※この作品はR-18です。

おねショタアーカイブ   作:交野平六

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 今回はフウカとジュリのおねショタです。フウカやジュリはおねショタがありそうでなかったので、エッチの際に何が起きるのか想像しながら書くのは大変でした。楽しんでくださったら嬉しいです。

 pixivでも投稿しています。
《 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27347762 》


君は私たちだけのための甘味

――また残してる……。

 どれだけ給食を作っても、皆が皆、食事を食べてくれるわけではない。

 マヨネーズがついてしまったから。

 普段から食べない福神漬けが添えられたから。

 自分の思っていたよりも盛り付けが多かったから。

 苦手な脂身や野菜が混ざっているから。

 そういった理由で食べ残しと一緒に生徒たちは給食を返しにやってくる。返しにやってくる人はまだいい方だ。何なら、そのまま食器も箸も持ち帰ってしまう人、返した後でわざわざ聴こえるように大きな声で罵る人なんて1日に何回も見る。何千人もいる学園で食事を企画して、下準備を済ませ、調理して、盛り付けて……。授業の提出物なんて取り組む余裕がない。賄いの時間が少なくなった上に、例の騒動で食材の物流が麻痺してからは作れるメニューの幅も少なくなってしまった。それほど多くない予算でやり繰りしないといけないし、どうしたらいいのかしら……。

「……ぱい、先輩!起きてください。無茶、されてませんか?」

 ……あ、この声……、あ、ジュリか。

「あ、えぇ、大丈夫……、あ、今、何時だっけぇ……」

「せ、先輩!しっかりしてください!あ、こちらのお漬物を」

 口に何か当てられた。す、……酸っぱい。漬物の強めな酸味と甘さが口に広がって思わずむせてしまう。

「あ、ありがとう、ジュリ。これ、今日のとり重に使った漬物、だよね?」

「ハイ、そうです。盛り付けをしてたら中途半端に残ってしまった上に、賞味期限も迫っていたのでここでいただこうと」

「あぁ、そっか……もう、そんな時間か……」

 厨房の置時計を見る。時刻は6時14分。洗い物も終わり、来週の発注が間に合うかどうかを確認していたんだった。机の上には、カタツムリが這ったような筆跡がある出納帳。作業を進めようとしたはずが、これでは今日もまだまだ帰れそうにない。

「とりあえず、来週の発注業者の方とお話をしなくては、って、あ、失礼します」

 ジュリは電話に出た。大方、業者からの連絡、なのかしら……。

「はい、給食部の牛牧です。え、あ、赤染先生ですか!どのようなご用件で……、……よ、よろしいのですか⁈はい、……承知しました。失礼します」

 ……先生⁈あの、シャーレの赤染先生……?手元を無視して、私はジュリのいる方向へ身体を向ける。

「ジュリ、先生は何て仰ってたの?」

「じ、実はですね……、私たちのことを心配して、外部の優良企業が給食の代行をしてもらえるように取り計らってくださったんです!」

「……え?私たちはどうなるの?」

「しばらくはD.U.自治区で休息を、とのことです」

「な、なるほど……。……アイツらが襲撃して来たらどうするのよ?」

 外部の優良企業が参入してくる……。あのハルナが黙っているのだろうか?美食への執着が並々ならぬ上、私たちは何度も絡まれたことがある。

――丹念な調理は素晴らしいですね。ですが、遊び心が今一つですことよ?

