side:アームストロング導師
「なるほどな。まさかアルフレッドに弟子が居たとは」
「はい。某も驚愕としか」
「……そして、それをわずかな情報だけで推測したホーエンハイム枢機卿も恐ろしいな」
「本当に妖怪なのでは?」
某は、陛下に任務の報告に来ているのである。ヴェンデリン少年たちと別れた後、急いで王城に戻り、陛下に報告したのであるが……これは難しい問題である。
「可能であれば王家で保護したい。だがそれをすると、王家が貴族たちから魔法使いを奪ったと言われ、よくない前例が出来てしまうな」
「ですが、ヴェンデリン少年はその前例を作る価値がある存在です」
「そうだな。この『スマホ』だったか? 携帯性に優れ、『時間を計る機能』『決まった時間を知らせる機能』『写真の撮影・保存』『手紙の様なやり取り』『複数人と同時に連絡を取れる』『計算機能』『明かりの魔法』など……どこから話せばいいのか……」
あの少年は気づいていないようだったが、従来の魔導通信機はとても重く、大きく、持ち運びなどできない。その上、常に連絡が来てもいいように見張りを置く必要があり、連絡も一対一が当たり前であった。当然、計算機能や写真撮影などの機能は付いていない。だが現代技術では再現不可能なので、持っているだけで権威の象徴扱いである。……どうせ連絡できる相手が少なすぎるため、置物として活躍することが多いのであるが。
「だが、これを量産化できるのなら別だ。社会の構造が一変するぞ」
「軍部は生存率と戦争勝率を上げるため、どんな手段を使ってでも手に入れようとするでしょうな。これがあるだけで、帝国との戦争で絶対的な優位を取れますので」
「文官もそうだな。情報共有が容易となり、上司からの指示で『言った言わない』のやり取りが無くなるかもしれん。スケジュール管理もしやすくなるしの」
「他の貴族や商人も欲しがるでしょう。情報収集という点で優秀過ぎます。特に在地貴族には計算ができない者も多いので、正確な計算ができる点も嬉しいでしょうな」
「それなら王家も欲しいぞ? 各貴族や部下たちへ一斉に命令を送ることができ、王家が直接管理しやすくなる。無駄な貴族共を介さずに連絡が取れるなど、メリットしかない」
早い話が、情報戦で最強の武器になる点がマズいのである。メリットも多いが、現段階ではスマホの取り合いで起きる争いというデメリットが大きすぎるのである! 陛下とも話し合ったのであるが、スマホ一台当たりの価値は最低でも数億セントがスタートラインなのである。これでも安すぎるくらいであり、『国宝認定』『王権による取り上げ』が視野に入る代物であるが、量産化可能であればそんな手は打てないのである。より重要なのは『スマホ』ではなく、『スマホを作れる技術』なのだから。
このスマホが国力増加に必須となることは分かり切っており、国に普及すればするほど良いのである。そのためなら伯爵位くらいならすぐに与えるだろうし、国の予算からいくらでも費用を捻出できるのである。
「だが、貴族共は自分の利益のためなら邪魔をして来るやもしれん」
「そうですな。某、その様な貴族の顔が10や20……」
「余も同じ様な王族の顔が10人くらいよぎったの……」
こんなクズが蔓延っているが、実は優秀な人材がゴロゴロ転がっている――転がっているだけで使われない――という不思議な状態なのが、ヘルムート王国の現状である。昔は、使えない貴族は戦争の最前線に送り込んで処分していたらしいのであるが、今ではそれができないのでクズが増えるばかり。社会構造から見直すしかないのであろうか?
「クリムトは、そのヴェンデリンという少年の面倒を見てやってくれ。貴族に不自然に思われないように、アリバイは作っておこう。日付が決まり次第、余に伝えてくれ。地方巡検使などに任命すれば、ある程度は誤魔化せよう」
「某も、飛竜やワイバーンの討伐などの理由を作ってみましょう」
「一応、他の地域への任務も混ぜておく。クリムトも、いくつかの地域へ行ってくれ」
「おお! それではレッカルト温泉などの王国の温泉地巡りに加え、冒険者時代に各地で食べた思い出の料理をもう一度楽しむのも入れて見せましょう!」
「……まぁ、程々にな?」
陛下から直々の旅行許可! それに王城で面倒な貴族共と関わらなくていいとは……なんと素晴らしいのであるか!!
