男の極悪な勃起チンポが、少女の膣から引き抜かれた。
二発分のコンドームをヒリ出すのは余りにも大きな刺激だったのか、ミキは前後不覚に陥った。
「は。えぁ♡ っぁ────♡」
チカチカ回る星、つんと突き抜けるニオイ。
性器を覆う緩い熱。
「あえ……♡ おっ、お゛…………♡♡」
「わ。
「お……♡ いく……っ♡ お゛っ…………ひっ…………ぃ……♡」
少女が乗る台の側面に、黄色い尿が伝っている。
男に告白される前、彼女は
完全に脱力した下半身はほとんど圧力を発揮できず、勢いゼロの放尿は全て性器を伝い、尻を濡らし、台の淵へと流れたのだ。
「あっ……あああっ……♡」
「あれ? なんか顔赤いね」
「と、とまらなっ……♡ はず、はずかしい、ので」
「ミキさん、セックスしたんだからこれくらい大丈夫だよ」
「いいいやいや、あの、ふつうに、ほんと………………うぅ♡ かおあつい……」
便女が持つ数少ない
彼女は性処理のために存在しているのであり、それ以外の機能は余分。すなわち
「うんうん。大丈夫だよ、奥さんがお漏らししても、自分は嫌いになったりしませんよ」
「うう……いじわる……♡ みないでほしいのに……♡」
静かな尿は、ぽっかりと開いた膣口へ染み込みながら陰唇をつたい、下へと広がっていく。
下肢へ広がる生温かさに、ついミキは顔を手で隠し、大きく身をすくませる。揺れた脚が台をの横腹を叩き、つま先からぽたぽたと尿汁が滴った。
そう大した時間もかけずに放尿は止まったが、少女の手のひらが隠しきれない耳は真っ赤になっていた。
男は恥じらい続ける少女を眺め、ほっとため息をつく。
「ミキさんはおしっこしてる姿も可愛いよ。もっと好きになっちゃった」
「ううっ♡」
言葉責めで愉しみながら、硬さを保ったままの逸物のコンドームを交換。
つるりとしたゴムの表面を少女に突きつける。男はすでに、準備万端だった。
「さあ、ミキさん。自分の奥さんとして、やることは分かるよね?」
「…………♡」
ミキが手の隙間から見下ろせば、
右足の付け根に、強い熱を感じる。
少女は尻の下に感じる水気に気を削がれつつも、腰を捻った。
「……ぅ……♡」
陰茎に向かって自らの陰部をこすりつけ、通り過ぎ、逆側の足の付け根に当てる。
「……ん……♡」
引き返し、さらにゆっくりとした動きで陰唇と陰茎を触れ合わせる。
互いの弾力でじっくりと触れ合い、窪み──まだ少し開いたままのミキの膣口に、肉竿の腹が嵌まる。
「っふ♡ んー……♡ んふ…………♡」
猛々しい膨らみに名残惜しさを感じつつ、腰を捻る。もう片方の陰唇ともしっかり押し合いを経て、ようやく陰茎は元の位置に戻った。
ぺちんと太ももを叩く陰茎。
股を開いたまま行われた、僅かな往復。
男がそっと陰茎を持ち上げると、それだけでコンドームの下にべたべたとした愛液がまぶされていた。
「さすがミキさん。ナニをするべきなのか、これ以上なく分かってるみたいだ」
「えへ♡ あなたの、奥さんですから……♡」
ミキの献身的な前戯もどきにより、男の陰茎はさらに反りを強くする。
膣壺から溢れ続ける愛液と、物欲しげにヒクつく膣口は、ミキの興奮度合いを示していた。
