるから、エルフの手の横幅で掴みきることはできない。
ディネルースは彼に言った。
「痛かったら教えてくれ。すぐにだ。貴方が嫌がることはしない」
――とは、いつもならグスタフの言うことである。
背筋が粟立つような気持ちで、グスタフは頷いた。
ディネルースは両手で優しく掴み、おずおずと上下させ始めた。
「こうだろうか。痛くはなさそうだな?」
「……うん」
「もっと、どうして欲しい? どうしたらいい?」
「…………」
「言わないと分からないぞ」
「……しばらく、そのままで」
「ふうん。こんなことでいいのか? 私が貴方にされる時は……」
片手が離れ、彼の脇腹に触れた。つっ――と指が撫でていく。
「こんな風に、あちこちされてると思うぞ。困るんだ。忙しくて」
指先は腰骨をさすり、また登って、隆起のつけ根を撫でていく。
「周りもされている……と思う。こんな風か?」
「……っ!」
ぞわりとした感触が背筋を貫いた。女はますます強く張る部分で片手を上下させながら、反対の手で隆起の根本をなぞり、指先で皮膚を擦るようにする。下部の柔らかい部分の一つをそっと手のひらで掴むと、温めるように撫でつけた。
「……っ。……」
「あ、ここ、痛いのか?」
牡の呼吸の僅かな乱れで、両の手の動きは止まった。彼は正直に否定せざるを得ない。
「いや、痛くはない」
「ふうん?」
優しい動きを再開した女の口から、鋭い犬歯が覗いている。
「では、何だ?」
「…………」
「あちこち触られるのは嫌か?」
「嫌じゃない」
「じゃあ、続けるぞ。見よう見まね……というか、日頃の貴方の真似だが」
女の手が柔らかい部分を過ぎ、その下の微妙な部分へ指先で微かに触れてから、内股をそっと撫で始めた。
牡の太腿は震え、呼吸はますます荒くなる。隆起は既に張り詰めている。
女の目がその先端をごく間近で見つめていることに気づくと、牡は少したじろぎ、それに応じて見つめられている部分が震えた。
ディネルースは心底興味深そうにしている。
「なるほどな。こんな感じで反応を見ているわけだ。いま、喜んでくれてるんだろう?」
彼は思わず顔を背けた。ディネルースは手の動きを続けながら問いかけてくる。
「次は、どうしてほしい?」
「…………」
「はっきり言え。私は初心者だからな。忖度は苦手だ」
「……繋がりたい」
「私と?」
「他に誰がいる」
「ふーむ……」
考えるような素振りの後、彼女は容赦なく言った。
「悪いが、却下だ」
「…………」
「そういえば、中でどうなってるのか、知らないからな。最後まで見てみたい」
「そ、それは、いささか酷いぞ」
「酷くない。貴方の方は全部見てるじゃないか。ならば当然、私にも同じ権利がある」
「……そんなに、まじまじ、見る必要は……っ。な、ないんじゃ……」
咎めるように、女の手は握る強さを増し、刺激の動きを速めた。
「そんなこと、どの口で言うんだ? 少しは私の恥ずかしさを分かって頂けたか。そういえば、こんなこともされたな」
ディネルースは牡の先端に口づけを与えると、そのまま唇を徐々に開き、吸い付くように飲み込んでいった。女の腕ほどの太い先端を、口いっぱいに頬張るように咥える。
そのままグスタフの目を見て、瞳だけで笑うと、ゆっくりと頭部を動かし始めた。その間も褐色の手は牡をしきりと刺激している。
「ディネルース……っ。む、無理にせず、とも……っ」
気遣う国王を無視し、栗色の髪は上下動を繰り返す。口内では女の舌が蠢き、含んだ先端をなぶり、時に尖らせて舌先で突くように刺激する。
牡が息を荒くし、耐えかねて、女の口を突き上げるように動き始めると、女はさっと口を離した。そして文句を言う。
「いきなり動かないでくれ。苦しいじゃないか」
「す、すまない。すまな、い、が……お願いだ」
懇願するような牡の口調に、女はわざとらしく小首をかしげた。
「んん? ああ、そうか。分かった。そろそろなんだな。構わないぞ」
焼けた鉄杭のような部分を左手でしごきつつ、右手のひらを牡の先端にあてて、転がすように撫でまわしてくる。妖しく微笑む唇は、先端部の至近にある。時折り、弄ぶような口づけが加えられる。
牡はいよいよ切迫の度を増した。
「汚して、しまうっ。君をっ、服……もっ」
「なんだ、もうすぐなのか? 言わないと分からないぞ。このまま続ければいいのか?」
「何かでっ……押さえてっ……」
「私の手に出せばいい」
初めて見せる淫猥な微笑と、その一言がとどめをさした。オークの下肢が跳びはねるように震え、先端を抑えた女の手から液体を溢れさせた。
幾度も震え、収縮と放出を繰り返す間、女はじっとその部分をニヤニヤと見つめていた。
