※この作品はR-18です。

女同士であろうがセックスしないとこの部屋から出しません   作:ハヤ0313

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セックスしないと出しません

 

 

 

 冒険者ギルド資料、確認済み神の試練一覧より抜粋

 

 

 

 

 

 セックスしないと出られない部屋。

 

 司るのは天神の楽神である。

 現在王国内では二部屋において発生が確認されており、試練達成による消失は確認されていない。

 

 試練内容は単純明快、性行為を行い部屋内より脱出する事である。

 

 

 以下に協力者による情報を記す。

 

・挑戦条件は性行為可能なヒト種二名の同時侵入。

・該当する部屋に侵入した時点で通常の手段での退室は不可能である。壁を含む室内の物質は破壊不可能となる。

・また、侵入時点での挑戦者の個体情報が記憶され、怪我、病気、空腹状況、等が侵入時点のものに適宜修正される。

・部屋内は時間の流れが非常に緩やかである。中にどれだけ滞在しても外ではそれほど時間がたっていない。扉の開閉がキーの様子。

 

・異性同士の場合

 膣内、もしくは尻内に射精を行う。

 口内射精では不可、手淫でも不可。

 確定情報ではないが、絶頂時のみ膣内、尻内に挿入しての射精では不可。

 恐らく体位の条件は無し。

 不能や不感症といったケースは未確認、危険なため実験は非推奨。

 

・男性同士の場合

 挑戦者の協力を得られず不明。

 

・女性同士の場合

 未確認。

 

 

 

・確認された加護の一例

 

・~~~~~~

・~~~~~~

・~~~~~~

:

:

:

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

††††††

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミアという少女は幸運であった。

 

 生まれて間もなく捨てられたにも関わらず、今の師に拾われて何不自由なく育てられた。

 いや嘘である、かろうじて五体満足な状態で育てられた。

 十にも満たない内に全身のアストラル体に魔術刻印を無理矢理刻まれ、後継者となるべく否が応でも魔術の全てを叩き込まれ、家事雑用は全て任せられ、傍から見れば虐待同然の状態であったが、一般的な孤児達に比べれば遥かにマシな環境で生きていられた。とりあえず風呂には毎日入れたし、ご飯も満足に食べる事は出来たし。苦しすぎる修行で吐き戻す事は日常茶飯事であったけれど。

 

 繰り返されるスパルタな教育のおかげで、ミアが齢十五となる頃には大人顔負けの魔術師となっていた。

 そんな折に、

 

「世界を見て回ってこい」

 

 などと師から言われれば従う他ない。逆らえばどのような仕打ちを受けるか分からないが故に。

 しかし自分達の住む師の工房と近くの村、それ以外の世界を知らない少女にとってそれは魅力的な指令であった。

 

 そうして、杖一本だけ持たされた状態で住み慣れた家を追い出された。

 無論、路銀を始めとした気の効いたものは一切無かった。ついでに旅の準備をする間も無かった。だが叩き出されたこのドアを開けて殴りかかってもあらゆる魔法で半殺しにされるだけだ。

 ミアは諦めた。

 

 

 

 とりあえず最初に向かったのは、食料等を買い求めていた近くの村だった。

 

「あらミアちゃんこんにちは。今度は何されたんだい?」

 

 これからどうすれば良いのか右も左も分からない状態で途方に暮れていると、いつも利用しているパン屋のおばさ、お姉さんが話しかけてきたため、これ幸いにと相談をする。

 

「はぁ、今回も大変な目にあってるねぇ」

 

 相談にならなかった。師の奇行は今に始まった事ではないため、いつもの事かと軽く流された。

 

 

 

 だがミアという少女は幸運であった。

 

 たまたま村に来ていた行商人が、次に向かう地が王都だという。世界を見回るのならばまずは人の多く集まる場所で色々体験してみるのも悪くないだろうとのこと。

 本来、人を運ぶ際は料金を取っているとのことだが、魔術士として護衛してくれるのであればタダで乗せてくれるとのこと。

 

 そういう事になった。

 

 

 

 なお、村を離れて数日したところで寝込みをその行商人に襲われた。

 無論暴れた。具体的には炎熱魔法で荷物ごと焼こうとした。土下座されて事なきを得た。

 いくら非力な魔術士とは言え、口を封じられていない状態ならば幾らでも反撃は出来る。魔術、詠唱魔術とはそういうものなのだが、十五歳という見た目はそれを忘れさせるものであったらしい。垢抜けていない少女の魅力にやられたとも言う。

 その後の旅は快適であった。なにせ元々この街道付近にはモンスターや盗賊が出にくい地域であるらしいし……護衛など要らない程であるらしい……ミアに割り当てられるご飯が気持ち程度ではあるが豪華になったからである。

 

 

 

 そうして、紆余曲折はあったものの王都へ無事辿り着く。

 まずは逃げるようにして別れた行商人から聞いた冒険者ギルドへ向かい、自分の能力を生かしつつお金を稼ぎやすい冒険者へ華々しくデビューしようとした矢先、

 

「転居届は出されておりますか?」

 

 出鼻を挫かれた。

 無論、師からも村長からもそのような物は貰ってもいないし聞いた事もない。というかそもそも捨て子であった彼女には戸籍すら無い。師は村長が手続きしているだろうと思っていたし、村長は師が手続きしているだろうと思っていたからである。

 つまり、ミアは住所不定無職の無い無いづくしだと判明した瞬間であった。

 

「王都にはどのように……行商人から、成程。入国審査は……隠れているように言われた、成程。その行商人の所属と名前は……分からないと、成程。出身は……孤児、成程。身元引き受け人は……育て親にして魔術の師匠、成程。その方は何処に……村に、成程。その村の名前は……し、知らない、成程」

 

 そうして、牢獄に入る事になった。

 罪状はとりあえず不法入国である、当然である。

 

 

 

 しかし、ミアという少女は幸運であった。

 

 魔術を封じる魔道具を使用するにあたって、アストラル体を含めた全身の刻印を確認されたが……その際の憲兵は女性であった。半泣きで安心した……隙間なくびっしりと刻まれた、異常とも呼べるアストラル体の刻印にドンび、驚愕された。

 

 そこからは質問攻めの嵐であった。

 身体に異常は無いのか、五体満足の健康体である。いつ頃に刻んだものなのか、幼少期である。本当に問題なく生きていられるのか、新しい刻印を刻まれる度に三日三晩寝込んだ程度である。え、何で生きていられるの、ご飯が美味しかったからでは。何を目的とした刻印なのか、地脈からマナを自身の座標に吸い上げるものを始めとした各種詠唱短縮のための刻印である。これがどんなにヤバ、凄いものなのか分かっているのか、超便利なものである。肉体の方には刻んでいないのか、お肌は大事って師が。等等。

 そもそもこの刻印はいったい誰の手によるものなのか、

 

「嘘でしょ⁉」

 

 師の名前を出しただけで非常に驚愕された、冒険者ギルドでは何も言われなかったのに。

 聞けば、幾つもの魔王と呼ばれる個体を撃破したパーティの一員であるとか、幾つもの画期的な論文を出していたとか、継承権は最下位に近いものの実は王女の一人であっただとか。十五年間も共に暮らしていたのに全く知らない情報ばかりであった。いやそもそもあの育ての親にしてクソ師、素晴らしき師匠が王女様だとかミア自身が嘘だと叫びたかった。

 

 そうして、紆余曲折があったものの特例によりミアには戸籍が与えられる事になった。

 出鼻を挫かれた彼女であったが、これで問題ないだろうと意気揚々と冒険者ギルドへ向かう。

 

「では履歴書を」

 

 りれきしょ。

 無論、書き方など知る訳もない。因みに受付は転居届を求めたあのお姉さんであった。超冷たい。

 しかし憲兵から持たされた書状を渡すと態度が軟化する。憐れんでる様子も見えたのだが一体何が書かれていたというのか、ミアは気にしない事にした。

 

「……うん、履歴。貴女が生まれてからどういう仕事とかをしていたとかそういうの。生まれは、あぁごめん聞いたよね。えっとその後は……は? 魔術の修行だけ? え、村とかで何かこう、護衛とか狩人とか……な、何も、してない。じ、実戦経験は? 師匠と命懸けの修行を毎日。それだけ。な、成程?」

 

 厳密には日々の食料のために鳥や猪を狩ってはいた。しかし自分達の分しか狩る事はなかったし、村人のために動くという事もしなかった。そんな余計な暇があれば魔術を勉強したり殴り合いじみた魔術合戦をするべきだという師の教育方針だったからである。

 流石にこのままではマズいと気付いたから世界を見て来いと命じたようだが、もう少しなんとかならなかったのかと思わざるを得ない。だが師は雑であった、仕方ないのだ。

 

「う、うーん……ちょっと、うーん……」

 

 腕組みをして悩む受付嬢。実力の程は分からないが高名な魔術師の弟子、しかも名前を騙る偽者じゃなく本物、らしい。しかし実戦経験はお師匠さんとの修行だけ、特に職歴も無い、加えて冒険者の一般的知識も無い、一般常識はかろうじて有る……村のおば、お姉様方に色々教えられた……はっきり言ってお荷物である。後(・)衛(・)職(・)で(・)あ(・)る(・)魔(・)術(・)士(・)が活躍出来る場所と言えばクランだが、どこかに加入出来ればなんとかなるかもしれないものの、こんな地雷をどこも受け入れるとは思えない。

 

「どうした、田舎モンが何か厄介事か?」

 

 受付嬢がどうしたのものかと頭を抱えていると、ミアの後ろから男が声をかけてきた。

 振り返るとそこには長身で強面なスキンヘッドの男、顔に傷とかもあった。

 

 ミアは怖すぎてついに泣いた、童女のように泣き喚いた。

 そりゃそうである、慣れない王都で知らない人達から冷たい対応をされたり頭のおかしい人扱いされたりしたところにオーガのような大男の出現である、誰でも泣く。

 

 

 

 だが、ミアという少女は幸運であった。

 受付のお姉さんがなんとか宥めつつ大男に事情を話すと、

 

「仕方ねぇな。うちには腕は確かだが頭のおかしい連中だらけだし今更だ。コイツを引き取ってやってもいい。だからその……泣くな!頼むから!」

 

 そういう事になった。

 

 

 

 

††††††

 

 

 

 

 