 ……ドカン。

 彼女ならそういったことをしかねない。先生も万が一のことを考えているかもしれないが、どうにも気がかりだ……。

「ハルナさんのことについては、風紀委員会の皆さんが監視してくれるそうです」

「……まぁ、少しは安心ね」

 かねてから給食部の多忙さを心配した先生のご配慮。やはり先生には頭が上がらない。勉強や食材の購入、限定メニューの立案といつも助けられてばかりだ。ここは私が立ち上がらないと。

「企業の方との会議は明日からだそうです。なので、出発の支度は来週から少しずつ始めましょう、先輩」

「ええ」

 私はバッグから棒状のお菓子を取り出し、口内炎が治ったばかりの口でそれを頬張った。

 

 それからしばらくして、ハルナから大量の連絡がやってきた。まぁ、当然のことだろう。彼女は私の料理を美味しそうに食べてくれる、のであるが、これまで散々拉致されてきたことを思うとしばらくは距離を置きたくなる。チャットのみならず、ボイスメッセージまでをも残しているのは正直勘弁してほしい。

 しばらくして、企業との打ち合わせも終わった私たちは、土日をかけてD.U.自治区へ向かった。つい先月まで混乱に満ちたゲヘナ自治区と違って、シャーレのあるこの自治区は気が抜けそうな位に平和だ。子どもたちは活き活きと学校に通っているし、公園では自衛のための訓練が行われている。キヴォトスがこうして平和でいられるのも、先生のおかげなんだろうな、本人は頑なに認めないだろうけど。

「それにしても、赤染先生は調査でしばらくいらっしゃらないそうですよね?「大きなクロマグロの調査」とか仰ってた気がしますが……、クロマグロでそこまで慎重になるのでしょうか?」

 コンビニで買ったほうじ茶を飲んだジュリは呑気そうにそう言った。恐らく、いや、確実に彼女の聞き間違いだろう。ただのマグロではなく、都市伝説や掲示板でよく見る「ゲマトリア」とかいう組織と関係するのだろうか?……食事を作るだけが取り柄の私が知っても何を話しているのか全く理解できないようなことかもしれない。

「マグロ、ねぇ……。そういえば、先生の生まれた日本って国だと、細い釣り竿1本で2m近くの大きなマグロを釣り上げる漁師がいるらしいわよ。キヴォトスの外にも怪力の持ち主は何人もいるのかもしれないわね」

 以前、百鬼夜行自治区の小学生のための料理教室で講師として招待されたときにそれが紹介された本を読んだことがある。私よりも大柄な男性よりも図体の大きいマグロは写真でもその大きさが伝わってくる。ただ、そんなに大きいからといって、そのマグロ全てを用いて作られた料理が残さず食べてもらえるという保証はない。どんなに思いを込めて作った料理でも残す人は残してしまう。給食部の献立だってそうだ。お皿の上に半端に残されてしまったおかずや野菜。丼や平皿についたお米の粒。スープの中に溜まったまま手つかずの麺。……それらを捨てるときは心臓が痛みそうな気分になる。

 いや、それ以上に嫌になるのはそれに慣れてしまった自分だ。最初のときは「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」と思いながら捨てていたが、いつの間にか、何も考えずに捨てるようになってしまった。汁物は洗い場の決められたところへ流す。大皿の食べ残しはできる限り生ゴミポストに捨ててから洗い場へ。……自分たちが必死になって、思いを込めて作ったはずの料理をこうもぞんざいに扱えてしまう自分に気づいたときは、できてしまう自分が嫌になった。ハルナたちは食べることに集中しているからこそ、食事を粗末に扱う人間を憎むものの、作り手に対してある種の理想像を押し付けることもある。だからこそ、相談したくてもこの苦しみを理解してくれる人は滅多にいない。

「……先輩?何か、暗いお顔になっていましたよ。大丈夫ですか?」

「い、いや、何でもないわ。あんなに大きいマグロでも、残さず完食してくれる人はどれ程いるのかな、なんて考えてたの」

「なるほど。美食研究会の皆さんなら、きっと、カマもテールも脳天も全部召し上がるかもしれませんね、ハハハ……」

「……だといいけど」

 思い返せば、シャーレの先生には1人息子がいるらしい。できれば、偏食のない子どもであってほしいな、と少し身勝手な思いを胸に私たちはシャーレへ歩いた。

 

