女同士であろうがセックスしないとこの部屋から出しません 作:ハヤ0313
詠唱が、静かな部屋に響いた。
「……っ!」
暗い部屋の中には女が一人。
寝台の上で不自然な姿勢のまま硬直している。
「これほど、とは……!」
自ら行使した魔法の効力を測るために、体内の魔力を観察するまでもなかった。
「……《
発現した魔法を解除するも、その効力は即座には失われず、術者は額に汗を滲ませながら正常な状態へ戻る事を待った。
目を閉じて、呼吸を落ち着かせつつ、体内の血流を緩やかな状態へ移行させる。
十数分の後、ようやく普段どおりの肉体に戻る事が出来た。
「…………」
魔術士は何かを考えるかのように視線を落としていた。
即ち、先程行使した魔法について。
魔術士にとって、魔法の実践や解析とは非常に重要な事である。
行使した途端に解除するなど、魔術士にはあらざる行為である。
つまり、解析しなければならない。
つまり、行使しなければならない。
つまり、
「……《
詠唱が終わるや否や、魔法が顕現する。
魔術士の陰核が、ビキリ、と音が聞こえるほどに一瞬で固くなり、包皮を突き破らんばかりに、いや実際に皮を押しのけるほどに肥大化した。
もはや勃起などという次元ではない。自身が経験したことのない領域、幾度も自慰を行ってきたがこれほどまで大きく育った事はない。
過去一度だけ他者と交わった事はあるにはあるが、その時でさえここまで大きくなる事は無かった。
「……うーわ、摘まめる」
何の準備もないまま触れては痛覚しか感じ得ないであろうから指を寸前に添えての計測であったものの、それはちょっとした指先ほどの大きさまで育っていた。
しかも、血管が浮くのではないかという程に、今にも張り裂けんばかりに固く大きく張り詰めている。
即ち、
「……んぅ……っ」
あそこが、じんじんとして、堪えきれない。
身体の極一部だけが、尋常ならざる熱を持っている。
先程は魔法の効力を解除し、自身を抱き締める事によってなんとか鎮まるのを耐えたが、魔法が発現し続けているこの状況下では一秒毎にどんどん耐える事が出来なくなっていく。
この魔法を他者へ行使する事が出来たのならば、即時とはいかないもののあらゆる行動を鈍化させる事が出来るのではないか、そう考えていられたのは数瞬の事であった。
無意識に、自身の指を口に含み、ぬらぬらと濡れた指先を、そこに触れさせていた。
「あんっ! ……っ⁉」
大きく響いた声に、無意識の内に行っていた行為に魔術士は驚愕した。何をしているのかと自身を責めるが、あまりの激感に思考が汚染される。
剥き出しの神経に触れたのかと、そう思うほどの感覚であった。快楽神経が肉の芽となったのかと、そう思うほどの快感であった。
「……ひぅっ!」
汚染された思考で、今度は自らの意思で、限界以上に勃起した陰核へ触れる。
普段感じている快楽とはなんだったのかと思うほどの鋭い刺激、触れているのは表面の極僅かな領域のみの筈なのに、脳に送られてくる快楽信号の量が尋常ではない。
「んんぅっ! んくっ、む、んんっ!」
声を抑える事が出来ない。空いているもう片方の手で口元を抑えねば、あられもない嬌声が響き渡ってしまう。
ちょんちょんと、僅かに触れるだけで頭の中が快感で埋まる。こんなものを動かしてしまったら、転がしてしまったら、摘んでしまったら、どうなってしまうのか。
「はっ……ん……んっ」
このままでは快感で脳が灼きつくのではないか、恐怖にも似た感情に襲われる。そんな合理的な考えに基づいて指先をずらすと、ちゅく、と粘性のあるものに辿り着いた。
そのままくちゅり、くちゅり、と僅かな水音を鳴らして身体を落ち着けると、次第に指先は粘液を纏わりつかせた状態になっていく。
頭も、身体も、少し、休まる。
検証は、終わっていない。
「んっ! んんぅぅぅぅっ!」
再び訪れる激感。否、ぬるりと滑る感触が増えた事により、より大きな快感に襲われる。
「っく、んぁっ! は、んんんんんっ!」
内から噴出する欲求に逆らえず、そそり立った陰核をこねくり回す。それだけで視界が瞬くかのような感覚に陥る。
ぬるぬると、粘液と共に指が這いずり回る。固くしこり上がったそれは少しの刺激では倒されず、指を押し返すかというほどの硬度を保っており、それ故に満遍なく表面という表面が撫で回される。
「んぅぅうううっ! っは! んっぁぅんんんっ!」
何度も、何週も撫で回され続け、愛液が陰核に満遍なくまぶされた。
そんな状態になって、魔術士が取った行動は、指を増やす事。
使っていなかった中指で、膣口から粘液を掬い取り、親指との間でそれが充分な量がある事を確認した。
一本から、二本へ。
人差し指から、親指と中指へ。
添えるのではなく、摘む。
「っんぁああんんんんんんっ!!」
抑え切れなかった嬌声が、一瞬部屋の中に響き渡った。
