人の自室を我が物顔で闊歩しているのはもう今更言うまでも無いのだが、それにしたって人の部屋で部屋の主をほっぽったまま何をしているんだ、こいつは。
「……マーリン?」
「うん?」
「何してるの」
「ブログ書いてるよ」
ブ……ログ……?
突然飛び出た単語にぽかんとして固まった私に、マーリンが「マギ☆マリのね」と付け加える。ああ、なるほど。
いやなるほどじゃねーよ。
人のベッドにあぐらをかき、脚の上にキーボードを接続してノートPC化させたタブレットを置いて、マーリンは先刻からせこせこと何やら書いたりタップしたりしており、何しているのかと思ったら。
ベッドの上をベストプレイスと称している私としては大変遺憾だ。そもそもシングルサイズだからそんなに空間が無いのに、マーリンが居座っているせいで私のスペースがなくなってしまっている。
ベッド脇に置かれた小テーブルに肘をついてマーリンを見つめたまま、とりあえず私は「ふうん」と答えた。その返事に特に反応を返すでもなく、マーリンの視線は画面に向けられたまま。
「……」
……暇だな。
お前はここに何しに来たんだよ。
いや、何となく私の部屋に来たっていうのも、それはそれで嬉しいんだけどさ。
大体そのブログ、今も誰か見てるの?そりゃ今は人理も修復されて、ネットも復活してるけどさ。
「ねー、ブログって何書いてるの?」
「ひみつ」
「……何それ」
画面から目を離さずに一言だけ返された言葉にむぅと唇を尖らせる。
何で秘密なの。何書いてるの本当に。
「気になる、見せて」
「嫌だよ」
「何でー!」
「あとで構ってあげるから大人しくしてなさい」
はぁー!?何それ!!何で私が我儘言ってるみたいな言われ方されなきゃならないんだこの野郎。
椅子から立ち上がるとベッド脇へつかつかと歩み寄る。それでもマーリンは無反応だ。
「……」
無言でベッドによじ登り、背後から画面を覗き込む。ん、んー、よく見えない、マーリンの髪が凄く邪魔。
「こら、なまえ、邪魔しないで」
「してません~」
つんつん飛び跳ねるマーリンの髪を、上部からかき集めて編み込み始めた私にマーリンが文句を垂れる。
別に何も邪魔はしていない。散らばった髪を整えてあげているだけだ。寧ろ私は感謝されるべき。
邪魔するなと言っておきながら、マーリンはそれ以上何も言わず、止めたりはらいのけたりすることも無かった。
未だに何やら画面上で操作している。
何をそんなに書くことがあるんだ。
仕方がないので髪いじりを続行する。
散らばった毛先を入れ込みながら編み込んでいき、そのまま細い三つ編みをいくつか作ると、残りの髪ごとかき集めて一本の三つ編みに結っていく。所謂ラプンツェルヘアーだ。塔の中のお姫様か、ぴったりだな。
「お客さんいいシャンプー使ってますね」
「使ってないけど」
「嘘だ~こんな綺麗な髪して~」
「…………」
「ちょっと無視しないでよ」
「はいはいわかったわかった」
何がだよ。
扱いがどんどんぞんざいになっていくのを感じて私は一人頬を膨らませる。
ぷんすかしながらマーリンの髪を毛先まで編んで、ベッド脇に放置していたゴムで結い留めた。
長いし太いし大変だった。まったく手間かけさせやがって。
「できた」
ぽそりと呟いてみたが、マーリンから返事はない。
ついに完全無視され始め、私は更に頬を膨らませる。
「ねー、マーリン」
「………」
「ちょっと、聞いてる?」
「聞いてるよ」
「嘘だ聞いてない!!」
「聞いてる聞いてる」
ぽんぽんとマーリンが私の頭を雑に撫でるよう叩いて、また再び画面をいじり出す。
「~~~~っ」
何その反応、面倒くさそうにしやがって。
ここは私の部屋だぞ、私のベッドの上だぞ。
そんなに私が邪魔なら自分の部屋にいれば良かったのに。
「マーリン、ひま」
「外に行っておいで」
ムカーーーーッ!!
すぐそういうこと言う!!
もう完全に怒りましたよ私は。ここをどこと心得る。マスターの部屋だぞ。
「えいっ!!」
「…………」
背後から頭突き付きでマーリンの背中に思いっきり抱き着く。
しかしやはり無反応。くそ。もうコレ絶対わざとでしょ。
「マーリン~~~~」
「うんうん」
「ねぇってば」
「はいはい」
「……ね、ちゅうして」
「うん。はい」
一応話は聞いているようで、マーリンのお腹に回した私の手を取ると、その掌にマーリンが口付ける。
「ちがーう!!」
「なまえ、今私は忙しいんだよ。他を当たっておくれ」
「良いんだな!?私が他の男に今みたいにしてもいいんだな!」
「良いよ」
「バーカ!!しねーよ!!」
「知ってる」
じゃあ構ってよ!
背中にガンガン頭突きを繰り出すもマーリンは一切動じない。この!感情を持たない夢魔め!許せん!
怒り心頭の私は、身体を伏せるとマーリンの足下に潜り込む。
特に抵抗せずマーリンはされるがままだ。何!?ついに存在ごと無視し始めたの!?
くるりと反転してマーリンを見上げる格好になる。随分歪な膝枕だがまあ良い。
マーリンは私を相変わらず見ない。そんなにサイト更新が大事か。
「まーりん……」
精一杯甘えたような声を出して、マーリンの服の裾を引っ張る。
マーリンは一瞬私の頭を撫でるとすぐにキーボードを再び弄りだした。
……むぅ。
ここまでしても構ってくれないとは、そんなに大事なことなのだろうか。
待ってるファンでもいるのか?なら仕方ないな……。
そう思いながら、やはり何を書いているのか気になって、もう一度ごそごそと反転すると、目の前にある画面を覗き込んだ。
……。
「ネットサーフィンじゃん!!」
「情報収集は戦略の基礎だよ」
「何のだ!?」
こいつー!!絶対私を無視するのが面白くてそうしてるな!?