 シャーレで手続きを終え、私たちは先生の住まいへ向かった。到着してインターホンを押すと、静かに扉が開く。その扉の先にいた子どもを見たとき、真っ先に顔のアザに目を奪われた。ゲヘナ自治区の外では酷く目立つような角を持つ私が言えたことではないが、偏見の目を向けられてきたのだろうなと察せてしまう。それまで育ってきたところからこのキヴォトスへやってきたという噂を聞くに、余程酷いいじめなどに遭っていたのだろう……。

「あ、えと、赤染玲央、です……」

 あ、いけない。私たちも名乗らないと。

「給食部の愛清フウカです、よろしくね」

「わ、私は牛牧ジュリです、よろしくお願いしますッ」

 ジュリは家の外観に目を奪われていたこともあって少しばかり動揺していた。

 先生からは食事はもちろん、掃除や宿題のお手伝い、週に一度の集団登校及び下校の補助を頼まれている。授業の方は代替課題で済ませられるように公欠の手続きをしてくださったそうだ。先生はやはりしっかりしているなぁ。

 

 その日の夕ご飯はジャーマンポテトにした。冷蔵庫には賞味期限の近いソーセージ、冷凍庫には凍らせたジャガイモや玉ねぎがたくさん残っていたからだ。具材やレトルト食品、調味料はそこそこ残っていたので、明日と明後日は買い物に行かなくてもいいみたい。まぁ、その間はどこにお店があるのか、割引はどんな状況なのかを調べておこう。

「ジュリ、明日は月曜日だから玲央君の学校の荷物を見てあげて」

「ハイ、分かりました」

 今日は日曜日。明日から玲央君は学校があるはずだ。彼が頑張れるように、元気になれる美味しい料理を作ってあげよう。……あ、そろそろ解凍した野菜が程よく柔らかくなるころだ。

 冷凍保存された野菜は下処理がしっかりとされている。おかげで切りやすく、チーズも絡ませやすそうだ。ソーセージは中の肉が詰まっていて、刃が当たるととても硬い。まな板に当たると鈍い音がする。玉ねぎはアメ色になりかけていて、このまま食べようかと考えてしまう程だ。今、楽しく話をしているあの2人に食べさせたい。

 油をしいたフライパンにそれらを入れると、火の音や食材の香りが顔へと迫ってきた。しまった、食材に夢中で換気扇を忘れてた……。急いで換気扇をかけて、フライパンの食材を炒める。つまみ食いしたい衝動を耐えながら、塩、胡椒、ミント、チーズを混ぜていく。こうして自分のペースで料理を作るのは久しぶりな気がする。過程一つ一つを確かめながら作る料理は楽しい。

「できたわよ~」

 完成だ。溶けたチーズはジャガイモや玉ねぎ、ソーセージと絡み、美味しそうな印象を与える。見た目だけでなく、胡椒やミントの香りが蒸気と一緒に浮かんでくる様なんて、身体の力が緩みそうになる。

「わぁぁ、いい香り……」

「先輩、ありがとうございます」

「ジュリ、ありがと。ゆっくりと作れたからか、いつもよりも納得のいく出来かも」

 3人でテーブルを囲み、その場に座った。

 そして、声を合わせて言った。

「いただきます」

 左側にいる玲央君は、先にカットキャベツを頬張ってから私の作ったジャーマンポテトを食べる。綺麗な箸でつまむ。そのつままれたソーセージを口に運んで静かに、噛み締めるように咀嚼する。……不思議だ。何気ない食事のはずが、どうも目を奪われてしまう。

「どうしたの?」

「へ?あ、いや、玲央君が美味しそうに食べてくれてるなぁ、って、ハハハ……」

「夕ご飯や朝ご飯はいつも冷蔵庫の作り置きかデリバリーばっかりだったから……。フウカお姉ちゃんが作ってくれて嬉しいよ」

 耳たぶがじんわりと熱くなってきた。鼻がじーんと重くなる。

「……あ、ありがとう。私の料理を素直に褒めてくれる人が周りにいなくて、つ、つい……」

 口が開く度にジャーマンポテトの香りがする。頬はいつの間にか、涙が伝っているみたいだ。……って、私、泣いているんだ。

「ありがとうございます、玲央君。作ってないのに私も、ひ、ひぃん……」

 あ、ジュリの声がくぐもっている。普段から料理を作っても滅多に感謝されない私たちにとって、玲央君の言葉が響いたのだろうか。ハルナたちのように冗長に、誇大に、ではなく、素直に感謝してくれる玲央君がたまらなく嬉しい。