「結局、わたしはセックスのため、そのための女ですから……♡」
「今は、自分だけのミキさんだよ」
「分かってますとも。だから、あーなたっ♡」
語尾を上げながら猫撫で声で誘う。
大股を開いたまま、台の上で腰を僅かに曲げ、女性を上向きに。
台の上で腰をくねらせ、顔を隠していた手で薄い乳房をそっとなぞり押す。
恥じらっていた顔は、今や自信と興奮に満ちた発情期のソレ。
期待に瞳を潤わせ、なだらかな銀髪は鎖骨に重なる。輝きが美しき体の起伏を強調する。
「────遠慮なく、あいして?」
「愛してるよ……いれる、ね」
心が傷ついても、体が疲れ果てても、魂が歪んでも。
彼女はひたむきに奉仕し続ける。
その心遣いに、男は容赦なく牙を差し向ける。
ずぶりとうずまり、膣口を割り、ミキの幼壺は大人のカタチに拡がっていく。
「あっ……♡ ああっ、おっ……きぃ……♡」
「ミキさん、顔もっと見せて…………」
「は、ぁい」
二人は向かい合い、お互いのキモチイイを探り合う。
男が腰を押し進めるたびに、ミキの眉は震える。微かに開かれた唇の隙間、声にならない吐息が透けていく。
ミキが膣を締めるたび、男の喉仏が上下する。何かを噛みこらえ、溢れ、唾として飲み込んでいる。
互いの視線がギラギラと結びつく。
「おっ♡ さっきより、いいところに、あたっ……てて、ぃ♡」
「ミキさん、ミキさん、ミキさん────」
欲望は燃え上がり、男根が求めるままに少女は喰い散らかされる。
そして、ついに鬼頭の先端が膣口を────
「かひっ♡ おくっ♡ お゛っ♡」
「もう、ちょい……!」
「おお゛っ♡!? ひろが♡ おぐっ♡ のっぐぅ♡ こおおっ♡♡♡」
────通り過ぎ、カリのフチでポルチオを弾きながら。
ぽっこりと。
「はぁ、はぁ♡ おく、ふっかぁ……♡」
「ふぅ、ふぅ、全部いれたっ、はいったっ」
「でか、すぎ……♡ あなたのちんぽ、
本気を超えたフルボッキは、少女の腹肉を押し上げていた。
腹部の、子供特有のソレとも異なる局所的な膨らみ。ミキは愛おしく……不用意にそれを撫でた。
「っあ…………♡ いくっ……♡」
「う、ちょ、締めすぎって」
「これ♡ あなたのおちんぽじゃなくて♡ わたしのしきゅうっ♡」
「あ、ああ。そりゃ自分ので押し上げたんだから、上にあるのはキミのだよね……」
台の上で寝転んで、股を開いた姿勢で犯され、大人の逸物に貫かれたミキ。少女の美顔も相待って儀式に供された生贄のようだ。
彼女の姿勢では、みじろぎによって快楽から逃げることができない。
むしろ、自分を責め立てるように、積極的に
「おっ♡ て、とまりゃないっ♡ アナタとせっくすしてるのに♡ ポルチオおなにーしちゃう♡」
「お、おっ、ガキ子宮越しに柔らかい手つきが伝わる…………」
「いくっ♡ いきますっ♡ いぐっ、ひっ♡ おおお゛っ♡」
「イクたびに締め付けが……お、や、やばっ……」
「ふーっ♡ いぐ♡ おちんぽとてのひらでしきゅー挟んでいぎしぬっ♡」
さらに硬度を増した陰茎が深く子宮を持ち上げ、ミキは掌全体で押し潰すように胎を推す。
