※この作品はR-18です。

全てを抜き去る転生者 ~TS痴女のルサンチマンは過酷な栄光を掴み取る~   作:信頼できる語り手

7 / 10
←視聴者が思う理想のエロトラップ 実際のうすほその氷像→

 人は最悪な記憶ほど忘れられない。脳がその苦痛を死を招く要因と捉え、根源的な生存本能によって活性化するからだ。

 

 僕の魂に刻まれた記憶が2つある。

 

 1つ目は勿論、前世の最期だ。墜落する飛行機の中で反芻した悔恨と、狭い窓を覆い尽くす『爆撃』の嵐。あの時に感じた無力感は地獄に堕ちても忘れないだろう。

 

 そして、2つ目。今世における最悪の記憶を挙げるのであれば、世界トップランカー達との邂逅になる。

 

『そこの騎士ちゃん、なかなか有望そうな魂してんね。あたし様の側近にならない?』

 

 女性供献者の頂点にして、女性メインのユニット『おまきゃわ隊』のエース──ランキング5位『フレネミー』。

 

『回怪会解魁戒開……』

 

 複数アバター持ちと噂される獅子髪の前衛(レイド)──ランキング4位『差分(サブン)』。

 

『配慮、礼節……すなわち、エチケット! 無法なる迷宮でこそ紳士であれ!!』

 

 後衛(エイド)特化ユニット『スタッフ・オンリー』の指導者──ランキング3位『ミスター・エチケット』。

 

『愚者共が。誰もダンジョンの本質を理解しておらん。結果ではなく方法が重要だと言うのに』

 

 異端の中衛(ガード)と称される天才──ランキング2位『オクシモロン』。

 

 僕が会ったのはこの4名。いずれも超人の中の超人である。

 

 ちなみに、ランキング1位の『@』はコネを使っても顔を拝めなかった。……しかし、それは逆に幸運だったかもしれない。

 

 圧倒的な実績のみで信仰を集める@と対面してしまえば、流石の僕も闘志を失わない自信がなかった。そう思わせるほどに、トップランカーという存在は狂っている。

 

 越えられない才能の壁を感じ、彼らに追い付く事を諦めた者も少なくはない。

 

 仮想領域保安局の資料によると……居合抜きの達人『ボブルヘッド』もその1人だ。

 

 

 

 昼夜の区切りがないダンジョン探索では、意識して休憩を挟む必要がある。ゴール地点である『楔』を発見した今、僕達はそれぞれ決戦の準備をしていた。

 

 レイフは望遠鏡を取り出して『烏帽子タワー』の変化を観察しているし、サリファは空中戦に備えて確保した鳥型の咬牙種(カロシュ)を調教中である。

 

 それは構わないが、わざわざシマエナガに似たずんぐりむっくりな個体を選んだのはどうしてだろう。

 

 捕獲を手伝ったモンスターの姿を思い出し、首を傾げる。一目惚れと言っていたが、やはり女性のセンスは分からない。

 

 褐色肌のメイドと綿毛のような丸っこい鳥のペアは、戦闘要員としてはメルヘン過ぎないだろうか。

 

 まあ、それはさておき。

 

 肝心の僕は何をしているのかと言うと、仮拠点である空港内の売店でボブルヘッドと取り巻きの供献者達に囲まれていた。

 

「単刀直入に言うぜ。俺っちの奴隷(モノ)にならないか、氷頭のお嬢ちゃん?」

 

 女性にしては長身な僕だが、鎧の大男が前に立つと自分が小さくなったように錯覚する。唯一の逃げ道である売店入口のシャッターは既に下ろされていた。

 

「直球な口説き文句だね。これでも一応、レイフ君と恋人関係なんだけど」

 

「あのお坊ちゃんがベタ惚れがちなのは見りゃ分かる。でも、アンタの側はそうでもないっしょ? 俺っちに乗り換えようぜ」

 

 ボブルヘッドは商品棚に並んだ炭酸飲料のペットボトルを取り、1口飲んでキャップを閉めた。

 

「最高戦力の俺っちがお嬢ちゃんの身を守ってやる。代わりに奴隷として奉仕して貰うわけ」

 

 ダンジョンでの人権は軽い。女性アバターであれば尚更だ。余興に殺される事すらある倫理観を踏まえると、相手にメリットを提示するだけ穏当な交渉と言える。

 

「ここは神のダンジョンの中だよ。命がかかってる状況で上下関係にこだわるのかい?」

 

「だからこそ、格付けが必要じゃん」

 

 その考えは正しい。複数ユニットで合同攻略する際に最も気を付けるべきは、仲間に出し抜かれる事である。

 