「……あ。早くしないと冷えちゃうわね。さ、た、食べましょ」

 玲央君を抱きしめたい衝動を抑えて、私たちは今日の夕ご飯を完食した。

 

 玲央君の家には客人のための部屋がある。いや、客人というよりは私たち当番の生徒が利用するための部屋、という方がより近いかな。その部屋での目覚めはすごく心地いい。ゲヘナ学園の寮は他人がいることを気にせずに好き勝手過ごす生徒が多く、静かに寝ることも叶わない。その点、この当番のお部屋はとても静かだ。内装は低反発のベッドや枕、簡素な机、書き込みのできるカレンダー、それと本の大きさに応じて改造できる本棚。内側に刺さっているピンのおかげで、工具もなしで好きな形状にできる。ここにお料理雑誌や近場のグルメの本はどれも大きいサイズだったため、この手の本棚はありがたかった。

 その本棚を整理しているときも、下の階で食器を洗っているときも、リビングのソファでだらけているときも、どうしても頭から離れなかったことがある。……あのハルナたち美食研究会のメンバー、アカリの何気ない、あの一言だ。

 

――意外かもしれませんけど、男の人のザーメンは健康状態を表すらしいですよ~~☆

 

 彼女は噂がよく立つ程、このキヴォトスでは盛んなデリヘルの太客で、そんな彼女の話でしか聞いたことがないが、お盛んな生徒たちの間ではデリヘルでの男遊びが人気だそうだ。昔からその風潮はあるらしく、近年ではストイックな食事制限や体重管理による、質の高いキャストが増えてきているとのことだ。その彼女は続けて、「私の経験上、粘っこくて色のしっかりしたのはとても健康なザーメンで、とても美味しかったですね♡」と……。って、普通は飲まないでしょ。曲がりなりにも尿を出す穴から出てくるそれを喜んで飲むなんてどうかしている……。アカリはやはり食欲も性欲も強いみたいだ。

 ともあれ、治安維持などの権限を持つ生徒たちが安らぎを求めて男の身体を貪る。背伸びしたときに読んだロマンス小説のようだが、私には縁遠い世界だろうな。毎日毎日食事を作っては食器を洗って、文句を言われて……。あれ、何であの言葉を忘れられないんだろう、あんなにも下品なのに。……もしかして私、アカリを羨ましいと思っているの?そ、そんなはずはない。あの下品な精液を飲むなんて正直狂っている。でも、経験のない私はずっとこのままでいいのかな……。あのアカリたちが夢中になる位、男の人に抱かれることは楽しいのかな……。

 そんなおぞましい思いがまさか形になるとは、このとき、思いもしなかった。

 

 玲央君と生活して一週間が経った。フリースクールでは、「同級生の玲央君と一緒にいるお姉さん」と認知されるようになった。子どもたちからは頭から生える角が珍しいのか、「握らせて!」、「硬いのか試していい?」と尋ねられてばかりだ。玲央君がやはり人気者のようだ。

 そうして過ごす内に、日曜日になった。この日は皆、予定がない。

ニュースでは「僻地で相次ぐ未確認巨大生物の出現」が度々騒がれている。テレビやスマホを開くと専門家が高度な論争をしているし、陰謀論や都市伝説と関連付けた嘘くさい「考察」がほとんどだ。きっと、先生が言っていた「大きなクロマグロの調査」はもしかしてこの巨大生物の調査……、いやいや、そうだとしたら無茶すぎる。どこまで先生は私たちのために身体を張るのやら……。

