長年相棒だった全身鎧の戦士が実は甘えたがりの高身長女子だった話 作:山崎世界
目が覚めるとあにきがいなかった。ワレは、アリアさんの元に行った。
「……あにきに、ね……プロポーズ、されたの」
「ぅえ!?」
さすがのアリアさんも驚いていた。そして、ゆっくりと話を聞いてくれた。
「……そう。じゃあ、今頃、ワレちゃんのお父さんにケンカでも売ってんのね」
やっぱり、そうなんだろう。あにきが、ワレから逃げるとかそんなわけがない。そんなこと、分かってた。じゃあ、どうしてワレは駆けつけないのか。どうして、立ち向かおうとしないのか。何で、アリアさんの元に来てしまったのか。
きっと、叱ってほしかったんだ。あにきを見捨てるつもりなのかって。そうすれば、まだ戦えると思った。
「そうね。ま、いいんじゃない? 逃げたっていいのよ。アイツだって、ただ好きな女の子の前でカッコつけたいだけ」
けれど、アリアさんはただ優しかった。その優しさが辛い。結局、ワレは周りに甘えてばかりだった。
「……アリア、さんは、あにきは、お父様に勝てると思う?」
何を尋ねているのだろう。
「え? そりゃ勝つでしょ」
お父様と会ったこともないアリアさんに、そんなことわかるわけないのに。
「どっちが勝ったのかわからないくらいにボロボロになって、それでも帰ってくるのよ。きっとね」
誰よりも、わかってたんだ……。
「……ぁ……」
「その時ね。ワレちゃんは言ってあげなくちゃダメなのよ。ありがとうって。おかえりって。笑顔でね。ボロボロになってるアイツを肯定してあげなくちゃダメなの。きっとワレちゃんは幸せになれるわよ。アイツに、ずっと守られてね」
あにきにプロポーズされて、嬉しいって、そう思ってた。
でも、そうじゃなかったんだ。
あにきは、ずっと信じてくれていた。自分の相棒として、頼ってくれていた。ワレの可能性をずっと期待してくれた。
だけど、もうあにきは、ワレに期待してくれなくなった。ただ守るべき存在になった。それが、あのプロポーズの意味だったんだ。
怖い。このままでいいわけがない。
(……守りたいんだ……!)
あの人のようになりたいと願った日々が無意味になってしまう。ここで逃げたら、一生あにきみたいになれない……!
「……アリアさん……」
でも、まだ、少しだけ……お父様に立ち向かう勇気が欲しい。
「ちょっとだけ、応援、してくれませんか……」
アリアさんは、声にならない声をあげて、悶える。
「ああもう、何でアイツはこんな時にいないかなぁ!」
屈んでいるワレの頭を、アリアさんは抱きしめて、頭を撫でてくれた。
「いってらっしゃい。大丈夫よ、あなたたち二人なら、きっと乗り越えられるからさ」
「……うん……」
ワレはまだ弱くて、甘ったれてる。けど、あにきが見せてくれた背中を、ワレは追いかけたい。
「ああそうだ。そういえばあの指輪の効果って知ってる? 多分役に立つと思うから聞いておいて」