七咲が水着姿から着替えて試着室を飛び出し、走り去るのを見て、橘は何が起きているのかわからずに、一瞬呆然と立ち尽くしていた。
!?
周囲の客の驚いた視線が自分に集まっているのを感じて、橘は我を取り戻し、慌てて七咲の後を追って走り始めた。
締り始めたエレベータに七咲の姿を確認できたが、間に合わない。
だが、次のエレベーターを待つ時間すら惜しく、慌てて階段を駆け下りる。
息が乱れながら慌ててデパートを出ると、今にも人混みに紛れ去ろうとする七咲の小さな背中が見えた。
その悲しい後ろ姿を必死に追いかける。
「待って七咲!!!」
必死に追いかけるが、日頃から水泳で鍛えている七咲には、男である橘でも中々差が埋まらない。
(まずいこのままじゃ追いつけない!!!)
橘の体力が限界を迎えそうになった時、彼は最後の手段を使った。
「七咲!!!さっきからパンツ見えてるよ!!!!」
その瞬間、七咲の足がピタリと止まった。
七咲は、恥ずかしさと怒りが入り混じった表情で、ゆっくりと純一の方を振り向いた。
涙で顔はぐしゃぐしゃだが、その瞳には、橘への強烈な怒りが宿っていた。
周囲の道行く人々は橘の大きな声に足を止め、七咲のミニスカートに熱い視線が集まる。
「……ッ、最低です」
「ご、ごめん……でもこうでもしないと七咲が止まってくれないと思って……」
純一は息を整えながら、七咲に駆け寄った。
「ここじゃあれだから、僕のアパートに行こう!!」
「先輩のせいでこうなったんですよ!!」
七咲は声を押し殺しながら睨みつけた。
「わ、わかってるよ…… でもここじゃまずいから僕のアパートに行こう!!」
橘は、七咲の腕を強引に掴み、人々の視線から逃れるように、一目散にアパートの方角へと歩き出した。
七咲は、抵抗する訳でも従う訳でもなく、ただ純一に引きずられるままだった。
橘のアパートに着くと、七咲を部屋の中に招き入れた。
エアコンの無い部屋は窓も開いておらず、夏の湿った熱気が籠もっている。
2人は何から話せばいいのか迷い、静寂が訪れる。
「七咲どうして突然帰っちゃったの?」
橘が恐る恐る口を開いた。
「最初に言う事がソレですか?先輩?」
七咲は怒りを押し殺すように、凍えるほど冷たく純一を鋭く睨みつける。
「街中で恥ずかしい思いをさせたのは僕が悪いけど、七咲が突然帰るから…」
「別にそれに怒っては居ません!!確かに恥ずかしかったですが……」
「じゃあ何に怒ってるの?」
「本当にわからないんですか先輩?」
「ごめん……」
「そうですか……じゃあ別れましょう先輩」
「えっ………」
熱かったはずの気温が一気に冷え込み、橘は心臓を鷲掴みにされたような衝撃に襲われた。
読むならどっちがいい?
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純愛
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凌辱