以前、お手伝いに伺ったときも仕事優先で粗食やファストフード、エナドリが目立つ食事で済ませたあの光景が頭をよぎる。仕事を通して息子を守ろうとしている気持ちはわかってはいるけれど、自分のことを大切にしないなんてもっとよくない。料理を作るだけしかできない私が言えた口ではないけれど。

 

「先輩!玲央君!今日はチーズケーキを一緒に作ってみませんか?こうして3人揃ってますし、算数や理科のお勉強になるかも、しれません、よね……」

 突然、ジュリが提案してきた。まぁ、昨日まではジュリ、玲央君、そして私の3人が揃って時間の空いている日は滅多にない。それに、私の作った料理をあんなにも美味しそうに、残さず食べてくれた玲央君にも恩返しがしたい。

「いいわよ。生クリーム、クリームチーズ、砂糖、玉子、薄力粉、レモン汁、ビスケット……、具材は揃ってるわね。タイマーもあることだし、作りましょ」

「ハイ!」

「はーい!」

 2人は声を揃えて言った。

 玲央君を見る度に、アカリのあの言葉が頭をよぎってしまう。確か、玲央君はこの前11歳になったそうだ。11歳となると、もう……、いや、やめよう。何てみっともないことを考えるんだ、私。相手は恩のある先生の息子さん、それも私の料理を喜んでくれた子どもだ。彼にこんな気持ちを抱くなんて最低だ。抑えよう、抑えよう。アカリたちが利用しているデリヘルを、私も利用すればいいだけだ。それなりにお金を払うことになるかもしれないが、あの言葉の呪いをどうにかできると思えば十分すぎるだろうな。

 そうして本心を押し殺して、私は2人に指示を出そうとしたそのとき。

 音がした。

 その方向へ首を向けると、何かに戸惑う2人がいた。様子がおかしい。

「大丈夫⁈ケガしてない⁈」

 私は立ち止まる2人に割り込もうとすると、よく嗅ぐ匂いに気づいた。

――どうやらとき玉子全部を派手に床にこぼしてしまったみたいだ。

「ひぃん。せ、先輩、申し訳ございません……」

「わ、わぁ……、ごめんなさい……」

 2人の服はこぼれた玉子でぐっしょりと濡れていた。2人にケガはなかったことは幸いだが、すぐに洗濯する必要がある。

「とりあえず、今着てる服を洗うわ。私はここの掃除をするから、2人は身体を洗いなさい」

 2人は暗い声で返事をした。

 カーペットやクロスがなくてよかった。もしそうだったら洗濯がさらに多くなり、料理どころの話ではなくなってしまう。ここは代替案の1つや2つを探さないと……。

 キッチンペーパーは枚数が少ないので予備のトイレットペーパーを使って、戸棚、取っ手、ボウルについてしまった玉子を拭き取った。この手の汚れは放っておくと中々落ちにくくなってしまう。すぐに拭かないと先生にも失礼になる。それに、この数か月間、キヴォトスでは玉子の値段が高めだ。またお金が飛んでしまうなぁ、って、美味しい食材のためには妥協なんてしてられない!ここの掃除を最優先でやらないと……。

「玲央くーん。これからチーズケーキのだいた、って、アレ?」

 玲央君を呼んでも返事が返ってこない。

 周りを見渡す。

 この場所にいるのは私だけだった。

 何かの幻魔術で消えた?いやいや、ジュリができるのはパンちゃんを生み出す位だ。じゃあ、一緒に洗濯物を洗って、いる?いやいや、洗うも何も、それは2人一緒でなくてもできるはずだ。……まさか。

 私は洗濯機のある場所へと向かった。

 着いた。

 足元には乱雑に脱ぎ捨てられた衣服があった。

 しかも、一番上には上下の下着。

 奥の部屋では2人の声が聴こえてくる。

 

「ど、どうして……?こういうのって、その、大っぴらにやってはいけないんじゃ、ないの?」

「ご、ごめんなさい、玲央君。私も、……私だってエッチがしたいんです。確かに、エッチは大切な人とするべきって玲央君の気持ちも分かります。でも、それを分かってても、辛いときや苦しいときはどうしてもシたくなってしまうんです。お願いです。……私のことを、いっぱい、いっぱい、……愛してくれますか」