摘み上げる、陰核の前後を両側から挟みこむ。普段では、よほどの大きさを持つ者でなければ為しえない所業。それが、今、為された。
「はっ……んくっ……はっ!はっ!はぁっ!」
動かせない。
摘んだだけで、こんなにも、危険だ、今すぐ離さなければ、実証実験は終わり。
警鐘が脳内で鳴り止まない。
「んっうぅぅんんんんんんんんんっ!」
だから、扱き上げた。
「っはあんんんっ! っだ、めぇ! んあんんんんんっ!」
指先が止まらない。
ちゅこちゅこと、僅かな上下運動であったが、通常の自慰では味わえない快感に魔術士は夢中になっていた。
必死で口元を覆い、歯を食いしばり、顔を真っ赤に染め、けれど指先の動きは止められない。
あまりに強すぎる刺激に、絶頂を通り過ぎて、うまく果てる事が出来ない。
「んぅぅううっ! んんんっ! っは! あぁっ、んんんんっ!」
扱き、揉み、転がし。思いつく限りの気持ちよくなれる方法を実践する。
そんな中至ったのは、親指で上側を抑えつつ中指で下側を、裏側を執拗に擦る方法。
カリカリとするような動きで陰核を苛めぬくと、暴れ回っていた腰が徐々に持ち上がっていき、ようやく頂に至る事が出来た。
「はぁんんんんっ! んぅぅぅ! んんんっ! あぁっ! んんんんいぃぃぃぃっ‼︎」
尚も動き回ろうとし続ける指先を必死で止め、魔法を解除し、肥大化した陰核を押さえ続け、息を整えるのは至難の業であった。
「っは、っは、んぐっ、はぁ……封印だこんなもん……!」
††††††
※落書き禁止
(楽神のページだけ落書きだらけで笑うんだけど)
(もう落書きは諦めたので、せめて有用な情報を書きなさい)
セックスしないと出られない部屋。
司るのは天神の楽神である。
(コイツどうにかしてくんねーかなマジで)(死ね)(滅びろ)(天神の面汚し)(最も安全な神だけどさぁ)(加護得るにはコスパ良いぞ)(殆どゴミじゃん)
現在王国内では三部屋において発生が確認されており、試練達成による消失は確認されていない。
(あの宿以外どこ?)(三号ダンジョンと■■)(どこだよ)(触れんな)
試練内容は単純明快、性行為を行い部屋内より脱出する事である。
以下に協力者による情報を記す。
・挑戦条件は性行為可能なヒト種二名の同時侵入。
(オーガの男とドワーフの女とかどうなんの?)(いけたらしいぞ)(マジかよすげぇな)
・該当する部屋に侵入した時点で通常の手段での退室は不可能である。壁を含む室内の物質は破壊不可能となる。
(第七階炎熱術、第六階魔刃術、某有名剣術流派師範による斬撃刺突、某有名体術流派師範代による数時間の猛攻、某有名錬金術師製の腐食薬、等により実証済み、いずれも効果無し)(どんな保護かけたらこんなアホみたいな強度になるんすか!こいつの試練のそういうとこホント理不尽っす!)
・また、侵入時点での挑戦者の個体情報が記憶され、怪我、病気、空腹状況、等が侵入時点のものに適宜修正される。
(腕を切り落としても無かったことになる)(痛ぇことは痛ぇからマネすんなよな)
(ギルド職員で検証しました、死亡すら無かった事になります。首を落とそうが心臓が潰れようが元通りです)(どんな検証してんだよこえーよ)
・部屋内は時間の流れが非常に緩やかである。中にどれだけ滞在しても外ではそれほど時間がたっていない。扉の開閉がキーの様子。
(つまりどういう事?)(中で何時間セックスしても外では十数分しか経ってないとかそんな感じ)
・試練に著しくそぐわないと判断された場合は叩き出され、呪いがかけられる。
(受験勉強に最適だと思ったんだよ!しかも中でやった事全部忘れさせられたんだけどヒドくない!?)(ワロス)
(※時神本人の供述により関与が確認された。賭け事で負けた罰として協力させられたとのこと)(いやまさかこんなイカレた部屋作るためだけに時流操作するとは思わないじゃん、って時神官が神託聞いたって)(時神様さぁ…)
・異性同士の場合
膣内、もしくは尻内に射精を行う。
口内射精では不可、手淫でも不可。
確定情報ではないが、絶頂時のみ膣内、尻内に挿入しての射精では不可。
恐らく体位の条件は無し。
不能や不感症といったケースは未確認、危険なため実験は非推奨。
(チンコをマンコに入れて中出しキメればいいんだよ!)(避妊魔法は中央神殿近くの治療院オススメ)
・男性同士の場合
挑戦者の協力を得られず不明。悪夢だったとのこと。
(ケツに出せばいーんじゃねーの?)(そりゃ悪夢だわ)
・女性同士の場合
挑戦者の協力を得られず不明。
(詳しく)(妄想が捗るわ)
・確認された加護の一例
・感度上昇
(斥候役には案外便利でござる)(ハゲんとこの全裸忍者か…)
・陰茎サイズ調整
(妖精の娼館いけるようになりました!)(羨ま)
・陰茎生成
(額に生やしてどうしろってんだ!)(ウケる)(殺すぞ!)
