※この作品はR-18です。

MAYU SEXY RHAPSODY   作:あすべすと

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第5話

 このところ、ずっと「あのこと」が頭の中をぐるぐる回っていた。

 おかしくなりそうだ。

 家のパソコンで父親のアカウントでログインし、ブラウズする。

 気がついたら、エッチなサイトを検索していた。裸の男女が絡み合う姿。男のそれを舐めたり、口に入れたり……

(ママにバレたらどうしよう)

 でも、見入ってしまう。

 ごくり、とつばを飲む。

 ふと我に返り、ブラウザを閉じた。

 ぱたんとパソコンを閉じると、心の中に嫌悪感が湧き上がってきた。

(……みんな、みんな不潔よ。わたし、わたし……セックスなんて、絶対いやなんだから……)

 いや、なのに。

 気がつくと、そのことを考えている。

 嫌悪しつつ、頭から離れない。

 もやもやしたものは高まるばかりだった。

 

 今週末には天文部の観測会がある。

 理科準備室から望遠鏡を持ち出し、クルマに載せる。顧問の松岡先生が運転して、町外れの公園に到着した。

観測ポイントである町外れの公園に行き、明るいうちにセッティングする。

「今日はよく見えるなあ」

 

「あっ、また流れた。

 真一はカメラをセッティングしている。

 カメラを天の北極に向け、シャッターを開け放しにする。星々が円弧を描いて写る写真は、こうして撮るのだ。

 

 ペルセウス座流星群の観測は一通り終わり、夜半には撤収することにした。

、機材を車に積み込むと、玲子はクルマに乗り込んだ。玲子は家がすこし遠いので、先生がクルマで送るという。

 マユの家までは、歩いて30分くらいだ。ふたりと別れて帰路についた。

 

 もう夜も遅い。

 マユは自宅まで近道を通ることにした。街灯も少ない、暗い道だ。

 だれもいない。

 気味が悪いけど、すこし我慢すればだいじょうぶだ。小走りに駆け抜けていった。

 

 そのとき、不意に声をかけられる。

「おじょうちゃん」

 道の向こうにあるコンビニの光にぼんやり照らされて、ひとの姿が見える。

 中年くらいの男だ。崩れた格好をしているところから、まともでないことは、一目で分かる。

 男は無遠慮に近寄ってきた。

 顔を近づけると、吐息がかかる。アルコールの臭い。酔っているのか。

 そして、乱暴に手を握ってきた。

「やめてください!」

「おい」

「いいだろ」

 手を振りほどいて逃げようとした。

 そのときだった。

「おい!」

 真一だ

「やめろよ」

 びっくりするほど、男らしい声だった。

「オレの女に手を出すなよ」

「なんだと」

 

 突き飛ばした。

「ちっ……」

 男は立ち去っていった。

 

「歩いていったら、水橋が見えたんで……」

 灯りの少ない夜道、真一とふたりきりで歩いていった。

 マユはおずおずと、先ほどの礼を言った。

「ありがとう」

「いや……」

「なに?」

「おれ、以前からずっと、水橋さんのことを、見てたんだ……」

「えっ」

「付き合ってほしい……」

「ええっ」 

 そうして、真一はマユを抱きしめたのだ。夏服を通して、真一の肉体の温度が、直に伝わってくる。たくましい筋肉の感触。 

「好きだよ……マユ!」

「!」

 しかしマユは、そのとき、言い知れない恐怖を感じた。同級生がいきなり「男」として認識される。

「いやっ!」

 思わず、振りほどいてしまった。

「そんなこと……いきなり、するなんて」

「好きなんだ! 分かってくれ」

「いやよ、絶対いや!」

「おい!」

 

 そしてマユは家へ帰る道を、駆けだした。

 鼓動は速くなる一方だ。

(あんなことして……よかったのかしら)

 でも。

 ショックだった。

 まさか真一に、そんなことをされるとは……。

(いや……)

 男のひとに、そんなことをされるのは……いや。

 どうしても、受け入れられないことだ。

 そんなことが頭にいくつも浮かびながらかけていくと、あの公園にさしかかった。

「お姉ちゃん」

 また声をかけられた。このところ何度も聞いている、あの声。

「……!」

 あの女の子だった。

 あいかわらず、なにか挑発するような視線をマユに向けている。

 少女は言った。

「ひどいじゃない。彼が、可愛そう……」

 しかし、彼女の口から出たのは、いつもの少女とは違う、なにか、憐れむような響きを帯びていた。

「あなた、見てたの?」

 それには応えず、少女は不思議な話を始める。

「お姉ちゃん。あたしはね、あなたのような女の子を知っているわ……もう、女の子じゃなくなってるけどね」

「なんのこと?」

「男の子のこと。セックスのこと。心の奥底では興味津々だったのに、素直になれなかったのよ。いまのあなたみたいに……」

「それが、どうしたの?」

 そして少女は、信じられないことを口にした。

「おねえちゃん。だからわたしが、セックスのこと、教えてあげようか」

「!」

 開いた口がふさがらないマユ。

「こ、子供はもう、うちに帰る時間でしょ」

「帰るよ……お姉ちゃんのところにね」

「はぁ?」

 付き合っていられないから、早足で立ち去った。

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