やがて振動が収まると、汚れた手を拭いながら、ディネルースは残念そうに言った。
「じっくり見はしたが、よく分からなかったな。不思議な現象だ」
何を答える気力もなく、牡は荒い息をついている。
そんな王をよそに、ディネルースは何の躊躇いもなく自らのベルトに手をかけた。金具の音がして、するすると軍袴が脱ぎ捨てられた。同時に下履きまで取っている。思い出したように、上衣と、最近手に入れたらしい女性向け肌着も外す。
膝立ちになり、艶やかな太腿と栗色の叢を見せつけるような姿勢で、ディネルースは言った。
「さっきの提案だが、もう採用してもいいぞ」
女が彼の腹に跨ると、ひんやりとした太腿の感触のあと、潤いが触れるのが分かった。なされるがままの牡の方は、まだ弱っている。
「ちょっと待ってくれ。すぐには……次は私が」
「却下だ」
間髪入れずに切り捨てて、女はなぶるような表情を浮かべた。
「一つ、試してみたいことがある」
そう言うと、ディネルースは寝台の隣に手を伸ばした。そこにある小瓶を手に取る。種族間の身体の違いで、闇エルフが傷ついてしまった時に備え、初めての時から用意していたエリクシエルである。
褐色の手が瓶の蓋を外し、透明のとろりとした液体を垂らした。その先には、力をなくしたままの牡の部分がある。万能の霊薬がそこにかかる。
「……エリクシエルを?」
「ちょっとした思いつきだ」
同じくエリクシエルをまとった褐色の両手が彼の部分に伸び、包み、万能薬を塗り込めるように撫でまわし始めた。液体は冷たいままだが、急速に温感が生じた。
「くっ……うっ! あ、熱い」
「そうだろう。細胞活性化の作用だ。生命力を蘇らせてくれる」
滑りをまとった両手が複雑に蠢き、その部分を練り上げるようにする。血流が集中しはじめ、痛みを感じるほどになる。
「こんな、用途の、ものでは……っ」
「たまには贅沢もいいだろう。王様なんだから」
急激に息を吹き返し、褐色の手のひらには到底収まらぬまでになった隆起を見て、ディネルースは楽しげに微笑んだ。
体液と万能薬でねっとりとした部分を褐色の手で握り、再び上下させはじめる。
「今度はどうして欲しい?」
「……ディネルース」
「もう一度、手で出したいか? 何度でも構わないぞ。また見ていてあげる」
「ディネルース……お願いだ」
「お願いなら、はっきり言ってくれ」
「君と繋がりたい。もう許してくれ」
ようやく女は優しい笑みを浮かべた。
「いいよ。でも、今日は私に任せてもらう……」
ディネルースは太腿を大きく開き、牡に跨った。身体の中心が牡の先端が触れるように調整する。
「勝手には動かないでくれ。びっくりするから。いいな?」
「……わかった」
「ん……」
女はゆっくりと腰を下ろしていく。包み込む感触が襲う。今夜はまだ指一本触れていないのに、牡を呑み込もうとする部分は溢れるように潤い、柔軟で、そして熱かった。
女は目を閉じて、時に小さく呻きつつ、ゆっくりと飲み込んでいった。
「……うっ……んん……うっ……」
肉をかき分ける感触が脳天まで突き抜け、緊張が迫って来た。
腰を完全に下ろし終えると、女は深く吐き、二度三度と深呼吸を繰り返した。やがて落ち着くと、目を開けてグスタフを見つめてきた。思わず、その体を気遣う。
「大丈夫かい。痛くはないか」
「……ふふん」
何故か誇らしげに鼻を鳴らすと、女は身じろぎをした。
眉をひそめ、腰を少しひねったり、牡の腹に手をついたりする。その都度に悩ましげに声をあげ、しかし考えるような表情になる。やがて尋ねてきた。
「貴方、いつもどうやってるんだ? 全然動けないぞ」
牡はやっと気分に余裕を感じた。にやりとして、軽口を返す。
「工夫次第だよ。後は慣れだ」
「む……じゃあ、こう、かな……」
女は足の裏を寝台につき、両膝を立てていった。
「あまり見ないで……」
牡の目前であらわに太腿を開き、彼を飲み込んでいる部分を見せつけ、その羞恥に顔を染めつつ、女は僅かに上下に動き始めた。
「こ、こう……か? こう……?」
ディネルースがごくゆっくりと腰を上げ、おずおずと下げ、また上げるたびに、密やかな花弁が牡を少し吐き出し、飲み込み、呼吸するように蠢いた。
しかし、ほんの数回動いただけで、女は上下の動きを止めた。膝を下ろし、息をついている。
「無理だ。これは無理だ。難し過ぎる。貴方が動く方が簡単そうだ。ズルいぞ」
「そんなことを言われても困る……身体の作りが違うわけだし」
「実に不公平だ」
本気で恨むような目で見つめられ、グスタフは笑いを噛み殺した。
「馬に乗るのとは勝手が違うかい? アンダリエル少将」