 初めはやはり右も左も分からず失敗続きであったが、変人ながらも面倒見の良いクラン員達から教えを受けて……いらん事も色々教えられてしまったが……冒険者としてすくすくと成長し、異常とも呼べる修行や完全に異常な刻印魔術のおかげか、王都に来てから三年が経つ頃にはなんとベテランと比べても遜色のない働きが出来るようになっていた。

 採取や魔物駆除、護衛等を通し、世界を見て回る事も出来た。この辺で一度帰郷して師に報告するべきだろうか、いやあんなクソみたいな環境に戻るとか勘弁してほしい、それよりもこのクソダサローブを買い換えたい等と考え始めた矢先の事である。

 

「緊急依頼だ」

 

 クラン大鷹の鉤爪のリーダー、ドミニクから指令が下された。

 因みに某リーダーの容姿のせいでハゲタカという俗称で通っているのを聞いてから暫くまともに目を見て話せなかった。今でも視線を上に向けられない。

 

「プレス男爵は知っているな?そこのお嬢様が誘拐された」

 

 以前に何度か依頼をこなす中で懇意になった男爵家。そこのキレイなお嬢さん、確か名前はルイーサとか言ってた、という事をミアは朧げながら思い出した。黄金色のロングヘアーが印象に残っている。あと胸が大きかった。

 なんでも、他国のご友人のところへ遊びに行った帰りを襲撃されたらしい。男爵家の護衛はついていたものの、不意打ちにほとんどの人員が死傷、なんとか生きていた者が死に物狂いで知らせに来たという。

 

「今斥候を出しているが、俺達も追いかける。お前も来い」

 

 人員は先行している斥候のジーク丸と、この場にいるドミニク、ミアの三人だけだという。思わず無茶だと叫びそうになったがリーダー曰く、

 

「他の方面にも人員を割いている。男爵家の私兵が後から来るが、まずお嬢様の身柄を最速で確保しなければならん。傷物にでもされたら大事だからな」

 

 とのこと。迅速さを求めるが故の少人数らしい。にしても危険過ぎると言いたかったが、

 

「大丈夫だ。お前さえいればなんとかなる」

 

 とのこと。慈悲は無いのである。

 それに本人的には過剰評価であったが、前(・)衛(・)と(・)し(・)て(・)も(・)働けるミアはクランでも随一の魔術の使い手であり、数人分の働きをするとクラン内で専らの評判である。

 

 そういう事になった。

 

 

 

 やはりミアという少女は幸運であった。

 

 いくつか目星をつけた野盗団のうち、ミア達が追いかけた集団がまさにプレス家の令嬢を攫った本丸であったのだ。

 その場所は王国第三号ダンジョン。既に踏破済みで危険なモンスターが居ないそのダンジョンは、人も冒険者も寄り付かない場所であった。そこを突き止めた斥候曰く、

 

「拙者の聞き込み術のおかげでゴザルな」

 

 とのこと。

 なおこのジーク丸、極東の島国への憧れが異常に強いだけで、金髪碧眼で生まれも育ちも生粋の王国民であるし、本名はただのジークである。極東の島国なんて頭のイカれた野蛮人の集まりと名高い国であるのに酔狂な事である、ハラキリとかマジヤバイ。

 

 馬を酷使し第三号ダンジョンへ辿り着いた時には既に深夜であった。

 

「《起動(規定呼出)》《ソル(迷宮用光源発現)》」

 

 僅か二節で発光魔法を唱えるミア。

 その灯を頼りにダンジョン内へ赴くと、確かにそこには人の出入りした痕跡があった。静かに、しかし急いで探索を続ける一行。

 そんな矢先、歩哨とばったりエンカウントした。お互いにびっくりである。

 

 そこからは乱戦の始まりである。

 大声で仲間を呼ぶ盗賊、声を出した瞬間に両断したドミニク、曲刀で新手を牽制するジーク丸、後方から援護するミア。僅か三人と言えど、幾多の経験を共に積んできたその連携は完璧なものであった。ダンジョンの奥から増援が来たとしても一瞬でなぎ倒されていく。

 

「こ、コイツがどうなってもいいのか⁉」

 

 そんな追い詰められた盗賊が取った手段は人質だった。全身をグルグル巻きにされた令嬢に対し盗賊は剣を突きつける。

 

「へっ、へへへ。そうだ、武器を捨てろ、全員だっ!」

 

 

 

 

 

 拐われた令嬢、ルイーサは絶望していた。

 

 むくつけき男共に強襲され護衛は殺されて、拘束された状態で連れてこられたのはダンジョンの中。他国へ売り飛ばされるような会話がなされていて、どうやら手は出されないようではあるものの、いつ彼らの気が変わって貞操を奪われるか気が気でない。いやそれ以前にこの状況自体が現実感がなく、ただただ恐ろしい。

 

 下卑た会話が周りで為されていた時、不意に騒がしさの種類が変化した。

 泣き腫らしていた目を上げてみると、そこには禿頭の大男と全身黒装束の男。どう見ても盗賊の親玉とその参謀である。彼らが手を出さなかったのはきっとこの男を待っていたからだ、自分の純潔はきっとこんな所で失ってしまうのだ。

 と思い込んでいたのだが、想像していたものとは真逆の存在、救援であった。振り回される大型のメイス、乱舞する曲刀、通路の奥から飛んでくる魔法……見えないがもう一人いるらしい……彼女の目には王国騎士団にも勝る祝福に見えた。

 

 だが、そこで無慈悲にも自分に剣が突きつけられた。

 あぁ、ダメだった、たったの三人がこんな人数に敵う筈もなかった。彼らは殺されてしまう、自分も助からない。

 

「《ダブル(規定二連限定呼出)》《励起(肉体魔法発現擬似縮地)》」

 

 そんな時、短い文言が微かに聞こえた。

 

「《リンク(魔道具接続)》《ツー(炎杖二番炎刃顕現)》」

 

 次の瞬間、自分に突きつけられた剣は消え、代わりに耳障りな断末魔が響く。

 

「《起動(規定呼出)》《リンク(魔道具接続)》《ウノ(炎杖一番火炎形成)》《ソリト(いつものでよろしく)》」

 

 炎の刃で盗賊の腕が焼き切られたのだと理解した瞬間には、既に周囲は火の玉が舞い踊っていた。

 

 その目に映るのは漆黒。魔女の象徴である黒い三角帽子に黒いローブの後ろ姿。悲痛な叫び声が響くたびに、現実が追いついてくる。

 日頃から白馬の王子様が迎えに来てくれないかと想像していた事はある。今この瞬間も白馬に乗って助けに来てくれる筈と現実逃避もした。

 

 しかし、そんなものはもうどうでも良かった。今、自分を助けてくれた、この少女こそが、黒衣の魔術士こそが。

 

「もう大丈夫ですよ」

 

 彼女の白馬の王子様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、ルイーサ嬢……」

「はいっ! なんでしょう!」

 

 盗賊団の殲滅が終わった。

 しかしダンジョン外に出ている残党がいないとも限らない。一行は早々に救助対象と共に引き上げようとしていた。

 

「……もう大丈夫なんで、離してくださいませんかね」

「嫌です! あっ、いや、その……そう! まだ怖くて……」

 

 が、拘束を解いた瞬間からミアにしがみついたルイーサが離れない。どうやら鮮やかな救出に感極まってしまったらしく、苦しい言い訳をしてまで離れたくないらしい。

 そりゃ絶望の淵にいたところを格好良く救われてしまったのならば、同性だろうが惹かれてしまっても仕方ないのである。当然なのである。

 ……一応補足しておくが、ミアは特別男性的であるとか中性的であるとかではない。鳶色のボブヘアーな可愛らしい女の子であるし、胸もそこそこある。

 

「嫌も何も……」

「あのですねお嬢様、とっとと引き上げないと危険でして……」

 

 ドミニクの言葉に渋々離れるルイーサ。

 いや指先でミアのローブの端っこを掴んでいる、いじらしい。

 

「……あの、ルイーサ嬢」

「こっ、このくらいなら、ダメですの……?」

「うっ」

 

 ルイーサは同性であるミアがキレイであると認める程の美少女である。そんな存在から目を潤ませて見られては、言いたい事も言えなくなるのは当然である、仕方ないのである。

 動揺するミアが助けを求めるも、男共は見ないフリをしていた。

 

「俺が担いでいくのは無理そうだな」

「あのお嬢さん、走れるでゴザルかな」

「無理だろ」

「でゴザルよなー」

 

 いや撤退方法について話合っていた、狼狽えているだけのミアと違ってちゃんと仕事してるのである。

 

「ちょ、あの」

「ミア、お嬢様は任せた」

「えぇぇ」

 

 本来ならば、ドミニクが背負って即撤退という予定であった。

 しかし、盗賊団が予想よりも遥かに弱小であったし、その、ミアを見つめる目がどう見ても本(・)気(・)であったりした事から、計画は変更される事となった。現場は臨機応変なのである。

 

「……はぁ、分かりました。ではルイーサ嬢、離れないようについてきてくださいね」

「はいっ!」

 

 溜息をつきつつ、ミアは諦めた。

 そうして、ジーク丸、ドミニク、ミア、ルイーサの順でダンジョン奥にあった小部屋から出

 

 

 

“神の試練であるー。見事突破してみせよー”

 

 

 

 ミアという少女は幸運であ(・)っ(・)た(・)。

 

 

 

 

 

††††††

 

 

 

 

 

「くそっ! 何だこのドア開かねぇぞ!?」

「鍵穴すら無いでゴザルな……」

 

 ドミニクとジーク丸は焦っていた。突如後続の気配が消えたかと思いきや、そこには今まで無かった筈の扉。

 

「ダンジョンのトラップがまだ生きてやがったの⁉」

「だとしたら……まずいでゴザル」

 

 トラップであったのならば、中に残されてしまった二人がどのような目に遭っているのか。

 ただ閉じ込められているだけならばまだしも、嫌な想像が頭をよぎってしまう。

 

「む、リーダーこれを」

「……これは」

 

 だがその想像は不要な心配であった。

 ジーク丸が指し示した場所には文字が、神々が使用する文字が彫られていた。

 魔術知識の乏しい二人には解読する事が出来ない。だが、こ(・)れ(・)が何であるのかは二人とも知っている。

 

「神の試練、だと……」

 

 神の試練。

 神々が信徒に対して試練を課し、それを突破した者には加護が与えられるという。

 冒険者を続けていれば誰もが知っているものであるが、実際にそれを攻略できた者は少ない。それほど希少なものであるし、苛烈な試練内容であれば命の危険すらある。

 だが神の試練とはそうそう突然出現するものではない。大抵は神殿であるとか、神に所縁のある場所でよく見られる現象であって、このように何の変哲もない場所にポンと出るものではないのである。