「……これはまだ決定事項ではないが、その少年には領地を与えることになるだろう」
「少年の実家、ですか」
「正確には、『新しい爵位と魔の森を含む南端未開地』であるが」
「しかし、どうしてあの家の所有のままなのです?」
「余も中央の大貴族たちも、その気になれば開発の義務を怠った職務怠慢の罪で取り上げられるからの」
確かに、すでに100年以上も放置されている領地など、職務怠慢で取り上げられるのである。そこまでいかなくとも、領地分割命令という手もある。
「15歳になり、ある程度の実力がついてきたら、適当な魔物の領域の解放を王国強制依頼として受けてもらう。いくつかの魔物の領域解放の功績で、爵位を授与できるはずだ。そして、少年が20歳くらいのタイミングで『パルケニア草原』の開放を行う!」
「おお! ついに、あのグレードグランドを討伐するのですか!」
ヘルムート王国の首都スタットブルクは人口が100万人を超える大都市であるが、実は代々の陛下が宿題にしている課題があるのである。それが『スタットブルグの食糧難』である。
別に食う物に困っている訳でない――スラムは除く――が、王都の周辺地域だけでは供給できないのである。勿論、完全自給など不可能に近いので、そこまでは求めていない。だが、主に穀物類を補給する穀倉地帯が、スタットブルクから1000km近くも離れたホールミア辺境伯領だというのが問題なのである。
距離的な問題もあるが、安全保障の観点から、直轄地内にも大規模な穀倉地帯が欲しいというのが王国の本音である。某も、先代の陛下が愚痴っているのをよく聞いたのである。
小・中規模な穀倉地帯は数ヵ所存在するのであるが、大規模なものとなると、作れる場所が非常に限られるのである。少なくとも、王都周辺には存在しないのである――ただ一つを除いて。
「あの忌々しい老地竜され討伐できれば、パルケニア草原は優秀な穀倉地帯となる。奴以外の魔物は軍と冒険者で駆逐可能であるというのに……ッ!!」
『パルケニア草原』。王都から100kmも離れていない場所に存在する、広大で平坦な草原地帯である。三本もの河に十分な降水量があり、アカデミーや農務閥の貴族による調査でも素晴らしい農地となることが分かっている土地である! 王国主導で行えば、開発は簡単にできるのである。
「力をつけたヴェンデリン少年。王宮筆頭魔導士であるクリムト。多くの魔法使いを育ってきたブランターク。その同世代で二つ名持ちの『爆縮』。若手魔法使いの双璧をなすリサとキンブリー。6人もの上級魔法使いが参加すると分かれば、他の魔法使いや冒険者も協力してくれよう」
「そして、勝ち戦に乗ろうと多くの軍人や貴族たちが参加するでしょう。当然、他の王宮魔導士たちも参加させます」
「それらの功績を持って、ヴェンデリン少年に伯爵位と領地を与える。当然、領地開発には多くの人材が必要となる」
「そこに、各貴族家で燻っている貴族や陪臣の子どもを起用するのですか」
「クリムトにも協力してもらう。特に、王国強制依頼で魔物の領域を解放する際にな」
なんともスケールの大きい計画である。だが、王国発展のためになら喜んで引き受けよう!
「今は少年に力を蓄えてもらう時だ。本格的に計画が動くのは10年以上先となろう」
「では、それまでに少年をアルフレッドや某を凌駕する”最強”に育てて見せましょう!」
アルフレッド、見ているのであるか? お主の弟子は某とブランターク殿で鍛えるのである。お主の様な非業の死など二度と起こさせないのである! お主は天国で安心して、自分の弟子の勇士を見ているのである!!
sideout
「ご、ごめんなさい……。ちょっと気持ち悪くなってしまって……」
ハイ。アマーリエ義姉さんが妊娠して”セックス不可”になりましたぁ~~~。
(どうすんの? ヴェンデリンの”ヴェンデリン”はアマーリエ義姉さんの”アマーリエ”に癒してもらう気満々なんですが!?)
導師達と別れた俺は、さっそくアマーリエ義姉さんとのセックスを楽しもうと自宅に帰還。アマーリエ義姉さんの作った夕食を食べて、アマーリエ義姉さんに洗体プレイをたっぷりしてもらったところで――なんとアマーリエ義姉さんが妊娠による体調不良でダウン!!! セックスは出産まで禁止となってしまった!!!
(お、俺は転生してすぐにアマーリエ義姉さんとの性活を楽しんでいたんだぞ! 妊娠って十月十日なんだろ? 一年近くもセックス禁止とか無理だよぉおおお!!!)
