長年相棒だった全身鎧の戦士が実は甘えたがりの高身長女子だった話 作:山崎世界
朝、目が覚めた時に気づいたのは頭痛だった。
そしてのどの痛み。だるさ。何と言うことはない、どうやら風邪をひいたらしい。
「あにき、あにき……!」
別に命に関わることでもあるまいし、さっきからワレは心配し過ぎだ。ちょっと暖かくして寝てたら治るというのだ。
「全くワレちゃんが開店前の早朝から血相変えて何事かと思えば」
駆けつけたアリアは薬を煎じている。専門ではないし何なら俺の方が上手いのだがまあそうも言っていられない。
「悪かったな」
「そうじゃなくて……ああもう、風邪の時くらいしおらしくしてなさいっての」
アリアは出来上がった薬を俺の口の中に突っ込んだ。大人でも吐きそうな苦みが口いっぱいに広がる。本来は口の中で広がらないように固める工程が入るのだが横着しやがった。
「……ところで聞きたいんだが今のワレの格好にはどういう意味があるんだ?」
今のワレはピンク色のナース服である。
「まあ一応は周囲の自己治癒力が上がる効果があるのよ気休め程度だけどね」
「そうか」
「じゃあ私は帰るから。あんまりワレちゃんに心配掛けるんじゃないわよ」
「……」
そうか。まあそうだよな。コイツにも生活ってのがあるし……。
「なーに? 別にどうしてもって言うなら看病してあげてもいいけど? なんならエレーナさんでも呼んであげた方がいい?」
「アホか。とっとと帰れ」
あんまり迷惑はかけたくない。そういう気持ちも汲み取って、軽く流しているんだろう。それはまあわかるんだが……。
「……だから、あんまり不安そうな顔するな」
心配そうにこっちの顔を覗き込むワレの頭をそっと撫でてやる。
「あにき、大丈夫? お腹とか空いてない?」
「ん? あー……」
どうすっかな。ああそういえば。
「……そこの棚に桃のシロップ漬けを作っておいておいたはずだから取ってくれ」
「うん…………はい。あーん……」
「あむ」
フォークを差し出されるままに口を開けて頬張る。ああ全く俺のイメージではないというに。疲れ切っている俺の身体では抵抗できない。
「……ぁあ……」
濡れタオルで身体を拭かれたり、頭に置いた濡れ手拭いを取り換えたり、ワレに甲斐甲斐しく世話をされる。
「……あにき、エレーナさんって」
「ん? あー……」
落ち着いてベッドに横になっているところで、ワレに話しかけられる。
「あにきのお母さん、だよね」
「覚えてたか」
「うん。素敵な人、だったから……」
ワレの呪いを解くために奔走しているとき、俺の故郷の小人族の里に出向いた時期がある。まあ旅人用の宿なんてのもなかったし、俺の実家で寝泊まりしていた。
そういえば、話したことはあっただろうか。俺は小人族と人間のハーフで、母親はごくごく一般的な小人族で、親父はちょっと体格のいい人間の男だった。
ガキの頃は親父くらいにはデカくなるんだろうなと夢見ていたが結局このざまであるが。
「俺の父親は冒険者やってたらしくてな。その道中で怪我をしてたところを偶然、近くを通りかかった俺のお袋に介抱されたらしい」
ちょうどこんな感じだったんだろうか……なんて何を考えてるのか。
でもそうだよな……俺の両親も並んでみればこんな風な体格差だったりして。ああもう全く。
「……ん……」
さっさと寝ればいいのに、寝付けない。気が付くと、股間が膨らんでいた。
薬の副作用か何かか、生命の危機に際しての本能とかその辺りか。一度すっきりさせないと眠れそうにない。
「あ、あにき……」
気が付くと、ワレが胸をぼろん、と露出して、俺の顔に近づけてきた。
「むぐ」
胸を俺の顔に押し付けたまま、ワレはズボンから俺の肉棒を取り出し、擦る。
「ん、ん……あにき……今は、ゆっくり、甘えてくれていいから、ね」
気づけばそのまま力なくワレの乳首を咥えて、ワレのゆっくりとした手つきの手コキに身をゆだねていた。
「あにき、元気になーれ、元気になーれ」
頭を撫でられる。それと同時に肉棒は震えて、射精欲が高まっていく。
「ん……!」
ワレの手のひらにビュッと吐き出された精液をワレはイヤな顔をせずに拭って、ズボンをまた履かせていく。
「おやすみなさい、あにき……」
※※※
『うんうん。リンくんはいい子だね』
記憶にない、揺り篭の中の記憶。
『元気に育ってね。わたしたちの大事な子』
でも、それが誰なのかはわかる。
『だけど、きっともうわたしたちじゃない誰かと、家族になれるんだよ』
ふと解けた手。
「ぁ……」
思わず虚空に手を伸ばして。
『だから、その人に、甘えていいんだからね』
そして、誰かの手を握った。
※※※
「ぁ……」
気が付けば、汗はぐっしょりとして少し気持ち悪くけだるいが、頭痛はなくすっかりと熱は下がっているのが分かった。
辺りはもう暗い。
「くぅ……」
ふと、手の先を見ると手を握ってベッドにもたれかかっているワレの姿があった。
ずっとついていてくれた、なんて言わなくても分かる。
「……やれやれだ」
俺はワレをベッドに寝かせて、とりあえず夜食を作ることにした。