※この作品はR-18です。

MAYU SEXY RHAPSODY   作:あすべすと

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第2話

 マユを見送って、マコは思う。

 父親の目が届かなくなったことで、娘は羽を伸ばしているように見える。しかし、男性にはまだまだ臆病なようだ。共学校に通っているのだが、ボーイフレンドもいないようだ。

(マユにも、あんなことが)

 マコはふと、あの夏のことを思い出していた――。

 

 昼間。

 マコはひとり残された家で、無聊を託っていた。洗濯も掃除も一通り済んで、ぽっかり時間が空いたのだ。

 テレビをつけると、ワイドショーはタレントの醜聞を取り上げていた。不倫騒動で離婚騒ぎを起こしているという。

 興味が持てないけど。「不倫」ということばに、ふと反応する自分がいる。

 

 ユウがいなくなって、マコは独り寝の夜が続いていた。

 夜中ふと目が覚めても、彼女の隣にはだれもいない。寝息も気配もない。寂しさが心と身体に忍び寄る。

 いつしかマコは、ときおり自分を慰めるようになった。

 思い浮かべるのはユウとの営みから、いつの間にかあの夏の出来事になっていった。

 不思議な女の子に教えられた悦び。甘いうずきを呼び起こす風。そして訪れた、身体の芯から震えるようなエクスタシー。

 快楽の泥沼に引き込まれそうになったけど、危ういところで助かった。助けてくれたのは、ユウだ。

 それからずいぶん経った。今でもその女の子たちは、わたしの心の中に住んでいて、時折囁きかけてくることがある。

 たとえば、こんなときだ。

 

 クーラーを効かせても、よどんだ空気は一掃できない。

(マコ……マコ……)

 だれかが、呼んでいるような気がする。

 肉体の奥深くから、こみ上げるものがある。

 

 ふと、思いついて、押し入れからハンディビデオカメラを取り出した。

 マユが小さな頃は、家族の思い出をよく撮ったっけ。

 今ではスマホばかり使って、こちらはずっとしまわれていたが。

 スイッチを入れると、まだ動きそうだ。

 夫に送りつけてやろう。わたしがどんなに寂しがってるか。どんなにこの熟れた肉体がうずいているか――。

 カメラを三脚に据え付け、ベッドの上にピントが合うことを確認したあと、「REC」のスイッチを入れた。のぞき込んでから、ベッドに横たわる。

 いまのマコは下着姿だ。

 ショーツをはいたまま、レンズに向かって大きく足を開いたり、上半身をかがめて胸の谷間を見せつけるようにする。

 いつしか、粘っこい唾液が分泌される。上下の唇をぴちゃぴちゃと音を立ててくっつけたり、離したりした。

 そして、ブラジャーの隙間から手を入れ、胸を揉みしだいた。

(……)

 マコの思いは、初めて性の喜びに目覚めた夜に馳せられたのだった。

 暑い夏の日だった。ユウに抱きしめられたけど、告白を拒絶してしまった夜。謎めいた女の子が寝室に現れた。ささやきかける淫らな声と、全身をなでるように吹く風に誘われるように、指で秘められた場所に触れ、絶頂に達してしまったことを。

 どこからか、あのとき聞こえた声が響いてくるようだ。

(わたしは、あなたなのよ。さあ、わたしと一緒に、もっと愉しみましょ)

(指を使うのよ、さあ……いい気持ちでしょ)

 その声に誘われるように、指は下腹部の茂みに潜っていった。

 足のあいだの亀裂は、濡れていた。

 その感触を感じると、指の動きは激しくなった。

 漏れ出る声もどんどん大きくなった。

(もっと……声を出してごらん)

 唇に、あのときの感触が蘇る。

 なにも知らなかったマコの唇に、少女の唇が触れる。舌が差し込まれ、絡まれる。マコの舌が応えると、歯で優しく噛まれる。

 その記憶を蘇らせるたびにマコは悶えた。ぴくりぴくりと背筋が震え、足がピンと張り詰める。

 いつしか、マコは一糸まとわぬ姿になっている。

 白い胸をゆっくりと揉み、固くなった乳首にそっと爪が立てられる。

「あっ、あっ」

 足を大きく開く。そこからあふれ出す快感に誘われるように、指は奥まで入っていく。

 あのときの不思議な体験の記憶が、頭をぐるぐると回り続ける。

 敏感な芽を易しく愛撫しているのは、自分の指なのか、それともあのとき優しく吹いていた「風」なのか……。

 ぴちゃぴちゃと粘っこい音が聞こえてくる。

 亀裂の奥の花園は、もう十分すぎるほど潤っていた。

 その潤いを、指でかき混ぜる。

「あ、あああ……あああーっ!」

 気持ちよさに腰が上下する。

 指を激しく動かし、ぐちゅぐちゅと音を立てて粘膜を刺激する。そして、マコは果てる。

 その一部始終を、レンズは映していた。

 

 マユが帰ってきたのは夕方だった。

 母親――マコからは今日、「高校時代の同窓会で、夜が遅くなる」と連絡が入っていた。

 作り置きの夕食を、電子レンジで温めて食べる。

 自室に戻っても、

 マコの寝室に、三脚に取り付けたビデオカメラが置いてある。

「どうして?」

 なにを撮っていたのか。

 カメラからメモリーカードを取り出した。

 パソコンに入れて、いちばん新しい日付の動画をクリックしてみた。

 

「これは……」

 マコの顔の大アップ。

 引いていくと、全身が映った、プラジャーしかつけていない上半身が写る。何事かを言っているようだが、よく聞き取れない。

 ブラジャーを外して、ベッドに投げ捨てた。

 剥き出しの胸をもみしだき、乳首を指で挟んで愛撫する。

「……」

 目が離せない。

 マコの声が大きくなっていく。

 大きく足を開いて、茂みと、その下のピンク色の亀裂が露わになる。

 マコの指はその亀裂をさするのだ。

 あえぎ声はどんどん大きくなる。

 やがてマコの傍らに、ぼうっと光るものが現れる。

「!」

 光は、しだいにその姿を整えていき、やがて、少女の姿を取った。

 髪の長い、パフスリーブのワンピースを纏った少女だ。

 少女は喘ぐマコの耳にそっと息を吹きかけたり、首筋に唇を寄せ、舐めあげたりしていた。

「あああっ!」

 ひときわ大きな声が上がる。

 マコは大きく身体を反らせ、そしてぐったりとベッドに身体を投げ出したところで、動画は終わっていた。

「……これ」

 こんなものを撮って、どうする気なんだろうか?

 ネットに流出でもしたら。

 でも。

――お母さん、やっぱり「女」なのね。

 マユはそう思った。

 メモリカードを差し込み、元の場所に戻した。

 

 夜遅く。

 マコは帰ってきた。

「ただいま」

 出迎えたマユは言った。

「お母さん」

「なに」

「寝室のビデオカメラ、何に使ったの?」

「……!」

 気がついてしまったようだ。

「見たのね……」

 うなずいた。

「訊いていい?」

「?」

「後ろの、女の子は……?」

「なんのこと」

「女の子が宙に浮かんで、お母さんにキスしたり、身体を触ったりしてた」

「!」

「どういうことなの」

「……忘れてちょうだい。いいわね」

 それきり、その話はしなくなった。

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