それも洗体プレイまでやってもらってだぞ!? 生殺しどころじゃねえ!!!
「ご、ごめんなさい……口とか手なら……」
「………………いや、体を、大事に……」
「本当にごめんなさい……。おっぱいは大丈夫だと思うから」
うん。授乳プレイと洗体プレイはしてくれるのに、セックスは禁止とか拷問かな? 拷問だよね??
(俺はこんな生活を耐えられるだろうか?)
とりあえず、魔物狩りでこの苛立ちを解消しよう。数百も魔物を倒せば収まるはず!
「あー。虐殺の後はおちんちんがイライラするんじゃー」
そんな事を呟きながら、俺はふらふらと実家に帰る。あれから一週間、洗体プレイと授乳プレイで焦らされまくっているせいで、俺のチンポは常時フル勃起状態だ。そうは言っても、『性魔法』を活用した、母乳による『魔力増大』『成長促進』『女性のスキルを継承』などを辞めるわけにはいかない。
ゲームで言うところのドーピングアイテム――”ステータス”上昇アイテム――を使わない縛りプレイなど出来るわけがない。さらに、母乳を出す女性(アマーリエ義姉さん)の所持するスキル――ゲームの”技能”――の一部を継承できる点も魅力的なんだ。アマーリエ義姉さんの場合、彼女の『料理』『掃除』などの『家事スキル』の一部が継承できる。
もし、女性が魔法使いなら『その女性の魔法技能』『その女性が得意な魔法へのボーナス』が、剣士なら『その女性の剣術技能』『その女性の扱う流派の剣術へのボーナス』が与えられるのだ。アマーリエ義姉さんの『家事スキル』だって生活する上で有能だ。普段から料理をしている彼女の料理技術の継承できるという事は、料理経験がなくても同等の料理が作れることになる。おかげでこの世界の料理でも、聞いたことも見たこともないはずの料理を作れるのだ。
問題は俺の性欲も増大してしまい、セックス欲が増大していることだ。おかげでズボンに『勃起したチンポを収納する魔法』をかけるハメになった。
なんで自分で処理しないって? ……この世界に生を受けて以来、常にアマーリエ義姉さんという極上の美女に抜いてもらっているんだぞ? オナニーのやり方なんて忘れたし、どうにか試したが……まっっっっく気持ち良くない!! 人間は、一度上がった生活レベルを下げられないんだよ!!!
(もう風俗で抜いてもらうか? でも、7歳の少年が風俗なんて門前払いだろ……)
言い忘れていたが、俺は今日で7歳になりましたー。家族から「誕生日おめでとう」すら言われず、アマーリエ義姉さんに祝われたくらいだよ。それでも誕生日ケーキなんてないし、アマーリエ義姉さんで『誕生日ケーキ(女体盛り)』でもしようと思ったが、妊婦にさせられないし。
「ヴェンデリン君! ちょっといいかしら?」
「はい?」
イラついていた俺に声をかけたのは……マルレーネ義姉さん? どうしてこんなところで?
「ちょっと相談したいことがあってね……」
なんか暗い感じなんだが、魔の森から魔物の軍勢でもやってきたのか?
俺は疑問に思いながらもマルレーネ義姉さんについて行った。
「それで、一体どうしたんですか?」
「……あのね……」
俺が案内されたのはマルレーネ義姉さんとヘルマン兄さんが暮らす家。そこにはマルレーネ義姉さん以外は誰もいなかった。
(今は夕方だし、この家にはヘルマン兄さんもいるはずだ。それが居ないとなると、相当な事態か?)
この世界では……というか貴族などの裕福な家以外はさっさと寝ることが多い。都市部ならまだしも、田舎ではライトなどないし、あったとしても動力源の魔力の補充問題で夜中まだ起きるメリットがない。うちの家は曲がりなりにも貴族ってこともあるが、俺が魔法で明かりを用意できる。アマーリエ義姉さんとセックスを楽しめるのも、この『明かりの魔法』が使えることが大きな理由だ。
「その……ヴェンデリン君は……女の人に興味とか、ある?」
「はあ?」
そりゃありますけど! なんならありすぎて痛いくらい勃起してますが!?
「ヴェンデリン君には早いと思うけど、大人には色々と興奮する『癖』ってものがあって……。年上がいいとか、身長の低い子がいいとか……」
な、なんだ? 一体何を言っている?
