両思いになった。
……マジで?
と、心の中で何度も繰り返し、どうやらマジらしいと反芻しては、そんなバカなと首を振る。
好きだと告げられてからおよそ15時間、なまえは未だに現実を上手く受け入れられずにいた。
「今日は一日百面相だったね、マイロード」
当然のようにマイルームに同伴し、ベッドに腰掛けながらマーリンが言う。
自分もベッドの上に座る前に、制服を雑に脱ぎながら、なまえは誰のせいで、と内心で毒づいた。
制服をクローゼットに片し、タイツをランドリーボックスに投げ入れると、インナーだけの状態でマーリンの隣に腰掛ける。
「マーリンがまとわりついてくるから困らされた結果でしょ」
つんとそっぽを向きながら、そんなかわいげのないことを言うなまえに、マーリンは笑みはそのままに眉を下げた。
「ごめんよ、好きな子と付き合えて浮かれてしまった」
「ばっ……、あー!もう!ほんとヤだ!!解禁した途端これだもん!!好きとかどうとか安売りしないでよ、死ぬほど悩んでたのがバカみたいじゃん!」
「そんなぁ。言いたいだけ言わせておくれよ、今までたくさん我慢してたんだから」
「その無駄な我慢に私がどんだけ泣いたと思ってんの!?」
ぷりぷりと怒りながらも、なまえの頬は赤く染まっていた。マーリンからの愛情表現自体は今に始まったことではないのだが、きちんと言葉にして好きと言われるのにはまったくもって慣れてないのだから仕方がない。それというのも、マーリンがなまえからの告白をのらくらとかわしていたのが原因なわけで。
結局受け入れるんなら我慢は無駄だった、と言われたら、マーリンとしてもそこは認めざるを得ない。いやいやそうは言っても何らかの、人としての成長とか忍耐強さとか諦めない心とか身について……などと空々しいことを言えるような余裕も無かった。本当に辛かったし、時間を無駄にした気分だ。自分は何のためにあんな責め苦を……。
そんな風に考えると、ますますどんよりと胸が曇る。下げた眉を少しばかり寄せて、マーリンは口をへにょりと曲げた。
「……ごめんね。幸せにしてあげたかったのに、泣かせてばっかりで」
しょぼん、と肩を落として謝ると、なまえが押し黙る。
……無駄な我慢はひどい言いぐさだったかもしれない。
「……はぁっ。もういいよ。そ、それよりも、その、ほんとに私たち、両思いなんだね?」
「うん。なまえが好きだよ」
「だ、だから、もうちょっと手心をね……」
隙あらば愛を告げるマーリンに、なまえはすっかりたじたじだ。イヤなわけでは断じて無いが、こうも急に連発されると、自分がこだわっていた言葉の軽さに目眩がする。マーリンにしてみれば、軽い気持ちで発してるつもりは全くないのだが。
「ああもう、まぁいいや、その、じゃあ、あの……こ、恋人なんだね?私たち」
「キミが望むなら、恋人として傍にいさせておくれ」
「んんん……!」
顔を真っ赤に染め、そわそわと身体を揺らしながらそう問えば、マーリンは答えてなまえの頬に口づける。甘い言葉と口づけに、なまえの心臓は更に高鳴る。
「っ、マーリンがどうしたいのかだよ」
「それは勿論、恋人になってくれるなら大歓迎だよ」
「恋人に、なりたいの?なってもいいだけなの?どっち?」
「キスして抱き締めることが出来るなら、何でもいいよ」
なまえの頬に手を添え、とびきり甘い笑みを浮かべながらマーリンは言った。
……これである。
結局マーリンがどうなりたいのか、なまえには今一つ見えてこない。キスして抱き締めたい、と思ってくれていて、好きだと言ってくれているのだから、それはもう、両思いと言っていいはずだ。
しかし恋人になりたいのは、自分だけなのでは無いだろうか。
そんな風に思って、なまえはやっぱり不安になる。マーリンの心のありようはなまえには難しい。
「私が、他の誰かとキスしたり、……えっ、ちなこと、してても、いいの?」
そぅっとマーリンの顔を窺いながら尋ねると、マーリンはきょとんと目を瞬く。そしてう~んと眉間にしわを寄せて唸った。