捏ね、押し、捏ねて、潰して、────絶頂。
手のひらをひとつ握るだけで容易に訪れる絶頂が、いたいけな少女に体外式ポルチオマッサージを目覚めさせる。
快楽に次ぐ快楽だったが、しかし何事もやりすぎは良くない。
「いぐ! イグイグ♡ おまんこいき、ゅう゛♡」
「いててて! ミキちゃんストップストップ!」
「イッ…………い? はーっ♡ はーっ♡……?」
「もう、締めすぎだって。ちんこ千切れるわ」
「あ……あははぁ……♡ ごめんなさい、あなた……♡」
ただでさえ男の逸物は巨大化している。深いところの膣圧は彼の許容値を超えていたようだ。
ミキは名残惜しそうに腹の膨らみに触れるのをやめ、頬に手を添えた。いわゆるぶりっこのポーズ。
「ごめんなさい、あなた……♡ ゆるして♡」
「いいよ、自分の奥さんがエッチで淫らなことほど嬉しいことはないからね」
「ふふ……っ♡ あなたも、すっごくムラムラしてる……♡ そんなカオしてる」
「うん。だから、もう我慢してあげないからね?」
「わぁい♡ 大好きよ、あなた♡」
ふたりは見つめあい、最奥でつながったまま手のひらを重ねあう。
指と指の隙間を埋め、恋人繋ぎで結びついた腕を手綱に、男は大きく腰を振り始めた。
引き抜く。少女の顎がかくんと跳ねる。
「おお゛っ……♡ ひっこ、ぬけ♡ ちんぽ……ちんぽっ」
「あははっ、ジタバタしてて、つつかれたイモムシみたいだね」
「あ゛いっ♡ いくかもっ♡ はやくっ♡ いまつついてっ♡ おまんこちゅんちゅんしてよっ♡」
物欲しげにうねる膣肌。甘噛みのような収縮が亀頭を誘うが、男はじっとミキの顔を見つめる。
イク寸前、加速していく絶頂感をただ────何もせず迎えさせる。
「いっ♡ いっちゃう♡ おちんぽ、おく♡ ちょうだいよぉ♡」
「うんうん。素直におねだりしてくれて嬉しいな」
「い♡ い、は♡ ふぎっ…………♡ ……っオ♡ いく…………っ さきっちょでイク………………♡♡」
かくかくと揺れるこうべ、ぎゅっと握りしめる両手。
先端だけを咥えた女性器がギチギチと締め付け、弾き出されそうなその穴に目掛けて、今度は無理やり男根が押し入る。
「まっ♡!? いっでる♡ いまイってます♡ あっあ♡ あなたっ」
「おっ……ナカきっつ……おおっヌメって入る入る…………」
「ぎっ! ぎひっ、イ゛っ…………。っひぁ、ぁあおお゛お゛ぉぉ……ほぉ──〜〜っ♡♡」
「奥、潰すよ」
みちみちと肉の波を掻き分け掻き分け、絶頂真っ最中に再び子宮を叩く。
ぐりと角度を変えて押し込み、まっすぐ直接子宮口を押し上げた。
「っかはっ♡ いぐ…………っ♡? う……♡ ぉ…………は…………」
「あーすごいすごい。手前から奥まで、ミキさんの形がくっきりわかるよ。気持ちいいんだね?」
「ぉ……ぉん…………♡ ぉ…………♡」
瞼の端から透明な雫を垂らし、言語なく果てるミキ。
一瞬、彼女の全力で手のひらを握り、膣、アゴ、背筋と全身の筋肉に至るまで緊張し、後はだらりと脱力。
果てた指先はかろうじて男の手に引っかかり、男の指先がそれを掴んで逃さない。
