※この作品はR-18です。

おねショタアーカイブ   作:交野平六

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 今回は、シミコちゃんで書いてみました。
 前作をpixivで投稿したところ、「曇らせに近い」との評価もあったので、今回は趣向を変えようと挑戦してみました。ただ、挑戦しようとするあまり、肝心のおねショタ要素が薄まってしまった、と反省しています。
 また、今作からオリジナル要素が多々出てきますので、ご注意ください。


運命の本と巡り会う

 私が例の怪文書を目にしたのは、ウイ先輩の無茶ぶりがいつにもましてひどい日の夜であった。自分は椅子から動こうとしないくせに、本の整理が成っていない、その置き方では本がダメになる、と朝令暮改に片足を突っ込みそうな指示ばかりを出している。おかげで私を含んだ他の委員の子たちも帰り道は愚痴ばかり。『孫子』では人間の気が最も緩む時間は夕方だとされるが、私たちの本音トークはこの時間帯でこそ冴えわたる。本人に聞かれたら正義実現委員会を召喚してきそうな苛烈な不満のぶつけ合いで盛り上がっていた、そんなときだ。

「シミコ、実はね、最近ネットで密かに出回っている怪文書って、知ってる?」

「へ?怪文書……?どんな内容なの?」

「ほら、数日前に大騒ぎになっていた、アビドス地区の生徒が起こした姦通事件、あったでしょ?あの事件の関係者、というより加害者本人が書いたと「思われる」怪文書が色んな掲示板で盛り上がっているらしいよ」

「け、掲示板?どんなもの?」

「シミコなら、まぁ、む、無理ないか。掲示板というのはね、ネットの書き込みややり取りができる場所のこと。今回の怪文書も、その掲示板からどんどん広まった、ってわけ」

「なる程……。その怪文書の内容って?教えて教えて」

「え、えぇ……。「姦通」の言葉で察しなさいよ」

「「カンツー」……、って、「姦通」⁈つまり、そ、その、男女のあれやこれや、ってこと?」

「そうそうそう。しかも、ただの姦通ではなくて、なんと、シャーレの先生の息子と某学校に在籍する生徒が肉体関係を持つにいたるまでの告白文なのよ」

「ふむふむ。文学によくある、禁忌の恋という展開ね。でもまぁ、男の子とお姉さんのような義母との恋愛は『源氏物語』にも描かれているし、私はさしておかしいことで」

「いやいや、それだけじゃないのよ。その怪文書、書き手がいかにして幼児が好きになったのかを克明に描いていて、考えもなしに読んだ人間をその気にさせてしまう催眠効果があるらしいのよ」

「催眠効果?いくらなんでも、流石にそれは非合理的じゃないかな、アハハ……」

「ともあれ、折角だし、それがホントかどうか、私たちで確かめようよ」

「た、確かめるって……。ウイ先輩は呼ばないの?」

「呼ぶわけないじゃん!あの人、噂だと、委員の仕事の最中に助平なロマンス小説を読みながら「須磨浦」をしているらしいし、そんな趣味を持つ人に読ませたら大変じゃん」

「そ、そうだね……」

 そんなわけで、私たちはフリー電波の使える場所を探して、皆で例の怪文書を検索した。私が読んだ感想としては、所々文学的な表現があるものの、具体的な表現ばかりで粗の多い文書であった。私の友達はというと、少し耳を赤らめている子もいれば、少し口角が上がって伸びた鼻の下を手で覆う子もいて、恥ずかしがる様子を隠しているみたいである。まぁ、あの子たちからすると、その手の色恋を描いた文学作品よりも甘酸っぱい恋を描いた小説の方をよく読むことからも、刺激的であるのは間違いない。

 その日は、怪文書を読んでその場で解散した。私は寄り道をせずに家に向かって帰った。今月は「生徒の自由時間を確保する」との名目で、届け出なしで学校に長く残ることは禁止されている。無論、普段なら図書室に入り浸る私は帰らされてしまう。そんな決まりを押し付けられた日の夕方は、とても寂しい。

 

 夕食を済ませ、歯も磨き、お風呂から出てのスキンケアや髪のケアを済ませて、例の事件から興味を持った『ロリータ』を読もうとしたときだ。ウイ先輩から連絡がきた。

「こんばんは。夜遅くの連絡になってすみません。古関ウイです。突然ですが、一週間後にこのトリニティ総合学園にシャーレの先生がいらっしゃいます。私たちも先生のお出迎えを想定して、図書の管理や掃除をより一層徹底していきましょう。明日もまた、よろしくお願いします。」

 ウイ先輩は当然のことをわざわざメールで伝えている。本に対する先輩の腕前はとても評判が良く、委員の誰もが注目をする程だ。性格には難こそあるものの、反発する人が出てこない辺り、本好きからの信頼は何だかんだ根強い。

 私は中断していた『ロリータ』をまた読み始めた。なぜ、この本を読んでいるのか、それは、性別こそ違えど例の怪文書を書いたと思われる人物の心理を理解できそうではないか、と考えたからである。