・精液増量
(錬金ギルドで小遣い稼げそう)(マナ薄くてゴミだとさ)
・性欲抑制
(これを取得させたかった……)(誰にだよ)
・魔術適性:性魔法
(呪いじゃねぇか)(異端審問待ったなし)(魔術適性だけならセーフ)
・肉体魔法:筋肉発光
(出所ここかよ!)(マッスルライト!)(有用なのが腹立つ)
・体液発光
(娼館で好評だった)(きめぇ)
・膣内超硬化
(恋人のアレが血塗れになったんだけど)
・腹話術:チンコ
(娼館で好評だった)(嬢が寛容過ぎる)
・腹話術:マンコ
(下の方は正直だなぁ)(引くわ)
・水芸:マンコ
(チンコはねーの?)(あるだろたぶん)
・強制起動:楽神の加護
(モノによっては使えるな)(額にチンコ生えさせたり?)(殺すぞ!)
・確認された呪いの一例
・記憶消去
(ざまぁ)(勉強は家でしろ)
・性欲喪失
(ずっと?)(解除は未確認らしい)
・衣服消滅
・荷物消滅
(ダンジョンでこれら引いたら死ぬ)(ダンジョンではまだ未確認だってよ)(安心できねー)
・淫語適性
(日常会話に支障あり)(どんだけだよ)(自然解除未確認だから永続かもしれんって)(いや神殿行けよ……)
・モザイク処理
(モザイクって何?)(語源ここかぁ)
・中折れの加護
(どこが加護だクソが!!!!!!)
・魅了の魔羅:魚
(漁師になれるじゃん加護じゃないの?)(食いちぎられそうになったらしいぞ)
・常時勃起
(そのままにすると腐り落ちるから神殿で解除必須)(女もだぞ)
「うわぁ……」
ミアはドン引いていた。
冒険者ギルドに用事があったものの想定以上に混み合っており、ならば順番が来るまで時間を潰そうと、併設されている書架にて確認済み神の試練一覧を見ていたのだが……自分に関係のあるページが何か更新されているだろうかと見てみたら落書きだらけであった。必要な情報も埋もれてしまうのは困り物だが、楽神の低俗な試練のページはだいたいこんなもんである、楽神相手だと皆フリーダム過ぎる。
「ミア様ー! そろそろ順番ですわよー!」
「今行きます……ルイーサ嬢、ここでそんな大声出さないの」
「はぁい」
セックスしないと出られない部屋の三例目の発見者であるミアであったが、冒険者ギルドの担当者を脅、温和な話し合いをして自分達の情報を伏せるように求めていた。確認したところしっかり伏せられていたため胸を撫で下ろす。バレたら色々な意味で死んでしまう。
自身を大声で呼ぶルイーサの元へ歩を進めつつ、冒険者ギルドに一緒に来る事にも慣れてきたなと思い耽る。
何故彼女達が一緒に冒険者ギルドなんて場所にいるのか。
それは半年前にさかのぼる。
††††††
ミアという少女は今日も平和な日々を過ごしていた。
いつものようにクランの変人達からイジられつつ、暮らしの糧となるギルドの依頼をこなし、そろそろ古めかしくてオシャレのオの字も無いような真っ黒なクソダサローブを買い替えられるかなと内心ウキウキしていた。
別に、半月前にこなした要人救出の緊急依頼で
「ねーミアさーん。そろそろどんな加護貰ったか教えてくださいよー」
ミアの平和な日々は長続きしなかった。
比較的最近加入した陽神官のウザ絡みが今日も始まった。この陽神官、フィジカルもメンタルもマジカルも並外れて強いのだが、エロに対する執着も人並外れていた。
楽神の試練を突破して与えられる加護は確かにエロ関係が多い。故にミアからなんとか聞き出そうと顔を合わせる度に絡まれるのであった。
普段ならばテキトーにのらりくらりとあしらっていたのだが、今日は少し違った。
アレを、人に使ったらどうなるのだろう、そうミアは考えた。コイツなら実験台にしても問題ないだろうとも思った。非道である。
新たに得た魔法を実感させてやる。
そう説明し陽神官の額に指先を当て、少し長めの詠唱を始め、その効果が発現した。
「おっ、ほぉぉぉっ! これはっ、んぅっ! いいですね! オナってきます!」
嵐が去った。
ドタバタと陽神官がクランハウスを超スピードで出ていくのとすれ違うようにして、クランリーダーであるドミニクが入ってきた。
「エミリーのやつが興奮しながら出ていったが何かあったのか? ……まぁこんだけ人がいれば良いか、おい、入って来い」
そう、入口に向かって声をかけるドミニク。
ちょうど居合わせていたメンバー達は一斉にそちらを見た。
無論ミアもそちらを見た。
「今日から新しい人員が増える。中には知ってる奴もいるだろう。ルイーサ・プレスだ」
「皆様、宜しくお願い致しますわ」
クランメンバーは一斉にミアを見た。