くったりとした白い肉体をぐいと引き寄せ、深すぎるオーガズムに追い討ちをかける抽挿が再開した。
「ぁ゛♡ は♡ おおっ♡ あな♡ ぁなたっ♡」
「ミキさん、かわいいよ。数の子天井ッ……」
「あ♡ いくっ♡ いかせて♡ ────コワしてっ」
ユルくなりかけた膣圧が俄かに上がっていく。ただ『あなた』と呼ぶことだけに意識を残し、便女は見知った快楽に向けて無意識を走らせる。
性欲に、任せた。
「ふーっ、ふ〜〜ーっ♡」
「あっ……。腰、揺らすの上手いね」
「んん〜〜♡ フーッ♡」
まずは疲労感を誤魔化し、腰で円を描くように悶える。
ゆったりとした腰振りとはあえて動きのリズムをずらし、彼が突くたびに迎える箇所を入れ替える。
初めては深い膣奥。左右の滑り。浅いざらりとした膣壁。向きを変えればカリと裏を刺激する肉肌のタチも変わる。
ぱちゅんぱちゅんという二人のリズムはめぐる周り、二人の快楽が同期していく。
「あーぅ……♡ あなた♡ あなたっ、しゅきっ♡」
「ん? どうしたの」
「えへへ♡ おっイクっ♡ あなた、あーなたぁ……えへへ、へぇ゛♡♡ ふひっ♡」
けらけらと壊れたように笑うミキは、機械的な愛をことほぐ。
そうしながら膣を弛ませたり引き締めたり、肉竿をもてなしていく。
腰がぶつかり合う音は止まない。
「う゛っ♡ あなた゛っ♡ ふかいの、キそう♡」
「そうなんだ」
「だっ、♡ぁ、だからっ、ねっ。ぐちゃぐちゃに、なりたいなっ♡♡」
「ああ…………ここ一番の、素敵なおねだり。可愛くてたまらないな」
「えへへ♡ ひっ♡ うっ♡ おくっ♡」
少女の──恋人の願いに応え、男は深く、執拗に膣奥を狙う。
ミキも股を開いたまま、男を──恋人を出迎える。
二人の腰が互いにぶつかり合い、衝撃は肉の中へ吸い込まれ、一瞬奥で留まってから離れる。
ばちゅんばちゅんと、規則的な打音が鳴り響く。
結ばれたままの掌が、より力強く引き寄せられる。
「ひっ♡ ひぁ♡ ぉ゛っ♡ おっ♡ おお゛♡」
「ふーっ、ふーっ、ミキさんのオホ声下半身にキく」
「お゛♡? ……ぉうぅお゛♡♡ おーぅおぉ♡♡ ぅおっオ゛♡ お゛んっ♡ お゛っ♡」
「そ、れはやり過ぎ、でも声でかい方が、しまるっ」
ぐちゅぐちゅと水音は粘り気を帯びていく。
細かな飛沫はいずれ乾いて消えていき、吐き出された叫びも消えていく。
ぶつかり合う汗も、肉体の疲労感も、膣奥目掛けて注がれていく熱もいずれは痕跡を残さなくなる。
「──
「ぉぎっ♡ イグっ♡ ふかいっ♡ いくっ、イグイグイグチンポいぐぅっ♡♡♡」
この深すぎる絶頂の傷跡は、そう簡単には消えない。
神経を通じて脳の奥深く、圧倒的な性快楽が通り過ぎ、思考を破壊しながら、全身に充満していく。
「いぐっ……♡ こわ、れちゃったぁ…………♡」
甘美。
膣から普段感じることのない『甘さ』を感じる。
二人はしばらく、奥深くで繋がったままに。
互いの熱を交換し、互いの絶頂の余韻を味わう。
そうした、予後の時を過ごした。
普段通りの性処理と何が違ったのか──そんなものは一つしかない。
陰茎の大きさ?
行為のハードさ?
時間? 量? 回数?