「……それ、以前も聞かれた気がするけど……、正直、別にイヤではない。私にもしてくれるなら」
「…………」
「私の分があればいい。でも、キミが私を好いていることに、優越は感じているよ?」
言いながら、マーリンがなまえの頬を撫でる。くすぐったい。
愛を告げてなおこう言うからには、これはマーリンの本音だろう。恋人からの返答としては寂しい答えだが、マーリンの回答としては、とても誠実だった。
そっと、頬に添えられたマーリンの手の上に、自らも手を添える。
「マーリンの分しか、容量は無いよ」
言って、マーリンの手のひらに口づける。
そうか、と答えたマーリンの声が、少しだけ嬉しげに響いた。
「じゃあ、遠慮なくいただいてしまおうか」
「っあ……」
楽しげに言って、マーリンがなまえの腕を引く。何の抵抗もなくぱたりとマーリンの胸にもたれると、背に手を回して抱き締める。
「ふふ、やっぱりなまえの肌は触り心地がいい。……おや、そんな姿でいるから冷えてしまってるね」
「んんっ」
マーリンも抱き締め返しながら背を撫でると、なまえが身を捩る。キャミソールとショーツしかまとわず空調に肩をさらしていたのだから、冷えるのは道理だ。
これはいけないと、マーリンはごそりとベッドに敷かれた掛け布団を手に取る。そのままなまえの肩にかけてやると、なまえは恨みがましげにマーリンを睨んだ。
「……………」
「何だい、その目は」
「…………何で急に朴念仁になるの?」
「ひどいなぁ。可愛い恋人が風邪を引かないようにって気遣ってるつもりなんだけど」
言いながら、マーリンはやはりそうかと思案する。
恋人同士なら当然だし、恋人同士でなかった今までにもしてきたことだ。
ましてや両思いになったんだから、期待するのも当然だ。
「…………」
けどなぁ。……どうしよう、これ…………。
ちら、とマーリンはなまえの下腹部に視線をやる。そこには、今は目視出来ないものの、マーリン自身がかけた貞操紋が、しっかりと機能しているのがマーリンには分かった。
「……や、やっぱり、だめなの……?」
「違うんだなまえ」
へにょ、と眉を下げて涙ぐむなまえに、マーリンは慌てて言い募る。そしてもう一度下腹部へ視線を落とした。その動作をなまえは訝しんだが、瞬間貞操紋のことを思い出して「あっ」と言葉を発した。
「これ……」
「うん。……もちろんね、僕としても、キミとセックス出来るならしたいよ?」
「っ!」
「でもそのためにはコレを取らなきゃならない」
「……てことは、最後までしてもいいの!?」
「してもいいというか……」
マーリンにとって、なまえに許されているのに触らないという選択肢は無く、触れる以上は愛撫に発展してしまうし、今となってはその先を我慢出来る気がしなかった。
いや、我慢出来なくなる日が来るのが分かっていたからこそ、この紋をつけたのだが……、本当に我ながら仕事が出来すぎる。
ぺろりとなまえのキャミソールをめくり、下腹部に刻まれた見えない紋を撫でる。「んッ」と声をあげるなまえが憎らしい。
「どうしようかなぁ……」
「……これ、取りたくないの……?」
「いや、……まぁこれにはメリットもあるし、あってもいいのはそうなんだけど。……取りたくないわけじゃなくて……」
「……もしかして、取れないの?」
沈黙。
なまえは青ざめた。
「えっ、え、取れなかったら私永遠に処女だよ!?」
「いや、取れなくはない。大丈夫」
「な、なんだ」
「ただ……うぅん……困ったなぁ……ちょっと厳しめにしすぎちゃった」
「…………つまりどういうこと?」
つまり、取れなくはないが非常に取りづらくはなっている。
そう言うと、なまえは口をあんぐりと開いた。
「……あのさ、ほんとに私が他の誰かとえっちしても気にしないんだよね?」
「うん」
「じゃあ何でそんな厳しくしちゃったの!!永遠に取らないつもりだったの!?」