『ロリータ』は大体こんなお話だ。主人公は最初に恋した少女と死別し、その面影を追ってまた別の少女と関係を深める。主人公は少女の母親が亡くなってから関係を迫るが、成長する彼女に魅力を感じなくなる。やがて、少女は主人公から姿を消す。主人公は再会をするものの、少女は若い男と関係を持っていた。怒りに震えた主人公は手引きした知り合いを手にかけ、獄中に入ってしまう。なお、身籠った少女は出産直後にこの世を去ってしまう。

 なんとも、救われないお話である。怪文書では、書いた人物と思しき名称は伏字にされているものの、この人物も『ロリータ』の主人公のように理解されない「性」の悩みを抱えていたに違いない。読者の心に傷をつけるような切ないお話である。理解する、とは程遠いかもしれないが、彼女の孤独さ、暴走する本心、破滅への未知のりについては共感できるかもしれない。読む度に胸を締め付けられるが、破滅に向かっていく主人公に手を差し伸べたくなる。そんな小説なのだ。きっと、例の文書を書いた人物の関係者は薄々感づいていて、彼女の苦しみに共感していたからこそ炎上や侮蔑を承知で減刑の働きかけをしたのだろう。私も同じ立場にいたら、そうしていたのかもしれない。

そんなに長くない小説なので、10時を少し過ぎた頃には読了した。あれ程の短さの小説でグッタリするなんてことは、滅多にない。私はベッドに重たい身を投げ出した。何をするでもなく、ただただ時間は過ぎていく。いつもなら図書室にいて夜遅くまで読書できたが、それもしばらくは叶わない。暗闇に包まれるようにして、私は眠りについた。

 次の日の朝、私は図書室の掃除を担当していた。図書室の図書は年季の入った古めかしい本もあれば、話題を集めている流行りの本と様々だ。それらの醸し出す、上品で、それでいてどこか懐かしさを感じる香りを浴びると、今、私は学校にいるのだと実感する。あ、いけない。委員としての仕事をしないと。

 生徒の図書カードには、いつ誰がどんな本を借りたのか、また、その本をいつ返却したのかが記されている。掃除を終えた朝当番の委員はこの仕事から始まる。いうまでもないが、多くの生徒では男女のラブロマンス小説が相変わらず人気なようだ。それに続いて、古今東西の文学作品、歴史小説、古典科学や窮理学、化学、生物学、果ては外国語とその手の図書が人気である。まぁ、特に3年生は進路選択のために専門書を読み漁ることも多いため、専門書はそれなりの需要がある。こんな私も、3年生になったら、好きな本を好きなだけ読む日々を送れなくなるのだろうか……。

 と、しょうもないことを考えながら作業をすると、たまに戦争を扱った本を借りている生徒を目にする。この本、もう返却されているのか……。丁度、仕事も終えたので、試しにその本を探しに私はカウンターを出た。周りには人もいない。

 歩くこと数分、図書室でも奥の方の本棚にその本はあった。その近くには、廃棄するのもあんまりだということで自由に持ち帰ってよいと決められた廃棄図書を置く棚がある。背表紙にある番号を参考にして、列の中から探す。

 あった。

 周りの本が潰れないように、慎重に図書を抜き取る。その図書は、何度も死地を潜り抜けた特殊部隊員のインタビューをまとめた本である。トリニティ総合学園ではごくたまにこのような本を好んで読む物好きな生徒が少数ながらいるらしい。私は図書室にあるすべての図書を読了したが、この本があることはあの図書カードを見て思い出した程だ。普段から私が読む本とは程遠い、血腥い、容赦のない世界がその本では描かれていた。

 インタビューを受けている人物の名前は「赤染源一郎」。45歳とは思えない程に老成した人物だ。インタビューでお話をしているときの写真では、左手にくすんだ義手をつけていて、笑顔を見せていなかった。笑ったときは素敵な顔を見せてくれそうな人であるのに、インタビューではずっと、険しい顔のみを見せていた。戦場は人も動物も自然もあらゆる者も狂わせる。それをずっと目にしてきたことを嫌という程実感させるような、振る舞いや発言をその本の中で見せていた。

 それにしても、カッコいいなぁ……。大人の気品というか、年を経た男の渋い魅力というか、傍にいたら喜んで抱かれたくなるような色気というか……。

 って、私のバカ!図書を棚にしまって、両手で頬を叩いた。少しは気の緩みも治った気がする。できる限り、早めに戻らないと。周りの棚にも異常はないか、確認していると、廃棄図書の棚が目に入った。もちろん、この棚の本は委員のみならず、ウチの生徒であれば取ってもよいのだ。委員である私も例外ではない。

 さてと、どんな本があるのか……。ん?この本は見たことがない気がする。カバーの面影はなくなり、ハードカバーだけの変色した本である。内容は……って、これは!

 「エッチナホン」だ!