「……分かったよ、ジュリお姉ちゃん」

 私の目の前にある浴室には2人の人影がある。大きい方は頭に角があり、小さい方は腰と思われる辺りに小さいながらもそそり立つ肉棒が見える。信じたくなかった。親しい家族が目の前でエッチするという悪趣味な行為を陰から見ているような気分に襲われる。

 2つの人影が、互いの頭を合わせた。よく見ると、顔の下の方が深く合体しているように見える。普通のキスにしては時間の長かったそれは、分かれた後に激しい息遣いを伴っていた。

「嫌、でしたか?こんなことに付き合わせてしまうなんて、最低、ですよね……。君の初めてをこんな形で奪ってしまう私は、酷い子ですよね……」

「……酷いかは分からないけど、お姉ちゃんのすることは悪いことじゃない、気がする」

「……え?」

「お父さんがお姉ちゃんたちを支えてるように、僕もできることでお姉ちゃんたちを支えたいんだ。だから、悪いことだとしても、その……、その辛さも苦しさも僕が一緒に背負ってあげる」

「……ありがとう、ございます。じゃあ、手を、出してくれますか?」

「うん、って、わ、わぁ!や、柔らかい……。お姉ちゃんのおっぱい、柔らかい……」

「う、嬉しいです……。こんなおっぱいを褒めてくれたのは玲央君が初めて、ですッ。もっと、触ってみますか?あ、顔も埋めてみます?」

「いいの?」

「えぇ」

 ……2人は私のことそっちのけでエッチに夢中だ。浴室のガラス越しに目立つジュリのおっぱいを、玲央君が手を伸ばして触っては頭を近づけて埋めている、みたい。ジュリの喘ぐ声、玲央君の小さいながらも激しい息遣い……。

 羨ましい、不覚にもそう思った。

 突然、身体がかっかかっかと熱くなった。

 自分の身体を触りたくなった。

 私はその場にある、玲央君の玉子で濡れたパンツを手に取り、それを鼻に押し当てた。今は玉子の臭いで汚れてしまったが、きっと、男の子のザーメンはこんな風に生臭いのかもしれない。そう思うと身体の熱さが止まらなくなる。あんなに料理を美味しく食べて、たくさん運動をして、夜はしっかり眠っている玲央君から生まれるザーメンは強烈な味がするに違いない。鼻息も気づくと荒くなった。

 熱い、熱い、とにかく、この熱さをどうにかしないといけない。迷うことなく、私はパンツの中のザクロに指を突っ込んだ。熱さと興奮のあまり、ザクロの入口も中も狭くなっていて、指を入れるだけでヒリヒリ気持ちよくなる。

 あの2人の輪に入りたい。でも、入ってしまったら玲央君を苦しめてしまうことになる。玲央君は「エッチなことは大切な人とするべき」と言っていた。その「大切な人」を都合のいいように解釈したくなかったが、目の前の2人を見てしまうと、そんな理性も消え去ってしまう。

 玲央君のザーメンの味が知りたい……。

 そう、何度も頭の中で願った。

 次の瞬間、それは思いもよらない形で願ってしまった。

 目の前の扉が、ガラガラと音を立てて開かれた。

 マズい、ジュリに見られた。

 

 ジュリは予想に反して、落ち着いていた。

「……先輩も、そうだったんですね。誰かに抱かれたかったんですよね?」

「嘘といえば間違いだけれど、ね。まぁ、あんなにもアカリたちが大っぴらに話してるのを聴いてしまったら、ね……」

 彼女は風呂上がりということもあって、肌には水滴がアクセサリーのようについている。そんな姿で裸の玲央君を抱きしめていると、まるで美術の教科書で見た聖母のように見える。いや、体験を済ませてしまっているかもしれないと思えば、水商売の女の方が近いか。