そういうことされると私も無視してマーリンなんか知らないどっか行こう~とやりたいのは山々なのだが、……今はどうしても甘えたい気分なのである。
だって……、……暫くしてないし。
だからマーリンも部屋に来たのかなって、そう思ったのに。
ごそごそとマーリンの腰元の紐へと手をやり、それを解く。
何だこれどうなってるんだ……と思いつつも、適当に弄っていたらぱらりと解けてくれた。流石私、持ってるな。
マーリンは相変わらず無視を決め込んでいる。
私ももうそれには構わず、マーリンがそう来るならこっちも勝手にやる事にする。
今度はズボンの腰紐に手をかけ、それを解いた。
くそ、ノートPCが凄く邪魔だ。知らないけど。
無遠慮にズボンの中に手を突っ込み、ごそごそと動かしてそれを探り当てる。
見つけたそれをズボンを寛げながら取り出すと、掌でこねてみた。
わー。柔らかい。くそ。何でだよ。可愛い私がこんなに甘えてるんだぞ、もうガチガチに準備万端で然るべきだろ。さては不能だな?挿入しないもんな。
「ねー?おちんぽ触られて嬉しい?」
「そうだねえ、嬉しいねえ」
「なめたらもっと嬉しい?」
「後にしてくれるともっと嬉しいかなぁ」
オッケー嬉しいんだね、じゃあ舐めるね。
前半部分は無視して、未だ勃ち上がる気配を見せないそれをぱくりと口に含んだ。
いつもはもっとおっきくてそれなりに苦しいんだけど、こんなにサイズ変わるの?というくらい今は苦もなく口の中に入ってしまった。
ちゅるちゅると口の中でマーリンのしょんぼりちんぽを吸い上げる。
柔らかくてむにむにしてて、何か、面白い。舌を使ってむぐむぐ全体を揉むように舐め、亀頭を抉るように刺激する。
……。
…………。
……………………。
勃たないんですけど。
何?本当に不能になったの?
いつもはそんな事無いじゃん。めっちゃやる気満々じゃん。
そりゃいつもはマーリンの方から迫ってきて、私も強制的にえっちな気分にさせられて、って順番が逆だけどさぁ。
えっち度が足りないの?刺激されるだけじゃダメってこと?
やっぱちゃんと誘惑しないとダメなのかなぁ……。
「……まーりん」
「んー」
「ねー……、だめ?」
「何が?」
「……えっち」
「だめ」
「…………なんで?」
「気分じゃないから」
いつも私の気分なんかお構いなしのくせに!!
こっちを見もせず言うマーリンに思わず眉間に皺が寄る。痕になったらどうしてくれる。
私がその気じゃなくたって、マーリンは勝手におっ始めて私のことその気にさせるくせに、私がしたくて誘ってもその気にはならないとか、そんなのってない。
そんなに誘うの下手なの私は?それともついに私とするのは飽きてしまったんだろうか。
いやそもそも最後までしてないけど、ああでもだからこそ?だから私とするのは面倒なのか。
「……何で私の部屋に来たの?」
「居心地が良いから」
直球で問いかけるのは躊躇われて、遠回しに尋ねたら何とも判断しがたい言葉が返ってくる。
それは私の部屋に慣れすぎてしまったせいなのか、でもこうして私が作業の邪魔をしているのに出て行こうとしないのは、何故か。
「私に、邪魔されてるのに?」
「うん。キミに邪魔されても、ここにいたい」
適当に誤魔化されると思ったのに、マーリンは存外はっきりと言葉を返した。
邪魔されてもここにいたい、って、何で。ここはただの私の部屋で、マーリンの興味を引くものなんて無いのに。
そんなこと言われたら私がいるからここにいるんだって言ってるのかなって思ってしまう。……私がそう思うことだって分かってるだろうにそんな風に言うってことは、やっぱり本当はネットなんてどうでもよくて、私をからかってるだけでしょ、いじわるなやつ。
「……えっち、したい」
ぽつり、こぼすように。それでもはっきりと口にした言葉に、マーリンがぴくりと反応して目線をよこした。
私の頭を引き寄せると胸に押しつけ、そのまま優しく撫でられる。
「まったく仕方のない子だなぁ」
「……してくれる?」
「んー。……私をその気に出来れば、いいよ」
くすりと笑ってマーリンが言う。
相変わらず私の頭を優しく撫でながら、口では意地悪なことを言うとか、何かもう色々ずるい。
宣戦布告と受け取った。絶対その気にさせてやるからな。
マーリンが未だに持っていたノートPCを取り上げると、畳んで机の上に置いてしまう。
特にマーリンは抵抗もせず、緩やかに微笑んでされるがままだ。つまりもう無視はやめてしまったらしい。
いつも私の可愛さにメロメロになるくせに何だその自信満々な顔は。
待ってろヒィヒィ言わせてやる。
意気込んでマーリンの膝の上に跨ると、頬に手を這わせ引き寄せる。
そのまま薄く開いた唇にかぷりと吸い付いて、舌を入れるとその口内をまさぐった。
「んっ、ふぐ……」
「……」
特に反応を返さないマーリンの舌に、必死で自らの舌を絡めていく。
マーリンにいつもされるようにしようと奮闘してみるものの、そもそもの長さが足りないのか、私の口よりマーリンの口の方が大きいせいなのか、上手くいかない。
それでも歯列をなぞってみたり舌先でくすぐってみたり、精一杯気持ちよくさせようと必死に唇にかぶりつく。
「ぁ、は、……っ」
「……もうおしまい?」
「……っ、まだ、これから」
息が上がってしまって顔を離した私に、マーリンが意地悪気に問いかける。
く、悔しい。マーリンは相変わらず息一つ乱していない。
息を整えるついでに手をマーリンの股間へと這わせてみる。変わらぬ様子にむうと顔を顰める私に、マーリンがふ、と笑みを漏らした。何笑ってやがる。
「……マーリン、脱いで」
「キミが脱がせればいいよ、ほら」
「……分かった」
ローブの首元を留めているリボンをしゅるりとほどく。
これもいまいちどうやって結んでいるのか分からないのだが、引っ張れば解けるので問題はない。
いつもマーリンは事も無げにローブを脱ぎ捨てているけれど、フードとケープの隙間に髪が挟まってるし、とても脱がしづらい。
何とかローブを脱がす事には成功したものの、インナーに手をかけてずりあげたところで、問題が発生した。
「腕あげてー」
「なまえがやっておくれ」
「えぇ……お、重い……!腕が重い!」
「そんなに?」
片腕ずつ持ち上げてみようとするものの、力を抜いて私に委ねたマーリンの腕が存外重い。えっ……何これ金属バット?