 しかも、ただのエッチな本ではない。小学生向けに書かれた性教育の本だ。対象が対象とあって、赤裸々な表現、昔の本らしくガバガバな検閲、そして癖になる言い回し!

こ、これってまさか、昨日見たあのアビドス怪文書に出てきた本なのかしらん?

 物静かな図書室の小さな風の音が酷く大きく聴こえた。誰もいないはずにも関わらず、私は周りに人がいないことを確認してからその本を抱えてカウンターへと戻った。こんな本を持っていると同級生にバレたら一巻の終わりだ。たった1冊の本が、あれ程私の価値観に影響を与えるとはこのときは思わなかった。

 その日はいつも通りの学校生活であった。しかし、その日の夜は違った。なぜなら、私は例の怪文書に出てきたと思しき「エッチナホン」を持ち帰って来たからだ。幼い頃、小学校の男子たちがよくやっていた、秘密基地に助平な本を持って来ては皆で読む行為の楽しみが分かりそうな気分だ。図書室にこんな本があるとは知らなかったので、いつもの読書よりも楽しみが段違いである。さて、開いてみよう。

 年季の入った紙の渋い香りが広がるものの、頁そのものは状態がいい。まるで、私が読むことを昔の誰かが察して丁重に使ってくれたみたいだ。そんな状態の本は、昔の本ということもあって刺激が強かった。名作と謳われる文学作品を読んできた私にとって、わざとらしく茶化した言い回しや童心を煽るような説明文は却って新鮮であった。

 読めば読む程、自分の秘部がどうなっているのか、そこが本に紹介されている通りなのかと気になってきた。部屋の鍵を閉めて、履いているズボンを脱ぐ。パンツも下り物シートもベッドの近くに置き、茂みだけが覆っている自分の身体を見る。自分で自分の身体を見るなんて、変な気分だ。男の子と違って、女の子は自力では見ることができないからだ。男の子は外に出ている分、目立つときは大変そうだが、私たちならそれはない。その点、女に生まれてよかったと何度も思う。

 手ごろな大きさの置き鏡を見つけて、それを茂みの前に置く。これでようやく見ることができる。両手で唇のようなところを引っ張り、内側を露わにする。内側はとても悍ましい。「グロテスク」といえばしっくりくるだろうか。

 ほんのりと生臭い匂いを発していて、ピンクというより血の気のある茶色に近い表皮。一番上には男の子の一物のような形の小さな突起。次にあの匂いを発する穴。そして、一番重要な穴――本では「おちゃんちゃん」と表されている――が見える。この穴の気持ち悪いところというと、自分で大きさを自由に変えられてしまえるのである。力めば小さくなる。緩めばだらしなく大きくなる。自分の身体に別種の生命体を飼っている気分になる。

 しかし、男の子はこんな秘部を礼賛するかのように夢中になって、色欲をぶつける。まぁ、私も男の子の身体には年相応の興味はあるが、男子の向ける興味と違う。どういえばいいのか……。そう、「自分を無視せずにともに楽しもうとする態度」、と言おうか。その手の妄想をするときにも、自分が優しくリードされる展開が頭に浮かんでくる。いけないいけない。急に自分のしていることが恥ずかしくなってきた。シート、パンツ、ズボンを急いで履いた私はベッドに向かって、おかしくなった自分を戒めるように手淫した。

 

 一週間の間、私たち図書委員会はとても忙しかった。返却されていない図書の催促及び回収、分類や棚の配置の整理、室内の隅々までの掃除をしていて、帰りが遅くなる日もあった。一方で、シャーレの先生についての噂がまことしやかに囁かれるようになった。もちろん、知り合いから噂を聞くようになった。放課後、今日の分の作業を終えた私たちは雑談をしていた。

「実はシャーレの先生、軍人さんの息子らしいよ」

「軍人……?その軍人って、義手をつけていた?」

「うーーん、どうだか……。それは分からないけど、女遊びのやたらと多い、気品のある色男だったって」

「色男……。……、現実にもいるんだね。そんな人」

「現存する写真からも、そのご尊顔が拝めるのよ~~。あ、これこれ。見て見て。美しいでしょ?惚れるでしょ?くぅ^~、カッコいい!!」

「こ、ここ、図書室だよ。静かに!」

「ハッ!あたしのバカ……。ついイケオジに夢中に……」

「このご尊顔……。どこかで見たような。……ッ!」

 思い出した。騒がせないように走ってあの本棚へ向かう。先日手に取った、特殊部隊員の図書を引っ張り出し、それを手に持って友達に見せた。その本を見た友達は目を見開いていた。

「このご尊顔……。先生のお父上と同じじゃん!あ、この人、シャーレの先生の親戚なんだ……。見て見て。この本の軍人さん、お話によると、このキヴォトスにも何度か抵抗組織との戦闘でやってきているんだって」