「フウカお姉ちゃん?大丈夫?」

「そ、その……、私もジュリ、あ、いや、ジュリお姉ちゃんとさっきまでしていたコトに加わっても、いいかな?」

 邪な欲に、私は今、支配されているんだ……。何気ない、あの言葉がさっきよりも頭の中を満たしていく。もう、玲央君のことを「先生の息子」ではなく、「好奇心と欲望の対象」としか見られない。いけない、それはいけないことだと分かっている。

 でも、私はその場を立ち上がった。そして、玲央君の手を取ってリビングへと歩いた。

 皮肉にも、私の陰部は歩くだけで分かる位には濡れていた。

 

「全く、私のことも忘れないでください、先輩。玲央君のお口と肩は私が貰いますから、先輩は、玲央君の、こ、こ、堪能してください♡」

 今、玲央君はジュリの膝の上に座っている。ジュリの大きな大きなおっぱいが肩甲骨のあると思われる場所に当たり、両腕はお腹をしっかりと抱きしめている。11歳になったばかりにしてはとても小柄な玲央君ではとても逃げられそうにない、と一目でわかる。中世ヨーロッパの拷問も、こうして相手を捕らえていたのかなぁ、って、何を考えているんだろう、私。

 そうして自由の利かない玲央君の身体で唯一、自由が許されている場所がある。……アカリが絶賛していた、男の精液が生み出される秘部、肉棒だ。彼の肉棒はせめてもの自由を求めるように虚空に向かってそそり立っている。私たち女には、こうもそそり立つ器官は存在しない。目の前にその実物がある。堪能したい……。

「こ、こうすれば、フウカお姉ちゃんも喜んでくれる、よね?」

「えぇ、そうですよ。お口の寂しさは私が何とかしますから、玲央君はなすがままにしてればいいんです」

 気づいたときには、私は玲央君の股に飛びついていた。近くでおちんちんを見ると、その大きさや硬さが目立つ。無策で口に咥えるなんてやったら、私の顎が壊れてしまいそうだ。とりあえず、周りの組織を愛撫しつつ慣らしていかないと。

 そそり立つおちんちんの下に垂れ下がる、たるんだ玉袋。まずはそこから舐めてみようか。

 口に含むと、外側の皮が歯と歯の間に迫ってくる。もつ鍋のモツを噛んでいるみたいだ。そのさらに奥では、グミのように硬い臓器、それと身体をつなげる細い紐が身勝手に動いている。そして、口に含んで舌でそれらを弄ぶと、玲央君は小さく喘ぐ。

おちんちんはまだまだ硬いまま、ゴツ、ゴツと顔に当たる。ある程度はジュリとエッチなことをしていたからか、ほんのりと生臭い。

「こ、これでフウカお姉ちゃんは喜ぶの?アッ、ンッ、でも、き、気持ちいぃ、ひぃん……」

「怖がらないでください、玲央君。苦しくなったら私がチューして元気にしてあげますから」

 ……ジュリは「初めて」にしてはどうも気遣いが上手い。大方、そういう勉強をしてきたのかもね。

 少しずつだが、私の顎も開きやすくなった気がする。エッチな動画にあるような、口で全部を包むエッチは難しいとしても横からしゃぶるのならできるかもしれない。

 私は口を開け、玲央君のおちんちんにそっとキスをした。そして、口を滑らせて、上を向く先端にたどり着いた。おちんちんの先端は不思議な形だ。本体があるにも関わらず、わざわざ薄い皮を被っている。そこは手を使えばあっさりと剥けてしまうからこそ、女の私からすると必要なのかと思ってしまう。

 玲央君の喘ぎも、息遣いも段々と激しくなってきた。おちんちんはというと、舐められていることに感謝を表そうとしているのか、ビクン、ビクンと生き物のように動く。こうも暴れると私の悲願の成就も難しくなるかもしれない。ここは少々手荒だが、活〆をする必要があるみたいだ、いや、「イケ締め」か。