ミアは全力で明後日の方角に目を向けた。
因みに、ミアが要人救出の依頼で神の試練に巻き込まれ、無事に突破したという事はクラン内では周知の事となっていた。無論その試練内容も皆知っている。ついでに求婚されて逃げ出した事も知っている。
故にミアを見た。どうすんだコレ、と。
「貴族の娘なんぞ本気で荷物にしかならんと思っている連中もいるだろう」
そんなクランメンバーの反応を見ていないかのようにドミニクの話は続く。
貴族令嬢の突然の来訪に驚いていたメンバー達も、そこでようやく理解が追いついてくる。
クランへ加入すると言っても貴族令嬢である。戦闘経験など皆無であろうし、かと言って事務方でも使えるとは思えない。
変人達しか居ないとはいえ、曲がりなりにも何かしらのプロフェッショナルが集うクランに、何の役にも立たなそうなお貴族様が加入して何になるというのか。
そんな訝しげな表情をドミニクへ向けている者も少なくない。
だが、その表情は長くは続かなかった。
曰く、ルイーサは肉体魔法の適性がある。
曰く、肉体魔法のための刻印を既に刻んでいる。
曰く、実家からルイーサの専用魔剣が持たされている。
曰く、戦闘訓練を行えば前衛はこなせるようになるだろう。
曰く、ルイーサを受け入れれば男爵家からの支援が今より手厚くなる。
曰く、ところでお前ら変人どもは金食い虫過ぎる。
曰く、よってクラン経営がしんどい。
曰く、分かってんのかお前ら。
曰く、文句言える立場か? あ?
メンバーの大半が明後日の方角に目を向けた。
なお、ミアもつい先日クラン費用で数々の消耗品を買ってもらったばかりである。明後日の方を向きすぎて首が千切れそうである。ついでに冷や汗が止まらない。
「まぁ安心しろ。お嬢さんの世話はミアがする。他の連中はノータッチで構わん」
ぐりん、とミアの首は正面を向いた。
クランメンバーは拍手した。後で焼き殺そうとミアは決意した。
それからドミニクに対して抗議、もとい質疑応答がなされた。
本気か? 本気である。
お貴族様が危険な目に遭っても問題ないのか? 男爵と本人から承諾を貰っている。
正気か? 正気である。
お遊びではないのか? 誰かさんと違って遊びではない。
ど、どこ製の刻印なのか? 王都でも評判の良い刻印士製である。
……魔剣とは? お嬢さんに専用化された魔剣であるが詳しくは知らん。
因みに受入を拒否した場合は? お前に拒否権は無い。
さ、参考までに拒否した場合は? 男爵家の私兵からリンチだろうな。
……最悪死ぬけど本当に良いのか? 承諾は得ている。
男爵の頭は大丈夫なのか? 俺も聞いた、正気だった。
正気かハゲ。うるせぇ殺すぞ。
無論全てミアが問い詰めている。悪足掻きとも言う。
クランメンバーは皆一様に生暖かい視線を送っている。
ドミニクは疲れたような顔をしている。
ルイーサはニコニコと何も言わずに佇んでいる。
なおも問い詰めようとするミアであったが、
「いや……手を出したんなら責任取れよお前」
ド正論を前にミアは沈黙した。
なおドミニクは泣く子が更に泣き出すほどの強面であるが、実は妻帯者であり愛妻家でもある。そのため仕方なかったとはいえルイーサに手を出したミアが逃げ出した一件に対しては思うところが常々あったのだった。
そうだそうだと同意の声を挙げるクランメンバー。
ミアの逃げ場所はついに無くなった。
「これから宜しくお願い致しますわね、ミア様」
そういう事になった。
意外にも、ルイーサはおとなしかった。
冒険者としての必要な知識、貴族社会とは異なる常識、店の利用の仕方、冒険者ギルドの使い方、仕事の受け方、履歴書の書き方……ありとあらゆる事を叩きこんだミアであったが、そこに恋だの愛だのは一切入り込んでこなかった。
何をするにも真剣に取り組んだ。まるで本当の冒険者初心者のようにミアの教えを受けていた。
ミアは困惑した。
自分を追いかけてきたのならば、こう、何か無いのか、と。逃げ出した恨み言でも、再度の求婚でも、と。だがそういう事は一切何も無かった。
救出劇の時に見せたあの熱烈なアプローチは何だったのかと、不思議に思った。
いや何かを期待している訳ではない、
重要なのは、この役立たずの貴族令嬢をなんとかして使えるようにする事である。色恋などどうでもいい、寧ろルイーサが真面目にやっているのに自分は何を考えているのかと、ミアは自分に喝を入れた。
「戦闘訓練、ですか……いよいよですわねっ!」
冒険者の仕事は多岐に渡るが、いずれも何かしらの戦闘技能は必要となってくる。
故に、ある程度の必要な知識を教えた後、ついに戦闘訓練が始まった。