 

 ダンジョンは迷宮神の管轄であるが、ダンジョン自体がその神の試練である。

 最初はトラップかと焦ったものの、この王国第三号ダンジョンは既に踏破済みであるためそもそも試練としての機能は既に失われている。そのため、この試練はまた別の神のものであると想像できた。

 

 彼らには一柱、心当たりがあった。

 

「……こんな急に発生する試練となると」

「楽神、でござろうなぁ……」

「……だよなぁ」

 

 楽神。

 娯楽を司る神……と言えば聞こえが良いが、楽しそうな事であればなんでも良いというのが信条のはた迷惑な神である。それ故に、この神の担当する試練はそれはもう面白おかしい内容になる事が多く、その性質上致死率は極端に低い。過去には全裸で王国首都を一周する試練とかあった、挑戦者は社会的に死んだ。

 また、サプライズが大事という信念があるのかは分からないが、何もない所にポンといきなり試練を設置したり、無駄に神託を下して強制的に参加させる事もある。全裸首都一周の挑戦者は後者であった、むごい。

 

 つまり、普通はこのような急な出現は有り得ず、ドミニク達はこの扉の字は解読できないものの、このような状況下での急な出現ならば楽神の試練であると判断する事が出来た。

 

「……なら、無事は確約されたが、その、なんだ」

「ロクな目に遭っていないのは間違いないでゴザルな」

 

 

 

 その扉には、

 

“セックスしないと出られない部屋”

 

 そう記されていた。

 

 

 

 

 

††††††

 

 

 

 

 

「は?」

「あら?」

 

 部屋を出ようとした二人の目の前が突然遮られる。

 

「くっ!《起動(規定呼出)》《リンク(魔道具接続)》《盾(指定・タリスマン)》《スフィア(起点指定球形結界発現)》!」

 

 ダンジョンに残された罠が起動したのかと、ミアは即座に結界を張る。

 

「な、なんですの!?」

「閉じ込められました、結界から出ないでください」

 

 ダンジョンとは迷宮神の試練である事から悪辣な罠が多い。閉じ込めた後に水が満ちたり崩落したり、毒ガスが蔓延したり、強大なモンスターが召喚されたり。

 戦闘員は自分だけであるからこそ、なんとか生き延びてルイーサ嬢を守らなければならないと握る杖に力が篭る。だが、

 

「…………」

「…………えっと」

 

 何も起きない。

 

「…………」

「…………その、何が起きましたの?」

「……何も起きませんね」

 

 結界の効力が無くなるほど充分に時間を置いても何も起こらなかった。

 構えていた杖をようやく下げ、溜息をつく。

 

「ダンジョンの何かしらの罠が起動したと思ったんですが、閉じ込めるだけだったようです」

「そう、なんですの?」

「まだ分からないですけどね……さて、出口を壊すかなに、か、して……」

 

 そこでミアは見てしまった。扉に書かれた文言を見てしまった。魔術士である自分には分かるそれを見てしまった。

 

 

 

“セックスしないと出られない部屋”

 

 

 

 何の冗談かと思った。直後、閉じ込められる直前に脳内に響いたあの言葉を思い出す。

 ミアは迷宮神の試練が新たに起こったのかと思っていた。だがしかし、こんな、こんなアホな事をかの神がする筈が無い。しやがるのは一柱しか思い至らない。

 

「楽神の……試練……」

「楽神様の、試練?」

 

 冒険者ではないルイーサには聞き馴染みが無かったらしい。

 ミアは嫌な顔を出来るだけ見せないようにして、重苦しい声で説明をした。無論、セックス云々の事は伏せた。

 

「……とまぁ、死傷率の少ない、最も安全な試練を課す神として有名です」

「じゃあ、その、安全ですのね?」

「……まぁ」

 

 ミアは玉虫色の返事で誤魔化した。

 確かに安全である、安全の定義次第ではあるが少なくとも肉体が損傷するような危険性は無い、皆無だと既に判明している。扉に書かれた文言通りの試練ならば。

 

「ミア様?」

「あぁすみませんボーっとしてしまって……というか様付けはよしてくださいよ」

「なりません。私(わたくし)はミア様に救われたのですもの」

 

 ドミニクやジーク丸も居たんだけど、という言葉は貴族の御令嬢とは思えないほどの意思の強い視線に遮られた。

 

「それに、ミア様もルイーサ嬢なんて呼んでるじゃありませんか。ルイーサ、と呼んでくださいな」

「いや、それはちょっと……」

 

 その上で呼び捨てを要求されたがやんわりと拒否をしておいた。

 

「むぅ……それでミア様? どうすればここを出られるのでしょうか?」

「……試練を、突破すれば、良いんですが……」

「成程」

 

 苦々しく、言った。

 なんせセックスしないと出られない部屋である。楽神のふざけた試練の一つであると、冒険者ギルドで確認済みの試練一覧を調べていた時にミアはそれを見つけていたから既に知っている、マジだと。

 その時調べた限りでは、王国内で既に二例確認されているらしい。この度めでたく三例目であるし発見者である。何もめでたくない。

 

「……何か、お困りなのですね?」

「えぇまぁ……はい」

 

 要救助者に対して弱ったところを見せるのは良くない事だと分かっていたが、ミアはこれ以上ない程に戸惑っていた。

 

「ミア様」

 

 ルイーサ嬢と、するのかと。

 だが実際に部屋の扉は開かないし、あの頭の悪い説明文を読んでも内容は変わる事はない。

 

「私に力になれる事があったら何でも仰ってくださいませ」

「何でもって……」

 

 セックスである。

 いやそういう訳にはいかない。なにせルイーサは貴族令嬢、いくら本人がミアの役に立ちたいからと積極的になろうが冒険者風情がセックスして良い相手ではない。いやそもそも女同士でやるものではない。ないのだが、一応、一応確認しなければならない事がある。

 ミアは諦めた。

 

 

 

「ルイーサ嬢、セックスって、ご存知です?」

 

 

 

「セッ……?」

 

 ミアは天を仰いだ。

 ミアが冒険者になった位の年頃に見えるのに、案の定純粋培養された何も知らないお嬢様であった。なおミアも当時は世間の事を何も知らなかったので人の事は強く言えない。

 

「あー……子作りの方法って知ってます?」

「こっ⁉ ど、どうして今それを⁉」

「あーなるほど、セックスは知らないけど子作りの概念は知ってる、と」

 

 ルイーサが受けた教えは、男女の協力の元なんやかんやで子供を作るというふわっとしたものであったが、そもそも男と何かをする事自体が慣れておらず、何やら如何わしいものであるという認識らしい。

 ハードルが少し下がったのにホッとしたミアだったが、いやそもそもそんな事はしてはいけないと思い直す……ものの、しなければこの部屋を出られないと思い出し、また苦悩し始める。

 

 

 

「あー……あー、うん。オナニーって知ってます?」

 

 

 

 苦悩した結果、どれほど性知識があるかを知ろうとして、ブッ込んだ。

 

「オナっ⁉ し、知りませんわ!」

「あー……」

「そ、そんな目で見ないでくださいまし⁉」

 

 知ってるらしい。

 

「あのですねルイーサ嬢。ここが神の試練であるのはお伝えしました通りなんですけど、その試練がセックスなんですよ」

「は、はぁ……」

「セックスってオナニーの延長線上みたいなものなんですよ」

「なっ⁉」

 

 だいたい合ってる、間違ってはいない。

 

「つまり性的な事をしなければここから出られません」

「それは……その、お、おな……ォナニー、を、という事ですの」

「いえそうではなく……あぁもうどう説明したらいいものやら」

 

 貴族令嬢という別世界に生きる人種にどう説明すればいいのか、そもそも説明してもいいものなのか、いや説明しなければならないのだ。

 ミアは諦めた。

 

「ルイーサ嬢」

「は、はい」

「これから性教育を行います」

 

 色々諦めた。

 

 

 

 

 

「それでは性教育に先駆けまして、オナニーとはどのようなものなのかご存知なんですよね?」

「しっ、知りませんわ」

「どのようなものかご存知なんですよね?」

「そ、そのっ……」

「ご存知なんですよね」

「うぅぅ……は、恥ずかしい事、ですわ」

 

 畳み掛けるようにして問うミア、鬼畜である。

 

「ルイーサ嬢、まずその認識は少しだけ違います」

「えっ? でもお母様が恥ずべきものだ……」

「少しだけ、と言いましたでしょう? 人に見られたら恥ずかしい事ではあります。秘すべきものでもあります。しかし、女の子なら皆やっている事で、オナニー自体が恥ずかしいもの、いけないものという訳ではありません」

 

 ガチ性教育が始まった。ミアは恥という概念を捨て去っている、無敵である。

 

「で、でも……」

「オナニーなら私もしてますし」

「みっ、ミア様も⁉」

「はい」

 

 ルイーサよりも年上とはいえミアも年頃の娘である。そりゃ持て余す時もあるのである。

 

「私は週にご、っほん。一、二回してます」

「そ、そうなんですの……」

 

 む(・)せ(・)た(・)。

 

「ルイーサ嬢は……家族にしている所を見られて怒られたとかそういうのでしょうか」

「何故それを!?」

 

 当てずっぽうではあったが正解であったらしい。

 因みにミアは師から目撃されてしまったが、生暖かい目で見られた挙句、次の日に性教育を叩き込まれた。要らんことまで叩き込まれた。男同士とか女同士とか普通じゃない事まで叩きこまれた。そんな事よりも他の有用な知識を与えてほしかった、いや今になって活きてきているが。

 故に、普通は女同士でやる事ではない事を、知ってはいる。だが、今はやらなくてはいけないのだ。

 

「どうなんです?」

「その……お股をですね……」

「はい」

「こう、テーブルなどに押し付けていると、その、気持ちよくなる事に気付きまして……」

「……はい」

「ところ構わずやっていたら、うぅ、お母様に見つかって……」

「…………はい」

「そんなはしたない事してはいけません!と烈火の如く怒られまして……」

「………………はい」

「イケナイ事なのだと、知りまして、それが、オナニーという行為と、教わりました」

「……………………はい」

 

 そこまで言えとは言っていない。

 というかその時に諸々性教育してくれプレス家の奥方、とミアは再度天を仰いだ。

 

「まぁ、良いです。で、所構わずしてたって事は、気持ちよかったんですよね」

「……はぃ」

 