「このキヴォトスにも来ていたのか……。はぁ~、逢いたかったなぁ。中年になってもあんな色気が出るなんてカッコよすぎでしょ。ウフフ」

「やめなって!そんな顔、誰かに見られたらどうするの?」

「あはは。ごめんごめん。って、先生が来るの、明日じゃん!朝も早いから早く帰らないと」

「まぁ、私もか。学校が閉じる時間も近いし、そろそろ帰らなくちゃ。皆―、帰るよー」

 夕闇が空を覆って、私たちに帰れと催促しているみたいだ。ともあれ、明日はシャーレの先生がやってくる。どんな人なのか楽しみだ。

 シャーレの先生が来る当日。私たちのところには先生はすぐには来なかった。まぁ、実際のところ、今回の訪問はティーパーティー、正義実現委員会、シスターフッド、救護騎士団が中心である。私たち図書委員会にはすぐに来るはずなんてない。……と思っていた、そのときだった。

「ごめんくださいッス~。仲正イチカで~す。あら、誰かいないッスか?」

 この声は、正義実現委員会の仲正イチカ先輩だ。私に何の用なのだろう?

 入口に向かうと、そのイチカ先輩と男の子がいる。男の子は顔に大きなアザがあり、どこか及び腰である。イチカ先輩に手をつながれて入口に来たその男の子は誰なのだろう?

「おや、あなたは確か、図書委員会の円堂シミコちゃんッスね。先生が見学している間、この子と一緒にいてほしいんスよ。さ、玲央くん。お姉さんは仕事があるから、この図書室で待っていてくださいッス」

 迷子、なのか?いや、今日は一般公開なんてしていないはずだ。じゃあ、先生の息子とか?あの怪文書に出てくる……。

「お父さんとはまだ会えないの?イチカお姉さん。寂しい……」

「大丈夫ッスよ。この図書室にも素敵なお姉さんがいるッス。ほら、目の前にいるシミコお姉さんがしばらく一緒にいてくれるッスよ」

「よ、よろしく、シミコお姉ちゃん……」

「うん。よろしくね」

 やはり、目の前の男の子は、先生の親戚、それも息子らしい。当然だろう。父親の仕事のお話は子どもにとっては退屈極まりない上に、私たちトリニティ総合学園は派閥での争いが激しい。子どもの安全を考えるならこの図書室に預けることが無難だろう。委員の子たちは外で宣伝をするか、所属するクラスでの出し物をしている。ウイ先輩に至っては、代表ということもあって無理矢理外に出されてしまっている。なので、今、この図書室にいる生徒は私だけだ。周りでは先生を出迎えるために屋台を出す生徒や学食の宣伝をする生徒と賑やかな声一つ一つがよく聞こえる。この図書室にその音が響くのを聞くと、私が独りであると実感する。

「それじゃ、シミコちゃん。私は校内のパトロールに向かうので、よろしくッス」

 イチカ先輩はそのまま離れてしまった。本について話をすることはできても、子どもが読むような本のお話はあまり得意ではない。頭の中ではどうすればよいのか、と常に考えが乱反射していた。だが、彼の愛らしさを前に、私の乱反射は意味をなさなかった。

「え、ええ。よろしくね」

 

 そんなわけで、私と先生の息子君は静かな図書室にいることになった。息子君は大切そうに四つ葉のクローバーのストラップを持っていて、私に話そうとして怯えている。この場合、手に持つストラップが話のきっかけになりそうだ。単純な興味に加えて、息子君も心が開きやすいに違いない。

「ところで、手に持っているそのストラップ、綺麗だね。誰から貰ったの?」

「こ、これはね、アヤネお姉ちゃんから貰ったんだ。四つ葉のクローバーが素敵でしょ」

 一瞬、背筋が凍った。「アヤネ」というと、先日、アビドス地区で姦通事件以来、その音沙汰がないと噂の生徒のこと……?いや、私の知る人に「アヤネ」との名前の人物はいない。考えられることとしては、例の怪文書はほぼ実話で、元々書いた人物はアビドス高等学校の「奥空アヤネ」本人で、それを誰かがネットの掲示板に広めた、ということか。加えて、怪文書の「私」が「○○君」にあげたと述べられたストラップも、まさか、目の前にあるこれのことなのだろうか……?

「どうしたの?アヤネお姉ちゃんを知っているの?」

「あ、いやいや!な、なんでもないよ。きっと、素敵な人なんだろうね、その「アヤネお姉ちゃん」って人は」

「うん!すごく優しくて、可愛くて……、僕のことも怖がらなかった」

「怖がるなんて。私はしないよ!キヴォトスでは色んな人がいるから慣れっ子よ」

「「色んな人」?どんな人がいるの?」

「そ、そうね……。皆の憧れるティーパーティーのお姉さんたちは、背中から翼が生えている人や動物の耳や尻尾を持つ人もいるし、他の学園では耳の尖った人も角の生えた人も色々いるのよ。アザなんて珍しいものじゃない」