よいせよいせと必死に服を持ち上げてマーリンの首から抜き取る。結い上げた後ろ髪がぼろんと一緒に抜け出て、蛇みたいだなとちょっと思った。これを振り回すだけで武器になりそうだ。
引き抜いたインナーを放り投げると、せっかく編み込んだのに服の摩擦で妙なとびはね方をしているマーリンの髪を手櫛で梳かしてやる。
引っかからないように優しく指を差し込んで、髪型を整えていく。
「マーリンの髪って何でこんなに長いの?邪魔じゃない?」
「あると便利なこともあるのさ。でもキミと触れ合うには邪魔かもね。切っちゃおうか」
「それは絶対にダメ」
「何だいそれ、聞いておいて」
くすくすとマーリンが笑う。ダメなものはダメ、と言いながらあぐらをかいたマーリンの脚をほどいて下履きもすべて抜き取ってやった。これで全裸のマーリンの完成だ。
こうして改めて見るとなんて現実離れした生き物なんだろうと思ってしまう。世界が絵に見えるだと?お前が芸術作品だよ。
そう考えると自分も脱ぐのは恥ずかしく思えてきて、とりあえずそのままもう一度マーリンに跨る。
「私だけ脱がせてキミは着たままなのかい?」
「いつもマーリンだってそうするでしょ」
「いつもではないけど、まぁそうかもね。やってみた感想は?」
「マーリンも私と同じ感想だったらよかったのにって思った」
「何だいそれ、感想になって……ん、くすぐったいよ」
首筋に軽く噛みついて胸板に手を這わせてみる。
いつぞやされたように強めに噛みついてやりたいところだが、それでマーリンがその気になってくれる気はしなかったのでやめておいた。
「ん……マーリン……」
すす、とおとがいに唇を這わせ、耳元に到達すると甘えるように囁く。
ぴたりと身体を密着して(まぁ私は服は着ているのだけど)、脚をマーリンの腰に回す。
耳のふちへと唇を這わせ、唇で挟み込んでみる。
ピアスがちょっと邪魔だ。これも何か意味があってつけているのだろうか。……私もピアス、開けようかな。
くわえた耳輪をそのまま舌先でつついてみたら、マーリンの少し尖った耳の形がよくわかって、何だかどきどきしてしまった。
いつもは見えない部位だから、マーリンの耳の形とか、胸板の厚さや二の腕の太さだとか、そういう部分を改めて見てしまうと何だか嬉しくなってくる。
胸に這わせていた手を下腹部へと這わせると、つつ、と指先で股間を撫でてみた。
「……何で勃起してないの?」
「その気になってないからねぇ」
やっぱりそこは特に変わりないままで、せっかく嬉しくなった気持ちは途端にしぼんでしまった。
「なんで……?もっとえっちにならないとだめ……?」
「さあ、どうだろう?やってみせてくれないと何とも言えないな」
「…………私のこと、かわいいと思ってるよね?」
「思ってるよ?」
にこりと笑ってマーリンが答える。
釈然としなかったけど、仕方がない。
一度マーリンの膝からおりて、タイツに手をかけるとゆっくりと脚から引き抜いていく。
スカート、上着と脱いで行き、パンツ一枚の姿になる。
今更全裸になるのに恥ずかしいも何も無いんだけど、こうして完璧すぎる肉体を見せつけられると、私なんかが裸になったところで何が変わるというのだろうか……と卑屈な気持ちがふつふつと湧いてしまうから困る。
いつもなら別にそこまで思わないのに、だって今日は、マーリンがちっとも反応してくれないから。
「そのまま脱がずに私を誘惑してみる?」
全裸になるのを躊躇っていたら、ふと不敵に微笑んだマーリンが挑発的な言葉を投げかけてきた。
むかついてぎろりと睨み付ける。どうしてくれようかと思うものの、現状私にマーリンに対抗出来るようなカードは無い。
渋々パンツを脱いで、すぐさまマーリンに抱きつく。
軽く抱き留めマーリンが私の頭を優しく撫でた。
「……まーりん」
「ん」
顔を唇に寄せて、ちゅ、と啄むだけのキスを一つ。
続けて何度も、唇や頬や首筋に口付けていく。
これはマーリンを興奮させたいというより、私が好きでやっているだけだ。
舌を絡め合うえっちなキスだってもちろん好きなんだけど、こうしてじゃれるようなキスも、私は大好きだった。
マーリンの脚に跨がり、股を擦り付ける。
さっきからマーリンに構ってほしくて仕方ない私のそこは、当然もう濡れそぼっていた。
「ん……っ」
くち、くちゅ、と部屋に微かな水音が響く。
自らの手をゆっくり添えると、マーリンに跨がったまま、熱を持って仕方がないクリトリスを指先で撫でた。
「んっ、ん……!」
「…………」
マーリン自身を刺激しても、マーリンはまったくその気にはなってくれなかった。だったらもっと、そんな気分になれるよう私が頑張らなくちゃいけない。
自分で自分を慰めながら、もう片方の手をマーリンのモノに添えると、ゆっくり優しく握り込んで亀頭を指先でそろそろと撫でてみる。
「まー、っは、まーり、んっ」
「うん」
「……あっ、あの、ねっ、きもち、いいのっ」
「そう、なまえはエッチだもんね」
「あっ、はいっ、なまえはエッチだから……っ、だからっ、まーりんに、いじってほし……のっ」
「えー、どうしようかなあ」
「おねっ、おねがいっ、おねがいだからぁ……」
ねえねえ、と強請るようにマーリンの脚に愛液を塗り込むように腰を揺らし、自ら花芯を刺激して、その一方でマーリン自身も刺激していく。
ぴりぴりと走る刺激に追い立てられていく私と違って、マーリンのそこはやっぱりちっとも反応を見せなかった。
ダメなのかな、全然、こんなのじゃ。
マーリン、ほんとは私のこと、私の、身体なんて、全然気に入ってなかったのかなぁ。
「っま、まーり、まーりん……」
「……」
「ぁっ、ね、まーりんっ、」
「……」
「……っ、ぁ、……………っ、う、…………っく」
ああ、もう、だめだ。がまんしていたのに。
ぼろりと涙がこぼれて、私は咄嗟に俯いた。
堰を切ったように涙が溢れて、喘ぎは嗚咽に変わっていく。
「なまえ」
「っ、ごめ、ごめ、なさ」
「おや、どうして謝っているんだい」
「……うっ、うぇ、…………うっ」
「顔を上げて」
「やら…………ぶすだから……」
「何てことを言うんだ」
だってマーリンにとって私は何の性的魅力も無いんだって分かってしまったんだもん。
今まではずっと、マーリンがそういう気分のときになんだかんだでそういう流れにさせられることが多くって、私から誘ったりしたことも無いわけじゃないけど、きっとそれだってたまたまマーリンもそういう気分だったから、相手してくれてただけなんだ。そうか、だから挿入はもちろん、マーリンがイけないままで終わっても、別に気にしなくて良いって言ってたんだ。そうなんだ。
「やりすぎちゃったか」
めそめそと泣く私の頭上でため息を吐きながらマーリンが呟く。
言葉の意味を咀嚼するより早く頬に両手を添えられ、私は無理矢理顔を上向かされてしまった。
「っ、ぅ、あ」
「ごめんね、怒ったり落ち込んだりするのが面白くてつい」
「、え」
「そんなに傷つくとは思わなかったんだよ」
「……」
「許しておくれ。ちゃんと相手してあげるから」
「…………」
申し訳なさそうに眉をハの字に下げながらマーリンが言う。
なるほど、そっか。私をいじめるのが面白くなってついやりすぎてしまった、と。何だ、いつものやつか。
「って許すかバカーッ!!バカバカバカバカ!!」
「よしよし、ごめんねったら」
マーリンがへらへら笑いながら私の頭をぐりぐりと撫でる。
ほっとしたけど、でも、ほんとに?ほんとにそうなの?私に魅力が無いとかそういうことじゃない?