 消え入りそうな声で肯定するルイーサ。育ちが良過ぎるせいか、意味は分からなくとも恥ずべきものという事だけでとても恥ずかしくなってしまっているようだ。

 

「大丈夫です。それが普通なんです」

「そう、なんですの……?」

「えぇ。皆少なからずやっているものです」

「そう、なんですね……!」

 

 もしかしたら、恥ずべきものを自分だけがやっていた、という罪悪感にも似た感情を抱いていたのかもしれない。誰でもやっているというミアの言葉に、ようやく表情を明るくしてみせた。

 

「で、自分でする気持ちいい事がオナニーだとすると」

「すると?」

「お互いに気持ちいい事をするのがセックスです」

「……つまり、二人でオナニーする、という事ですの?」

 

 ミアは再三天を仰……ぎかけて、ふと思った。

 いけるんじゃね、と。

 

 師の教えの中には自慰の見せ合いという、なかなかマニアックなプレイがあるというものも含まれていた。なんという事を教えるのだと今になって思うものだが、そういうプレイなのであればそれはセックスと見做されるのではないかと思った。

 

「それ……もセックスですね」

 

 セックスとは何なのだろう。

 

「そう、ですの……でもそれがミア様のためとなるのであれば!その、恥ずかしいですけど……私セックスいたしますわ!」

 

 そういう事になった。

 

 

 

††††††

 

 

 

「さて……」

 

 が、初手で躓いた。

 どないせっちゅーのだ、ミアは内心超焦っていた。

 というか冷静に考えてオナニーの見せ合いとか頭が沸騰するほど恥ずかしい。というか頭がおかしいのではないか。

 

「あの……」

「はい?」

「その、どうすればいいのでしょうか」

 

 ど(・)う(・)すれば。

 一呼吸置いてミアは思い至った、このお嬢さんは角オナしかした事がなかったのだと。この部屋の元はダンジョンである。テーブルであったり、手すりであったり、そういう擦りつけるようなものは存在しない。

 ならば指で行うオナニーを教えるべきだろうか。いやそんなものを教えたらプレス家の面々に殺される。

 

 この杖に擦りつけて、いや流石にそれは嫌だ。一応商売道具である。

 道具を入れていたバッグ、ダメだ部屋の外にある。

 出口の扉についているドアノブ、ダメだ位置が高い。

 

 あらゆる手段を思いついては消去していき、

 

「じゃあ、私の足にでも……」

 

 なかなかイかれた事を提案した。

 ミアは存外短気であった。難しい事とかあまり考えられないのである。

 

 

 

 纏っていたローブを脱ぐと、白いブラウスに赤いフレアスカートと、今までの魔術士然とした姿とはかけ離れた装いが現れる。三角帽子や杖といった装備を傍へ置き、脱いだローブを床へ敷いてその上に座ると、ルイーサを手招きした。

 

「どうぞこちらに」

「えっ、そんな、いけませんわ……」

「いいですから」

 

 ミアはもう色々諦めていた。

 

「……じゃあ、その、失礼いたします」

 

 纏っていた濃紺のドレスを軽くたくし上げ、ミアの健康的な太ももに跨るルイーサ。

 

「重く、ありませんか……?」

「っ!?いや、その、軽いくらい、です」

 

 ドレスの色とは対称的に、日光に汚されていない白磁の肌が裾から垣間見える。その足の付根が、下着越しとは言えどふにょんとした感触が、ある程度の重量を持ってミアの太ももに着陸した。

 ミア自身、女同士でじゃれつく事はあったが人のそんなデリケートな場所は無論触った事はない。自分のものを触った事は何度もあれど、その感触につい息が詰まってしまった。

 

「ミア様は、どうされますの?」

「うぇっ⁉」

 

 全神経が太ももの極一部に集中しているのではないかと思うほどそ(・)こ(・)に気を取られていたミアであったが、ルイーサの言葉に我に返る。

 

「私だけ使わせていただいてもミア様は……」

「あぁいや自分のゆ」

「そうですわ! 私の膝をお使いください!」

 

 自分の指を使うから問題ないと伝えようとするも遮られ、まるで名案を思いついたとばかりに明るい声で宣言される。

 

「こう、かしら」

「……っ」

 

 訂正しようとアタフタしていると、ルイーサはもぞもぞと自分のお尻の位置を調整し、膝をミアの股間にちょうど当たるよう押し付けた。

 とんっ、という軽い衝撃に息を呑む。無論ミアは人からされる事など無かったし、触られる事さえ無かったが故に緊張が走る。

 

「で、では、始めますわね……!」

 

 ミアが地味にテンパっているのを余所に、ルイーサが動き始めた。だが、

 

「んっしょ……ん、しょ……」

 

 何の支えもなくミアの太ももでそこを擦るのは難しい様子で、その動きはぎこちないものであった。

 だがそれでも懸命に腰を動かす姿にミアは疑問を抱く。どれだけ劣情が溜まっていたのだろうと妙な勘違いさえした。

 

「気持ちよく……ならなければ……!」

 

 しかし、ルイーサの呟きにその考えは霧散する。

 何故こんなに懸命になっているのか、試練の突破、この部屋からの脱出。

 散々諦めたつもりになって試練に挑もうとしていたのに、これでは立場が逆だ。自分が救われる側になってどうする。ミアは強く自責した、が、分からない事がある。

 

「……ルイーサ嬢」

「は、はい!」

「何故、そんなに、その、頑張れるんです。貴女は巻き込まれた側でしょう?もっと、悲観的になっても構わない筈です。なのに……」

 

 なのに何故、この頭のおかしい試練に向き合って頑張れるのか。

 

「……?」

 

 一瞬何を言っているのか理解できない顔をしたルイーサであったが、

 

「だって、これがミア様のお力になれる事なのでしょう?」

 

 平然と言い切った。

 

「いとし、もとい、命の恩人のミア様に報いるために、私、頑張りますから!」

 

 小さな力こぶを作って、真剣な顔で言い切った。ルイーサはただ単純に恩人である(一目惚れした)ミアの役に立ちたい、その一心であったのだ。

 何が戦闘要員の自分が頑張らなければならないだ。何故この行為が恥ずべきものなのかをちゃんと理解していない御令嬢が頑張っていて、何故自分はいつまでも躊躇しているのか。

 

「……ルイーサ嬢」

 

 ミアは諦め、

 

「私の肩に掴まってください。そうすれば少しはやりやすいでしょう」

 

 いや、ようやく本気になった。

 

「えっと、その……じゃあ、失礼いたします」

 

 ミアの指示に少し面食らった様子であったが、恐々とその手を伸ばすルイーサ。

 

「こっ、こんなにも近いと、気恥ずかしいですわね」

「こうすれば色々しやすい、でしょう?……気恥ずかしいのは、ほら、これからもっと恥ずかしい事をお互いするんですから大丈夫です」

「もっ⁉」

 

 二人の距離は必然的に縮まる。抱え上げたような距離よりは遠いし、勢いで抱きついた時には及ばないものの、冷静に考えると異様に近い距離。その距離感に赤面するルイーサであったが、安心させるように微笑んだミアの言葉に更に赤面してしまう。

 

「あとお尻の位置をもっと……そう、私の膝に乗る感じで」

「こう、ですの……んっ……」

 

 ミアの指示に素直に従うルイーサ。すると今まで柔らかな太ももとは異なる硬質的な感触が下着越しに伝わり、軽い吐息が漏れる。

 

「そうです……膝はもっとこっちに」

「はっ、はい」

「……っ」

 

 とんっ、と先程よりも強く当たる膝。驚きで漏れてしまった先程とは異なり、湿度を持った息がミアの口からこぼれた。

 

「では、この状態で……そうですね、上下してトントンってしてみたり、前後してグリグリってしてみてください」

「はい!」

 

 恩人の役に立ちたいという健気さ、自分の言う事を聞き入れその通りにする素直さ。正に良い子であるルイーサの姿に、ミアは次第にかわいさを覚えるようになり、自然と口調も優しくなっていった。

 それと同時に、抱いてはならない気持ちであると分かりつつ、この子が気持ちよくなったらどのような表情をするのだろうと少し興味を持った。

 

「では、いたしますね……んっ」

 

 ゆるゆると、腰が前後に振られ始める。

 やはり最初はぎこちなさが目立ったものの、ミアの肩に置いた手に体重をある程度かける事を覚えると、少しずつその動きはスムーズになっていく。

 

「はっ……ぁ……」

 

 大きくも激しくもない前後移動であったが、僅かな衣擦れの音と共にルイーサの口からは熱をもった吐息が溢れ始める。目を閉じて、口を小さく開け、気恥ずかしさで耳まで真っ赤な顔。

 同性であるミアから見ても、とても可愛らしい姿で思わず見惚れてしまっていた。

 

「ん……ふっ、ぁ……」

「……っ」

 

 そんな姿に惚けていると、ルイーサが前後する度にミアの股間に、とんっとんっ、と小さな衝撃が走るようになっていた。ルイーサの動きに連動して、ミアのあそこに膝が押し付けられている。

 その事実にミアは思わず苦笑した。これでは本当にセックスしているようだ、と。

 

「どう、されました……っ?」

「んっ……いいえ、ただ単にルイーサ嬢はかわいいな、と」

「なっ⁉ そんなこと……んっ!」

 

 突然の褒め言葉に硬直するルイーサ。しかし新たな動きが彼女を翻弄し始める。

 

 肩を貸しながら自身の両脇に手を突くミア。その状態ですぐ目の前にある丸みを帯びた固いものに対して腰を押し付けると、それと同時にミアに貸している膝も動いて、ルイーサの秘裂を擦るような形になっていた。

 

「ぁっ……やだ、はしたない声が……っ!」

「はっ、ん……もっと、出してください。きもちいい事に、集中、して……っ」

 

 ルイーサの表情を見ながら慎重に腰を前後させるミア。

 ミアが腰を前に出すと、とんっ、と秘裂の上部にある蕾に軽い衝撃が走り、後ろに引くとそこがジンジンと熱を持って、もっともっととせがむ。

 だが、今はルイーサをもっと気持ちよくしてあげたい、そう思って優しく、丁寧に動かし始める。

 

「はぅっ……んん……うぅ……」

「んっ……はっ……んー……?」

 

 リズミカルに一度動かしてみたがルイーサの反応は鈍い。

 

「ぁ……んぁっ……やぁ……」

 

 ならばと腰を出して、止めて、引いて、止めて、また出して、ゆっくりと前後させてみると反応は劇的に変わった。

 どこか苦しそうだった吐息がどこか安心したような、快感に集中するようなものに変わる。

 