ミアの指導は苛烈であった。
クランメンバー達がドン引きするほど苛烈であった。
なにせ変人達ですら、
「お嬢さん可哀想……」
と零したほどである。
なお、ミアから言わせればこれでもマイルドな訓練であるらしい。なんでもクソ師、素晴らしき師匠の元で訓練していた時はコレと比較にならない程の厳しさであったのだとかなんとか。更にメンバー達はドン引きした。
愛しのミアを追いかけて冒険者になった、なんてまるでラノベのような展開であるのに、これでは色恋など発展しようも無い。
ルイーサが日々ボロボロになるのを見ていられなかったのか、ついに苦言が呈される事となった。
「飴と鞭って知ってる?」
今まで鞭と鞭だったのである。
ミアからすれば甘々にも程がある訓練であったのだが……無論、再度ドン引きされた……確かに緩急は大事だと思い、訓練内容が見直される事となった。
……なったのだが、飴を与えたんだからもっと鞭は強くしてもいいよね、と訓練自体は更に過酷なものになっていった。違うそうじゃない。
「お前……わざと訓練キツくして冒険者諦めさせようとしてねーよな」
ドミニクからついに説教が入った。
ミアの首は明後日の方を向いた。
本人的には一応ちゃんと教えてはいた。が、そういう考えが無かったとも言い切れなかった。
「訓練は大事だからもっと優しくしてやれとは言わんが、こう、なんとかならんのか。大切にするとか」
大切に壊れないように訓練している、と言ったら頭を叩かれた。曰くお前のトチ狂った修行と一緒にすんな、とのこと。
ようやく、ミアはルイーサと真面目に向き合う事にした。いや別に真面目に向き合っていなかった訳ではないのだが。
訓練以外でもちょっとした事を話すようになり……今まで不必要な会話は避けていたのであるこの女……休養日は一緒に買い物したり食事をしたり。
そうしたミアの変化に、ルイーサも少しずつ自分の事情や想いを告げるようになっていた。
「ミア様のお側で、お力になりたいのです」
その一心であったらしい。
だから常識の違いに困惑しようが、度重なる過酷な訓練にも泣き言を言わずに向き合ってきた。全てはミアのために、と。
……だが、ミアは恐怖した。
分からなかった。信じられなかった。
確かにルイーサを魔の手から救出した。だがそれだけでここまで出来るのか。
確かにあの部屋で互いの肌に触れ合った。だがそれだけでここまで心酔するのか。
理解が、できなかった。
「ミア様のためならば、どんな事でも乗り越えてみせますわ」
ルイーサの言葉に、ミアは一つの決意をする。
ならば、乗り越えてみればいい。
愛などというものを貫けるのならばやってみればいい。
その日から、常軌を逸したある訓練メニューが追加された。
††††††
ルイーサをしばき倒したり飴を与えたりしばき倒したり……相変わらず鞭の量は多かった……している内に半年が経ち、今では二人だけで依頼をこなすのは珍しい事ではなくなっていた。
冒険者ギルドのロビーに戻ると丁度番号を呼ばれ二人が受付に向かうと、いつもの受付嬢が担当であった。
「
あっち方面。その言葉にぴくり、と受付嬢とルイーサが反応する。周囲の者が聞き耳を立てていたとしても、この符号で内容を察する事は出来ないだろう。
だが何度もミアの担当となった事のある彼女にとっては、それが何を意味するのかを推察するにはその言葉で充分であった。
「ちょっと待ってね……」
そう言って一度退席する受付嬢。
その様子を見て、何やらウキウキしながらルイーサが小声で問いかけてきた。
「ミア様ミア様。あっち、という事は、つまり、そういう事ですわよね……!」
「……さぁ?」
「もう……!」
そっけなく対応するミア、頬を膨らますルイーサ。こういったやりとりは半年も経てばもはや定番となっていた。
尚も食い下がってミアから聞き出そうとするルイーサであったが、程なくして受付嬢が戻ってくる。
「丁度あったよ。あっち方面の街への手紙配達、速達でね」
「速達って……ベルノルトさん居ないんですか?」
「いや居るんだけど、彼が行った事のない街でね?」
「あー……」
「だから随行員って形になって、給料も安いんだけど……どう?」
受付嬢とミアが話している後ろでルイーサは首を傾げていた。冒険者になって半年とはいえ、まだまだ分からない事は多い。
「構いません、それでお願いします」
「はいはーい受領、っと」
「じゃ行きますよルイーサ嬢……どうしたんです?」
受付嬢との話が終わりミアが振り向くと、そこにはよく分かっていない顔のルイーサがいた。
