長年相棒だった全身鎧の戦士が実は甘えたがりの高身長女子だった話 作:山崎世界
さて、慕ってくれる弟分、いや妹分か……を、酒の勢いで抱き潰してしまったらしい。いやそんな甲斐性(?)が俺にあったとはむしろ驚きである。というかただでさえそれなりに冒険を共にしてきた相棒が実は女で、しかもとびきりの美女だったというだけでもそれなりに頭がいっぱいなんだが。
「あにき……?」
さりとて、その妹分がそんなトラウマになりかねんことがあっても健気に慕って後ろをついてきてくれているのだ。俺が腐っているわけにもいくまい。
ちなみに今はまたいつも通りの鎧姿である。鎧との契約……と言っていいのか交渉を済ませいつでも脱げるようにはなったが結局のところ性能はいいのでそのまま使うことにしているらしい。
というか服を持ってなかったんだよな。今まで脱げなかった鎧をまた装着しているのにはそういう事情もある。
「そういえばなんだが……鎧着てる時と声が違うよな?」
ワレの声は鎧を着ているときと着ていないときでまるで違うのである。着ているときは低い男の声だったはずだしだから俺もワレのことを昨日まで女だとは思っていなかった。それは冒険者組合ギルドの面々だって同じだろう。
「それは……」
『それはワタクシが代弁しているからですわ』
ワレが口を開こうとしたとき、割り込むように甲高い女の声が響いてきた。これは……脳内に直接?
「誰だお前」
と口に出したが大体想像はついた。
(……お前が鎧の精霊か)
『あらあらもう少し慌てふためくと思っていましたのにつまりませんわ』
精霊なんて割と高慢なもんだしな。それにしてもこういうタイプの女だとは思わなかったが。
『この子、この性格でしょう? 女だと知れれば確実に厄介ごとになるでしょうし、よからぬことを考える輩もいたでしょうから、ワタクシが代わりに応答していましたの』
(認識阻害の呪まじないの一種か……)
『まあでもあなたのような方が面倒を見てくださって随分と助かりましたわ。この子のことを見守ってくださりお礼を言います。今後とも、良き関係を築ければ幸いですわ』
しかしまあ何だろうな。呪いの装備に憑りついていたにしてはやけに物分かりが良すぎるのでちょっと困惑している。
まあ悪いようには転ばんだろう。それに、この精霊と向き合うのはワレの領分だ。俺に出来ることは少ない。
そうこうしているうちに目的地に着いた。
「ここは……?」
郊外にある見るからに怪しげな店。
「あらリンじゃない。いらっしゃい」
店に入って出迎えたのはこの店の店主である小人族の女である。青い髪をツインテールに結い、つぎはぎのカラフルな衣装を着て、その頭より大きな三角帽子を被っている。
アリア・クロスロード。不肖ながら俺の幼馴染である。
「かわいい……」
ぼそりとワレは呟いた。そうか……? と内心思ったが口には出さない。
「お似合い……」
「「それに関しては断固として異議を唱えたい」」
アリアとハモった。
別に嫌っているわけでもないがそういう仲じゃないというのが俺たちの共通認識である。
「それで今日はどうしたのよ。アンタが誰かと一緒に来るなんて初めてじゃない?」
「まあな。今日は俺じゃなく、このワレに適当に服を見繕ってやって欲しいんだ」
アリアの店は仕立て屋だ。まあとは言っても普通の店じゃない。完全にオーダーメイドで服を仕上げるプロで、俺のような小人族やあるいは巨人族などサイズに難があったり獣人族のような尻尾やら耳やらで色々気を使わなければいけない服飾を手掛けているのである。
「……んー……リンの頼みだって言うならまあ受けてもいいんだけど……」
アリアは渋い顔をしている。
この店は趣味半分でやっているらしく針子や店員を雇うことはしないし個人の範疇で請け負っている。そういう暗黙の了解を守れる範囲でしか客を取っていないのだ。
だからまあ気乗りするかしないかというのは重要なのである。むさい男の服なんて本当は作りたくはないのだ。
「まあそういうな。そういうのは中身を見てからだって遅くはないんだぜ」
「……中身ねぇ……え?」
俺はワレを説得して、とりあえず兜を脱いでもらう。
「……あ、あの……」
「やだこの子! メチャクチャかわいいじゃないの! え? おっぱいでっか、足もなっがいし……ふぉぉおおおお! 興奮してきたわ!」
鼻息荒くアリアはワレに抱き着いている。さりげなく採寸を始めているらしい。
「それじゃあ後は任す。代金はツケといてくれ」
「あら? 何か用事でもあるの?」
「……まあな。色々とあるんだ」
※※※
俺は一足先に帰っていた。郊外の森の奥に建てた一軒家。小人族の知恵で一人暮らし用の小屋を建てたはいいが、少々手狭になりつつある。何でかというとワレと住んでいるからである。
いや、うん。普通に男だと思ってたからな。じゃあ家来るか? って軽いノリで誘って今に至る。
うん……どうしよう? やっぱり今のままじゃマズいよな。近いうちに増築した方がいいよな。
「……そうだなー……飯も二人分いるよなー」
鎧の効果で魔物の生命力を吸って補うっていう必要もないし。
「アイツ何喰うかなー……とりあえず味はちょっと薄めにしとくか。久しぶりに口に入れるもんだろうしな」
無心。無心である。放っておくとうら若い娘と一つ屋根の下でぐへへな妄想に入りそうな気がする。
これがよくなかったのだろう。何かを忘れているような気がしたが大事なことにすっかり気付かな
かったのは。
「ただいま……」
そうこうしているうちにワレが帰ってきた。想像以上の大荷物を抱えた鎧姿で。そしてそのまま着替え始める。
鎧の拘束から解かれ、おっぱいがぶるんと震えた。
「あ……その、あんまり、見られると……はずかしい……」
「お、おうわるい」
インナーは着てた。いや逆にエロいんだが。とりあえず顔を背ける。やっぱり個室はあった方がいいよな。少なくとも仕切りくらいは用意した方がいいか。
「…………で、でも、あにき、がみた、いなら……」
「何か言ったか?」
「なんでも、ない」
しゅるしゅると衣擦れの音が響く。
俺は鍋を無心でかき混ぜる。たっぷりの滋味あふれる野菜のスープだ。美味いぞこれは。
「お、おまたせ、あにき……」
「……え? お、おう……」
振り返った。ワレはエプロンドレス姿だった。落ち着いた色調で頭にホワイトブリムも装着している。
ただ問題なのは肩から胸元まで露出し、さらに下着が見えそうなほどに短いスカートである。これが例えばアリアが着ているなら微笑ましいものであるがスタイル抜群のワレが着ていると爆発力がすごい。
アリアめ……何も知らないと思ってワレにこんな格好を……!