どれもミキの経験した最大値に遠く及ばない。
────全ては、
「ぉ……、あなたぁ……♡ やっぱり、とっても、だいすきっ♡」
「ふーっ、ふーっ。とってもいい……『プレイ』だったよ。ありがとう、ミキさん」
「わたしもとっても、とーっても気持ちよかった……♡」
お互いの満足を見つめあいながら、繋がり続けた手と手が解かれた。最後に指先同時を重ね、まるで未練がないかのようにそっけなく、離れた。
男は少女の腰骨に触れ、そっと押し出し、陰茎を引き抜く。
一、二度目と大差のない大量の精液がコンドームに包まれて現れる。
陰唇は絶頂に入ったまま痙攣し、膣口はゆっくり呼吸するように開いている。
ミキはのっそりと上背を浮かし、痺れた掌で台をついて支える。
疲労感は凄まじいが、それでも便女の意地で笑みを浮かべる。
最後の
「こんな素敵な『プレイ』を……便女のわたしなんかにしてくれて。本当にありがとうございます、
「ちょっと、待って!」
「んえ?」
最後の言葉を遮った男は、覚悟を決めたように喉を鳴らす。
動きを止めたミキの脚を掴んで揃え、そのまま屈む。
台の上で座るミキはしっかりとは見えなかったが、足元に柔らかな感触。
「……っ」
「え? あ、なんで足の指に
「ミキさん、自分は……結構、まだ本気です」
「へ、ぁ……っ」
膝立ちで、今度は太ももに。
短く空気を吸う音と共に、くすぐったさがよじのぼる。
「その、覚悟を……受け取ってください」
「はあ、はぁ」
「ちゅっ……」
少女の腹肉へ。
過激な放尿プレイによる皮膚のたるみ、刻まれた皺に対しても、優しく唇を触れさせた。
「自分は……自分はっ!」
さらに胸元、正中線上にある胸骨に唇を落とした。
ミキの乳房は慎ましく、彼が顔を寄せても頬に触れもしない。
とても性的なことなはずだが、今はそういう風に受け取れなかった。
「お、おじさんっ?」
「貴女が望んでいることなら、────こんなことだってできます」
「へ、ちょ、まっ」
肩を掴んで。
唇と唇のキス。
深く。
口の端同士がかみ合う。
かちあった歯と歯がわずかに鳴り、吐息を注ぎ合う。
「っふ……、ぅ…………」
「う……。────っぷはっ! はーっ! ど、どうだっ! じ、自分は
「…………ぅ、ふ」
唇から垂れた唾液をゴシゴシと拭い、男はスッと立ち上がると、焦るように背を向ける。
それからトイレの扉に駆け寄って、振り返ろうとし、躊躇した。
彼はドアに向かったまま息を吸い込む。
少女は、置き去りのままだった。
「だ、だからどうか……忘れないでください! これが自分の
自分が居続けては彼女が便女では居られないことを、彼は理解していた。
「それでは……さようなら、ミキさん!」
「……、…………ぇ……ぁ…………?」
「そして最高のセックスをありがとう! 貴女は────
「……………………────────────…………………………」
男は、最後まで振り返らなかった。
どこか遠くで、ドアの閉じる音がミキの耳に入ってくる。
それも空虚な信号として消えていった。
ぽつんと、役目を終えた便女が台の上でうずくまる。
「……フー……」
膝を抱え、息を吐く。呼吸だけを繰り返し、肌は乾いていく。
数分、数時間か。唐突に顔を上げた。
まったく正気とは思えない、瞳には一切光のない──がらんどうの表情。
今は、何も感じず、考えない。
少女の無意味な自己防衛である。
ふと、側にコンドームが二つ転がっていることに気づく。
一つは桃色、一つは紫、それぞれ精液で膨れた使用済みのそれらは、男が去り際に整えたのだろう。きっちりと口が結ばれていた。
「…………」
無感情にそれを摘む。
台から降りて脱ぎ捨てられた自分の
床に残された未使用のコンドームに、トレイに乗せられたアダルトグッズ……。
便女業務の終わりは自ら片付けを行う。
黙々と手を動かせば大した時間のかかる作業ではない。
「……あ」
そうして拾い集め終わった
歩き出す膝がかくんと折れ曲がり、ミキは尻から座り込む。
「ぁ〜────………………。しぬかとおもった……」
ミキは手荷物を放り、前髪をくしゃりと掴む。
「
吐露に悲観がいりまじり、記憶の奔流を止める術はない。
恍惚とした表情はしかし、瞳に宿した
思い出す。
思い出すたびに苦痛が蘇る。
しかし自分で止めることはできない。そういうものだ。
「うう、うぇっ……」
セックス。セックス。頭の先から前、後ろの穴に至るまでセックス漬け。
「ふ、ふっ、ふっ、うぐ、ひっ」
快楽。暴力。
「ふぅぅう、ううう、う────」
そして、恋人ごっこ。
「なにが、恋人だの、すきだの」
今、ミキの追想の大部分を占めているのは────最後の男のこと。
恋人プレイを要求し、ミキ自身も──洗脳状態とはいえ──ノってしまったソレ。
「結局モノ扱いしかされてない。腰振って、わたしを犯すだけ」
思い返す。結局彼は、本当に自分が好きだったのか? それとも、他の男同様に体だけが目的だったのか?