 ダンジョンの『楔』に最初に触れた者が攻略報酬を得る仕組み上、利益を独占しようと目論む者は後を絶たない。僕達に無料で譲ってくれた『ハロー・セレナ』が異例なのだ。

 

 しかし、裏切りを恐れてばかりでは協力する意味がないのも事実。足を引っ張り合って攻略に失敗するなんて本末転倒だろう。

 

 故に、対等な関係はリスクだ。対抗馬になりかねない人物は懐柔しておくに限る。

 

「……断ったら?」

 

「安心しな。当然、貴重な戦力同士で潰し合うような真似はしないぜ」

 

 敵対に至らないラインを探り合うような会話。供献者は暴力を生業としているからこそ、後先考えなしに暴れたりはしない。

 

「それに、女が相手なら別のやり方があるしな」

 

 ボブルヘッドの鎧が変形し、硬い金属の指が針金のように細く伸びた。僕の腰にシュルシュルと10本の指が巻き付く。

 

「抵抗しても構わないぜ?」

 

「ダンジョンは弱肉強食。ランカーに逆らうほど馬鹿じゃないさ」

 

「そう言う割りには余裕のある顔じゃん」

 

「強気な女は嫌いかい、ヤリチン君?」

 

「なわけないっしょ。目茶苦茶にしたくなるくらいには好きがちだって」

 

 僕の銀色の髪を弄りながら、ボブルヘッドは嗜虐的な声で言った。

 

 

 

「んっ……!」

 

 騎士服の内側をまさぐる指の動きに、僕は声を漏らさない為に唇を噛んだ。

 

 これは少し不味いかもしれない。乱暴に扱われる事は覚悟していたが、ボブルヘッドの責めは意外なほど優しかった。

 

 乳首を直接刺激するのではなく、横乳から脇にかけてをゆっくりなぞられる。ひんやりとした鎧の指が与えるくすぐったさに肩が跳ねてしまう。

 

「ふっ……くぅ……!」

 

 軽く触れるだけの愛撫。前世で行った自慰行為を思い出した。男性器の根本を扱かれる感覚と、乳房の付け根を這われる感覚はよく似ている。

 

「ねちっこい責め方だね……!」

 

 普段は隠れている陥没乳首が、陰茎の如く勃起してきた。ボブルヘッドの指に下着をずらされ、着衣越しに乳首の形が浮かび上がる。

 

 僕の大きな乳房はボブルヘッドの手下達からも視姦されていた。おそらく、これは生意気な雌を辱しめるパフォーマンスなのだろう。共犯意識を植え付ける意味もあるかもしれない。

 

「あ……あぁ……っ!?」

 

 乳房と脇の間を摘ままれた。淡い刺激に慣れた敏感な肌が否応なしに反応する。僕の甘い喘ぎ声を聴いて、男性供献者達の股間が膨らんだのが見えた。

 

 それでも、ボブルヘッドは責める手を休めない。今度は片手の指がショーツの中に侵入してきた。先程と同様に、今度も陰唇や膣には触れずに鼠径部や太股を重点的に虐められる。

 

「は、ぁ……! いつ、まで……!」

 

「勿論、アンタが折れるまでだぜ。こうやって焦らしてると、女の側から懇願してきがちなんだよな」

 

「サディストだね……! だけど、そんな尻の軽い女性だと思われるのは心外だよ」

 

 イク事もできないソフトタッチのもどかしさに耐えながら、どうにか表情を整えた。体の芯はとろとろに蕩け、男を受け入れる準備が出来上がってしまっているが、敗北は認めない。

 

「確かに、これまで堕としてきた女共よりも強情がちだな。じゃあ、少しサービスするか」

 

 僕の服の中を彷徨っていた指が、遂に女の穴へと照準を定める。硬い鎧は僅かな拒否さえ許さず、柔らかい膣肉を押し退けてズグッと埋没した。

 

「ん……! ぁ、くぅ……!!」

 

 反射的に内股になる。引き伸ばされた指先は細いが、金属の無機質な硬さが未知の性感を誘発していた。

 

 入念な前戯も相まって、神経に直接潜り込まれるような被支配感を覚える。女体を知り尽くした男の手練手管は暴力的ですらあった。

 

 徐々に絶頂へと導かれる。身じろぎする度にノーブラ状態の巨乳が激しく揺れ、男達の滾った視線の餌食となっていた。

 

「お姉様から離れて!」

 

 その時、シャッターの隙間から黒いスライム型のモンスターが飛び出す。ボブルヘッドはスライムを片足でいなし、素直に僕から離れた。

 

「タイムアップか。残念だぜ」

 

「……引き際を弁えてる男は嫌いじゃないよ」

 

 

 

 日本で1番高い塔『烏帽子タワー』の最上階にダンジョンの楔がある。その事実が判明した瞬間、攻略の命運は僕達に委ねられた。

 