「あの、手紙の配達も冒険者の仕事なんですの?」
「あぁ……」
至極尤もな疑問である。
魔物を狩ったりダンジョンを探索したりする通常の冒険者の仕事とは打って変わって、ごくごく平凡な仕事である。配達なんて、とは言わないがルイーサはそれがとても不思議な事に思えた。
「
「本来はそうですね。ですが、これは駅逓局から回されてきた仕事なんですよ」
「回されてきた……?」
尚更意味が分からないルイーサであった。手紙の配達、それが駅逓局の仕事ではないのか、なのに何故。
更に疑問符を表情に出すルイーサであったが、ミアの補足が入る。
「人員が足りないんですよ、あそこ」
「あぁ……」
悲しい理由であった。
「まぁそれに、彼らの主だった配達先は王都内ですからね。王都の外へ行ける、単独で魔物との戦闘を切り抜けられる人材となると更に数が少ないそうです」
「なるほど……」
「なので、急ぎの便だけど外に行ける人が居ない、という時は冒険者ギルドに仕事が回ってくる訳です。稀にですが」
王都の外に行ける駅逓局員を特別外交員と呼ぶが、彼らは特殊な訓練を受けており、並の冒険者では太刀打ちできない程に強い。よってただの配達員と侮って喧嘩とか売らないように、とミアから補足が入る。
「では、ベル……なんとかさん? 担当の方がいらっしゃるのに私達が随行とは……」
「あー、厩舎に行けば分かりますよ」
それは馬と言うには、あまりに大きすぎた。
大きく、
漆黒で、
重く、
そして巨大に過ぎた。
「こんにちわ、ベルノルトさん」
「ミア君か、久しいな」
しかも喋る。
「馬が喋った……⁉」
無論ルイーサは驚愕した。
馬人という種族はいるが、目の前にいるのは大きさが規格外ではあるものの馬そのものである。ヒト族や魔族ですらない、馬である。そんな存在が言葉を解する、というのならばまだ分かる。だが話すというのはあまりに規格外なのではないか。
「む、なんだね君は。馬が喋ってはならんとでも言うのか、差別主義者か」
しかも道理を説いてくる。なんだこの馬。
「ベルノルトさん、初対面に毎回それやりますよね」
「うむ、通過儀礼というやつだ」
冗談だったらしい。
目を白黒させていたルイーサを見かねて、苦笑気味にミアが紹介を始める。
「ルイーサ嬢、こちらベルノルトさん。冒険者と共に神の試練を突破して、共通語のみではありますが言葉の加護とかを得たお馬さんです」
「え、えぇぇ……」
「うむ。初めましてルイーサ君。今後ともよろしく頼む」
そう言ってベルノルトはぺこり、と器用に頭を下げた。下げたのだが、それでも高い。なにせこの馬、体高がミア達の身長よりもはるかに高い。馬の体高とは足先から肩までの長さであり、首から上は含まれない。つまり巨大なのである。
「ベルノルトさんが言葉を話すという特殊な事情とか、そもそも大き過ぎるというのもあって、魔物と間違えられるんですよね」
「全く遺憾である」
「なので一度も行った事のない街や地域には事情を説明出来る随行員が必要なんですよ」
「は、はぁ」
そりゃこんなクソでかい馬のような生物が来たら、初見ではビビること間違いなしである。事実、ルイーサもビビった。しかも言葉を喋る、意味が分からない。
「それよりも聞いてくれミア君」
「なんです?」
「吾輩の精子が只々オナホールにこき捨てられる件なのだが」
「知りませんよ」
しかも下ネタを振ってくる。ミアに対してなんて事を、と斬り捨てようと思ったルイーサであった。
因みに、オナホールという存在の知識はクランメンバーから教えられた。相変わらず碌な事を教えないメンバーである。
「いいや聞いてほしい。吾輩、馬であるからして発情期というものがあるのは知っているだろう?」
「知りませんよ、知ってますけど」
「その時期はもうどうにも辛抱堪らない訳なのだが、どうせなら牝馬に中出しさせてほしい」
「……すればいいじゃないですか」
知らない、と言いつつ相手をするミア。その対応に、やはりお優しい、と密かに思うルイーサであった。
「それがな、吾輩のイチモツが大き過ぎて入らんのだ」
やはり斬り殺すかと考えを新たにしたルイーサであった。
だがミアは慣れた様子で、
「はぁ、それは災難ですね」
軽く流していた、強い。
「そう、災難なのだ! 吾輩の優秀な遺伝子を牝馬達に撒き散らしたいというのに! それが叶わんのだ!」
「……注射器か何かでちゅーって挿れればいいじゃないですか」
「中出ししたいのだ‼︎」
「そろそろ死んだ方がよろしいのでは?」
堪えきれなくてついにルイーサがツッコんだ。
