あるウイルスが蔓延した世界で 作:ラー
穂乃果さんと姫乃先生と同時に性行為をして何かが変わるということはなかった。
生徒会の仕事も部活も勉学もしっかりとこなして学生生活を満喫していた。でも、一度味わってしまった快感というのは忘れることが出来ないというのは本当なんだと実感してしまった。
もちろん、僕のことではないよ?
穂乃果さんが言っていた"女の子は男以上にエッチなんだ"という言葉の意味を改めて理解したというか、なんというか。
姫乃先生はセックスをした次の日から顔を合わすと恥ずかしそうに逃げていたけど、こちらをチラチラと見る視線を隠せていなかった。
「人って振り切れるとあんなにも変わるんだなぁ」
「? 姫乃先生の事を言っているのかしら?」
「まぁ、そうですね」
「前も言ったでしょ。女の子はエッチなのよ、その快楽を与えてくれる男が居るとなれば誰だってああなるわ」
それ以来、しばらくは先生と何事もなかったんだけどある時に急に人気のない場所へと手を引かれて連れていかれたんだ。
そしたらいきなり我慢できないってキスされて片手で股間を愛撫してきた。そのままズボンを脱がされてセックスして互いに求め合ってしまった。
それからかな、先生の抑制のスイッチが壊れたと思ったのはさ。生徒と先生という禁断の関係は駄目とずっと葛藤していたらしいけど、我慢の限界が来てしまって性欲が爆発してしまったとのことだ。
それ以外、すごく積極的に僕を求めて来るようになった。
特に汗を搔いていたりすると堪らなく興奮するらしい。その話を穂乃果さんにするとうんうんと頷いて先生の意見に同意しているようだった。
「あとどれくらいかしら?」
「次の駅が学園交流会の視察予定の最寄りですね。そこからバスに乗れば、学校前まで行けるみたいです。1時間も掛からないかと」
「思ったよりもスムーズに到着できそうね」
現在、僕と穂乃果さんは学園交流会の学校の視察へと向かっている途中だ。
東京都の私立東雲学園、元々は男子校だったらしいけどこの2,3年の内に経営方針が変わって男女共学になった学校だ。
こちらが調べた感じでは男子校だった面影も少なく9割くらいが女子の進学校となっている。データで見た感じだと穂乃果さんは田舎臭い学校だとか言いそうだなぁ。
「そう言えば、この学校には姫乃先生の妹が居るとか?」
「えぇ、いるわね。ここを選んだ理由も姫乃のやつが居るからよ」
「おや、妹さんとはお知り合いでしたか」
「覚えてるか知らないけどね。あの女と私は同じ小学校だったのよ。もし、昔と性格が変わってないなら上辺だけの良い子ちゃんして他人に全然興味ないってスカした態度のはずよ。私からしたら反吐が出るわ」
これは相当嫌いなんだろうなぁ。
僕もここへ来る前に姫乃先生から妹が居るからあったらよろしくと言っていたけど、連絡を取り合ってるみたいだし僕が何かをいう事があるのかな?
それにしても上辺だけの他人に興味ないスカした態度か。実際に見たらどんな感じかわかるかな。
確か名前は姫乃朱莉だったかな?