だって全然、ほんとに全然反応しなかったのに。
「反応しないでおこう」と思えば出来るくらいには、私なんかじゃダメってことじゃないの?
「……っ」
「おや、まだ泣くのかい」
「だって、だって」
「本当にキミは、私のことが大好きだね」
「マーリン、も、そうだって、言ってよ……」
「キミとエッチなことをするのは好きだよ」
そう言うと、マーリンが私の身体を抱えてどさりと優しくベッドへと押し倒した。涙目のままマーリンを見上げると、優しく微笑む顔が目に入る。
「……もういいもん、全然そんな気じゃなくなった」
「えぇ、そう言わないでおくれよ。嘘だよ、本当はキミをいじりたくてたまらなかったんだ」
「ん……!」
マーリンが私の乳首を指先でつまんで引っ張り上げる。
たかだかその程度の刺激でもおなかがきゅんと疼いてしまって、悔しくて唇を噛んだ。
目の端にたまっていた涙がその拍子にぽろりと流れ落ちる。
「マーリンのばか……っ」
「うん、謝るよ。お詫びにちゃんと気持ちよくしてあげるから」
「いらない!ばかあほくずっ!!ほっといて!!」
「さっきまであんなに必死に私に構ってもらいたがってたくせに」
「暇つぶしがしたかっただけだし!」
「泣いて気を引いておきながら暇つぶしだなんて、何て悪い女なんだキミは」
「マーリンにだけは言われたくない!」
やだやだと首を振る私を意に介さず、マーリンが私の首筋に唇を落とす。軽く吸いつかれて嫌でも身体が揺れてしまう。
私がマーリンの言うような悪い女だったなら、もう少しくらい上手にマーリンを誘導できたのだろうか。
結果としてマーリンは私にこうしてくれているけど、子供の駄々に折れただけのようでちっとも納得行かなかった。
「好きなだけブログ更新してください」
「いじけないでおくれ。ね、マイロード」
「ん……っ、ふ、ぁ」
マーリンが私のおとがいに手を添えて口付ける。舌で唇を舐められて、反射的に開けた口先にその舌がぬるりと入り込み、口内を縦横無尽にはい回っていく。
「んんッ、んぐ、ぅッ」
先ほど私から仕掛けたキスと違って、マーリンの舌は的確に私の弱いところを撫でていく。
口蓋や舌先、歯列の裏側を絶妙に刺激され、鼻から息が抜け、口からは気の抜けた声が漏れる。
ふと、股にごり、と何かが押し付けられる感触があった。
驚いて身じろぐものの、マーリンは唇を離してくれない。
「ふ、っう」
確かめようと伸ばした手を取られ、握り込まれる。
身体を抱えられ、更に股間に強く硬い感触が押し付けられた。
「……っ♡」
あぁ、もう、ずるい。こんなの、ずるいよ。
「んーっ♡ ふぐっ、ぅ♡」
ぐり、と股の先にある硬く大きなそれに股間を押し付けて滑らせてみる。
くちくちと、口からだけではない音が小さく耳に届いて、きゅっと胸が掴まれるような心地がした。
唇が離される頃にはすっかり身体も心も蕩かされ、はぁはぁと肩で息をしながらマーリンをぼうっと見上げることしか出来なくなっていた。
「ご機嫌は直ったかな、お姫様」
「……ばかにしてんの?」
「まさか。まだ駄目みたいだね」
「当たり前でしょ。マーリンってホントに女の扱い下手、女心が全然わかってない」
「私にそう言うのはキミくらいだよ」
ちゅ、と頬に口付けられ、マーリンの手が身体を滑っていく。
口で反抗的な態度を取ってみたものの、抵抗する気にはなれなかった。クソ。悔しい。丸め込まれてる。
「ぁ……っ、ん」
「ん、かわいい」
「う、……ふん」
「ん~、まだご機嫌ななめなのかい?困ったなぁ」
まだ怒った素振りを見せる私に、マーリンもまた困った風を装って言った。
「許しておくれよマイロード。いつもキミに振り回されているほんの仕返しだったんだよ」
「嘘ばっかり言って、んんっ!っぁ、や、だめ、ぁ……っ」
「嘘なものか。我慢するのも大変だったんだよ」
「ん……ッ!」
マーリンの手が下腹部へと滑っていき、その指が割れ目を撫で上げる。
今まさにマーリンの手に翻弄されている私への嫌味なのか、我慢なんてしてるようには全然見えなかったのに。
「ぁ……っ、……ッ!」
「苦しそうな顔だね……」
「っぁ、……このっ、……ッ」
「うん?」
「っく、ぅ!」
「大丈夫かい、なまえ」