「ふぁ……んっ! んぅ……っ!」

「んっ……んっ……んっ……」

 

 単調な動きをゆっくりと繰り返すミア。だがそれがいいのか、ルイーサの反応はどんどんと高まっていく。ミアは自身の膝と自身の下着に、少しずつ湿り気が出てきたのを自覚する。

 

「ほら、ルイーサ嬢。んっ、動きが、止まってますよ?」

「は、ぁ……ごめんな、さい……んぅっ」

 

 ミアの動きがもたらす快感に浸っていたルイーサであったが、指摘に我に返り、自身も前後に緩やかに動き出す。

 互いに前後する腰と膝。初めは同時に動いたりしてうまくいかなかったが、互い違いに動いたり、緩急をつけたりと、次第に息の合った動きをするようになっていった。

 

「ひぅっ……ぁ……ん……っ!」

「ふっ……んっ……は、ぁ……」

 

 二人の小さな抑えきれない吐息が響いていた室内には、いつの間にか小さく、くちっ、くちっ、と動きに合わせた音が混じり始めていた。発生源はミアの膝、ルイーサのドレスで隠されたその奥。

 何度も何度も擦り合わせていくうちに、身体が快感を受け入れる状態になり、何人も許していないそこが徐々に解れていく。いつの間にか下着を貫通するほどに濡れそぼっていたあそこが花開いて、膝と擦れる度に、溢れ出た愛液がもたらす音であった。

 

「ルイーサ嬢、きもち、いい?」

「はぃ……んぁっ……いい、です……んっ!」

 

 ミア自身も濡れているのを自覚はしていたが、今はこの緩やかに刺すような刺激に身を任せて、自身の上でかわいく声を漏らすルイーサがどうにも愛おしく思えて、自身の快楽よりも相手の快楽を優先したかった。

 

「よかった……ほら、もっと気持ちよくなって?」

「ひぁっ⁉」

 

 今までは真っ直ぐ伸ばしていた足を、軽く曲げて、ルイーサに対して押し付けると、今までで一番大きな声を響かせた。

 そのまま、膝を小さく上下させると、前後していた時とさほど変わりない振れ幅の筈なのにルイーサはより大きく反応する。

 

「んんっ! つよく、あたってぇ……んぅっ!」

 

 ミアの肩を掴む手に力がこもる。

 ルイーサは片手を口元へ持っていき、はしたない声を少しでも抑えようとする。

 

「ダメです。もっと、んっ、聞かせてください」

「やぁっ、そんな……あぁっ!」

 

 だがその手はミアによって外された。

 そのまま指を一本一本絡め合わせ、声を出さない事を禁ずるミア。ルイーサはイヤイヤをするように首を振るが、気持ちよさに高まってきており腰の動きを止めることが出来ない。

 

「はぁっ……んんっ、んぁっ……!」

 

 美しい顔が快楽に歪む。キレイな女の子は感じている表情までキレイなんだなとミアは場違いな感想を抱いた。

 曲げられた膝はルイーサの秘部に強く押し当たり、存在感を増してきた蕾が秘所ごと押し潰される。

 

「これ……いつも、の……ぁんっ!」

 

 いつしかルイーサの動きは激しくなっていた。

 身体の準備が整い、自身が快楽を貪っていた時の動きへ、身体を上下させて上から押し当てるようにした動きへと変わっていっていく。

 それに伴い、ルイーサの膝の動きが変化する。前後して押し付ける動きから、押し付けたまま抉るような動きへ。

 

「んぁっ⁉」

 

 ミアの蕾にトントンと刺激を与えていたものが、こちらも押し潰すような動きになった事で刺激が強まり、余裕でいた筈のミアもついに明確な嬌声をあげた。

 

「だめぇ……! ひぅっ、ぅあっ! あぁっ!」

「んぅぅ……っ! ちょ、んっ、あっ!」

 

 せめて膝の位置をもう少し浅くするようにミアは求めようとしたが、ダメと言いながらも腰を振る速度が落ちる事のないルイーサは、快楽に夢中でその声を聞く余裕など無かった。

 

「はぁぁっ……! ぁ、んっ! だ、めぇ……っ!」

「もっ、もう……っ! んぁっ! んぅぅっ……!」

 

 それに加えて肩と片手をぎゅっと捕まえられている状態で、ミアは与えられる刺激から逃れる術をもたない。腰を逃がそうにも膝を立てた体制ではうまく腰を引く事が出来ない。ただ与えられる快感に身を任せるしかない。

 ルイーサの愛液は下着を超え、ミアの膝までしとどに濡らしていて、上下する動きのたびにくちゅ、くちゅと淫らな音が絶えず鳴り続けている。

 ミアに押し当てられている膝からはすり、すりと衣擦れの音のみが響いていたが、下着の染みはどんどん大きくなり始めていた。

 

「あぁぁっ!」

「んんぅっ!」

 

 前後する動きから上下する動きへ変わっていたルイーサであったが、再度動きに変化があった。

 前後に、上下に、左右に。それらを組み合わせたようにしてグリグリと自身の秘所を押し付ける。

 その動きはルイーサだけではなく、ミアにも多大な影響をもたらした。

 

「はぁ、あっ! これっ、きもち、いぃ……!」

「んんんっ! んぁっ! ひぅ、んっ……っ!」

 

 互いの陰核が、互いの膝で円を描くようにして蹂躙される。

 ルイーサの動きがだんだんと早く、余裕のない動きになっていき、それと同時にミアの余裕もどんどん剥がされていく。

 

「ぁっ、あっ、あっ! だめ、だめです! きちゃいます!」

「まっ、んっ! わたしっ、まだっ、んぁあっ! あぁっ!」

 

 ルイーサの方が感じやすいのか、先に高みに上り詰めようとする。

 対してミアはまだ足りておらず、いずれ終わってしまうこの刺激を少しでも貪ろうと、軽く腰を浮かせることによって膝に対して強く陰核を押し付けた。

 

「はぁあっ! んんっ! ごめ、なさっ、わたくしっ、もうっ! んぁっ、あぁんんんっ‼︎」

 

 だが、ルイーサの絶頂はすぐであった。ミアの膝に強く股間を押し当て、何かを我慢するかのように歯を食いしばりながら俯いて、ミアと繋いだ手を強く握り締める。

 ぴくん、ぴくんと身体を震わせる振動がミアへ伝わる。同じように高みを目指していたのに先に至られてしまって、燻った身体が切ない。

 

「ひぅっ⁉」

 

 もう少し気持ちよくなりたいと思って身動ぎすると、落ち着ききっていないルイーサの身体が跳ねて上がってしまい、ミアは動く事を諦める。

 

「もう……ルイーサ嬢ばっかり」

「んっ……ふ、ぁ……ごめん、なさい」

「いいですよーもう」

 

 身体は満たされる事は出来なかったが、キレイでかわいいルイーサの蕩けるような表情を見て、まぁいいかと思い直す。

 そうして、なんとなくではあるが、体を支えていた手をルイーサの頭へ移動させ、労わるように髪を撫でてやった。

 ぽかんとするルイーサであったが、その行為を理解すると同時に、幸せそうに身を委ねるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、どこか微笑ましい時間が流れていた矢先、二人の目の前にひらりと一枚の紙が落ちてきた。

 

「……?」

 

 拾って確認するミア。

 すると必然的に撫でていた手で拾う事になるのだが、

 

「……むぅー」

 

 ルイーサは分かりやすく拗ねていた。

 

「いや、頭撫でるくらい幾らでもしてあげますから……」

 

 言った直後に貴族に対してなんつー事を言っているのかと自身に呆れるミアであったが今更である。なんせセックスしてしまったのだから。

 

 が、何はともあれ紙の内容である。

 丁寧に二つ折りにされているものを開き、中を確認すると、

 

 

 

 

 

“魔術士がイってないからダメ”

 

 

 

 

 

 ミアは紙を握り潰した。

 

「み、ミア様⁉」

「なんでも……ありません……!」

 

 楽神は碌でもない存在と知ってはいたものの、いざ当事者になってみるとここまでウザいとは思いもしなかったミアである。

 いいじゃん、セックスしたじゃん、相互オナニーとかじゃなくあれはもうセックスだったじゃん。とは思ったものの、楽神判定ではアウトだったらしい。っていうかどこからか見てるとは思わなかったから殺意すら湧いてくる。

 

「えっと……その……?」

 

 ミアの怒りに打ち震える姿にたじろぐルイーサ。

 盗賊達に対しても特に感情を発露させていなかったため、初めて見る表情に少し困惑しているようだ。

 

「あー……すみません、つい」

 

 そんなルイーサの様子に気付いたミアは謝罪し、罪滅ぼしをするかのように再度頭を撫でる。

 嬉しそうに反応するルイーサであったが、すぐにその表情は心配顔へ変化する。

 

「えっと……うまくいったのでしょうか?」

「あーまぁ、そのー」

「……ダメ、なのですね」

 

 ルイーサの指摘に無言で肯定するミア。

 

「……申し訳ございません」

「え」

 

 突然の謝罪に困惑する。

 どちらかというと途中まで本気になれてなかったミアの方が謝るべきだというのに。

 

「私が、一人だけで気持ちよくなってしまったから」

「え、ちが」

「二人で気持ちよくなるのがセックスだと仰ってましたのに」

「ちが、違いませんけど」

「ですわよね……本当に申し訳」

「違わないけどちょっと待ってくださいってば」

 

 ネガティブに謝り続けるルイーサをなんとか止めるミア。

 ルイーサとしてはミアの役に立てなかったのが非常に口惜しかったらしい。だが実際は途中からミアがルイーサを攻める事に夢中になっていたからで、というかそもそも楽神の基準が曖昧だったからである。

 

「私がイかなかったからダメだったらしいんですよ」

「……?どちらへ?」

「あー」

 

 忘れていたがルイーサは箱入りお嬢様。イくという感覚を知ってはいても、それを示す言葉を知る筈もなかった。

 

「あー、ルイーサ嬢がきちゃうって言ってたあれなんですけど」

「なっ⁉ あぅ……もう、もう!」

「痛い、痛いですルイーサ嬢」

 

 情事の最中の事を掘り返されて恥ずかしさのあまりミアの胸元を叩くルイーサ。

 無論痛くなどない。

 

「ごめ、すみませんってば」

「い、いくらミア様でも言って良い事と悪い事がありますわ!」

「私でも……? いやいいや、性教育の続きなんですが、きちゃうっていう感覚あったじゃないですか?」

 