まぁ、姫乃先生にはお世話になってるし、お姉さんにはお世話になってますとだけでも挨拶しておこう。
「どうせ、私の事も覚えてないでしょうね。小学校の時ですら挨拶を交わすくらいでまともに喋ったこともなかったしね」
「あぁ、そういう感じの時もありますよね」
そんなこんなで目的地である私立東雲学園に到着した。
見た感じは確かにうちの学院の方が建物も施設も綺麗かな。敷地は結構広いから部活動も活発に行われている感じがするな。
夏休みということもあって野球部とか陸上部、テニス部など外で行う部活動の人達が声を出してクラブ活動に励んでいる。
「ふ~ん、やっぱり田舎っぽいわね」
「誰に聞かれているか、わからないので言わない方が良いのでは?」
「誰も居ないから言ったのよ。それにアンタにしか言わないわ」
「校門前に居る人が生徒会の人でしょうか?」
バスから降りると校門前に黒髪を風に靡かせている女子生徒が一人立っていた。
一応、到着予定時刻も伝えてあるし、その時間ピッタリに到着しているので案内を務めてくれる人に間違いないと思うけど……。
「ようこそ私立東雲学園へ。初めまして、私は生徒会長の四条百花です。本日はよろしくおねがいします」
「こちらこそよろしくお願いします。私は鳳穂乃果と申します。京都伏見学院の生徒会長をやらせていただいております。お会いできて光栄ですわ」
「僕は神宮寺隆哉と申します。同じく京都伏見学院の生徒会副会長をやらせていただいてます。貴重なお時間ありがとうございます」
「(ほー、すごいイケメンだわ。芸能人でも通用するレベルね)では生徒会室の方へ案内させていただきます」
この学校の生徒会長さんだったのか、綺麗な人だけど……。
穂乃果さんも品定めしてるし、上から下までじっくりと観察してる。僕が挨拶してるときに四条さんがこちらをジッと見てるのを見てなんか睨んでたし、気づかれてなかったみたいだけど。
すれ違ったこの学校の人達に"こんにちは"と挨拶しておいた。あちらも挨拶すると返してくれたので問題ないんじゃないかな。
生徒会室に到着すると椅子に座って待っていてほしいと言われ、椅子に座ってしばし時間を過ごす。
本当ならこの時間に本の一つでも読みたいところだけど、さすがに学校の視察に来ている場ですると印象を悪くするといけないので遠慮した。
元々の開始時刻にはまだなっていないので時間には余裕がある。
「穂乃果さん、楽しみですね」
「そう? まぁ、神宮寺君と一緒に過ごせると考えたら悪くないかもしれないわね」
「誉めてます?」
「誉めてるわよ。本当ならこの待ち時間にキスの一つでもしたいくらいよ」
「駄目ですからね」
「わかってるわよ」
その時、ガラガラっと扉が開かれて四条さんと胸元の露出が大きい服を着た女性と姫乃先生に似た人、そして男子生徒が中へと入ってきた。
入って来るまでの間に扉の外で何かを話していたみたいだけど、こっちには内容までは聞こえてこなかった。
「全員揃ったようね。紹介するわ、この人達が本日のゲスト! 京都校の生徒会長さんと副会長さんよ!」
「初めまして皆さん。ご紹介に受け賜りました鳳穂乃果と申します。浅学の身ですが京都伏見学院の生徒会長をやらせていただいております」
「同じくご紹介に受け賜りました神宮寺隆哉と申します。京都伏見学院の生徒会副会長をやらせていただいております」
「(おー、綺麗な人だ。それに礼儀正しそう。こっちの男子生徒はすっげーイケメンだ)ど、どうも、園宮一樹です」
「初めまして、副会長の姫乃です。よろしくお願いします」
四条さんに紹介されたことで改めて僕と穂乃果さんはこの場に居る全員に自己紹介を行った。
園宮君、姫乃さん、そして教師の椎名先生と自己紹介を行われるが姫乃さんは穂乃果さんに対しても初めましてと言ったという事は覚えていないという事になるね。
一瞬、彼女が睨みつけるように姫乃さんを見ていたが僕が肘で軽くわき腹を突くと表情を戻して初めましてと挨拶を返していた。