いきなり突起を抓まれて身体を跳ねさせた私に、マーリンが白々しく問いかける。
あぁやっぱりまだ私をからかって遊んでるな、この野郎。
「もうやだ!ばか!しね!」
「こら、なんて口を聞くんだい」
「知らないマーリンのバカ!何も気持ちよくない」
「……確かに、あまり濡れてないね」
マーリンの指先が割れ目を何度も這う。
確かにもうそこは乾いていて、マーリンの指が滑る感覚が少しむず痒く感じるだけで、いつもの焦らされるのが気持ちいいみたいな感覚は生じなかった。
「……ざまあみろ。夢魔のくせに」
「そう言われると痛いなぁ。ねぇなまえ、機嫌を直しておくれよ。本当に冗談だったんだ、ねぇほら、こんなに私はなまえの身体を気に入っているんだよ?」
「、ぅ♡」
再び股に性器を押しつけられつい甘い声を上げてしまう。
だって欲しくてたまらないのにいつもくれないんだもの、条件反射で反応してしまうのは仕方ない。
私が素直に声を上げたことに気をよくしたのか、マーリンは目尻を下げると再び手を滑らせて、私の胸を優しく揉み始めた。
揉まれただけで感じると思ったら大間違いだぞ、という気持ちを込めてマーリンをじろりと睨みあげる。
「なまえの胸は柔らかくて大きさもちょうどいいよね」
「……適当なこと言わないで」
「適当なんかじゃないさ。ほら、揉みながらこうして先端を摘まむのにちょうどいいんだよ」
「あっ……!」
「私が触ると……いや、触られるって思っただけで乳首勃っちゃうんだから可愛いよね。こうして触られるだけで声上げちゃうほど敏感なのも素晴らしい」
「っう、ふ♡」
う。声、我慢しようと思ったのに。そんなこと言われたら声上げた方が良いのかなって思っちゃう。
それでも恨みがましく睨むのをやめない私に、マーリンがふと口角を上げる。優しく包んでいた胸をむにりと掴み上げると、その先端をおもむろに口に含んだ。
「っあ、んんぅっ♡」
「ん、は……ふふ、ここ、勃起するとこんなに硬くなって……舌で転がすと、キミが鳴くのも最高なんだよ」
「ひっ、ぃ、うぅっ♡や、やぁあっ♡なん、きゅうに……っ」
「何って、キミが嘘つき呼ばわりするから本当だよって示してるんじゃないか」
言ってマーリンが再び私の乳首に吸い付いた。
ご機嫌取りの嘘に決まってる、そう言いたかったけど、私の口からはマーリンに媚びるみたいに甘ったるい声が漏れていく。
「は、ひっ♡あっあ!」
「ん……その声、好き」
「っ、ぅ、う……!いいっ、そんなの、言わなくて……」
「キミの好きなところ、聞きたくない?」
「っき、きき、た……く、…………」
聞きたいに決まってるだろこのバカ!!
ずっとずっとずっとずっと、好きって言ってほしくてたまらなくて、言ってくれないからこんなに面倒な女になってるっていうのに!!
「聞きたい?」
「っ……」
マーリンが耳元で囁く。
否定できなくて黙り込んだら、マーリンは勝手に肯定と受け取ったらしく、「まずね、」と指先をぴとりと鎖骨に押し当てて話し出した。
「ここのさ、くぼみとか。すごくエッチだよね」
「ぅ、」
「舐めたくなる」
「ひ」
「ね、ほら、こうやって」
「ぁ……ッ!」
「ん……」
鎖骨を沿うようにマーリンの舌が這わされる。
そのまま指先は胸へと下ろされ、くりくりと輪を描くようにしながら先端の方へと滑っていく。
つんと乳首をつつかれて、「ひぁっ!」と大きな声を上げてしまった私に、マーリンがふ、と小さく息を漏らした。
「ふふ、なまえはここホントに弱いね」
「う、ぅ」
「快感に弱いところも好きだよ」
「よわっ、く、なひぁッ!?」
「ここ触るとすぐ震えるのも良いよね」
マーリンの手が脇腹を滑る。くすぐったくてどうしても震えてしまう。
何がそんなに楽しいのか、マーリンはヘラヘラしながら私の胸にまた吸い付いて、脇腹を執拗にするすると撫でまわした。
「やぁあああッ♡やらってばぁ!」
「その声は好いって意味なの、ちゃんと分かってるよ」
「やっ、くすぐったいの!んんんッ♡」
「そうなのかい、ごめんね?でも私はここの触り心地も好きなんだよ」
「ひゃぁんッ♡」
ちゅ、とマーリンが脇腹を両掌で包むとお腹に口付ける。
触り心地って、肉がついてるからやわらかいってことか。これでも過酷な旅を経てだいぶ鍛えられたんだから!