 口ではおちんちんの先端を優しく舐めるのは変えなかったが、新たに両手で玉袋の周りをさすってみた。玲央君は大きく喘いだ。私のしたことが、余程、気持ちよかったみたい。

「ンアッ、オ゛ッ、ォアッ、なん、なのぉ?たす、助けてぇ……」

「よしよし、怖くない、怖くない。今、玲央君はもう少しですっごく気持ちよくなれますよ。さ、頑張ってくださいね」

「う、うん、僕、頑張るッ、ンフゥ……」

 相変わらずジュリはフォローが上手い。玲央君の身体の反応もさらに激しくなる。……いよいよか。あの言葉が本当なのかどうか、確かめられる。

 

「待って!」

 突然、玲央君が叫んだ。声は部屋に響き渡る。

「せ、せめて、出すときは僕の手で……」

 彼は自分の手でおちんちんを触る。あ、これって、「手コキ」ってヤツ……?きっと、本人としては真剣なつもりでも、その……、このままじゃ……。

 真下にいる私の顔にかかってしまうッ!

 もし、万が一にも瞳にかかってしまったら失明どころか変な病気になるかもしれない。彼の手で扱かれるおちんちんはますます潤いと臭いを放つ。思わず、美しいと思ってしまった。

「ま、まままま、待って!せ、せめて、く、口で!出すなら私の口に!」

 思わず焦ってしまう。幸い、玲央君はすぐに気づいた。

「ご、ごめんなさい……。でも、口に出していいの?苦いんじゃ……」

「いいわよ!とにかく、口に向けて出してほしいな。私……、玲央君のザーメンを味わいたいの。変だよね、こんなことをお願いする女の子はさ」

「おかしくないよ。僕もお姉ちゃんのお手伝いするから」

「って、わ、私もお手伝いさせてください!玲央君の初めては私がいただ」

「……?皆、僕のことを童貞じゃないとか言うよ。何でも、エッチした人はそういうんだって」

 ……え?玲央君、もう、既にエッチしてたの?

 私と同じように衝撃を受けたジュリはその場に固まってしまった。

「アッ、そ、そろそろ来そう、ウッ、イ、イくよッ」

 玲央君がついに、ついにはち切れそうになったみたいだ。

 私がおちんちんの先端を咥えたその瞬間、爆発するかのように甘いとも苦いとも分からない、とびきり濃くて生温かいザーメンが口に出された。量は少ない。でも、呑み込むのも惜しい位には、濃い。……あのときのアカリの言葉はやはり、本当だったようだ。

 その後、どうしてそれをしたのか、私自身にも分からない。ただ、このザーメンを自分だけで楽しむのが惜しかったのかもしれない。私はザーメンに満ちた口のまま、玲央君の口に自分の舌を強引にねじ込んだ。玲央君の歯茎、舌、上顎の皺……、口の中の全てを熱いザーメンと共に舐め尽くした。

 

 先程までの行為で疲れたのか、私はザーメンの甘ったるさを感じながらその場に倒れていた。身体は、汗をかいたからか少し肌寒い。

 そんな中、ジュリはというと……。

「許せません、玲央君!もう既にエッチしていたというなら、最初に言ってください!」

「れ、れもぉ、いっへらら、もっろわゆいころ、ムグゥッ!」

 ……自慢のおっぱいで玲央君を締め付けていた。

 私は止めようとしたが、疲れた余り、声が声にならない。そんなことをしなくても、ジュリは彼に対する「お仕置き」をやめないだろうな。

「全く……、女の子でも、初めての男の子の方が好きな子もいるんですよ!そんな悪い玲央君には、……私のおっぱいで挟んでびゅっびゅーしてもらいますッ!」

「そ、そんなぁ……。せめて、僕の手で」

「ダメですッ!今日はチーズケーキの代わりに玲央君自身がスイーツになってもらいますからね。さぁ、始めますよ♡」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 あぁ、こうなったジュリはそう簡単には止められない。玲央君はしばらくジュリのおっぱいを堪能することになるようだ。

 ……尤も、本人にとっては嬉しいどころか困ったことだろうが。

 

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