それから10分ほど、従妹で兄嫁の人妻から”男が女に興奮する癖やシチュエーション”について力説される。……変態大国日本の元国民からすれば、中学生までに履修する内容だったが。
「それでね? うちの人が――『自分の妻が他の男とセックスしている状況』に興奮するようになったらしくて///」
「はあ!!?」
詳しく聞くと、ヘルマン兄さんの様な次男は”長男のスペア”として育てられてきた。これは家を存続させるために必要なことだが、三男以下と違って家を出て独り立ちする事すら許されない。それで家を継げればいいが、大抵は長男に跡取りが生まれ、スペアは長男の跡取りが大きくなるまで自由などない――ヘルマン兄さんが家を早くに出れたのは、俺がアマーリエ義姉さんとイチャイチャするのに邪魔だったからだ。その反動で武芸や勉強、趣味に励む者が多いのだが……当然その中には”性”にのめり込む人間もいる。
ヘルマン兄さんが若い頃、商隊が持ってきた娯楽品の中に”寝取らせ系エロ本”があったらしい。ヘルマン兄さんも年頃の少年であったことからそれを購入して、自分の個室で何度も読み、そのシチュエーションを妄想していたらしい。これ自体はよくある話だが、問題はその”期間”だ。
「あの……昔に出兵要請があったでしょ? そのせいで結婚が遅れてしまったから……」
この領地で本などまずないし、あっても父の所有する図鑑や小難しい本――たまに母とアマーリエ義姉さんが読んでいる――くらいだ。エロ本など、書斎に隠してあった物――俺はエロ本と認めたくない出来だった――とヘルマン兄さん秘蔵の一冊だけだろう。
令和日本ならともかく、この世界で思春期~結婚するまで同じ本で抜き続けていたのだ。そりゃ性癖が歪み、妄想と同じシチュエーションじゃなければ抜けなくなるのも当然かもしれない。
「最初はね、問題なかったの。でも、ある時から最後までする前に終わったり、最近だと勃起もできなくなっていて」
俺もオナニーで抜けなくなって辛い性活を送っているので気持ちは痛いほどわかる。なんなら下半身は今でも痛いのだ。……後、7歳の義弟に夫婦の性生活の相談をするのはどうなのだろうか。普通なら理解すらできないと思うが。
「それで病気かと思ったの。そういう病気があるって、話だけは知っていたから」
「……うん」
「でもね? 三日前、あの人がこっそりとオナニーしているところを見てしまって……」
問い詰めたら白状した、と。
オナニー中に乱入され、妻に自分のオナニーネタを懇切丁寧に説明するヘルマン兄さん。
夫の下半身事情を心配していたら、実は自分に興奮しない=自分に女としての魅力がないと宣言されて発狂するマルレーネ義姉さん。そして、自分では理解できない性癖を聞かされたと。
(どっちにも同情するが、ブライヒレーダー辺境伯家はどこまで迷惑かけるんだよ)
あの『風が吹けば桶屋が儲かる理論』で、一組の新婚夫婦の危機だぞ。……バイアグラって魔法で作れるのか? それか強制興奮でもさせるとか? 解決法が分からん。
「それで、こんな事を頼むのはおかしいと思うんだけど……私とセックスしてくれないかな?」
「っ!?」
俺は声を出す事すらできなくなった。発言内容が理解不能だからではない。こういうシチュエーションの同人誌など、前世ではよくあった。だからこの流れは理解できるのだが……『兄夫婦の寝取らせプレイの寝取り役』を頼まれるなんて夢にも思わなかったぞ!?
「じ、自分が何を言っているか分かっているの!? それにヘルマン兄さんは!?」
「……実は、旦那からの頼みなの。今まで、私とセックスする時は、『私が他の男に犯されている姿』を想像していたんだって。だから、本当に私が他の男に抱かれたら、興奮できるはずだって」
くっ! よりにもよってこのタイミングか!! 俺が一週間も強制射精管理され、後半年以上射精できないかもしれないと思ってしまい、常時フル勃起状態のタイミングで!!!
たしかに俺はクルトの妻を寝取っている男だが、あれはあいつがクズだからだ。いくら性癖が歪んでいるとは言え、自分の兄嫁とセックスする下半身男じゃないッ!!
未来の辺境伯にして、世界最強の魔法使いとなる俺が、美人でおっぱい大きくて年上の近所に住んでいる従妹のお姉さんで巨乳で男勝りなのに自分の女としても魅力に不安を抱えて弱っている女子大生くらいの年齢の人妻に負けるわけが――――