お腹に吸い付くマーリンを引き剥がそうとマーリンの頭に手を置いたら、急にマーリンがわき腹を掴んでいた手を離して股の間に頭を潜り込ませた。
「ああほら、さっきまでカラカラだったのに」
「っひ!?いきなり、触っ……」
「ごめんごめん、僕、ここを触ってるときのキミは特別好きなんだ」
「ぁ……あ……ッ♡」
マーリンの指が再び割れ目に沿わされて、ゆるゆると行き来する。
「キミは、ここに触れられると中を期待してすぐびちゃびちゃにしちゃうんだよ、知ってた?」
「しら、しらないぃっ、やぁ!」
「本当に?下着の上から擦っても分かるくらいいつも濡れるくせに」
「っも、いい、もう言わないでっ、」
「嫌だよ」
「っぁ!?」
ぐっと脚を折り曲げられ、両足を割られる。
ぐいと身体を折り曲げて顔を近づけたマーリンが、意地悪く笑って言った。
「ちゃんと納得するまで教えてあげる、僕がキミのどこを好きかって」
「っも、良いって、」
「キミのココはそう言ってないよ」
「ふぐっ♡っぁ、そこ、ずるぃい……ッ♡」
「さっきまであんなに頑なだったくせに、好きなトコ言われてご機嫌さんだね、マイロード」
おどけるように言って、マーリンが私のクリトリスをつんとつついた。
当たり前に強い刺激が走って、嫌でもびくんと身体が震えてしまう。
「好き好き言われて喜んで顔を出してるよ」
「へんなこといわないで!」
「そういう口と身体がちぐはぐなとこも好きなんだけどなぁ」
「うぅう、うそつき……っ」
「だから嘘じゃないんだって」
ね、と優しく言いながら、マーリンは優しくクリトリスを抓むとほんの少しだけ力を加えた。
ビリリとした感覚が身体中を走って、子宮が熱く疼くのを感じる。
思考が散って、言いたいことも分からなくなって、悔しいという感情のままに、浮かんだのとは反対の言葉を咄嗟に私は吐き出した。
「……きらいっ……」
「僕は好き」
「ッ!」
即座に返された言葉に息が止まる。違う。そうじゃない。
どんなにどこが好きと言ったって、「なまえのことが好き」とは言わないんだって、ちゃんと分かってる。
「……ほんと、きらいっ、きら、ん!」
「……は」
「ふぐ!っぅ、は、ぁ……ッ」
不躾にマーリンが私の唇を塞いで、言葉を飲み込むみたいに舌を吸われる。
ほんの数秒で唇は離れて、至近距離にあるマーリンの顔を見上げると、ふわりと微笑まれた。
「そういう憎まれ口も可愛くて、好き」
「…………ほんと、に、マーリンなんて、……きらいだ……」
「可愛い」
「うそつき……」
「キミの価値観ではそうなるのかな。でも僕はキミの反応が好きでこうしてるんだよ」
だって楽しいだろ、いじるの。
以前に言われた台詞が脳をよぎって、マーリンにとっての「好き」が察せられて沈黙する。
マーリンの言う「可愛い」も、きっと大して変わらないんだろう。なら私がくだらない意地を張れば張るほど、マーリンが面白がるのは明白だった。
素直に快感に身を委ねる女の子と、どっちの方が好きなのか知りたい。
でも今はそんなこと尋ねる気にはなれないし、寧ろ素直な方が好きと言われれば余計に反発してしまいそうな心持ちだったから、何にも言わずに押し黙る。
マーリンがふと頭を下げて、私の股へと顔を埋めた。
「ひぅッ!?」
「ん、……っは」
「ぁ……っあ……♡」
「ふふ、やっぱりなまえはここが一番素直だね」
「う、」
口元を股に埋めたまま、マーリンがこちらを見る。
目があって、恥ずかしくなって慌てて逸らした。
べろりとマーリンが私の秘部を無遠慮に舐め上げる。
「ひゃあッ!?」
「あぁ、うん、ホント、ここ舐めるとすぐそうやって声上げちゃうの、良いよね」
「そこ、っで、ぅんッ!しゃべらな、ぁッ♡」
「愛液すごいよ……これも、ふふ、美味しくて、好き」
「へんた、へんたいぃ……ッ♡」
「わ、また出てきた。エッチだね、なまえは」
「う、ぅっ♡」
「クリ真っ赤だよ。僕に触られたいんだ、ねぇ、そうだろう?」
秘部に息がかかるほど顔を寄せ、指でクリの周りを執拗に嬲りながら、マーリンが色めいた声で囁く。
さっきは不躾に触ってきたくせに、今度は一向に核心に触れようとしない指先に、自分の中心がどんどんせき立てられて行くのが分かる。
息がかかるたびその舌を期待してクリが震える。きっとびんびんに膨らんで押しつぶしてくれと主張しているに違いない。言われなくたって分かる。それでもマーリンはわざとらしくそれを口にして、私の羞恥を更に煽った。
「ぷくぷくしててらてら光って、やらしいね……美味しそうで、たまんないなぁ……」
「ひうッ♡」
フッ、とマーリンが大きく息を吹きかけて、あぁもうやだ、そんな、そんなのじゃ、全然、いやだ、
「っ、さわ、さわっ、てぇ……♡」
「ああ、やっと素直になったね」
「おねっ、が、おねがい、マーリン……っ」
腰を突き出してマーリンの目の前でゆらゆらと振る。
はしたなくてかっこわるいって分かってるけど、我慢なんてもう出来るわけ無かった。
「良いよ、キミのお願いだもの。触ってあげる」
「ひ、ぅ、あぁああああっ♡」
周囲を撫でていた指先を、下から扱きあげるようにしてマーリンが花芯に触れる。
「ひぃうっ!つよっ、つよいぃ!も、と、ぁよあっ、く」
マーリンがぐりぐりと指先でクリトリスを押しつぶして、私の身体はばねみたいにびくびく踊る。
「もっと?良いとも、キミのお望みのままに」
「ちぁっ、あ!ひ、ぃいあああッ♡」
突然の強い刺激に驚いて、もっと弱くしてって言ってるのに、絶対分かっててマーリンはきゅうと強くクリトリスを摘まんだ。
そこから電撃みたいに刺激が脳へと走っていく。
手を離されたと思ったら、今度はマーリンの舌が突起を押しつぶしてきて、更にぬろぬろとその舌先を執拗に突起へと這わせてくる。
「あひっ、ぃ、ひぅううッ♡らめっ♡らぇ♡」
「ん」
「あ゛ッ、あ゛ーっ!!すわっ、すぁなぃでえええッ♡」
「お、イく?」
「イ゛ッ、いやっ、いぎっ、い、ぐ、ぅああああッ♡」
マーリンが唇をかぷりと割れ目にあてがいながら、ちゅうと窄めてクリトリスを吸い上げた。
じゅるじゅる愛液を舌先で舐め取りながら吸われて、クリトリスも吸い上げられて、熱くて熱くて仕方なくて、熱が飛び出すみたいにして絶頂する。