「そっか……。僕が去年までいた地域だと、この顔から嫌がられていたんだ。父さんは「いじめ」と言っていた……」

 ……絶句した。いや、自分たちの環境がいかに異質であるのかを実感して何も言えない、と言えば納得がいくか。そのままどんな本を読むのか、訊こうとしたが忘れてしまった。

「そっか……。うん……。「アヤネお姉ちゃん」のこと、今でも大好き?」

「うん!お父さんからは「遠い所へ転校した」としか聞いていないんだ。いつか、逢いたいなぁ……」

 私の腕が勝手に動いて、玲央君を抱きしめていた。私の中では、真実を伝えたい思いと彼の心を守りたいとの思いで苦しい。右手で玲央君の頭を軽く撫で、左手で玲央君の身体をこちらへ引き寄せる。無論、玲央君は戸惑っていた。

「……シミコお姉ちゃん?」

 そうだよね。何でこうなっているのか、知らないんだね……。本当の理由を教えたいが、それをすると彼が悲しませてしまう。どうしたらいいのか分からない。すごく、すごく苦しい。

「き、きっと、アヤネお姉ちゃんはアビドスから離れたところの学校に転校しているんだろうね。うん……」

 私は姑息に言葉を繋げて玲央君の肯定をした。

 それから、私は玲央君と奥空アヤネの思い出話をじっくりと聴いた。彼の語る彼女の様子は、昔から「普通」からは程遠い価値観を抱え、隠しきれずに暴発して身を滅ぼした、悲しき少女そのものである。性別は違えど、『ロリータ』の主人公に重なる。私自身、学区外の図書館や学校図書館へのお手伝いに行くことがある。もしかしたら、そのときに彼女とすれ違っているかもしれない。きっと、同じキヴォトスの生徒として会っていたと思うと、まるで自分が小説の人物であるかのような錯覚に陥る。

「アヤネお姉ちゃんとは、まだ、逢えていないんだよね……。寂しい?」

「うん、寂しい。逢いたい。逢いたいよぉ……」

 目が潤んだ玲央君の涙で私の制服が濡れる。こんな小さな身体で苦しい思いをしてきたことを知ると、全てを受け止めたくなる。

「辛かったよね、悲しかったよね。よしよし。この本、読んでみる?」

 私はできることで玲央君を「慰めて」あげたかった。そこで、廃棄図書から貰ってきた例の「エッチナホン」をバッグから取り出した。玲央君はとても興味津々である。普段から読む本には、この手の本はあまりないのだろう。

「そ、それじゃあさ、この本の内容を2人でや、やってみない?」

 あぁ、私も「普通」ではない人間の仲間入りだ。幸い、外に殆どの人が集まり、図書室にいる人は私たちだけ。午後からの当番の先輩たちはすぐにはやってこない。況してや、そんな雰囲気にならない方がおかしい。それが却って、背徳の気分を昂らせた。文学作品に出てくる男女のラブロマンスが再現されていて、不思議な気分だった。

 

 制服を脱ぐと、普段から着ているブラジャーが露わになる。玲央君は身体に見惚れていた。きっと、彼の中では奥空アヤネが唯一無二の存在であるだろう。私に夢中になるなんて、ありえない、はずだった。

 いや、奥空アヤネと秘事をしたことで、その才覚を開花させたのかもしれない。祖父と思われる人物、「ゲンイチロー」を思わせる。彼も生前は好色な人物で、軍人では珍しく、生涯で女しか抱かなかったそうだ。奥空アヤネは唯一無二と思いつつ、私のことも同じくらい特別な存在と思っているのだろう。

「シミコお姉ちゃん?何をするの?」

 まだ戸惑っている。無理もないか。

「私のことを、さっき話したアヤネお姉ちゃんだと思ってみて。本人とは程遠いかもしれないけど、私なりに寂しさを埋められるようにしてあげたいんだ」

 玲央君は涙を拭い、私の胸に顔を埋めた。何だか、子どもがいないにも関わらず、自分が母親になったような気分だ。幼いなりに好意をぶつけて繋がろうとする玲央君がいじらしく思えてくる。彼がくっついている内に、私は後ろのホックをそっと外した。ブラジャーは崩れたように肌から離れ、飾りのない乳房が顔を見せた。

「綺麗……」

「そーお?嬉しいな。それじゃ、ここにキスしてみる?」

 彼は迷わずに口淫した。滑る唇がくすぐったいときもあれば、無意識に当たる歯がゾリゾリと当たる感触が気持ちいい。私は夢中になっている彼の服を崩した。子ども服は着崩すのが簡単だ。安全性のある構造を意識してなのか、余計なパーツがない。おかげで、むしゃぶりつく玲央君もその気になってきたみたいだ。

「上手上手、玲央君。まるで、昔の文学作品に出てくる色男のようでカッコいい♡」

「そ、そぉなの?アヤネお姉ちゃんもそう思っていたのかな?」

「うん、きっとね」

 今なら色事が恋愛小説で重視されている理由が分かる気がする。色事を経て、男女はその仲をより親密にしていくからだ。それを肌で、口で、手で、足で、秘部で感じることでさらにさらに強くなる。前まではさして気にならなかったベッドシーンを暗示する言い回しが、今では憎らしく思えてくる。