「まさか、ちゃんと最後には取るつもりだったよ。ただ、なんというか想定していたシチュエーションじゃないから、その~、ね?」
正攻法で解呪しようと思うと、三時間くらいかかるかも。
そう言ってへらりと笑うマーリンに、なまえは再びあんぐりと口を開いた。
「バカなの!?」
「だって簡単に解呪出来ちゃったら意味無いじゃないか」
「そうかもしれないけど!じゃあ前もって解呪の時間設けてよ!もう23時だよ!?三時間て!」
「いやぁ、だってそんな、セックスしたいから貞操紋解呪しますなんて言ったら絶対なまえはスイッチ入るだろ?むらむらしてるキミに我慢させながらひたすら解呪とか、私もイヤだもの。そんなの全力でよがらせたくなる」
「それじゃ一生解呪出来ないでしょうが!!」
「……というのは本音で、まだ疲労が残ってるのに無理をさせるわけにはいかないというのが建前だ」
「何だ……、…………いやそっちが建前なんかい!」
ふざけたマーリンの返答に律儀になまえが突っ込むと、マーリンは満足げにふにゃふにゃした笑みを浮かべた。なまえとのやり取りが楽しいらしい。
そんな、足下ではなく頭から花が咲きそうなマーリンの様子に、なまえは呆れて脱力した。
「はぁ……、……もう、分かったよ。私がまだ回復しきってないのは本当だし」
「うん、だからキミには宝具で回復してもらって」
「ん?」
「正攻法じゃない方法で我慢してもらうしか無いかなって」
「んん?」
今日は諦めよう、そう思った矢先に、マーリンが妙なことを言う。正攻法じゃない方法とは何だろう。イヤな予感がする。
そんななまえの様子に気づいていながらあえてスルーし、マーリンはいそいそとベッドの背もたれに寄りかかるようにして座り直す。そのままなまえを自身の胸板にもたれるように促すと、なまえはおそるおそるその通りにした。
「さて、申し訳ないがこのまま紋を剥がす方法を取ろうと思う」
「剥がす……?」
背後から腕を回してなまえを抱き締めながらマーリンが言う。背中のマーリンを振り返りながら首を傾げると、マーリンがすり、となまえのお腹を撫ぜた。
「呪文を解除するんじゃなくて、文字通り紋を剥がしちゃうんだ。それならそんなに時間はかからない」
「シールみたいにぺりぺり剥がすってこと?」
「そんな感じ。とはいえシールみたいに破れちゃったり剥がしきれなかったりするわけじゃないから安心して。ただ、キミには負担をかける」
「負担?んんっ」
なでなでと、紋の上をなぞるように腹を撫でられ、なまえがくすぐったさに身を捩る。撫でていた手でキャミソールの裾をつまむと、たくしあげてなまえの腹を露出させる。ぽぅ、と見えなくなっていた紋が浮かび上がった。
「この紋は……まぁ要するに、キミの子宮……もっと言えばその入り口を守る為のものだったわけだが、それだけその部分に紐付いてしまっている」
「う、うん」
「……なので、これを剥がすとなると、影響は避けられない」
「ど、どうなるの……?」
「……性器に刺激を与えるとどうなると思う?」
「え?……それは……えっ?」
「うん、結構な衝撃が
「えっ??」
言われた言葉に、まずなまえは衝撃を受けた。やっぱりこれは淫紋だったのではないかという疑惑が強まる。
勿論そんなことは無く、それは確かに貞操を守る為の紋であった。下手に焦って剥がそうとすれば、それこそとんでもない衝撃が性器を襲う。それは絶頂の快楽、などという生やさしいものではない。
あくまで慎重に剥がさねばならない。だがそうすれば、三時間とは言わずともそれなりに時間はかかるし、その間ずっとなまえの性器を刺激し続けることになる。
「とりあえず、まずは回復だ」
言うと、マーリンは自らの宝具を発動した。花の香りが充満し、なまえはにわかに暖かな熱に包まれる。芯から暖まるような、穏やかな心地がして、何だか身体が軽くなったような気がした。
「残っていた疲労は、まぁこれで何とかなるだろう」
「何か、ぽかぽかする……」
「眠そうだね。寝てもいいよ、眠れないと思うけど」