 規模が規模だけに他にも巻き込まれた供献者はいるだろうが、ゴール付近からスタートした僕達が最も有利なのは間違いない。

 

 ダンジョン攻略の終盤になると、体力と供物の消耗が深刻になる。不足するのは当たり前。仲間内で供物を融通しながら根性で押し切る修羅場(デスマーチ)だ。

 

 それを考えると、心身に余裕を残して最終戦に挑める今回は恵まれている。……いや、アバターと一緒に自分の命がかかっている事で、心の方には余裕がない者もいそうだが。

 

「へぇ、凄い。こんな豪雪の中でもはっきり見えるなんて、流石は日本最高の塔だ」

 

「そう言えば、氷頭さんも日本で活動してるんですよね? 烏帽子タワーも昇った事あるんじゃないすか?」

 

 日本は供献者の激戦区だ。

 

 ダンジョンの発生頻度と平均難度が高く、世界中から名を上げたい腕自慢が集まってくる。世界ランカーも大半は日本在住だと確認できていた。

 

「まだ、ないかな。頂点の景色を堪能するのは、相応しい実績を得てからにしたいんだよ。験担ぎってヤツさ」

 

「おお、格好良い!」

 

 雑談を交えながら塔を目指して移動していく。前衛のレイフ達が獣型のモンスターに対処し、中・遠距離攻撃が得意な僕達は手出しを最小限に控えていた。

 

「顎で使ってるようで悪いね」

 

「いえ、お気になさらず! 氷頭さん達には『地上での一斉掃射』に備えて、体力を温存してて貰わないと!」

 

 そう、作戦の肝はここである。塔の中での戦いは逃げ場が少なく、範囲攻撃や押し出しによる落下で全滅しかねない。

 

 では、どうするか。

 

 簡単だ。塔の上階を丸ごと地上に引き摺り下ろせば良い。

 

 ボブルヘッドの伸縮斬撃なら、烏帽子タワーを任意の方向に斬り倒せる。後は安全な距離から撃ちまくって、楔を守護するボス格のモンスターを殺せば終わりだ。

 

 卑怯? 反則? むしろ、これが正攻法だろう。僕が提案するまで出てこなかったのが不思議なくらいだ。これから殺し合う敵のホームを尊重してやる義理はない。

 

「ところで、氷頭さん。何か変な感じしないっすか?」

 

「どういう意味かな」

 

「こう、言葉にするのは難しいんすけど……たまに勘が働くんですよね。悪い予感と言うか……」

 

「君のギフトかい? 疑うわけじゃないけど、今のところ特に問題は……」

 

 言葉が途切れたのは、その異常事態が僕の目に飛び込んできたからだ。

 

「烏帽子タワーが傾いて……!?」

 

 まだボブルヘッドが斬れる距離には……いや、斬撃の射程を偽っていたのか! しかも、倒す方向が打ち合わせと違う。

 

「あ、あっち! ボブルヘッドさんの……!」

 

 やられた。自分が真っ先に楔に触れて、確実に攻略報酬の神器を獲得するつもりか。僕とした事が、ボブルヘッドに抜け駆けを許してしまうとは。

 

「ちっ……!」

 

 だが、詰めが甘い。幾らボブルヘッドが強くても、神のダンジョンのボスを倒すには時間がかかる。僕ならその間に追い付けるはずだ。

 

「氷頭さん! あれ!」

 

 レイフが指差す場所に目を凝らす。倒れていく塔の最上階に向かって、一瞬だけ線が伸びた。状況から察するに、ボブルヘッドの腕だろう。

 

 そして、煙のような何かがフロアから弾き出される。おそらく、これはボスモンスター。落下地点は。

 

「後方支援要員の待機場所、っす……!」

 

「狙いはサリファか!」 

 

 今回のダンジョン攻略において、死者を出さない事は暗黙の了解だと思っていた。

 

 今はまだ非常事態の連続で感覚が麻痺しているが、死者が出れば皆が『死んだら終わり』という事実を直視してしまう。

 

 士気の低下。死の実感を前にしては、誰もが冷静な判断ができなくなる。だから、安全を重視した僕の作戦が採用されたのだ。

 

 しかし、サリファ・ビーストリンクは特殊な立場の人間である。端的に言って、奪献者として悪名高い彼女は嫌われていた。

 

 サリファをボスモンスターの注意を惹き付ける囮として使い、その隙に楔を掌握する。それでより安全性が増すのなら、従う者も多いに違いない。

 

(僕にちょっかいをかけて来たのはブラフ。最初からサリファが狙いだったのか……!)