「私はこんなこと、したくなかったのに。とまってくれたっていいじゃん……!」
もちろんミキはそんなことを頼んでもいないし、当時の彼女はそのような思考をもてない。
可能性のないもしもの中でもがく。
「なに、愛してるって」
怒りの色が混じった声がトイレに響く。
今は、ここには彼女一人しか居ない。
「そんなの……そんなの! 誰だって言える!! 何にだって言える!」
それこそ、まさに、
「私はなんにも特別じゃない……なあんにも、ないんだあ……ぁ!」
平たいタイルの上、膝を抱えてうずくまる少女。
穢れと悪臭の中心で、銀髪が泣き声に合わせて震えていた。
────ミキは、洗脳されていた。
それは、人格が二つある──という意味ではない。
「ちょっとだけ、すこしだけ、期待してたのに! 嬉しかったのに!」
洗脳は、あくまで少女の常識に根差した性行為への忌避感に作用している。
つまり、ここまでの全ての行動は────
所作も。
好意も。
失望すらも。
──全てはミキ自身のものでしかない。
「うううっ……。ううう、ひぐ、うぁあああああぁぁ…………っ!」
しばらくして少女が立ち上がった。
立ち上がれるようになる程度には、時間が経っていた。
彼女は空腹そのものは感じていなかった──そもそもその機能が無いかのように。
集めた衣服の残骸を拾い直すこともなく、足の裏を擦るように進む。
もう嫌だ。
もう耐えられない。
もう…………。
「あ、う。う、う。…………」
よろよろ、よろよろと。
ミキが一歩を踏み出すたびに呻き声が漏れる。
体と心の苦痛が原因、ではない。
歩みに合わせて喉が揺れ、肺が軋んでいるだけだ。
「う。…………ぅ…………」
ドアに向かって、よろよろと。
その足取りはおぼつかなく、くたびれたツインテールの穂先がふらつく。
「う。う。ぅあ………………」
とつんとつま先がドアに触れる。
唐突に少女の喉が大きく開き、表情がくしゃりと歪んだが、それ以上は嗚咽も涙も出てこなかった。
もどかしくも悲鳴を上げることすらできない。ミキはまた表情を消した。
「ぐ」
ごつんと頭をドアにぶつける。このトイレの中にある一室は、ミキの便女仕事の始まりの場所だ。
後一歩、ドアノブを捻れば……ミキに与えられた空間、トイレの掃除用具入れに帰れる。
その一歩がたまらなく重い。
「…………ふ…………」
額をドアに擦り付け、縦棒の軌跡を書く。ずり、と視線を下げれば、思わず自嘲が漏れた。
身体中、渇いた粘液が固くこびりついている。キレイなお人形に爛れたマーキング。それは飾りとなる服を脱ぎ捨てたことで、一層寒々しく映っていた。
シワ一つない珠のようなカラダのあちこちにも赤青の内出血痕が残されている。その一つ一つがイヤな記憶をもたらしそうになり、ミキは視線を逸らす。
それから腹の弛み──ミキは、一度張り詰めた中身がなくなれば皮と肉が余るなどという人体の事情を今日知った。
ただ余分な皮が醜いな、とぼんやり思う。
ああ、それでも。
終わった。
「あ、うあ……かえ、る。かえる……」
終わったのだ。このドアノブに最後の力を振り絞れば、あの使い古した毛布が、汚れを落とすためのシャワーがある。
使うたびに支給し直される白いタオル、か細い幸せの詰まった菓子棚。
汚れた自分を直視させ、キレイになった美人な自分に見つめられる、大きな鏡。
自分自身を慰めるための空間。そこではミキは一人になることができた。
たとえ眠り、まだが覚めれば、もう一度、何度でも地獄が来ると分かっていても────。
「ただい、ま。わたしの、家……」