 ミアは面倒くさがりなのである。ルイーサの気持ちに気付く甲斐性もないのである。

 

「うぅぅぅぅぅ……はぃ」

「快感が一定以上、更にとっても気持ちよくなる事を絶頂と言うのですが、その事を俗にイくというんです……たぶん」

「……イく」

 

 説明に自信が持てずにボソリと付け足すミア、だいたい合っている。

 対してルイーサは確かめるようにして言葉を反芻する。

 

「では、ミア様がイかなかったというのは」

「……まぁ、そういう事です」

「でしたらやはり先にイって?しまった私が……!」

「ええい待たんか」

「あぅっ」

 

 尚もネガティブな事を言い出すルイーサにデコピンを喰らわすミア。もう貴族とかどうでもいいらしい。

 

「こういうのは個人差があるんです。感じやすい……気持ちよくなりやすい人もいれば、そうでない人もいます。今回もたまたまルイーサ嬢の方が感じやすかっただけであって、そこを謝るのは間違っています」

「……はい」

「寧ろ途中からルイーサ嬢に見惚れ、なんでもありま」

「え」

「なんでもありません。途中から手を抜いていた自分に非があります。だから謝る必要はありませんし、こちらが謝るべきです」

 

 一瞬、言葉に詰まったものの、ルイーサの思い違いを指摘する。途中からルイーサ嬢かわいいなーとか思ってたのであるこの女。それで試練を突破できなかったのだからミアが悪いのは間違いなかった。いや元凶の楽神が悪いのだが。

 

「でまぁそんな訳で、今度は私が気持ちよくなれ、ば……」

 

 そんな折、再度紙が舞い降りる。

 

 

 

“セックスじゃないとダメだかんな”

 

 

 

 この神、そういうところは見逃さないのである。

 

「……えっと、もう一度、お膝を、その、お貸しします……?」

 

 硬直するミアにおずおずと提案するルイーサ。

 無表情に怒り狂うミアに流石に気を使ったらしい。

 

「…………」

「……あの」

「いい、分かった」

 

 そう言って、ルイーサに降りるよう促す。

 

「もういい、分かった、分かりました。やればいいんでしょやれば!」

 

 ミアはキレた。

 

「ルイーサ嬢!」

「はっ、はい⁉」

「私を犯してください!」

 

 そう叫んでパンツを脱ぎ捨てる。

 ミアは存外短気なのである。

 

「おか……?」

「あーもうめんどくさい!指で私を気持ちよくしてくださいって事です!」

「ゆっ、指で⁉」

「そう指で!」

 

 もはや敬語すらグダグダである。

 

「……どのようにするのでしょう?」

「んあー!」

 

 このお嬢様は箱入りなのである。頭を抱えるミアであった。

 

「指で私のおまんこを弄ってくださいって言ってるんです!」

「おま……?」

「あーもう!」

 

 このお嬢様はどこまでも箱入りなのである。

 だがキレ散らかしたミアの行動は速やかであった。

 

「私の!」

「ひぁっ⁉」

「ここを!」

「あわ、あわわわわ」

「……弄れって、言ってんです」

 

 がばっとルイーサの手を掴んで勢いよく自身の花園へ誘うミア。が、最後に少しひよった。貴族への接し方を少し思い出したらしい。

 

「……すみません、取り乱しました」

「い、いえ……」

 

 少しびっくりしたものの、ミアの一面をまた新しく知れたと少し喜んでいるルイーサである。想い人のものならば何でも嬉しいらしい。

 

「おまん……あー、お股のとこ、擦ると気持ちよかったでしょう?」

「は、はい」

「それを指で、するんです」

「……なるほど?」

 

 よく分かっていないルイーサに再度頭を抱えようとして、やめた。いい加減慣れたらしい。

 

「あー、うん。ちょっと見てください」

 

 そう言って、座ったままゆっくりと足を開いた。

 

 現れたのは散々膝に擦られた秘裂。そこは下着越しとはいえ擦過された影響で少し赤くなっていた。足を広げた影響でその陰唇は少し開いており、感じていた証拠である愛液が塗り広がっていて、いやらしく彩られている。

 

「何やってんだろ……まぁいいや。ルイーサ嬢、ここ、見えます?」

「はわ、はわわわわ」

「……見えてるようで」

 

 顔を両手で覆うルイーサであったが、指の隙間からその光景をしっかり見つめていた。見てはならない場所という認識はあるようだが興味はしっかりあるらしい。

 

「ここが、おまんこです」

 

 そう言ってミアは花園を見せつけるように両手で割り開くと、中に収まりきれていなかった愛液がツーっと一筋垂れていき、その感覚にゾクリと身を震わせる。

 

「この、なんか液が出てるとこが膣口。この中も感じるとこですが今はいいです。……で、その上にちょこっとある小さい穴が尿道口、おしっこの穴です。で、その周りにあるビラビラしたのが陰唇。……お尻は恥ずかしいのであんまり見ないように」

 

 割り開いたまま、器用に指で指し示して女性器の解説をするミア。キレていてもお尻の方はそれなりに恥ずかしいらしい。

 

「他の方のここなんて初めて見ましたわ……」

「そりゃそうでしょうよ」

 

 ルイーサはそ(・)こ(・)も含めてガン見していた。興味津々である。

 

「で、机の角とか、さっきまで膝で擦っていたのはここ全体な訳ですが……女の子が一番気持ちよくなるのは、ここ」

 

 そう言って指し示したのは、花園の上に位置する小さな蕾。先までの行為の影響で、そこはまだ固くなったまま、その包皮を僅かに持ち上げている。

 

「陰核、とかクリトリスって言ったりするとこです」

「クリトリス……」

 

 ぽうっとした表情で反芻するルイーサをよそに、花園を濡らしているものを指に取り、おもむろに蕾へ指を近付ける。

 

「こうやって……んっ。指を濡らして、ここを……っは、ぁ」

 

 潤滑液を纏わせて、包皮越しにクリクリと円を描くようにして刺激し始めた。

 

「やさしく、ゆっくり、触ってあげると、んぅ……とっても、気持ちよくなるんです」

 

 解説のためとはいえ、自らの愛撫で感じてしまい、ピクンと身体が反応してしまう。

 

「は……んっ。擦りつけて気持ちよくなってたのは、ここの事だったんですよ」

「そう、なんですのね」

「えぇ。他にもこう、横のところを、ぁっ、擦ってあげたり」

 

 添えていた指を二本に増やし、ぷるぷると震える蕾を挟み込むようにして上下に動かすと、溢れ落ちていた愛液の筋が心なしか幅を増す。

 

「指を添えたまま、震わせたりして、んん……っ」

 

 新しい動きを披露するたびに、広げていた脚が閉じそうになるミア。だが膝を立てているためにその光景は隠される事なく、全てルイーサの視線に晒され続けていた。

 

「っは、ん、ふっ……こう、やって。ここを、クリを弄ると、気持ちよくなるんです」

「は、はい……っ」

 

 陰核から指を離すと、纏っていた粘液が僅かな糸を引いた。

 初めて見る光景であるのに、ルイーサの目にはそれが非常にいやらしく見え、こくり、と無意識に唾を飲み込む。

 

「さぁ」

「……ぁ」

 

 解説を終えて仕事を果たした両手が離されて、ルイーサからどこか残念そうな声が漏れ出る。

 だがその両手は、脚の裏側から再度伸ばされて、

 

「……犯して、ください」

 

 その花園が、再度開かれた。

 

 

 

 

 

「で、ではっ! 失礼いたします、ね?」

 

 妙に緊張しているルイーサであった。

 

「ま、まずは、この濡れているところを……」

「ぁ……っ」

「はわっ⁉ い、痛かったですか⁉」

 

 一挙動一挙動が本人にとっては初めての事だらけで、なかなか先に進まない。

 

「いや、びっくりしただけ、です。痛かったら痛いって言いますから安心してください」

「は、はいっ」

 

 花園から零れ落ちる露を指に纏わせるルイーサ。その動きはどうしてもそこだけではなく、門渡や前庭に触れることとなり、その度にぴくん、とミアが反応してしまうため、おっかなびっくりな動きになってしまう。

 

「んっ……反射的に起こる反応ですから、もっとしっかり触れても大丈夫ですから」

「そうは言いましても……」

 

 指に愛液を絡めるだけなのに、その表情は真剣そのものである。ルイーサのそんな様子に、ミアのささくれ立っていた気持ちが穏やかになっていく。

 

「……しっかり触ってもらった方が、気持ちいいですから」

「そう、なんですの?」

 

 口調も心なしか柔らかくなり、まるで幼な子を相手にするような慈愛めいた表情になっていく。

 

「擦りつける時もぐりぐりーってしてたでしょう?」

「……! 確かに!」

「あ、でもデリケートな部分ですから強過ぎちゃダメですよ」

「む、難しいですわね……」

 

 性教育はまだ続いていたらしい。だがここはセックスしなければ出られない部屋、ちゃんとセックスするには必要な事である。

 

「さ、続きを」

「はい……っ!」

「あ」

「こ、今度は何ですの!?」

 

 まだ注意事項があるのかと身構えるルイーサであったが、対してミアは赤面しながら、

 

「もし途中で私が、ダメ、とかイヤ、とか拒否するような事を言っても、それは気持ちいいって、意味なので……やめないで、くださいね」

「……? わかり、ましたわ?」

 

 赤面した意味が無かったかもしれないと思うミアであった。

 

 

 

 気を取り直して、零れ落ちた愛液を指に絡めたルイーサは、その指を本丸へ近付ける。

 

「ぁっ……」

 

 ぴとん、と吸い付くようにして陰核と指が繋がった。

 そうして、皮の上をゆっくりと、ミアの教え通りにゆっくり、優しく円を描き始める。

 

「はぁっ……! ……んっ……んっ……」

 

 先まで行われていた膝での刺激とは違う、局所的な愛撫にミアは小さく喘ぐ。ルイーサは尚も真剣な表情で、ゆっくり、ゆっくりと肉芽を皮越しに撫でさする。

 

「んっ……ぁ……ぁぁ……」

 

 細心の注意を払ってなされたその愛撫は的確に快感を送り込み、ミアはいつしか目を閉じ自身の陰核から立ち昇ってくる感覚に身を委ね始めた。

 

「は……んっ……んんっ……」

 

