長年相棒だった全身鎧の戦士が実は甘えたがりの高身長女子だった話 作:山崎世界
サンタクロースの正体はその子供の両親。それは正解でもあり不正解でもある。
両親のいない子供にサンタクロースの奇跡は訪れない、なんていうのはあまりにも滑稽が過ぎる。そんな寒空の下でこそ、救いがあったっていい。サンタクロースというのはそういう存在のはずだ。
だからそんな幻想を現実にしてやろうなんて言う大馬鹿がいるのである。
「大馬鹿とは失敬じゃのう」
小人族の村の長老テンス。いつもは大図書館に籠りきりのくせに今日はサンタ装束の赤い衣装を纏って外に出ている。
「クリスマス、か……」
思えば故郷でクリスマスを迎えるとは思わなんだ。サンタクロースというのは世界中に支部のようなものがあるらしく、この地区のサンタクロースの担当であるジジイの手伝いに朝から駆り出されているわけである。
※※※
「というわけでリンくんは今日忙しくしてると思うの。ひょっとしたら、今夜は帰ってこないかもしれないわね……どうかした? ワレちゃん」
今日はクリスマス。とびきりのごちそうを作るからと言われてワレにも手伝って欲しい、そう言われて今日はあにきのお母さんであるエレーナさんの手伝いをしていた。
「あ、いえ……その……サンタさんって、本当にいたんだって、思って……」
いつしか知っていた。
サンタさんは本当はいなくて、お父様がこっそりと枕元にプレゼントを置いていてくれたんだって。
でもそれだけじゃなかった。サンタさんにプレゼントをねだるような年頃ではないけれど。でも……赤いもこもこの衣装を着て、プレゼントを配り歩くあにきの後姿なんかを思い浮かべると、ほっこりする。きっと、サンタさんってそういう素敵な存在なんだ。
「ワレちゃんの生まれ育ったところでは一体どういう風にクリスマスを祝うの?」
エレーナさんはニコニコと聞いてくる。
「ええっと……」
困る。
あにきたち、小人族の人たちにとってはクリスマスはこんなに素敵な奇跡に溢れていて。
ワレが期待していたのは……。
「……恋人たちが……ロマンチックに過ごす夜……」
サンタさんが来るなんて、そんなことを信じている人はいなくて。
だから、白い雪景色を眺めながら恋人たちがロマンチックに過ごす口実。昔はあまりピンと来ていなかったけど、あにきと一緒にそんな夜を過ごしたい。いつしかそう思っていた。
「まあまあ、それは素敵ね」
「そうですか?」
「うん。クリスマスの祝い方なんて色々あっていいと思うの。少なくとも、わたしは素敵だと思ったわ」
「……ありがとうございます」
でも、やっぱり小人族のクリスマスの方が綺麗だと思って。だから、あにきには頑張ってほしい、ってそう思った。
それからせっかくのごちそうにもやっぱりあにきは帰ってこなくて。あにきのご両親とのパーティの後、一人寝室に。
窓の外は雪が降り注いでいて、とても綺麗な月夜だった。
「……あにきは、今も頑張っているのかな」
切ない。けど頑張ってって。精一杯の祈りを込めて。まぶたを閉じるのだった。
※※※
「あー……疲れた…………ワレのやつ寝てる、よなぁ……やっぱり」
「ん……あにき……?」
「あ、悪い。起こしたか?」
深夜。ようやく帰ってきたはいいもののワレは寝ていて。まあ仕方ないかとそのまま寝ようとしたところで起こしてしまったようだ。
「え? あの……どう、して……? サンタさんの仕事があるんじゃ……?」
「いや、プレゼント配りに行くのはあくまで長老のジジイだよ。それまでの手伝いは色々やったけどな」
まあ俺としては見物がてら配達までついていってもよかったんだがジジイに『お主には十年早いわい』などと言われて帰ってきたというわけだ。正直気を遣われたのは分かった。
「で、でも……」
「何だ? ワレは俺と一緒にクリスマスの夜を過ごしたくなかったのか。そうかそれは寂しいな」
「そ、そんなこと! ない……」
「ああ。まあそんなもんでいいんだよ」
まだまだ俺もワレも若者だしな。クリスマスに浮かれたっていいんだ。
「あにき……」
どちらからともなくキスをする。
「……ん。あにき……」
今日はまた甘えたがりのようで、俺を押し倒すようにしてぎゅうっと全身で包まれる。
「そういやプレゼントとか忘れてたな。何か用意しようと思ってたんだが」
「じゃあ……あにきのこと、サンタさんからのプレゼントだと思っていい?」
「そう来たか。まあ別にいいけどな」
「ん。あにき。あにき……」
唇だけでなくほっぺたやおでこにキスをされる。まるでそれこそプレゼントのぬいぐるみにでもなった気分だ。
「あにき……疲れてる?」
「あー確かにちょっとしんどい」
「ん。そっか。じゃあ……ワレから、する、ね。辛いなら、言って」
ワレは服を脱ぎ、俺の肉棒に跨る。月明かりに照らされたワレの身体はとても綺麗で、いやらしかった。
「ん。ん。あにき。おつかれさま。こうして、ワレと一緒に過ごす時間を作ってくれて。とっても、嬉しい」
腰を揺らし、それと同時に胸もぶるんぶるんと震える。思わず手を伸ばすと、それに応えてちょっとだけ身を屈めて手を導いてくる。
「ん。んちゅぷ。あにき……」
倒れこんでキスをしてくる。少しだけ甘い。ケーキの匂いだろうか。酒も少し飲んだか? パーティの残り香を感じる。
「ん、あにき、クリスマス、プレゼント……! 中に、いっぱい、ちょうだい……!」
射精の兆候を感じたのかワレの腰の動きが激しくなり、俺はそんなワレの尻を掴む。
「ぁ、イく、あにき、一緒に。ね。イク、イク、いくぅうう!!」
ワレの膣内に射精して、ワレは俺の胸にもたれかかって二人でしばし雪の降る空の景色を見る。
「……メリークリスマス」
軽く口づけを交わしながら、クリスマスイブの夜は更けていくのだった。