少女にとっての安らぎ。いつものように、そう
本当はトイレの一角にすぎなくても、その空間は少女に被せられた便女という役割を取り払ってくれる。
震える体で、ゆっくり押し開けた。
「──おかえりなさい、ミキさん」
「え…………ます、た…………、なんで」
視線の先、恐怖が湧き上がる。
それ以上に
でも目の前に立つ黒服の肩幅より視界はずっと横に広い。
「──わたしの、いえが」
「家ではなく
「あ、あ」
突起に立てかけられたブラシとモップに雑巾。そこは、かつて嫌々/喜んで着ていた衣装が掛けられていたはずだった。
何度も口をゆすいだ、あの清潔で安心感のある丸い洗面は、角張った流しに置き換わった。モップ等を洗浄するための大きなものだった。
「ど、どうして、なんで」
「これは処罰です」
「わるいこと、してないのに……わたし、わるくない。どうして」
「したのですよ、貴女が」
「どうして、どうして」
他にも、他にも。少女が最低限
不気味に広いばかりの、正真正銘掃除道具置き場。
その入り口で顔を青くした少女が膝から崩れ落ちた。
「ふむ、やはり便女としての意識が欠如しているようですね」
「どう、して、なん、で」
うわごとのように繰り返し、瞳は力を失った。
そんな力の抜けたミキの、腕をマスターが掴んだ。
「立ちなさい」
「ひっ」
骨を
細い体に十分すぎる力が加わったこと、何よりミキの幼い精神に刻まれた
男は手を離し、少女は震える膝で後ずさる。
拙いステップは意識したものではない。棒きれも傾ければ横に倒れる。それがたまたま後ずさりに見えただけだった。
勢い任せに、開けっぱなしの扉の縁に後頭部をぶつける。
「っはぁっ……! はぁっ……!?」
恐怖と緊張、困惑が息切れとなって溢れ出す。
一度立ち上がりはしたものの、少女の体はずるずると背もたれに沿って滑り落ち、今にも尻餅をつきそうになっている。
ようやく現実に追いついたミキのパニックを理解したのかしてないのか、マスターは口火を切った。
「本日の貴女は、便女不合格です。自らの
「しらないっ、わかんないっ! こないで!!」
革靴の硬い音が無機質な壁で跳ね返る。ミキは肩を大きく振るわせ、叫び散らす。
そうした彼女の拒絶を一切無視して、マスターは歩みを止めない。
「まず利用者を拒絶したこと。それ以外にも、本日は細かい所作のルール違反があり……」
「しらない、かんけい、ないっ」
現実を拒絶し首を振る。ついにミキは頭を抱えて、床に蹲った。
──靴の先端が指先に触れ、震えすら止まる怖気が少女の背筋を満たす。
「なにより。
「……そんなっ、だって……!」
ミキの頭脳に『だって』の続きが浮かび上がる。
──あの時は断るに断れなかった。
──相手はここのルールをきちんと把握していなかった。
──私はこんな場所にでこんなことをしたくない。
────だって────
二の句を継ぐために顔を上げて。
「だって?」
マスターの目が、恐ろしいほどなんの感情も宿さない視線がミキの心を貫く。
まるで、彼女のことをヒトや……モノとしてすら扱っていない。
ゴミを見る目だった。
「だっ…………はっ、あぁ……っ」
言い訳は目の前の男に通用しない。
今更、そんな事実を思い出して思考が硬直する。
「ミキさん。貴女がこれからどうなるか、理解していますか?」
「え……」
「もちろんこのままでは便女は続けられませんよね。ルールを守れないんですから」
「!」
ミキは……その言葉の真意を深く咀嚼する前に、溢れ出す喜びを抑えきれなかった。
「それって!