 対してルイーサには余裕など無かったが、頬を染めて小さく喘ぐミアの表情を見て、自分の愛撫が正しいものなのだと認識を持ち始める。

 ゆっくりとした動きはそのままに、蕾に対する触り方を少し強めに、けれど優しく圧をかける。

 

「はあぁっ……んんん……んっ、いぃ……」

 

 ちょっとの変化なのにミアの吐息が変化した。

 ほんの少しの違いなのにとルイーサは思うが、それを機にどこまでがミアの許容範囲なのかを探り始める。

 

「んんっ……んぅっ……!」

 

 だんだんと強くしていって、ミアの眉根が寄るのを観察してこれは快感を得ているのだと判断し、

 

「っく……うぁ……」

 

 強さが一定以上になると、その表情が険しさに変化する些細な違いを確認し、

 

「あぁ……んっ、はっ……ぅんん……!」

 

 やっている事はゆっくり優しく淫柱に沿って円を描く事だけであるのに、いつしかミアに対し的確に快感を送れるようになっていた。

 そうする内にルイーサは気付く、ミアをよく観察すれば、うまくいくのだと。

 

 指一本での愛撫はそのままに、ミアを観始める、

 

 恥ずかしさと快感で耳まで赤くなった表情。

 良いところを丁度いい強さで撫でるときゅっと歪む眉根。

 押し殺しているけれど、耐えきれなくて溢れる吐息。

 時折ぴくん、と揺れる肩。

 それと同時に力の入る指先。

 指の形に歪む内腿。

 ひくん、ひくんと収縮する膣口。

 その度に零れ落ちていく雫。

 だんだんと幅を増していく溢れた跡。

 指の下でぴくぴくと動く陰核。

 

 育ちの良いルイーサは、無論しっかりとした教育を受けており、生来学ぶという事には慣れ親しんでいた。故に、自分の救い人であり愛しい想いを抱いているミアに対しては特に、その学習能力を遺憾なく発揮し始める。

 

「はっ、あっ、んん……っ!」

 

 ゆっくりとした動きを少し早めれば、ミアの吐息は短く溢れ、

 

「あぁぁ……んんぅ……んんっ、あぁ……」

 

 圧を強めてゆっくり、ゆっくりとなぞれば安心したかのような表情になり、

 

「ひぁっ……ああっ……!」

 

 特に反応のいい下側を重点的になぞれば、はっきりとした嬌声が出るようになる。

 

「ここが、いいのですね……?」

「やぁ……っ」

 

 確認するかのように呟くと拒否する声。だが、それは気持ちいいという意味なのだと、既に知っている。

 円を描く事をやめ、下から上へ陰核を持ち上げるように、されど優しくなぞりあげる。

 

「やっ……あっ、んっ……!」

 

 下から上へ、下から上へ。何度もゆっくり擦りあげる。その際に乾き始めた指先に、痛くならないようにと溢れる愛液を纏わせる事を忘れない。

 膣口に触れると、ぷちゅっとした音ともに指が吸い付く。ほんの軽く沈んだ指を動かすとくちゅくちゅと、馴染みがない音の筈なのに、とてもいやらしい音がするとルイーサは思う。それに、音を鳴らせば鳴らすほど、きゅっと会陰全体が緊張して、音さえも気持ちいいものなのだなとまた一つ学ぶ。

 

「ぁっ……ならさ、ぁっ、ないで……っ!」

 

 拒否する言葉はもっとしてほしいという合図。

 ずっと片手で陰核を責め続けていたルイーサであったが、ここでもう一本の手を導入する。右手は変わらず花芯へ、左手は新たに花園の中心へ。

 くちゅ、くちゅ、と蜜壺の入口をかき混ぜながら、くりくりと包皮から飛び出しかけている肉芽を転がし続ける。

 

「んんんんっ! ふぅっ……! は、ぁ……っ!」

 

 ぷりぷりとした感触の蕾は、転がせば転がすほど張り詰めていく。ルイーサはまるで大事な宝石を磨くようにして、淫らな研磨剤を掬ってぬるぬると磨き上げる。

 下から上へ。時には反対から、時には教えてもらった通りに二本で挟むようにして横側を擦る。手順を変えるたびに新鮮な刺激に反応して、花芯はぴくぴくと更に存在を主張するかのように痙攣する。

 

「んぁっ⁉」

 

 執拗な愛撫を繰り返す内にルイーサは気付いた。陰核を覆うこの包皮は、剥く事が出来る。その下から現れたのは小さく真っ赤なルビー。下側からの反応が良かったのはコレを掠めていたからだと思い至る。

 鎧に覆われていたという事は特別に弱いに違いない。このまま剥き出しの状態で触れてしまったら、きっと劇的な反応をするに違いない。ミアの、乱れた姿が見れるに違いない。

 

「剥いちゃ……んっ、ぁっ、あっ……!」

 

 だがルイーサはその選択はしなかった。優しく、ゆっくりと、そう教えられたから。

 指では直接触らない。だが、この包皮を剥いたり戻したりすれば、優しく擦れて気持ちいいのではないか、そう思った。

 

「や、ぁんっ!ちょ、んっ、んっ……!」

 

 ぴくんぴくんと花園を震わせる姿に、ミアは今までより少し大きな快感を感じているのだとルイーサは確信する。

 指で撫で回される感覚とは違い、肉鞘で肉芽全体を撫で上げられる感覚。それが何度も繰り返され、花弁を拡げていた指がついに外れた。

 

「はぁっ、んんっ、んぁっ! ま、待って拡げな、ぁあっ!」

 

 外した手は体を支えるために後ろに回され、腰を突き出すような格好になるミア。そう何度も剥かれては頭がおかしくなってしまう。だから拡げていた手を外した。

 だが、ルイーサはずっと目の当たりにしていた。拡げ方を片手で再現する事など容易であった。

 

 花園に添えていた指を二本増やし、人差し指と薬指で花弁を拡げ、中指でまたくちゅくちゅと入口をかき混ぜる。無論もう片方の指では包皮を上げ下げする事を続行する。

 拡げないで欲しいというのは気持ちいいからだろうか、恥ずかしいからだろうか。どちらにせよ、続けて欲しいと言っているに違いないとルイーサは判断した。

 

「んぅっ、はっ、ぁ……あっ、んっ、んあっ……!」

 

 剥き上げる度にぴょこんと姿を現す花芯。指ではきっと刺激が強過ぎるに違いない。けれど、もっと刺激を与えて気持ちよくしてあげたい。

 ルイーサはそんな欲望を抱きつつ、ゆっくりと、優しく愛撫を続ける内に閃いた。指よりも柔らかいもので触れれば良いのではないかと。

 指の腹?違う、きっとさほど変わらない硬さ。掌?これもきっと違う。膝?論外だ。

 無意識に口(・)内に溜まっていた唾を飲みこんだ瞬間、ルイーサは思い至った。

 

「ふ、ぁ……? ぁ、だめ、だめだめだめ汚いからっ⁉」

 

 ダメだという事は、合っているのだ。

 

「ひぅっ⁉」

 

 花芯に口付けが落とされる。

 始めてのキスがこんな場所でこんなところに、と思わないでもない。だがミアのため、ミアを気持ちよくする事が出来るのならば、そんなものはルイーサにとって些細な問題であった。

 

「ルイーサ嬢! ちょ、それ、はっ、あぁぁっ!」

 

 瑞々しく柔らかい唇が、剥き出しのしこり上がった陰核を包む。そのまま食むようにして優しく、優しく力を篭めると、劇的な反応が返ってきた。

 

「んぁぁああっ! だめっ! だめだからぁっ!」

 

 頭を振って言葉で拒否するミアであったが、身体は、その腰はひくひくと動き、唇に押し付けるような格好で、ルイーサはまた一つ学習していく。これは拒否でも、痛みでもない。感じてくれていて、もっとして欲しいのだと。

 

「はぁぁっ! んんんんっ! っは、んぅぅぅぅうっ!」

 

 痛くならないように口内から唾液を送り込み、愛液とは比べ物にならない量の潤滑剤を元にして唇による愛撫を続ける。

 

「ひぅっ! んぁっ! ぁっ、ぁぁあっ!」

 

 食むだけではなく、ゆるゆると軽く左右に動かすと、ミアの腰もゆらゆらと横に揺れ、

 

「んぅっ! はっ、はぁっ……はぁっ! あぅぅっ!」

 

 ちゅっ、と軽いキスをするように吸い上げて解放すると、腰がびくっと跳ね、

 

「はぅっ……んんぅ、はぁ、ぁ……っ」

 

 捕らえたまま動かないでいると、唇の間で肉粒がぴくん、ぴくんと律動する。

 動きに追従するかのような反応に、ルイーサの心が愛しさに満ちていく。

 

「ん、っちゅ……ミア様、かわいいですわ」

「んぁっ! ば、ばかぁ……んぅぅぅぅぅっ!」

 

 恥じらいの言葉に堪らなくなり、ルイーサの唇がまた花芽を優しく包み込んだ。

 繰り返される愛撫に花園からは絶えず愛液が零れ出て、くちゅくちゅと入口を弄っていた音はいつの間にかぐちゅぐちゅと粘液質なものが泡立つような音へと変化していた。

 それと同時にむわっと湿度を伴った芳香が立ち昇ってきて、その香りにルイーサは更に狂わされる。もっとしてあげたい、もっと気持ちよくなってほしい、もっと色んな顔を見せてほしい、もっと。

 

「あぁんんんっ‼︎」

 

 夢中になって吸い付いていると、ミアの反応が急激に上がり、思わずルイーサの動きが止まる。

 今はキスをしていた筈だ、何か変わった事があっただろうかとルイーサは思案する。

 

「はぅっ! ……んっ、ぁ……んぅっ……ぁんっ!」

 

 確かめるようにして、繰り返し吸い付く。その度にミアは啼いてくれて延々と繰り返したくなるが、なんとか押し込めて原因を探る。

 

「そん、なっ! なんかいっ、もぉ……は、ぁっ!」

 

 角度を変え、強さを変え、タイミングを変え、潤滑剤の量を変え、見つける。

 唾液を送り込む際に、舌が、当たっていた。

 唇と同等に柔らかく、瑞々しさは比較にならず、確かな熱をもったそれ。それがちょんと触れただけで、ミアは大きく反応した。

 ならば、舐め上げたら、舐め回したら、どうなるのか。

 

「あっ!」

 

 脱力させた舌をぴとん、と貼り付けるとミアから鋭い声が漏れ出た。

 

「はっ……んっ……ふぅっ……!」

 