「に、似合う……?」
ワレは不安そうに佇んでいた。それを見て、俺がいつまでも動揺しているわけにもいくまい。
「……ああ。似合うぞ。自信持て」
ポンポン、と頭まで手がとど……背伸びして届かせる。
「……うん……」
ワレは嬉しそうに微笑んだ。
「……じゃあ飯にするか」
二人で囲む食事。別に大したもんでもないが、こうして一緒に食事をする人間がいると言うだけでも割と癒されるものだ。
「……おいしい」
「そうか? ならよかったよ」
内心は小躍りしそうな心地だがクールに答える。
のだが……ワレの目元から涙があふれているのを見て、さすがに面食らった。
「あーもう、やれやれしかたのないやつだな」
ついでに食べかすもぼろぼろついていたので拭ってやる。まだまだ手のかかる妹分である。
そして食事も終わり、夜も更ける。と同時に、何でこんな単純なことを忘れていたのか数刻前の俺をぶん殴ってやりたい。
ベッドがないのである。正確には、一つ分しかないのだ。
「じゃあ俺床で寝るから」
「そ、そんなのだめ……じゃあ、ワレも床で寝る!」
だよなぁこういう時にはこう答えるのは分かっているのだ。そしてこういう時には割と頑固だ。
ちなみにサイズ的に大丈夫かというと大丈夫だ……俺が小さいから。
(男と女……同じベッド……何も起きないはずがなく)
寝る前に身を清めるために水浴びをしながら考える。
昨日のことは正直覚えてないんだが……何だろう妙に情けないことを言っていたような気がするので思い出さない方がいいんだろう。
いくら水を浴びてもすっかり頭が冷めないが、意を決してベッドに。
「……くぅ……」
そこではワレが既におねんねしていた。あのエプロンドレス姿のままで普通にミニスカートから下着が見えていた。黒だった。
「……はぁ……」
その寝顔はあどけなく。身体はすさまじくエロいのだが俺の頭はすっかり保護者モードである。
(……そうだよな。俺がその気になんなきゃ間違いなんざ起こらんて)
軽く頭を撫でて、俺もそのまま眠ることにしたのだった。
※※※
「……ん、はぁ……はぁ……」
ふと深夜に目が覚めた。
「ふぅ……ふぅ……ん……あにき……」
息遣いが聞こえて、吐息がうなじにかかる。ちらり、と気づかれない程度に後ろを見ると、ワレが俺の背中に密着して、秘部を弄っていた。
「ん……ん……!」
ぐにゃり、と胸がつぶれる感触を背中に伝えられている。その中心で硬い感触を伝えているのは乳首だろう。
裸のおっぱいを押し付けられている、というのが否が応でもわかる。
「あにき、さきに、ねちゃって、ごめんなさい……」
耳に囁かれる。吐息がくすぐったくなるくらいに近い。気付かれてはいない……はず。
「ん、ふぅ……はぁ……ごめんなさい……今日、も、あにきに、気持ちよくなってほしかったのに……ワレで気持ちよくなってほしかったのに……」
謝罪の言葉に乗っているのは情欲である。
「……ん……ごめんなさい……ごめんなさい……」
さらに背中から押し付けられる感触は強まり、太ももが俺の足に絡まってくる。
「ふぁ……でも、あにきの手なら、もっと感じるのに……んん……んんー……!」
性交の快楽を教え込んだのは俺であり、ワレはそれに翻弄されているだけなのだ。
「ふぅ……ふぅ……すんすん……あにきの、においがする……こんな感じなんだ……」
ごくり、と唾を飲む音がする。
「あむ」
「ひっ!?」
首筋を舐められ、思わず小さい悲鳴を上げてしまった。
「あむ……ちゅぷ……はぁ……これ、すご……」
ワレは腰を激しく動かし、俺の足には既に愛液が塗れている。
「ん……あにき……あにき……ん、ふぅ……ふぅ……」
大きくなりそうな喘ぎ声を必死に押し殺そうとして、俺の首筋に吸い付いてくる。
「あにき……イく……イくの、ひとりで怖いよ……ついてて……あにき……っ! あにき……っ!」
ビクビク、とワレの身体が震えているのが分かった。
「……ん……ふぅ……ふぅ…………あにき……」
「……ワレ、その……」
「……くー……すー…………」
寝息が聞こえてきた。一応振り返ってみると本当に寝ていた。
よし俺も寝るか……て寝れるかァアアアア!!