「えっ、ちょっと、待って」
マーリンの言うように、確かに穏やかな熱に癒されて、眠れそうな心地ではあったのだが、さっきからマーリンの言い分が不穏だ。
「あ、あ、あの、これは、その、する……ってこと……?」
「……したいんだろう?」
「それは、確かに、したい……けど……」
するんだろうな、いや、する!と思っていたので正直お預けはきつい。きついが、よく考えたら初めてなのに万全の状態で望めないというのも何だし……とここに来て日和るなまえだったが、渋るそぶりを見せたわりにマーリンはやる気満々なようで、なまえが答えを出すのを待つことなく、肌着をめくりなまえの腹部をさらすと一撫でし、人差し指をつ、と沈めてみせた。
「ん……っ」
それだけでぴくんとなまえの肩がはねる。戸惑いながらも、マーリンがすると言うなら断る理由はなまえには無い。マーリンと睦み合うたびに、もっと奥をと願い続けてきたことが、今日、叶うのだ。
それに――、明日以降もこうしていられるか、今日を逃せばもう二度と、抱きしめ合うことすら出来ないかもしれないのだから。
そう思って、なまえはマーリンにもたれかかり、身をゆだねる。自分に寄りかかるなまえの重みに、マーリンはこっそりと息を吐いた。この程度の感覚ですら、なまえが手の内にある証なのだと思うと、どうしようもなく気が高ぶる。
沈めた指先を紋の端にひっかけて、爪を立ててそっとかくようにして剥がし始めると、なまえがびくんと大きく震えた。
「ひっ……ぃ……っ!?」
魔術で刻まれた筈の紋が、まるでシールのように剥がした先が浮く。ほんの少し浮いただけだが、その衝撃が腹を貫通して内部に届いて、なまえは甘い喘ぎとは違う、甲高い悲鳴を短くあげた。
「まっ……、あ、まって、まって……っ」
「ごめんね、出来るだけゆっくり剥がすから、前戯だと思って耐えて?」
「やっ、むり、むり……っ!」
とびきり弱い箇所を強く刺激されたときのような、とんでもない感覚。ほんの少し剥がれただけでここまでの衝撃を受けるなんて、終わったときには自分は壊れているかもしれない。
そんな予感にぞっとして、マーリンの手をどけようと本気で引っ張るものの、びくともしない。力任せに押しのけようとするなまえの手など、まるで存在しないかのように、マーリンは先ほどと同じく指先を引っかけると、ぐいと更に奥へ進めた。
「あッ、あ゛ーーーーーッ!!!!」
バチバチと火花を上げたように錯覚するほどの快楽が、中心を走っていく。思わず仰け反って背後のマーリンを抑えつけるようにもたれかかると、マーリンは膝を立ててなまえを脚で閉じこめた。なまえも膝を立てる格好にされる。
「せっかくだから、触らないままイってみようか?」
「ひっ、いっ、イけないっ、わかんないっ、きもちくない!!」
そう言いながらも、なまえの身体は剥離の衝撃が走るたびに、絶頂にも似た反応を示していた。だがそれは、いつものような甘い痺れとも、快楽の果てに辿りつく境地とも違う。一気に押し上げられるようなそれは、気持ちよさよりも苦痛が勝る。
逃げようともがくなまえをしっかりと閉じ込めたまま、マーリンはなまえに優しく囁きかけた。
「大丈夫、ちゃんと気持ちいいと思えるようにしてあげるから」
「むりぃっ、むりっ、あぎっ、いぃいっ!!」
脚をばたつかせてシーツを引きずるなまえを押さえつけ、マーリンは容赦なく紋をめくっていく。ぺりぺりと剥がれていく紋の向こうで、なまえの腹が快楽に踊った。
「なまえ、なまえ、僕の声聞いて?」
「がっ、ぐぅっ!あっあ゛」
もたらされる苦痛と快楽に喘ぐなまえを宥めるように、マーリンが囁く。マーリンにはなまえを気持ちよくする方法がよく分かっていた。手や指を使わなくたって、マーリンが大好きななまえには、言葉だけで充分なのだ。
「ほら、もうこんなに剥がれてるよ♡これが最後まで剥がれたら……この中に……ね♡」
「ひぁああああッ♡♡」
