※この作品はR-18です。

MAYU SEXY RHAPSODY   作:あすべすと

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第7話

 眠りと覚醒のあいだをふわふわと漂っているような気分の中、マユは薄く目を開いた。 おぼろな視界の中に、何かが見え隠れする。だれかの顔だ。少女のような、女性のような……それが見覚えのある男子の顔をとりはじめた……。

「いやあー! やめて、やめてやめてーっ!」

 その声で、マユは目が覚めた。

 

 夕べ、奇妙な夢を見たような記憶がある。

 しかし、はたしてほんとに夢、だったのか。

 あのとき部屋に立ちこめていた霧は、もう晴れていた。

 いろんなものが、視界にくっきりと入ってくる。

 いつもの部屋。いつもの朝日、いつものベッド……。

 でも。

 マユは、一糸まとわぬ姿で、シーツの上に投げ出されるように寝ていたのだ。下着もネグリジェも、ベッドの下に落ちていた。

 酷い格好だった。シーツには染みのようなものがあった

 クーラーは切れていて、朝なのにもう空気はむっとする不快感だ。

(あんなこと……)

 信じられない。でも。

(夢よね、絶対……)

 そっと股間に手をやる。淡い茂みをまさぐる。そこは、濡れていたのだ。

(夢じゃ、なかったの)

 指のあいだで糸を引く粘液を見て、愕然とする。

 そういえば。

 今でも身体の奥底で、熾火が熱を放っているような気がする。

 トイレに入って、ウォシュレットのビデモードで洗浄し、残った蜜を始末した。

(……あ)

 そのときも、つい敏感なところに触れてしまい、ゾクッとしてしまう。

(ダメよ)

 パンツをはいたり、ブラジャーをつけるときも、布がこすれて、感じてしまう。いままで気にならなかったのだが、胸が硬く張っているようだ。

 

 自分の身体の違和感を確かめるようにのろのろと着替えて、ダイニングに降りた。

「おはよう」

 マコは朝食の支度をしていた。

 そしてマコの顔を見て、はっと思い出したのだ。

 まさか、あのビデオに映っていた女の子――

 そして問うた。

「なにかあったの?」

「なにも……」

 マユは口ごもった。

 

 学校へ行くとき。マユの出で立ちを見て、マコが問うてきた。

「その服、着ていくの?」

 今日もあのミニスカートをはいて、学校へ行った。

 

 足取りが軽やかになっていった。

 なぜかは知らないけど、気分がいい。

 昨日までかかっていた、心の中のもやもやが晴れたようだ。

「おはよー」

 道すがら、同級生に声をかけられる。

「マユ……マユじゃない?」

「えっ……!」

「あんた、ずいぶん、変わったわね」

「なんか、派手になったみたい」

「そうかな……うふっ」

「色っぽいよ、その笑い方」

「からかわないでよ」

「あら、褒めてるのよ」

 廊下で真一と出くわした。

 真一は目をそらして、その場を通り過ぎようとする。

「真一君!」

 声をかけられて、びっくりしたように、振り返る。

「お、おはよう」

「昨日は、有難うね」

「ど、どういたしまして……

 へどもどする真一に、マユは彼の腕をつかんだ。

「さ、いきましょ」

 そして腕を組んだ。

 

 ふたりは女子の一団とすれ違う。

「あら、どうしちゃったの?」

「なにがあったの?」

「うふふ」

 マユは意味ありげな微笑を浮かべた。

 

 身体が、軽い。

 今日のマユは不思議にウキウキした気分だった。

 鏡に映した自分の顔

 我知らず、笑顔が浮かんでしまう。血色がよくなり、唇もルージュをつけていないのに、ばら色だ。

「今日のマユ、なんだか違う」

「そうかしら?」

 隣席の女の子に声をかけられて、曖昧に誤魔化した。

 

 休み時間。

 ふと思い出して、あの上級生にショートメールを送った。

「マユです。ご無沙汰してます。また会ってみませんか?」

 まだ連絡先を抹消していなかったのだ。

 返事はすぐに来た。それは、マユにとっては期待外れのものだった。

「メッセージありがとう。でも、ごめんなさいね。週末はデートなの」

「……!」

 そして、あろうことか、彼氏とのツーショット写真を添付してきたのだ。

「マユも青春してる? じゃあね」

 じぶんのことは忘れろ、ということなのか。

 中学時代のアレは、ただのお遊びだったのか。

 軽くショックだった。

 

 放課後は天文部の部室へ行った。

 部屋にはひとり、玲子だけがいた。

 玲子は座って、ハードカバーを読んでいる。

 表紙には『三体』と漢字で大きく書いてある。

「松岡先生に借りたの。面白かった」

 

「……逢ってるの?」

「うん」

 すこしはにかんだような笑顔で、頷いた。

 そのとき、マユには合点がいったのだ。玲子と松岡先生の関係を。

 彼女の醸し出すオーラは、恋するひとがいるそれだ。いままでなぜ気がつかなかったのか、不思議にも思ってしまった……。

 それほどまでに、自分は鈍感だったのか。

(ひょっとして、玲子はもう、してるのかな。松岡先生と)

 ふとそんな考えがマユの脳裏を横切った。そのとき、身体の中に熱いものが湧き出てくるような感触に襲われる。

「……!」

 トイレで確かめると、ショーツのクロッチには、小さな染みができていた。

 

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