でも、園宮君には見られてしまったみたいでぎょっとした顔で驚いているがすぐに分かった。
「互いの自己紹介が終わった所で始めるわよ。周知したとおり今年から学校同士の交流会が実施されるわ。互いの校風を文化を知り見分を広める! 短期間だけど交換留学する話もあるの。その下見を今回わざわざ生徒会長とさんと副会長さんが来てくれたってわけね」
「ご承諾いただき嬉しいですわ」
「ってこと二人に我が校を案内するんだけど……。実は先生方との合同会議が入っちゃって……私も朱莉も出席しないと駄目なのよ。だから――園宮君」
「えぇ、俺ですか!?」
うーん、これはスケジュールをしっかりと確保してほしいところだったけど仕方ないのか。
きっと本来なら生徒会長が直々に説明しながら案内するはずなのに、彼に案内をお願いするのか……。顔には何も聞いてませんけどと書かれているようだ。
「二人は日帰りの予定だから待たせるのも悪いし、突っ込んだ説明するわけじゃないからさ」
「いや、でも俺まだこの学校に詳しくは……わっ!」
「何迷ってんのよ。男ならバシッと案内したげなさい」
「ちょ、ちょっと椎名先生!?」
穂乃果さんと顔を見合わせると呆れた顔をしている。
私達はいったいなんの茶番を見せられているんだと言いたげだ。椎名先生が園宮君を大きな胸に引き込んで顔を埋めさせている。
嫌そうにしてもその顔は頬を赤くして恥ずかしがっているけど、四条さんをはじめとする3人は園宮君と妙に距離が近い感じがした。
耳元で何かを囁かれた園宮君が身体をピクリと一瞬だけ震わせると僅かに前屈みになっていた。その様子を見た僕はある可能性に気付く。
「随分と仲がよろしいみたいで」
「騒がしくとごめんなさいね、二人とも」
「いえ、お気になさらず。ほら行くわよ、二人とも」
椎名先生から引き剥がそうと姫乃さんが引っ張り、その光景に四条さんが謝罪するが気にしなくて大丈夫だと返事を返した。
時間がないわよーっと二人を引き攣れてこの部屋を後にしてしまい、そこされたのは僕と穂乃果さん、そして園宮君の3人だ。
「すいません、そういうわけなので今日は俺が……」
「あ~だっる」
「……え?」
「穂乃果さん、駄目ですよ。僕達は交流会の学校視察として来てるんですよ?」
園宮君だけが案内しますと言い切る前に穂乃果さんの心の声が漏れてしまった。
パイプ椅子に腰かけてスマホを弄り始めてしまう。足も組んでスカートの中の下着が見られてもお構いなしだ。先ほどまでとまったく違う態度を見せる彼女に園宮君が面食らっている。
「先に失礼を働いたのはあっちでしょ? こういう時って学校案内は会長、副会長のどちらかが担当するのが常識じゃない? そもそも合同会議って何よ? 私達が来るのがわかってるならスケジュール管理は徹底すべきでしょ」
「正論といわば、正論ですね」
「そこのアンタ、今のはオフレコで。案内もいいわ、私達をしっかりと案内したって口裏を合わせないさいよ」
「いやいや、それは駄目でしょ。確かにこっちに不手際があったのは事実かもしれませんけど――」
「あのねぇ、これはお願いじゃないの命令よ命令!」
「(さっきと全然違うぞ、この人! さっきまで猫被ってたのか!)あっ……」
立ち上がって園宮君に近づき、顔を近づけて罵倒している。
反論する彼にお願いじゃなくて命令だと言った時だった。足を滑らせてしまって、園宮君を巻き込んで倒れてしまった。
彼の胸板に穂乃果さんの大きな胸が潰れ、ちょうど彼の股間の位置に彼女のお尻がある。園宮君は軽く頭をぶつけているようだが、無事の様子。
穂乃果さんも彼のおかげでケガもないみたい。
「いてて……っ(やべっ、胸にとんでもなく柔らかい感触が! それに先輩や先生とも違った良い匂いが……お、抑えろ。相手は他校の生徒会長だぞ、それにバレたらやべぇぇ!!)」
「何私に触れてるのよ、このグズ!」
「庇ってもらったのに、そんな言い方はよくありませんよ」
穂乃果さんの手を取って立たせ、何も悪くないのに罵倒されている園宮君も起こしてパンパンと軽く誇りを手で払ってあげる。