 

 煙状のボスモンスターが落下した地点を中心に、巨大な氷柱が開花するように広がった。

 

「氷を操る閑雲種(ファダー)!」

 

 煙状のモンスターである閑雲種は防御力こそ低いが、回避に優れている。ただでさえ視界が悪い雪のダンジョンで、気体の体を捉えるのは至難だ。おまけに、あの攻撃力。

 

 サリファ単独では勝てない。高確率で死ぬ。

 

 仕方ない。やるしかないか。

 

(──『全てを抜き去る転生者』!!)

 

 別に助けに行くわけじゃない。ただ、虚仮にされたままで終わるのが気に食わないだけだ。このダンジョンの攻略はくれてやる。だから代わりに、ボス討伐のマナは僕が頂くとしよう。

 

 景色が高速で過ぎ去る。標本のように胴体を氷漬けにされた少女の泣き顔が見えた。炎の特殊弾を装填する。

 

 刃物のように鋭い氷柱がサリファに迫っていた。ギフトを使っていても、僕の足では間に合わない。

 

 僕の足では。

 

 

 

 想起術、という概念がある。

 

 供物を捧げた際に発生する、理屈を無視した特異現象の数々。人類はそれらを『想起術』と命名した。

 

 供献者であれば、供物を持っていれば、誰でも使える力。大抵の者は何も考えずに想起術を利用する。

 

 ただし、『起術師』と呼ばれる一部の専門家は違う。職人系の供献者に製作させた『杖』を補助具とする事で、その技術を体系化してしまったのだ。

 

 まあ、前提となる複雑な理論を学ぶ必要があるし、実戦で使い熟すにはセンスが不可欠。とても属人性がないとは言えないが。

 

 ちなみに、僕の知り合いにも飛び抜けた才能を持つ起術師が1人いる。

 

「忠告してやるけどな」

 

 金髪のワイルドな青年が杖を振った。

 

「長生きしたけりゃ、オレら起術師に逆らうな」

 

 その杖は異質な形をしている。網状に弦が張られた大きな輪から、1本の持ち手が伸びていた。敢えて他のモノに喩えるなら、テニスのラケットだろうか。

 

 通称『網杖』。世界3位『ミスター・エチケット』の直弟子にしか扱えない特殊な杖だ。

 

 そんな杖の弦が脈動し、半透明のエネルギー球を放出する。サリファの前まで飛んだ弾は、障壁となって彼女を守った。

 

「この閑雲種(けむり)はオレが仕留める。手ぇ出すんじゃねぇぞ、氷頭」

 

 金髪の起術師──雷雅(ライガ)が杖を肩に担ぐ。僕は彼にこの場を預け、別の地点へと走り始めた。

 

 

 

「おいおい、マジか……。塔の倒れる方向がこっちになるように、細かく調整したはずじゃん。なのに……」

 

 ボブルヘッドの動揺した声が耳に届く。

 

「倒れてる最中に力ずくで方向を変えるって、そんなの反則っしょ……!? どんな怪力してんだ、あの狼野郎!!」

 

「『クロスファング』のヴァルド様に不可能はないんだぜぇ! そうだろぉ、サリファぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 フィジカル特化の狼獣人──ヴァルド・ビーストリンクが叫んだ。

 

「なら、アンタから斬るまでだ。──『打刀』」

 

 ギィンと。

 

 この探索で初めて、ボブルヘッドの刀が何かと『斬り結ぶ』。

 

「俺っちの居合を受け止めただと……!? 一体、どんなカラクリ……」

 

「忠誠(あい)故に」

 

 黒髪の執事──明亜(メイア)は断言した。

 

「遅れて申し訳ありません、氷頭様」

 

 改めて言おう。日本は供献者の激戦区だ。常識の通用しないアバターが多数存在している。

 

 

 

「何なんだよ、アンタらは……?」

 

「ふふ、堅実な君には刺激が強かったかな」

 

 困惑しながらも楔への道を探ろうとするボブルヘッドの進路に、僕は立ち塞がった。好機。仕掛けるなら今しかない。

 

「ボブルヘッド君。この混沌に収拾を付ける簡単な方法を提案してあげるよ」

 

 正直に白状すると、少し高揚している。ずっと答えを知りたいと思っていた。

 

 2度目の人生で積み上げてきた僕の執念(アバター)が、世界相手に通用するのか。

 

「──僕と決闘しよう」

 

 教えてくれよ、世界29位。




沢山の感想・お気に入り・評価付与、ありがとうございます。

学園チート無双・親友ハーレムもの・男の娘ものもよろしくお願いします。

活躍を期待するトップランカー人気投票

  • ①世界1位『@』
  • ②中衛代表『オクシモロン』
  • ③後衛代表『ミスター・エチケット』
  • ④前衛代表『差分』
  • ⑤女性最強『フレネミー』
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