 私は頁を広げた例の本に目を向ける。その頁には交合する男女の挿絵がある。男が上になる体位、女が上になる体位の2つがあるみたいで、あの怪文書では前者の方で盛っていたのだろう。私の邪な心が働いた。コンドームは持っていなかったが、ポケットにあるティッシュで何とかすればよいだろう。

「それじゃ、玲央君。もっと気持ちよくなれること、してみない?」

「それ、アヤネお姉ちゃんとはやったこと、あるけど……」

「今日は、私がリードしてあげるからね。怖がることはないよ。今回は気持ちよくなれるかもしれないから」

 それらしい誤魔化しをした。こんな背徳に満ちたセックスは今まで読んできた小説や文学でも見たこともない、気がする。玲央君のお○ん○んも雄々しくなり、私の茂みも甘い匂いに変わった。これで舞台が整った。

 自分の〇唇を開いた私は、そのまま玲央君の身体に貫かせた。この1ヶ月間、学校に長くいられなかったことで鈍っていた身体が冴え渡るような気分だ。玲央君のお○ん○んの肌触り、浮き出る血管、膨らんだ肉、この全てが一気に身体中に染み渡る。そもそもな話、表面を慰めては細い指を入口に入れてばかりで、どのような気持ちよさなのか分からない。全身が性感帯になったような強烈な感覚になった。玲央君は怪訝な目で私を見る。

「シミコお姉ちゃん?無茶、してない?」

「だ、大丈夫だよ。こ、これ位、お、お”姉ちゃんなら、平気だよ、あ、アハハ」

 どう動こうにも気が狂いそうだった。でも、やってしまったからには最後までやりきるしかない。

本能のまま、腰を動かしてみた。最初は真ん中の辺りにしか入れられなかったが、やればやる程、段々と奥の方へ近づいてくる感触がする。もう、目に汗が入ったことや髪が乱れたことなんてどうでもよかった。とにかく、玲央君とのこの共同作業をいかに美しく、いかに貪りあうかを優先したかった。

外ではお昼時なのか、昼食は何にするのかとの話し声が聴こえてくる。食事をすることすら忘れて私たちはお互いの肉体を貪りあった、丁度、あの本の男女のように。

 

 程なくして、玲央君が私の乳房を抱きしめたと思ったら、中で射精をして果てた。膣内では、私の愛液と彼の精液がドロドロと混ざりあっているのだろう。それを考えるだけでたまらなく興奮してきた。私は果てて乳房に溺れる玲央君のおでこに接吻をした。彼が慕う「アヤネお姉ちゃん」のことを考えると、余所者の私ではこれしか許されないような気分だった。

 私は立ち上がり、急いで自分の膣にティッシュを詰めて精液を吸わせた。玲央君は茫然としている。

「ねぇ、何でお股にティッシュを当てているの?」

――嘘。セックスがどんな行動なのか全く知らない……?

さっきまでの興奮が冷めてしまう程の衝撃である。玲央君は身体が小さいとはいえ、射精ができる以上は相手に迷惑をかける可能性もある。当然、彼の中には「避妊」という考えがないのだろう。バッグパックのクローバーのストラップが奥空アヤネからの呪いそのものにも見えてしまう。なんという呪いをくれたものか……。逆に考えよう。これは彼女からの「のろい」を「まじない」にするいい機会だ。例の本を使って教えよう。

「あのね、玲央君。セックスは赤ちゃんを作る行為でもあるの。関係を深める行為でもあるけど、その分、気をつけないといけないことや怖いこともいっぱいあるのよ。これからセックスを安全に楽しむためにも、さっき読んだ本でお勉強してみよ?」

 そうして、私は本を用いて、玲央君にエッチについての知識を教えた。

 男の子と女の子でエッチをすると、赤ちゃんができてしまうときがあること。

 育てる責任がないまま妊娠することは赤ちゃんにとっても可哀そうなこと。

 それを防ぐために避妊器具はとても重要なものであること。

 それぞれの避妊器具を使っても必ずしも避妊できるわけではないこと。

 避妊器具は性病を防ぐ役割も担っていること。

 セックスに憧れを持っていた彼には酷な話であろう。だが、これからを生きていく上で大切な知識である。最初は暗い顔だった玲央君も、私の思いを汲み取ったのか、少し大人びた表情を見せるようになった。とても可愛い。私は汗まみれの玲央君の身体をタオルで拭いてあげた。前髪をかき上げた顔たちは赤染源一郎によく似ている。さっきまでは忌まわしく見えたストラップが、遠回りながら希望そのものに見えてきた、気がする。

 私は玲央君の着崩した服を戻してあげて、図書室の案内をした。本が多い環境は新鮮なのか、常に本棚に惹きつけられている。本好きの私にとって、これ程の眼福もない。その後、親戚と思われる赤染源一郎について、蔵書を出して訊いてみても答えが得られなかった。本人曰く、物心つく前から亡くなっていたらしい。そこは残念であった。まぁ、すぐに知ることではないか。

