偽マキマ(♂)になった男、異世界でハクスラをする 作:超これゐと人
考察は他の二次創作を参考にしている部分もあるので、アウトな表現があったら指摘していただけると嬉しいです。
◆◆◆1◆◆◆
「はっ、はっ、はっ……!」
4月某日、
逃げ惑う女は一年生。男女三人ずつで潜っていた彼女だったが、4人の
『ダンジョンで死んだ者は、その間の記憶を無くして蘇る』。そういった性質を利用した"遊び"らしかった。
「待ってよぉ、サクラちゃん。もう疲れたでしょ。いい加減、俺らと一緒に遊ぼうぜ?」
「…ッ」
追手の男は、彼女を逃がしてくれた友人の叫んだ名前を覚えていたようだった。執拗に名前を呼ぶところも、わざと一定の距離を保って追いかけてくる所も苛立たしかった。しかし、何より怖かった。
追手は1人だけ。他の男は彼女の友人を
だからこそ、彼女は恐怖に震えながら逃げていた。自分たちを弄ぶ、
「ッ!助けて、ください!私、追われてて!」
そんな訳だから、女は逃げた先に偶然いた人物に助けを求めてしまった。必死だった。その人物が追手と同じ”
もし、彼女が冷静だったなら、気づいてしまっただろう。
彼女がいるのは第一層の既知領域。一人でここを探索しているような人が、あの追手をどうにかできるとは思えなかった。もしくは、彼も
結果としてだが。
この選択は正解だった。
「……なるほど、状況は把握しました。では、そうですね…」
何故なら、彼女の目の前にいるのは
「『俺に全て捧げるといいなさい』」
正しく、
◆◆◆◆◆
「おお、
「…!?は、はい?」
死んだと思ったらいつのまにか見知らぬ部屋にいた。
しかも目の前の後光差す女性は俺にお願いがあるらしい。
この状況で、多くの人はきっとこう思うだろう。
”これ、女神様に転生させてもらえるやつじゃね?”と。
今まさにその状況にいる俺はしかし、そうは思えなかった。
────やけに足が、ぬくかったから。
現状をより正確に伝えるならば・・・
『死んだと思ったら知らない部屋で、神々しい雰囲気のロリとコタツに入っていた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが…
「うーん?反応が薄いなぁ。神の御前だからって畏まらなくてもいいよ?今月の天界の標語は『人類と温かな世界を』だからね。楽にしてほしいな」
『温かな』って、そういう意味じゃなくない?もっとこう、心情的なあれじゃない?
「ホントに神様、なんですか?」
「だから、そう言っているだろうに。まったく最近の人類ときたら、疑り深くて困るね」
……ということは、本当に俺、死んだのか。確かに"死んだわ"って思った記憶はあるけど、直前の記憶がはっきりしないのよな…
「キミは不幸な事故に巻き込まれて死んだ。キミをここへ呼んだのは、お願い事があるからなんだ。聞いてくれるかい?」
「お願い事…?神様が
「まあ、話だけでも聞いてくれたまえ。なに、"異世界転生"といえばわかりやすいだろう?」
"異世界転生"……
ラノベとかでよくあるアレだが、身をもって体験することになるとは。
これで女神が"休日の小学生"みたいな格好じゃなきゃ、締まったかもしれないんだけどな。
今だって、コタツのぬくみから抜け出せてないし。
残念ながら、眼前のロリ女神の神々しさはコタツとみかんの魔力に打ち負かされてしまったようだ。
「ん。じゃあ、説明に戻るよ。
僕のお願いは、『ハイスクールハックアンドスラッシュ』という作品の世界に湧いた悪魔達の掃討だ。
僕の権能で
彼らが地上に出て一般人の殺戮を行う恐れがあるんだ。これがバレたら上司になんと言われるか…
そこで!!キミには異世界転生をして、
「おお!」
さすが神様、テンション上がるなぁ!
なんかこの神様のせいで起こった異変な気もするけど!!
「あ、でも先生。私、浅学ゆえ『ハイスクールハックアンドスラッシュ』という作品を存じ上げないのですが…」
「一言で言えば、"ダンジョン系スクールハーレムエロ小説"だよ。レベルや職業を強化してダンジョンに潜る話だ。舞台は
「なるほど、割と碌でもない感じの
「あらすじとか、詳しい説明は後ほどね」
聞いた感じ、童貞にはしんどい学園じゃないか…?
レベルが存在するなら、それに準じたスクールカースト的なのもあるかもしれない。一般人にはキツいし、渡してくれるチート次第かも。
「そこで、キミに与える能力だが……目には目を、歯には歯を。悪魔には悪魔の力で対抗しよう。即ち…『支配の悪魔』の能力だ」
「おお!ラスボス張れる能力じゃないですか!!」
『支配の悪魔』。
チェンソーマンの主人公デンジの上司兼想い人『マキマ』の正体だ。第一部のラスボスでもある彼女の力は主に、”格下と思った相手を支配する”能力。
支配した対象やその契約悪魔の権能を使うこともできるぶっ壊れ具合である。
「一応、世界観に合わせて調整をかけるけどね。この能力を用いた無力化も、"掃討"に含めていいよ」
原作でのマキマの疑似不死身性は総理大臣との契約によるところが大きい。
レベルが存在する世界ってことは、支配の悪魔の弱点とも言える肉体強度もカバーできるかもしれない。
誰かを支配するまであまり常人と変わらないのは不安だけどね。
できれば、あんまり普通の人間を支配したくはないけど……
現代人にとって非人道的なことは荷が重いのですよ。
「さて。概要は以上だが、依頼を受けてくれるかい?正直これは僕の尻拭いだから、無理に受けてくれないでもいい。勿論達成報酬はつけよう」
……正直、異世界転生なんてワクワクが止まらない。碌でもなさそうとは言え、"ハクスラ"を歌謳ってる限り楽しそうなことには変わりない。
それに、悪魔に殺される人だって出てくるかもしれない。本来死ぬはずなかった人を助けたい気持ちだって、ある。
でも。
「達成報酬って、自分で決められたりしませんか?」
「…?元からそのつもりだったが、先に決めるかい?達成後でも構わないのだが」
でも、自分の生に未練がないワケじゃない。
「難しいことだとは分かっているのですが。せめて両親に…出来れば仲のいい友達にも、お別れを言いたいのです。みんないい人だったし、俺を愛してくれていたと思うから」
「うん、うん。確かに!お別れがないのは寂しいものだ。僕でも夢枕に立つ程度なら叶えてあげられる。ああ、これは追加報酬ってことでいいよ?受けて、くれるんだもんね?」
「はい。私としても、願ったりです。よろしくお願いします」
そういうと、ロリ女神は満足そうに、若しくは
「じゃあ、早速君を送り出そう。その後、キミは新たな生命に生まれ変わる。転生先は僕を信仰してくれてる夫妻のもとにするから、存分に頼ってあげてくれ。きっと彼らは、進むべき道を示してくれる」
一拍置いて、閉じていた扉が開く。
魂が引っ張られる感覚と共に浮遊感を覚えた俺は、そのまま意識が薄れていく。
「いってらっしゃい、マコト。君が成し遂げるそのときを、僕は待っているよ」
最後に見えた女神の姿とその声色に
これが、俺の転生ゼロ日目の話。
ここから俺の───偽マキマ(♂)としての人生が、幕を開けることになる。
tips:河牧慎について
河牧慎→カワマキマコト→カワ マキマ コト→マキマ
というクソみたいなネーミングセンス。
デビルハンターには向かない性格だと自負している。
能力使用時は口調が少しだけマキマに寄るらしい。