最後にべろりとマーリンが割れ目を舐め上げて、ようやく顔を離した。
「は……っ♡」
「まだ震えてるね。キミの身体も反応も、声も顔もとてもエッチで大好きだよ」
「ぁ……♡」
マーリンが私の太股に口づけながら言う。
イったばかりでそういうことされると、中がきゅんきゅん疼いてしまう。
「まだ足りない?」
「ぅ、あ♡」
はしたなく疼いてしまった私に気づいたらしいマーリンが、問いながら再び私の股に視線を落とす。
手を添えられて、愛液と唾液でべたべたになった肉ひだを指先で掻き分けるようにぬるぬると這わされたと思ったら、くぱ、と左右に開かれた。
「中はどんな感じかな」
「ひっ♡開かな、っで♡」
まじまじと中を見られて、言葉に出来ない羞恥心がせり上がってくる。
マーリンはぐにぐにと開けたり閉めたりしながら、とぼけたように言った。
「見るのは禁じてないからね、キミが嫌だと言うならやめるけど」
「……っ」
嫌、な、わけではない。でもそんなことされたら、我慢出来るか分からない。またはしたなく中に欲しいと強請っても、マーリンは許してくれるだろうか。
何も言わないでいたら、マーリンが笑いを含んだ声で楽しげに言った。
「なまえって、恥ずかしいの好きだろ」
「な、っ、……ッ!」
かっ、と顔に熱が走るのが分かる。
「恥ずかしがりながら気持ちよくなっちゃうとこも、可愛いよ」
言いながらマーリンが再び割れ目を左右に開いた。
そんなこと言われながらそんなとこ覗かれたら、本当に恥ずかしい。
「や、ぁ♡」
「ほら、またキミが気持ちよくなっちゃったしるしが漏れてきた」
「いっ、言わないで」
「どうして?僕の言葉で気持ちよくなっちゃうキミも好きなのに」
「ぅ♡」
「素直な身体で本当に弄り甲斐があるよ。ちょっと弄っただけで普段と全然違う顔になっちゃうの、たまらないなぁ」
「ぁ、ひゃッ♡」
つぷ、と指先が入口に突き立てられて、びくんと大きく身体が揺れる。
勿論マーリンはその先に指を入れるつもりなんか無いらしく、そのまま愛液をぴちゃぴちゃと跳ねさせながら上下に指先を往復させる。
「キミの身体の、どこもかしこも、全部好きだよ……。でも、この中だけは私も知らないんだよね」
「ひ、ぃ、っ……」
「いつも、私のすべてに反応して動いてるのは知ってるよ。でも実際の感触とか、どんな風に締め付けてくるのかとか……やっぱり、触ってみないと分からないよね」
「は、ッあ♡っぁ、はぁっ、はっ」
やだ、なに?何で急にそんなこと言うの?だめ、ちがう、期待しちゃだめ。
指くらいはって、そんな、ぜったい、無いのに、
「だから、なまえが自分で挿れて教えて」
「っ、え、……えっ」
「ほら」
「ふぁっ、え、あ」
絶対無い、それは分かっていたけれど、まさかそうくるとは思わなくて狼狽える私を気にすることなく、マーリンは無造作に私の手を掴むと下腹部へと導いた。
待っ、て。
い、今目の前で、中に指を挿れて、その感想を実況しろってこと?
「ほら」
「……ぁ、は、い」
「うん、いいこ」
「ぁ……♡」
マーリンの目がすぅと細まって自慰を促される。
恥ずかしくてたまらないし、流石に躊躇っていた筈なのに、マーリンの目が、声が、仕草が、私に「しろ」と訴えてくる。
ぞく、と背筋が震えて、私は素直に頷くと、指先を恐る恐る中へと差し入れた。
「は……っ」
ぐちゅ、と音を立てて指が中へと沈んでいく。
マーリンの前でこういうことをするのは初めてでは無いけど、だからって慣れたわけでは決して無い。
何回やったって恥ずかしいし、どうしていいかいつも分からない。
「どう?」
「っは、え、と」
「どんな感触なのか、教えておくれよ」
「ぁ、……そ、の」
「うん」
くにくにと中で指を蠢かせて、指に感じる感覚に集中する。
どうにも元々あんまり得意な行為では無いのに、マーリンに見られている可能性を考えると更にする機会も無くなって、おかげさまで私はとても自慰が下手だ。
……したいときは、マーリンにお願いすれば気持ちよくしてくれていたから、なおさら上達する機会は遠ざかっていた。
「ぼこってしてて、せ、せまいです……」
「ぼこってしてるって?」
「う、上のほう、ふくらんでて」
「うん」
「ちょっとだけざらざらして、あ、でも、ぬるぬるしてて……ん……」
「気持ちいい?」
「……、き、もち、いい、です」
「ふふ。嘘吐かなくていいよ、全然感じないんだろう?」
「ぅっ……」
「身体の外側はこんなに敏感なのにね」
「あッ♡」
マーリンの指がクリトリスに触れる。
びくんと中が反応して、私の指を締め付けた。
「こんなにエッチでいやらしいのに、まだ
「ぁっ、だれの、せいで、ぇっ♡」
「エッチでいやらしいのは元々の素質だと思うよ?そこが好き」
「んッ♡」
そんなこと、無い。私がこんな風になるのはマーリンの前だけ。マーリン以外に触られても、きっとこうはならない。
そう言おうとした私の言葉を、マーリンの指が奪っていく。
マーリンの言うとおり、中でどんなに指を動かしてみても大した刺激にはならない。でもマーリンから齎される刺激によって中が蠢くのを指先はちゃんと感じ取って、それが無性に私の胸を高鳴らせた。
「キミの身体はいやらしいから、きっと中もすぐ感じられるようになるよ」
「っは……♡ま、りんがさわって、くれないなら、いらない……っ」
「……そう言わないで。ね。じゃあ想像してみると良い。僕のがこの中に入っちゃったら、どうなるのか」
「っあ、あ……っ♡」
言いながらマーリンが豆を転がすようにくるくると指先で輪を描いて、そのたびに私の中がうにうにと動くのが分かった。
自分の指が締め付けられるみたいにして、マーリンのを締め付けたら、マーリンは気持ちがいいのかな。
中の気持ちよさ全然分からないけど、きっとマーリンのを挿れられたなら、絶対いっぱい気持ちがいい。
だっていつもいつも、外を嬲られるたびに、中ならもっと気持ちがいいのにって、全然知らないのにそんな風に思うから。
「ねぇ、どう?どうなると思う?」
「あっんんッ♡はっ、ぜったい、きもちぃっ♡」
「今はナカ、気持ちよくないのに?」
「マーリンに触られるとっ、んっ♡ぜんぶきもちくなるの♡」
「……そうだね、どこを触ってもキミは気持ちよさそうにするから」