お腹の音が鳴り響いたのはそのときだ。時計を見ると、時間は11時20分。お昼を食べる時間としては悪くない。

「シミコお姉ちゃん、お腹、空いた……」

「私も減ったなぁ……。そうだ!そろそろ午後の当番の子と変わるから、一緒に学校を巡ってみない?ほんのちょっとで構わないから」

「うん!僕も行く!」

 しばらく待っていると、知り合いの子たちに両脇を抱えられているウイ先輩が図書室にやってきた。どうやら、ウイ先輩は多くの人が行き来する環境に慣れず、他の子たちよりも先に図書室へ戻ってきたそうだ。当番の交代をしっかりと伝えてから、私と玲央君は図書室の外へ出た。

 

 図書室の外に出ると、華やかな景色が広がっていた。普段の学園とは思えない賑やかさだ。学食の宣伝をする生徒もいれば、自分たちの所属する部活の宣伝をする生徒もいる。玲央君はというと、人の多さに縮こまっているみたいだ。

「ど、どうしよう……。人が、い、いっぱい……」

「怖がらないで。この子たちも優しい人もいるからね」

 お腹が減っていたので、何か食べられそうな場所を探していると後ろから声をかけられた。この場を支配せんがばかりの大きさである。

「とあ――――――ッ!!トリニティ総合学園1年生自警団所属のッ、宇沢レイサの、登、場、ですッ!!!」

 「ウザワレイサ」?この子、どこかで見たことがあるな……。確か、最近、功績を挙げていると噂の自警団のメンバーか。どうしてここにいるのだろう?

「大丈夫ですか君ィ!怖がることはありませんよ!!この学園にはキャスパリーグのような、頼れる人がたっくさんいますからねッ!!さぁ、そこのあなたも私たちと一緒に学校巡りをしましょう!!」

 彼女なりに、玲央君を気遣っているのだろうか……?周りの人々の視線はレイサちゃん、私、玲央君に集まっている。玲央君は怖がっている。

「どうしました⁈心配はいりませんよ!!さぁ、一緒に」

「男の子が怖がっているでしょーが!後、キャスパリーグとか言うな!!」

 後ろから黒いパーカーの少女が険しい顔つきでレイサちゃんを止める。慣れた手つきで羽交い締めにする。その横から知り合いと思しき子たちもやってくる。片手にチョコミントアイスを持つ黒の長髪の少女、ツインテールの金髪の少女、片手に牛乳を持つピンク色の髪の少女。この子たちもどこかで見たことがある……。

「いいから暴れるんじゃあないの!!ってコルァ!逃げようとするな!!」

「なぜですか、キャスパリーグ⁈男の子には元気が一番でしょう?」

「その元気が裏目に出ているんだっての!!あぁもう!ヨシミ、ナツ!しっかりと捕まえてて!!」

「えぇ……。まぁ、うん」

「おー、任せてキャスパリーグ」

「あんたも言うな!!」

 パーカーの女の子がこちらに近づいてくる。

「その子、アンタの弟?それとも親戚?」

「いや、その、この子は、先生の息子の玲央君だよ。私たちはお昼ご飯を食べられるところを探しているんだ」

「せ、先生の息子?へぇ、言われてみれば、面影があるじゃん」

 パーカーの女の子は頭にある猫耳をパタパタ動かして玲央君の前にしゃがみこむ。この動作だけで私よりも子ども付き合いに慣れていることが分かる。

「ねぇ君、ここ来るの初めて?」

「うん。ここ来るの、初めて。お姉ちゃんは?」

「お姉ちゃんは杏山カズサ。ここの学園の生徒なんだ。これからよろしくね」

「……、お耳。お耳が猫みたい。触っていい?」

「興味ある?ほら、触ってみて」

「うん……。わぁ、フニフニしていて、柔らかい」

「えへへ。照れちゃうなぁ……」

 自分の耳を触らせている……。開いた口が塞がらなかった。当然、取り巻きの子たちやレイサちゃんは後ろであーだこーだと喋っている。

「ウソでしょ⁈あのカズサが初対面の子に耳を触らせるなんて……」

「オーオーオー。カズサと少年の禁忌の恋、ここに始まる……」

「ずるいですよキャスパリーグ!!私もお話させてください!」

 キャスパリーグと散々呼ばれたカズサと名乗る少女は火が点いたように怒る。

「ッるっさい!からかうな!!」

 玲央君はライオンの前のネズミのように、さっきよりも縮こまっている。

「あ、あぁ、気にしないでね。私は普段、こんなに怒らないからね、ハハハ」

「やーい!噓つけ―!」

「猫撫で声で誘惑か……。カズサ、やはり先生の血族の前では雌猫の血が騒ぐか……」

「私にもッ、ナデナデさせてくださいよ!キャスパリーグ!!」

「あぁあぁぁもぉぉぉお……」

 カズサちゃんは頭を抱えてその場にうずくまった。玲央君は手を差し伸べて、震えながらカズサちゃんの頭を心配そうに撫でる。彼からすると、取り巻きの子たちの煽りが自分をいじめていた子たちにも見えたのかもしれない。