「な、なかなか辛辣なお嬢さんだなルイーサ君……」
「ルイーサ嬢、慣れです慣れ」
「えぇぇ……」
間違っているのは自分だけなのかとルイーサは苦悩した。冒険者は下ネタを嗜んでこそとでもいうのだろうか、貴族社会から離れて久しいが、常識の違いに打ちのめされる。
無論そんな常識など無い。
「まぁ聞きたまえ。発情期というのは本当にそういうものなのだ。年中発情期であるヒト族では分からぬだろうが」
「……なるほど」
「ルイーサ嬢、何で今納得したんです?」
特定人物に対して年中懸想しているからである。
「まぁそれで中出しをキめられない訳なのだが、そこで登場するのがオナホールなのだよ」
「はぁ」
「それで吾輩のイチモツを扱かれるのだが……アレに! 扱き捨て! られるのだ!」
「はぁ」
「吾輩の優秀な遺伝子達が……!」
「はぁ」
テキトウ過ぎる相槌を打つミアに対して熱く語り続けるベルノルト。相当鬱憤が溜まっていたらしい。
「だがまぁ、この御立派様が入らん、デカ過ぎる、というのもまぁ、分からんでもないのだ」
「……まぁ、そりゃあ」
ミア達が視線をスライドすると、そこにはまぁ、立派なものがあった。ルイーサは赤面した。
「コレを見ただけで逃げられてしまってな……子作りするどころではないのだ」
「それは、お気の毒に?」
「もはや一周回って、毎度オナホで扱き捨ててくるアンネ君に惚れてしまいそうなのだ」
「いや無理でしょう種族的に」
「バカな……」
参考までにアンネは普通のヒト族である。馬以上に入らない、ナニが。
「はいはい、バカな話は置いといてお仕事しますよ、ほら」
「ま、まだ話は終わっていない!」
「ベルノルトさん、そろそろ斬り落としますわよ?」
「さぁ仕事の時間だ、乗りたまえ」
そういうことになった。
そこからは下ネタの介在しない平和な展開であった。
ベルノルトの巨体に二人で乗り……あまりの高さに、ルイーサは慣れるまでガッチリとミアに抱きついていた。いやそれが無くとも抱きついていただろうが……異常とも言える速度で目的の街に辿り着き、住民に恐怖を振り撒き、ミアが宥め、手紙を無事渡してお仕事終了である。
普通の馬ならば三日かかるような行程が一日で終わった、幾多の加護を持つベルノルトの本領発揮である。アホな下ネタさえ言わなければ優秀なのである。
そんなこんなで仕事は即完了したものの、丸一日もの間爆速のベルノルトに騎乗していた疲労もあり、街の宿に一泊することとなった。……余談だが、
因みに宿をとったのはルイーサの仕事であった。一部屋しか取らなかった。当然である。
「……ねぇ、ルイーサ嬢」
「なんですの?」
寝入るためにベッドに横になったミアであったが、ふとルイーサに話しかける。
「……愛って、何です?」
疲労困憊だったからであろう、普段なら絶対に聞かないような事を投げかけた。
誰かを愛したという経験がなく、興味本位で買った恋愛小説くらいでしかその感情を知らないミアであったから、ルイーサから向けられる愛情というものには常々疑問を感じていた。
同時に、その答えによっては、ただの吊橋効果による勘違いなのだと、突き付けてやるつもりだった。
ずるずると長引いてしまったが、今ここで引導を渡してやる。そう思っていた。
「ミア様への全て……という話ではありませんわよね」
「……まぁ」
枕に顔を半分埋めるミア。馬鹿馬鹿しい事を聞いた、何が引導だ、と早くも後悔したものの気になる事は間違いない。ルイーサに片方だけの目線を流し、無言で先を促す。
「そうですわね……」
ベッドに腰掛け、片手を頬に当てながら思案するルイーサ。
だが、考えていたのはごく短い間であった。
「最初は、私の全てを差し出したい、全て受け入れてほしい、そう思っておりました」
「……最初は?」
今はそう思っていない、意外な答えに目を丸くするミア。
世の中の事を何も分かっていない箱入り娘、そんな少女が抱く幻想などそんなものだろうと思っていたのに、それが否定されるとは思ってもみなかった。
「ミア様から、ふふ、気を悪くなさらないでくださいね?逃げ出されてしまった後、私なりに考えたのです」
この半年間、冒険者として過ごした経験はあれど、十何年間も培ってきた常識や思想等が簡単に変わる筈もない、今も夢見る少女のようなものだろうと、高をくくっていた。
「住む世界が違うのだから致し方ない……そう考えて何もかも忘れてしまえば良かったのですが」
「……いや、まぁ、その節は」
「ふふ、確かに刺激的でしたわ。ですが、あの事が無かったとしても、私を助けてくださったあの瞬間の事が、忘れられなかったのです」