埃の付いている下半身を払っていた時、僕の予感は当たっていた事が判明する。
先生の胸に抱きしめられたとき、そして今、穂乃果さんに乗られるような体勢になった時に彼の股間の所が膨らんでいるのが見えていた。
つまり、彼もまたこのご時世では常識とされている男性は不能という事実に反する男であることが判明する。
「あんた……まさか勃ってるの?」
「!? そ、そんなわけないじゃないですか! 倒れた時にポケットが破れてスマホがここに来ただけで」
「言い訳にしては苦しすぎないかしら? じゃあ、あんたも秘密を持ってるんだ。通りでさっきの3人とも距離が近いはずよね。だってバレるよりも少人数で独占した方が良いに決まってるもの」
「(やべぇ、バレちまった。お、俺、かなりやべぇんじゃないかこれ? でもおかしくないか? 俺が勃起できるとわかったら姫乃先輩も椎名先生も四条会長もすぐに求めてきたのに……。もしかして女が好きってことなのか?)」
んー、なんか園宮君が見当はずれな考えをしているような気がする。
まぁ、穂乃果さんの反応と普通の女の人では反応が違っているのは間違いない。なにせ、彼女は既に僕とセックスをしてしまっているから勃起できる男性器を見るのは初めてじゃないのが大きい。
「あんたが私がさっき言ったことをオフレコ、そして学校案内も無事に終わったって言ってくれるなら黙っててあげるわよ」
「交換条件ってことかよ?」
「どっちが上の立場かわかってるの? 別に私の言ったことをチクられた所でダメージは少ないけど、あんたの場合は違うわよね。それがバレたらどうなるか?」
「わ、わかった」
「それでいいのよ。それと神宮寺君は一応、施設見学をしたいって言ってたから案内してもらったら? そうすれば、一応あんたの顔も立つでしょ」
「構いませんか、園宮君」
「あぁ、その方が俺も助かる」
交換条件という名の実質的な命令で園宮君は頷かざるを得なかった。
僕も勃起できるという事実を隠し、男性器を勃起させられるのは彼だけだと思わせて交渉を優位に進めていった。彼からすれば、断ったらバラされて下手を打てば本当に研究施設などにモルモットとして連れていかれかねないから断れない。
もちろん、僕もバレたら連れていかれるかもしれない。抵抗するけど……。
そして園宮君に学校施設を案内され、共に1年生という事もあって互いに気を許して会話を交わしていた。
僕にも勃起できるという事実がバレてしまった以上、その悩みを打ち明けてくれた。バレたら終わりだという怖さと自分に集まって来る女性をどうするべきなのかと相談される。
でも、実際に彼を害する女性は居ない。
あの3人に加えて他に2名ほど、セックスした女子生徒が居るらしい。やはり勃起が出来るという事実を知った途端に迫られて行為に至ってしまったと。
「知っていると思いますが世界に女性は40億人、それも欲求不満でフラストレーションが溜まりに溜まった女性がです。今の女性なら誰しもが求める存在です」
「否定できねえ」
「僕は穂乃果さんよりも早く君が勃起できると気付いていましたよ」
「マジ?」
「えぇ、椎名先生に抱きしめられて何かを言われた時があったと思います。その時に何を想像したのか知りませんが、興奮して股間が大きくなってましたし」
「っ……そういや、神宮寺は俺が勃起すると知っても驚かないんだな。生徒会長の鳳さんもそうだったけど」
「今度、僕らの学校へ君達を招待することになると思う。その時にどうして驚かなかったのか、穂乃果さんもどうしてなのか教えてあげます」
園宮君に自身が置かれている状況を改めて説明する。
遠回しにもっと自分自身をコントロールできるようにしなければ駄目だと告げた。抱き着かれて気持ちよくなっても己を制御することが大切なのだと説明する。
そしてどうして驚かなかったという問いの答えは園宮君達が京都校へ来た時に教えるとだけ告げた。学校の施設を案内された僕は穂乃果さんの待っている部屋へと園宮君と戻っていった。