するとディネルースは、生真面目な顔になって考え込んだ。
「ふうむ、馬か……なるほどな。すると、こうか」
女の豊かな腰が角度を微妙に変化させ、前傾姿勢になる。両手が牡の胸に置かれる。
「試して、み、よう……ふふ」
女は腰を擦り付けるように、今度は前後の動作を始めた。
「これも難しいな……」
しかし、慣れるに従って、動きは滑らかになっていく。ふたりが溶け合っている部分が溢れ、牡の下腹が濡れ、寝台に滴っていく。女の吐息が段々と熱を帯びる。
「んん……ふっ……ふぅっ……ふぁっ……」
ぎこちない動きで、擦り付け、声をあげ、女は自らを高めていく。
「あっ……ふぁっ……ふ、ふ、ふ……」
動きが一定になり、擦り付ける速度が増してきた時、女の切迫した声が問いかけてきた。
「ど、どう……だ。あっ! 貴方、は……よくな……って、いる?」
その小さく、ぎこちない動きは、牡を完全に昂らせるには足らない。しかし、尋ねる女の可愛らしさが、牡の心を満たした。
「ああ、とても。上手だよ、ディネルース」
「よかった……あ、ふっ!」
「私も触っていいかい」
「……す、少し、なら」
少しとは、どこまでだろうと思いつつ、グスタフは目の前で揺れる褐色の双丘に手を伸ばした。
手のひらを上にして、こぼれる膨らみを受け止め支えるようにする。その指の股にそれぞれの先端を挟み、微かな振動で揉んでやる。
「はあ! ああ、駄目だ、それ、動けなくなる、からっ」
そう言いながら、女の動きは速度を増し、強く押し付け、叢の下の突起を彼に擦り付ける。
「うっ! ……うっ!……うっ……っ!」
声の途切れと共に動きは一瞬静止し、飲み込んだ内側が痙攣を始めた。
「はっ……あっ……」
女は背を反らせ、搾り取るように上下に震えた。それが収まると女は息を荒くし、彼の胸に倒れ込んできた。
その健気さが牡の欲情をそそった。気持ちの昂りが切迫感を招き寄せる。
「ディネルース、私も動いていいか?」
「……ああ、いいけど、少し休みたい」
「君は休んでいていい」
「ええ?」
女の尻を両手で掴み、下から幾度も突き上げる。
「ああ! うあ! ああっ」
突然の激しい打ち付けに女は声を上げ、牡の胸にしがみついた。
「グスタフ! つ、強い。そんな……ああ!」
「ディネルース……っ」
その動きと声で、伝わったようだった。
「い、いいよ………このまま、あっ!」
牡は届く限りに深く差し入れ、その奥を満たすほど存分に放った。
その間、女は両腕で彼の太い首にしがみつき、声にならない声をあげながら受け入れていた。
やがて全てが終わり、ふたりとも呼吸が落ち着くと、まだ身体を合わせたままで、ディネルースは彼に言った。
「グスタフ……エラノールがな、こう言っていた」
「すまない、誰だって?」
「エラノール・フィンドル。アンファングリアの第3連隊長だ。やり手だぞ」
「その彼女が?」
「ディネルース・アンダリエルは、相手が国王でも、意に沿わぬ乱暴をされかけたら……噛みちぎるような女だと」
「そ、そうか」
ディネルースをそのように扱おうとは一度も思ったことはないが、それでもグスタフの背筋に寒いものが走った。
彼の胸で指先を遊ばせつつ、ディネルースは楽しげに続けた。
「でもな、エラノールはオークの身体を見たことがないんだと思う。だってそうだろう? 闇エルフの口じゃ、噛みちぎるのは骨が折れる。な?」
大変に妙なことを聞かれて、グスタフは困り果てた。しかしディネルースは、同意を求めてはいないらしかった。
「私なら山刀を使う。切り落とすのがいいと思うんだ。そうじゃないか?」
煌めくような笑顔で尋ねられ、グスタフは表情を凍らせた。まだ彼女に呑み込まれている部分が縮こまる。女はさらに続けた。
「つまり、だ。貴方は国王だし、私の立場は、ただの臣下のひとりだ。それでいい。何も特別なことはいらない。公的には」
「……私的には?」
「そろそろ、はっきり言って欲しい」
ディネルースは上体を起こした。彼に結びついた自らの誇示するようである。そして尋ねてきた。
「貴方は、私のことをどう思っている?」
グスタフはやっと微笑んだ。それならば答えられる。誤解の余地なく、いつでもはっきりと言える。恥ずかしいことは何もない。
「君のことが好きだ。心から愛してる」
ディネルースは口角を少し上げた。まだ微笑むには至らない。
「私だけを?」
「君だけを。王として、国民を愛するのとは別に」
「よろしい」
ディネルースは鮮やかに微笑み、とどめの一言を発した。
「ならば貴方は、もう私の
返答するよりも早く、彼の唇は割られ、舌が侵入してきた。