つつつ、と中心を這うように、マーリンの指が滑る。その指に合わせて紋が少しずつ剥がれていく。その衝撃と、言われた言葉に、なまえはガクガクと腰を揺らして叫んだ。
「ぁ……ッ、はぁっ、あぁああっ……♡」
「そう……いい子だね……力抜いて、しっかり感じて?」
「うぐぅううううッ♡おっ、あ゛……ッ♡ひぎッ!!がっ……!」
苦しそうにもがきながらも、健気にマーリンの言葉を聞いて、必死に応えようとなまえは息を吐く。今までだって、マーリンのいうことを聞いてさえいれば、ちゃんと気持ちよくなれたのだから、これだってちゃんと気持ちよくなれる筈なのだ。
「よしよし……なまえはちゃんと頑張れる子だもんね?とっておきのご褒美、欲しいだろう?」
「ほぢぃっ、ごほーびッ♡あ゛ぁッ!!ぎぅッ、あ、あッ!!」
お腹を弱く掻いただけなのに、紋が剥がれていく衝撃で中心がじんじんと燃えるように熱い。ショーツの下でぴんと勃ちあがっているに違いない淫核が、触れてほしくて真っ赤に染まっているのだろう。腰が勝手に浮いてぐねぐねと動く。
だけどそこに本当に触れられたらと思うと、なまえは怖くてたまらない。きっとその衝撃は、待ち望んだ快楽とは違うものだと理解しているのに、なぜだか物欲しそうに腰が揺らぐのを止めることが出来ない。
中に触れられない寂しさには慣れたものだが、ほとんどどこにも触れられないのに快楽だけは迸ってしまう感覚というのは、まだ慣れないしあまり慣れたくはなかった。
もはやショーツは意味をなさないほど濡れそぼっているのが自分で分かる。外気に冷やされた愛液が尻まで伝って気持ち悪い。だがそんな感覚を気にしていられる余裕などなく、なまえは半ばマーリンに羽交い締めにされながらも、腰をぐいぐいと突き出して踊らせながら、悲鳴に甘い響きを交えてただ喘いだ。
早く、はやく終わってくれ。生理的に零れる涙でぐちゃぐちゃの顔を虚空に向ける。
「もう少しで半分だ。ほら、もう一息」
「ぎぃいいいいいッ!?」
くい、とマーリンの指先が臍の下へ滑る。瞬間訪れた快楽に脳を焦がしながら、まだ半分と聞いて絶望する。やっぱりもう無理だ。本番はしたいけど、こんな責め苦の後では、まともに受け入れられる筈がない。
「もっ、もう、むり」
ひっく、ひっくとしゃくりあげながら、なまえは必死で首を横に振った。マーリンが動きを止め、なまえの頭を優しく撫でる。溢れる涙を吸い取るように口づけながら、ちょっと休もうか、と穏やかに囁いた。
「いっぱい濡れちゃったね」
言いながら、マーリンがなまえのショーツを脱がせる。殆ど乾いてるところが分からないほどにぐっしょりと濡れたそれをベッド端にぽいと追いやると、なまえの両足を開かせた。外気に触れて、中心がひんやりとする感覚に、なまえの背筋が粟立つ。
「ああ、こんなになってるのに、キミはまだ処女だ」
首筋に口づけながら、マーリンが言う。ひくんとなまえの脚が震える。
「その純潔を、これから僕が奪うんだよ。どうだい、嬉しい?」
「ぅ、うれ、し……ぃ♡」
耳元で囁かれた言葉に、素直に返す。本番なんて無理だとついさっきまで思っていたのに、そう言われると途端に中を埋めてほしくて中心が疼く。
拙い自慰以外の快楽をまだ知らないこの中を、マーリンはどうやってかき回してくれるのだろうか。いつもはただの願望でしかないその想像が、もう少しで叶うのだ。
「僕も、早くキミの中で果てたいな……」
「ひ……♡」
耳元で囁いて、そのまま耳たぶに口づける。小さな喘ぎを漏らすなまえの腹をゆっくりと手のひらで撫ぜれば、甘い声を漏らしてなまえが背筋を震わせた。
「もう少しだけ、頑張れる?」
「っは、ぅ……ん」
コクリとなまえが頷くと、マーリンは「いい子」と言って頭を撫でた。再び紋の端に指をかけると、「力を抜いて」と優しく囁き、くっと指先に力を籠める。
「ゔ……ッ!!」
途端に、ビクンとなまえの肩が跳ね、歯を食いしばる。もう一度「力を抜いて」と囁き、背後からなまえの頬に口づけながら、するするとマーリンは指先を進めた。