「は、ぁッ♡だから、だからねっ♡マーリンならなかも、ぜったいきもちぃっ♡マーリンのがほしくって、いっぱいナカ動いてるよ♡ねっ♡マーリンもきっと、きもちぃよね♡」
「……そうだね、きっと気持ちよくて、夢中になってしまうんだろうな」
「は……ッ♡あぁああ……ッ♡らめ、なか、ほしく……なっちゃ……♡」
「自分の指を私の性器だと思って、可愛がっておくれ」
「むりらよぉ……♡」
そう言いながらも、私は必死で想像した。これがマーリンのモノだったら、絶対絶対気持ちいい。
そう思ったらちょっとだけ、何となく気持ちがよくなってきた気もして、出来るだけ指を奥に押し込みながら、指の腹で天井をすりすりと撫でてみる。
「んッ♡んんっ♡はっ♡」
「うん、上手上手。なまえは咥えるの上手いねぇ」
「あ、ぁ♡はッ……♡」
「顔が真っ赤で身体中熱くなってきたね。イきそう?」
「イっ、はっ♡イき、イきま、ひゅ♡」
「そうやって私の言葉に煽られてすぐイっちゃうところも、すっごく可愛い」
「んんんッ♡」
その言葉が最後の一押しになって、私はもう一度達した。
中がぐねぐね動いて、マーリンの代わりに挿入した指を扱き上げるようにして脈動する。
その動きが収まったのを合図に、私は自分の指を引き抜いた。
「はーッ……♡」
「イくたびにトロトロになっちゃうのもなまえの可愛いところだね」
「ふ……」
「普段からキミの、目も、顔も、髪も……全部綺麗だなって思ってるけど。蕩けた顔も……素敵だよ」
「は、ぁっ、はぁっ♡」
イったばかりで息を整えたいのに、マーリンに顔を両手で包まれ、指先で頬を撫でながらそんなことを言われて、また息が上がってしまった。
蕩けた顔、いったい、どんな顔なんだろう。自分で分かるのは、頬が熱いからきっと真っ赤なんだってことと、目が潤んで、多分ちょっと苦しそうなんだろうなってことくらい。
じっとそんな私の顔を見つめていたマーリンが、急に手を離したと思ったら、私の顔の上に跨ってきたので物凄く驚いた。
「えっ、マ、……!」
見上げたすぐ傍にいきり立ったマーリンの性器があって、嫌でも目に入ってくる。
全然まったく反応を見せなかったそれは、今では痛そうなほどビンビンにそそり立っていて、先端に透明な液がたまっているのが分かって、お腹の中がきゅうと疼いた。
「キミの実況が凄くそそったから、せめてこっちに挿れたいなって。ね、咥えるの得意だもんね」
「ぅぐ、あ゛!」
マーリンが自身の性器に手を添えて誘導しながら、私の口にそれを押し込んだ。
咄嗟に受け入れて、舌先で鈴口の我慢汁を舐め取りながら、むぐむぐと口で扱いてみせる。
「は、いいね……キミとするのは、本当……そそるよ」
「ぐぅッ!?」
「ほらもう一回自分で指入れて」
「んッ、ぐ、ぁッ」
ずず、とマーリンのモノが喉奥へと押し込まれ、苦しくて呻く私を意に介さずマーリンはそう言った。
素直にマーリンの言う通りに再び指を中に挿れる。
頭の下に枕を敷いて高くすると、マーリンが無遠慮にその頭を掴んで動き出した。
「ぐぅうッ!」
私の指の何倍も太さのある男性器が、私の口を抉っていく。
苦しい。バキバキに勃起しているせいで口蓋にぶち当たるそれが、遠慮も容赦もなく喉奥へと滑っていく。
こんなもので私の膣を抉られたら、ああ、どうなってしまうんだろう。
だって今、私の指を一本入れてみただけでもきついなって感じるのに、こんな太くて固いもの入っちゃったら、壁の肉をみちみち抉られて痛いんじゃないかなぁ。
そうして私の処女膜を破って、最奥を突かれたら、子宮、を、抉られたら、私、私は、どうなって、
「っは、いい顔、ッ」
「ふぅうッ、うぐっ、がッ、ぁ」
頭を掴んでいたマーリンの手が、下へと滑らされて今度は顔を掴まれる。
いい顔、って、今絶対、私すごく不細工な顔してるのに。
マーリンが私の上で腰を揺らす。そのたびに喉の奥を突かれて本気で苦しい。
それなのに、私の上で自分勝手に動くマーリンを思えば、子宮がズクズクと疼いて膣壁は指を締め付ける。
ああ、マーリンはどんな顔をしているのか見たい。
「んんぅううっ、うううーッ!」
「ははッ、ぁ、きもち、いいよ」
マーリンの顔が見たくて、必死に目を開けてその顔を見ようとしてみたけれど、苦しくてそんな余裕は全く無くて、
マーリンが身体を折り曲げて私に顔を近づけてくれたけど、その表情を観察することはかなわなかった。
だらりとマーリンの背中からみつあみが降ってきて、私の顔の横に落ちる。
やっぱりこの髪絶対邪魔だけど、でも絶対切ってほしくない。
「うぐっ♡ぁ、がっ、ぐ、ぅ!」
「ホント……可愛い、はは、可愛い」
「んぅううッ♡」
「イきそ……、なまえも、イって……」
「ふぁッ!い゛、ぐぁッ!あ゛!!」
「ん、そう……可愛いキミのクリトリス弄りながら、中ぎゅうって締め付けて、ね、僕のを絞り出すみたいにして、イくんだよ」
マーリンの言葉に誘導されるみたいに、指先を必死にクリトリスに這わせると、中を所在なく掻いていた指がぎゅうっと締め付けられる心地がして、あぁ、マーリンのもこんな風にして締め付けて、そしたらきっと気持ちよがってくれる。
そう思ったらたまらなくなって、ひくひく身体が震えて全身から汗が噴き出すと同時に、私の快感は弾けた。
同時に口もぐっと窄めて、マーリンの性器を締め付けると、マーリンが私の顔を掴む力が強まって、動きが早まって、口の、中、乱暴に犯されて、
「あ――ッ、い、く…………ッ!」
「ぶ、あ゛っ」
とんでもない量の精液が飛び出して、口の中を忽ち満たした。
びゅるびゅる飛び出した精液が、まだ口の奥に残った性器に阻まれて口の外へと溢れ出す。
「ぶ、ぇ、かはッ、」
「あーあ………」
「ぐ、ぅ、こんな、いっぱ、ぇッ」
「ごめん、出したの久々だから」
「う、ぅ」
口の横からどろどろと精液が流れ落ちていく。髪に絶対ついた。どうしよう、精液って洗い流すの結構大変なのに。
「キミの、この小さい口も可愛くて好きだよ」
人が呻いているにも関わらず、マーリンが満足そうに笑って呟く。
バカ言うな、なんて悪態を吐きたかったけど、咄嗟にそんな言葉出てこなくって、ただ私は注がれた精液を飲み下すと、くしゃりと顔を歪めてマーリンを睨んだ。