ミキは男の脚に縋り付く。
全裸の女が、肌を汚した姿のまま、泣き笑いを浮かべ、相手のズボンにしがみつく。
淑やかな銀髪も、蠱惑的な顔面も、むしろみじめさを強調している。
「ね?! そうですよ! わたしなんかじゃ便女できませんっ!! ここから解放してくださいっ! む、むりです、もうこれ以上は、ぜったいむり────」
「
「────────────え?」
茫然としたミキは、足蹴にされてもロクな受け身が取れなかった。
滑り込むように身を打ち据える。肩に走る鈍痛。
いつの間にか、地面の上に横たわっていた。
「ぎっ────!?」
「ミキさんを正常な便女として再運用するために、調整場に行っていただきます。これは決定事項です」
「や…………やだっ!?
ミキは痛む体を無理やり引きずり、男の足に縋り付く。
今度はしっかりと頭を下げ、手足をそろえた土下座の姿勢で懇願する。
「ちょ、調整だけは! わたし、便女やります! できますっ!!! だから調整していただく必要はないですっ!!!」
「再調整は明日からです。前回の最終調整の内容を振り返っておきなさい」
「やだっ!! むりだって!! むりっていってるでしょ!! なんでわかんないの!?」
泣き喚き、怒りを滲ませ、それでも媚びる姿勢を崩さない少女。
それでも怒りが尽きれば、押さえ込んでいた恐怖がぶり返す。
叫び続けたミキは、やがて静かに啜り泣いていた。
「うぐ……ううっ。ぇぐっ、ひぐっ。やだよぉ……やぁ…………。や、もういやなのに…………」
背筋を丸め、指先で顔を覆う。
今はもう、誰にも顧みられず、誰にも助けられない。
「ぐすっ、ぐすっ」
孤独な、弱者。
力なき少女に、マスターと呼ばれた黒服の男が。
「ミキさん」
「ぐすっ…………。…………」
しゃがんで。
耳に寄せて。
まるで、なんでも無いことのよう。
「調整内容は、
「──────ぁ」
「伝達事項は以上です。では、シャワーを浴び、食事と睡眠はしっかり済ませるように」
伝えたそれに──────
「──────アアアアアアアアアアっ!?!?!」
──ミキは絶叫する。
大きく後ろにのけぞり、髪をかきむしる。目を見開いた顔に浮かぶ感情の色はドス黒い。
「いいい、いひっ、アア、いやあああああ──────」
絶望と恐怖が拒絶と逃避の狭間へ刷り込まれ、現実の何もできない矮躯の内側で荒れ狂う。
頭を振り、倒れ込んだまま床を蹴って暴れ。
また衝動のままに立ち上がり、ふらふらとよろめく。
絶望に膝が屈し、素足を滑らせ──。
「あ──────がぎっ」
後頭部を打ち、気絶した。
ミキは眠る。
悪夢へ落ちる。
二年前へ────。
ミキが初めて受けた調整──忘れられていた、
★おまけ★
★メスガキ便女! ミキちゃんのひみつ★その2
★ミキちゃんは人間じゃない!? びっくりギミック、キスチェンジ★
機能名;「キスチェンジ」
ミキに搭載された概念干渉機能。
他者との口づけによって、ミキの人格が洗脳状態と入れ替わる。
さらに、「マスター」と呼ばれる謎の男との口づけでは、あらゆる現実・概念すら改変できる。
この機能は本来、もっと緩い条件・広範な範囲で影響を及ぼすことが可能なのだが、現在はビル内の男性の性観念を変化させる、ミキの洗脳状態を切り替えるなどの部分的な運用に限られているようだ。
■■■由来であるこの機能は、現時点でマスターが権限の過半を掌握している。
時間停止、瞬間移動、便女の膀胱拡張や排尿管理といった奇々怪々な現象様々を確認できる。
「ミキがどう扱ってもいい便女だからって、私だってキスするのはヤなんだけど。ま、やらないとヤレないってなったら、やるけどぉ……?」