 そこに、黒髪の少女が玲央君の近くに来た。彼女は……、思い出した。他のクラスの栗村アイリちゃんだ。そうなると、あの取り巻きの子たちは、噂に名高い「放課後スイーツ部」……?食べ物屋さんに詳しそうな彼女たちなら食事には困ることはないだろう。

 玲央君の傍にいるアイリちゃんはカズサちゃんの背中をさすりつつ、必死に弁明をしている。この様子を見るに、後ろの2人はいつも通りの対応のようだ。玲央君は安堵の表情を浮かべ、アイリちゃんに懐いている。こ、この、女たらしめ……。無自覚なのかもしれないが、それが却って言いようのない気分にさせる。

 私の後ろから、聴きなれた声が聴こえてくる。

「はぁぁぁ、学食も人が多くてとても入れそうにないなぁ」

「ホントッすね。私もお腹が空いて臍が背骨にめり込みそうッス……」

「どこも人気だ、って玲央じゃないか!お前、どうしてここにいるんだ?」

 この語尾にスーツ姿……。イチカ先輩とシャーレの先生だ。イチカ先輩はいつもの正義実現委員会指定の黒いセーラー服、先生はこれといって特徴のないYシャツ、ズボンのスーツの格好だ。察するに、私たちと同じく、昼食が食べられずに困っているみたいだ。

 放課後スイーツ部の4人、レイサちゃん、玲央君、イチカ先輩、先生、そして私の9人はこの後、しばらく昼食を求めて学園中をさ迷った。

 

 無事、学園の近くにあるファミレスで昼食を取ることができた。放課後スイーツ部はこの一帯の食事処に詳しかったこと、店主さんがシャーレの先生に関心のある人だったこともあって、幸いにも大所帯での利用でも許してくれた。私は玲央君の隣に座っておろしハンバーグを食べた。空腹に飢えた身体におろし大根は良いみたいだ。お肉がサッパリとして食べやすい。

 そうして、スイーツ部、レイサちゃん、イチカ先輩とお別れをして、私たちは図書室へ向かった。顔合わせが多かったのか、先生はグッタリと項垂れたと思ったらそのまま静かに寝てしまっている。私と玲央君は少し離れて、日向のよく当たる窓側の席に移った。

「実はね、さっきのエッチのとき、参考にした本があるでしょ?あれ、君にあげるよ」

「え?ぼ、僕が貰っていいの?」

「それは、その……、これからも君は今日のように女の子とエッチすることだってもっとあるかもしれないし……。だからこそ、正しい知識を持たないといけないでしょ?そのためにも、この本をしっかりと読んで、アヤネお姉ちゃんに誇れるようなカッコいい男の子になりなさい」

「なれるのかな……?お父さんみたいに物知りでもないし、おじいちゃんみたいに力持ちでもないし、顔には怖がられそうなアザがあるし……」

 私は両腕で玲央君の頭をそっと包み、抱き寄せた。

「そんなの、これから始めてみなくちゃ分からないじゃない。私だって好きなことをしていて、気づいたら皆から頼られるような人になれたんだし。好きなことややりたいことを貫いてみてよ。そうすれば、2人のようになれるって」

 玲央君は顔を上げた。その顔は破顔している。アザのある左側にも目尻のしわがはっきり見える。

「うん!」

 あまりにも可愛いなぁ。私は彼の前髪を払って、ツヤツヤなおでこに先程と同じように接吻した。さっきと違い、玲央君は静かに微笑んだ。ストラップはお昼の日の光を浴びて輝いている。




 今回は、挑戦しようとしてかなり消化不良な感じに終わってしまったと思います。ただ、自分の書きたい世界観を提示するきっかけになったこと、よりキャラクターへの解像度を上げるにはどうするか、などの学びが得られました。
 いつか、このシミコちゃんでまた別の作品を書き、そこで今回のリベンジを果たしたいです……。

 【人物紹介】
 先生(赤染雄介)
 皆大好きシャーレの「先生」。イメージcvは細谷佳正さん。 年齢は40歳。身長176センチ。体重72キロの細マッチョ。幼い頃から偉大な父親の息子という偏見の下で育つ。そのため、自己肯定感が他人よりも低い。一方で、父への憧れの心もあって矛盾する自分の内面に悩んでいる。外見からは想像できないような繊細さのあるメンヘラでもある。
 趣味はフルート演奏。楽器演奏全般が得意であるのは、一芸の1つは持っていた方が人生では徳をする、との父親の教えから練習を重ねたため。ただ、本人は自身の腕前を父親には遠く及ばないと評している。
 息子誕生直後に父親を失い、半年で妻を失ったため、息子とどのように向かい合うのか、との問題に直面している。たまに、自分が教えている生徒に育児相談をすることがある。

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