 そのまま動かさずにミアを観察するルイーサ。

 興奮で吐息が止まらない様子を見て、これも気持ちよさを感じている、続けても問題ないのだと理解する。

 

「ふっ、ぁぁあああっ!」

 

 ぞろり、と舐め上げると、大きな嬌声が響いた。

 

「んぅぅうっ! やっ、あぁぁぁっ! んんんんぁっ!」

 

 ザラザラした感触を持ちつつ、粘液に塗れた柔らかいものが、淫柱を嬲り上げる。その度にミアに体験した事のない快感がもたらされ、これもまた丁寧に下から上へ、何度も何度も繰り返され、その度に花園がぴくぴくと激しく痙攣する。

 

「あぁぁぁっ! だめっ! これだめでっ、ルイーサじょ、ぅんんっ! ルイーサぁ!」

 

 快感に言葉を遮られたからであろう、敬称をつける余裕さえ剥がされるミア。だがルイーサは愛しい人が呼び捨てで求めてくれたと解釈され、嬉しさが大きな興奮へと変わり、だんだんと優しさを維持できなくなっていく。

 

「はっ、あぁぁんんっ! にゅるって、んぁっ! あぁぁっ!」

 

 包皮が剥かれたままに、舌端が淫柱の外周をくるりと回る。今まで刺激されていた下側だけでなく、全周がぬるぬるとした感触に晒され、ミアの身体がびくびくと跳ねる。そのまま何周も、何周も力加減を変えてねぶり回し、ルイーサは動きを最適化させていく。

 

「ひぅぅぅぅっ! ルイーサっ、そこ、だめっ、だめだからぁっ!」

 

 どこを舐め回してもよく反応するミアであったが、今まで刺激される事の少なかった上側、包皮との境目が特に弱いらしく、そこに舌頭を潜り込ませてほじるようにして刺激すると、堪らないのか内腿が閉じられルイーサの頭が挟まれる格好となる。

 だがその程度で愛撫は止まらない。

 

「あぁぁぁっ! んんんっ! はぁっ、あぁぁぁあっ!」

 

 寧ろ逃さないとばかりに両手で腿を抱え、無心でしゃぶり上げるルイーサ。そうするとミアの腰とルイーサの頭部が固定され、どれだけ身体を跳ねさせても絶えず愛撫が送り込まれるようになった。

 

「ひぁっ、ぁぅううっ! そんなっ、とこまでぇっ! やぁ、ぁあああっ!」

 

 皮から手が離されても、真っ赤な宝石はもはやその姿を晒し続けたままぴくんぴくんと自己主張を続け、花園から手が離れても、そこはもはや花開いたままでとぷとぷと蜜を垂れ流したままで。

 ルイーサは流れ続ける愛液を掬い上げ、自らの唾液と混ぜ合わせたものを執拗に花芯へと送りこむ。

 

「だめぇっ! もっ、もう! いく! いっちゃうから! もっとぉ、んぁっ!」

 

 どこにも逃す事のできない快感に達しようとするミア。

 もっと、とはもっと弱くという事だろうか、もっと強くという事だろうか。懸命に舐めしゃぶりながら頭の片隅に浮かぶ疑問。

 

「このっ、ままじゃっ! んんっ、あっ! はぅぅぅぁああっ!」

 

 きっと強くしてほしいのだと、自らがイく時は激しく擦りつけていたのだからミアもそうに違いないと、ルイーサは結論付けた。

 

「んんんぅぅっ! あっ、やっ、だめっ! あああっ! いっぺんっ、にぃぃぃぃっ!」

 

 吸って、舐めて、ほじって、また舐めて。

 花園の痙攣が止まらなくなって、近いのだなと思ったルイーサは、最後に強く吸い上げたまま、口内で花芯を蹂躙した。

 

「ああああぁぁぁぁあっ! それだっめぇ、るいー、さぁっ! だめっ! いっ、くぅ! んんんぁぁぁぁだめだめだめぇぇええええ! はっぁああああああぁぁああっ‼︎」

 

 花園がきゅうっと収縮し、ルイーサを挟む力が急激に強くなる。一拍遅れてびくんっ、びくんっと大きくミアは身体を波打たせる。

 その間もルイーサの舌は花芯から離れる事なく、きゅうっと先端を軽く押し付けたままにすると、どくどくとミアの鼓動のような血流のような、不思議な感覚が舌先から伝わってきた。

 

 

 

 

 

 ミアの絶頂が終わり、脚の力が抜けてルイーサは解放された。

 最後にちろりと舐め上げると過剰にびくんっと跳ねられたので、これは苦しさを感じているのだと思い、名残惜しいが離れる事にした。

 

 そこには片腕で顔を覆い、激しい呼吸を繰り返すミアの姿があった。

 

「だ、大丈夫、ですか……?」

「これっ、がっ、だいじょうぶにっ、見える……っ⁉」

 

 瀕死と言ってもいい姿に思わず心配するルイーサに対し、腕を外して反論するミア。

 怒りながらも、快感に余韻で紅潮している淫靡な表情で、ルイーサの情欲が更に刺激される。

 

「あ、あのっ!」

「なにっ!」

「……キス、したい、です」

 

 強めの反論に少したじろぐルイーサであったが、体の内から溢れ出る愛欲を怯まずに全面に押し出す。

 

「もう……好きにすればいいじゃん」

「でっ、では……んーっ!」

「あ、待った」

「んんんっ⁉」

 

 唇を突き出し、いざのし掛かり突撃しようとしたところで、顔面を掴まれた。

 

「自分のあそこの汁舐めたくないから、ヤダ」

 

 ルイーサはなぜ指で最後まで導かなかったのかを激しく後悔した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

††††††

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ひらり、と一枚の紙が舞い降りる。ミアはもはや慣れた様子でそれを受け取った。

 

「楽神様は何と……?」

 

 まず目に入ってきたのは七五点という数字。

 何で評価したのか不明であるし、そもそも評価されるのが気に入らない。というかこの七五というのは高いのか低いのかも分からない点も気に入らない。ミアはまた握り潰しそうになったが寸での所で押し留める。

 

「……とりあえず、試練は合格のようです」

「まぁ! ……あの、何故そんなお顔を?」

 

 喜びを顕にするルイーサとは対称的に、苦虫を潰したような表情のミア。

 評価点に対して思うところがあったのは確かだが、それに続く文言に静かにキレていた。

 

「試練を突破した者にはその神の加護が与えられるのは説明しましたよね?」

「……? あ、あーそうでしたわね」

 

 そんなことなど忘れていたルイーサである。ミアを気持ちよくするのに必死であったのだから仕方ないのだ。

 

「私達にそれぞれ加護が与えられたのですが、ルイーサ嬢のは……」

「ルイーサ、と呼んでくださいまし。……先程のように」

「ル(・)イ(・)ー(・)サ(・)嬢(・)のはまぁ百万歩譲ってまぁ、まだ良いのですが」

「……いじわる」

 

 魔術士は聞こえないフリをした。

 紙に記載されていたのは評価点だけではなく、それぞれに与えられた加護も記されていた。

 神の文字を読めないルイーサに、ミアが読み聞かせる。

 

“貴族の娘にはこの部屋の改装権限を与える。

 《要セックス部屋の改装工事》という序文に続き、

 望む内装を詠唱せよ。

 尚、魔術適性は不要とする”

 

「えっと……?」

「魔法みたいなものです。毒にも薬にもならない加護なので、まぁ、楽神の加護にしては当たりな方です」

「そう、なんですの?」

 

 イマイチ理解していない様子のルイーサ。冒険者であるのならばまだしも、貴族のご令嬢の身では実感が無いのも当然であった。

 

「床とか壁とか別のものに変えたり、何か物とか設置できたりするんじゃないですかね?試しにやってみては?」

「わ、分かりました……!《要セックス部屋の改装工事》《ミア様と過ごす素敵なベッド》!」

 

 天蓋付きの少女趣味じみた色合いをしたキングサイズのベッドが現れた。

 ミアは頭を抱えた。

 

「出来ましたわ! 凄いです! 凄いですわよミア様!」

「……えぇ、まぁ、すごいですねー」

 

 ついでに色々理解も放棄した。

 はしゃぐルイーサを横目に、自身の加護について書かれた文言を読み直す。が、何度読んでも内容が変わる事はない。

 

「あっ! や、やだ私ったら、一人ではしゃいで……」

「……魔術を使った事が無いならそんなもんでしょう」

「あぅ……お恥ずかしい……あ、私のがこの改装権限?というのならばミア様のはどのような?」

 

“魔術士の娘には以下の肉体魔法を授与する。

 肉体魔法:陰核フル勃起

 

 魔術式は以下の通りである

 ………………………………

 ………………………………”

 

 楽神を殺してやりたかった。

 ミアはキレた、が隣にルイーサがいるのでなんとか自制した。

 

「…………新しい、魔法、ですね」

「まぁ! 是非見てみたいですわ!」

 

 見せる訳にはいかない。というか試したくもない。

 

「…………ここでは、危険ですので」

「そうですか……残念ですわ」

 

 ここでは色々危険なのである。いや、どこでも危険なのである。ルイーサに披露する事は恐らく無いだろう。

 

「まぁともかく、試練を突破したんですから今すぐこの部屋を出ましょう。皆が心配しています」

「…………」

「ルイーサ嬢?」

 

 立ち上がったミアであったが、ルイーサからスカートの端を捕まえられて立ち止まる。

 その角度だとパンツが見えないか心配するミアであったが、それどころじゃない事をした仲である事を思い出して心の中で天を仰いだ。

 

「もう少し……」

「もう少し?」

「このまま、二人っきりでもう少し、過ごしてはなりませんか……?」

 

 出会った時を再現するかのように、潤んだ目でミアを見上げるルイーサ。

 だがミアは狼狽えず、優しく微笑んだ。

 

 

 

「何言ってんですか早く出ますよ」

「もーっ! いじわるですわー!」

 

 

 

 

 その後、クランメンバーや男爵家の私兵達と合流し、緊急依頼は無事に果たされた。

 男爵からは大層感謝されたのだが、

 

「お父様! 私! ミア様と! 結婚いたしますわ!」

 

 と面々の前で言い放ったから大変である。

 そりゃもう大変である。

 

 ミアという少女は幸運であった。

 

 お父様である男爵が理解あり過ぎる人であったのである。

 

 

 

 

 

 だが逃げた。

 ミアという少女は存外へたれであった。

 

 

 

 

 その後、クランに元貴族の新顔が転がり込んでくるのは、また別の話である。

 

 

 

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