「はぐッ!ぅ、あ゛!!!!やっ、ぁ、が、あ……ッ!!」
「がんばれ♡もう少し♡」
「ゔぅううう……ッ!!」
ちゅ、ちゅ、と耳や頬、うなじへのキスを繰り返しながら、マーリンは穏やかな声音とは裏腹に、容赦なく腹を掻く。何も挿れられてはいないのに、中を埋めるモノを求めて膣が収縮しているのが分かって、なまえは切なさのあまり腰を浮かせ、へこへことせがむように揺らした。
「交尾を媚びるメスみたいだね♡みたい、じゃなくてそのまんまかな」
「ちがっ、ぁ♡らってぇええッ♡なかっ♡ぎゅうぎゅうなってるのっ♡♡」
「そんなこと言われたら期待しちゃうなぁ……どんなふうに締め付けてくれるんだろうね……?」
「ぎぅううッ!あぁ゛ッ!!イぐっ、ぅっ、イく!!イっでるのに゛!!イっぢゃぅ!!!!」
絶頂に次ぐ絶頂の合間に、ひときわ大きな波が近づいてくる気配がする。なまえの身体からぶわりと汗が大量に吹き出して、またすぐ小さな絶頂が襲う。苦痛と恐怖におののくなまえの反応に、マーリンはなまえの状態を正しく理解して、その耳元に唇を寄せると、甘い声で囁いた。
「イっちゃえ♡僕とのセックス想像しながら、おまんこきゅうきゅう締めてイっちゃえ♡」
「あ゛ーーーーッ!!あッ!!イぐぅううううッ♡♡」
「んっ……♡」
腰を浮かせ、海老反りになりながらなまえがひときわ深く絶頂する。そんななまえの身体を支えるように強く抱きしめながら、マーリンは絶頂に合わせて更に紋の
「は……まだ何もしてないのに、キミがイくのを
「イっ、ちゃえぇ、ばかぁ……っ♡」
「イかない♡だってなまえの中に全部出すんだからね♡」
「ひぅッ!!」
ぐすぐすと泣きながら悪態をつくなまえの腹をマーリンが撫でる。既に紋が剥がれた箇所でも、その名残でじんじんとした熱が走って、なまえはまた腰を跳ねさせた。
「ゔぅうう……っもっ、やらぁ……イきだぐなぃよぉ゛……」
「よしよし……かわいそうにね……もうすぐだよ、あと本当にもう少し」
「やぁ、やぁああ……っ」
しゃくりあげながらイヤイヤと首を振るなまえに、マーリンは哀れみの眼差しを向けながら頭を撫でる。そもそもなまえがこんな状態なのは、ひとえにマーリンのせいなのだが、最早そんな恨み言に感情を割く余裕もなく、なまえは嫌がりながらも逃げようとはしない。健気にマーリンの腕を掴んで、早くこの苦しみから解放されるようにと大人しく身を委ねた。
「ん……本当にいい子だね。この後もっと気持ち良くしてあげるから……」
「ひゃ……!?あ゛ッ!!ぐ、ぅ、ううぅう!!」
紋を掻くのとは反対の手を、するりとなまえの股へ滑らせると、陰唇を囲うようにぬるぬると指を這わせる。
中心を貫く衝撃とは別に、あまりにも些細な感触が、相変わらず訪れる無味な絶頂の合間に甘く響いた。
「ぁ、あ♡やぁあああっ♡なか♡なかぁ……っ♡ぐぅッ!!あ゛!!」
「うん、もうすぐだよ。もうすぐ、キミの中を感じられる……」
「あ゛ーーーーっ♡♡」
訪れる快楽はやはり苦痛で仕方ないのに、隙間を埋めるモノを求めて膣は収縮を繰り返す。むしろこの中を埋めてもらえれば、苦痛が和らぐ気さえした。
紋の残りは本当にあと少しだ。
「はぁ……なまえ……っ、すっごく可愛い……そんなに僕とセックスがしたいんだ……?」
「あ゛ぁッ♡せっぐず、しだぃ゛っ!!まーりんとっ♡えっぢ、しだい゛よぉ゛……ッ♡」
「は……っ」
熱っぽく囁かれた言葉に、なまえもまた熱に浮かされ、息も絶え絶えになりながらも必死に返す。
そんな様子に中てられて、マーリンは息を吐くと、衝動的になまえに口づけながら、一気に紋を剥がしてみせた。
「~~~~~~~~~~~ッ!!?!?♡♡♡♡」
びくびくとなまえの身体が大きく波打つ。その身体をしっかりと押さえつけて舌を口内に差し込みながら、まるで口移しのように流れ込むなまえの感情を、舌と共に貪るようにマーリンは堪能した。