思わず目を逸らすミアに、ルイーサは微笑みを浮かべる。
「そうして気付いたのです。物語のお姫様のように、何もせずに王子様に全てを差し出したいのではないと」
目を閉じ、胸に手を当て、自身に問いかけ、それでも揺るがない想いを口にする。
「私は、貴女と共にあり、全てを分かち合いたい、貴女に並び立ちたい、そう思ったのです」
その愛の起源は強い憧れだったのだという。
自分を救い出してくれた、あの黒衣の魔術士への羨望。自ら前線に立ち、敵対する者を容赦なく断罪する姿を見て、共に歩んでいきたいのだと、そうルイーサは告げた。
……並大抵の決意ではなかった筈だ。
そのまま貴族として生きていれば、日々の訓練で、冒険者としての依頼の中でボロボロになる事はなく、生傷を作ることもなく、いつかはどこかにお嫁に行き、平和で、普通の幸せを得る事が出来た筈だ。
なのに、それを捨ててでもミアに並び立ちたい。それ程までの情熱、それがルイーサの愛だった。
「……明日の訓練は、激しくしますから、そろそろ寝ましょう」
それ以上何を言うでもなく、反対側を向いて完全に寝る体勢となるミア。視線が切られてしまって、ルイーサの答えに何を思ったのかを推し量る事は出来ない。
だが、否定する事なく聞いてくれた。その結果にルイーサは満足していた。
「はい、おやすみなさいませ」
††††††
翌日。
昨夜の事は何も気にしていないかのように、ミアとルイーサは起床し、街の外で野宿していたベルノルトと合流した。
「では戻るとするが、昨日より速度を落とすかね?」
「あ、ベルノルトさん。寄ってほしいとこがありまして、お願い出来ませんか?」
「ふむ、構わんが」
並足で歩き始めたベルノルトを止めるミア。
ルイーサは緊張したような、どこかウズウズしているような表情でミアを後ろから見つめている。
「第三号ダンジョンへ」
巨体を誇るベルノルトの足にかかれば、第三号ダンジョンへの寄り道など容易い事であった。
「ふむ……着いたが、こんな場所に何用かね?」
「ちょっとした野暮用です。そんな時間はかからない筈なので待ってていただけますか?無理にとは言いませんが」
「構わんよ。草でも食っている」
入り口にベルノルトを残し、ミアとルイーサは王国第三号ダンジョンの中へ進んでいった。
知性があり言語を操るベルノルトであったが、所詮馬であるためここに何があるのかまでは把握していなかったらしい。
そう。攻略済みで、無人で、何の旨味も無いここに来る理由が分からなかった。
だが、ここにはそれがあった。
セックスしないと出られない部屋が。
(見事試練を突破してみせ、またお前らかよ別にいいけどー)
セックスしないと出られない部屋の入り口を通ると、もはや
「《要セックス部屋の改装工事》《修練場モード》」
ルイーサの宣言と同時、狭かった室内が広々とした空間に一瞬で変化する。
「……この変化、いつ見ても不思議ですわよね」
「楽神に常識とか合理性なんて求めちゃダメですよ」
軽口を叩きながら旅装を解くと、その下からは戦闘装束が現れた。
三角帽子を被り、緻密な魔術刻印の為された黒いローブを羽織り、儀式短剣やタリスマンを身につけ、炎神の意匠が施された杖フラーモを掲げる魔術士。
ブレストプレートを、ガントレットを、グリーブといった金属鎧を身につけ、自身としか適合しない特別な魔剣マルファツィーレを両手に握りしめる剣士。
「さ、始めますよ」
何を、などと無粋な言葉は発せられない。
何故ならこの場で何度も繰り返されてきた事なのだから。
「《
《
《
《
《
《こ
《我が
ルイーサのアストラル体が目に見えぬ発光を始め、肉体から漏れ出たその光が陽炎のように揺らめき、全身の筋肉が、筋繊維の一本一本が魔力によって強化される。
その間、ミアは一切動かなかった。まるで、そんなものは話にならないとでも言うように。詠唱文がどうであろうと、そんなものは関係ないとでも言うように。
「ぃぃぃいやあああああっ!」
肉体魔法によって強化されたその体が、爆発的な推進力をもってミアに接敵する。
だが、
「《
大上段から振り下ろされた魔剣が、尋常ならざる速さの詠唱により形成された炎の刃によって食い止められる。
「甘い」
刃同士が噛み合っていたのは一瞬、炎刃がほんの少し動いた瞬間、魔術士を断ち切らんとするその軌道がズラされた。
「《
「ぐっぁ……⁉」
それと同時、新たに形成された真空の拳がルイーサの腹に突き刺さり、その衝撃で吹き飛ばされ距離を離される。
「《
転倒こそしなかったものの大きく体勢を崩された剣士に追撃が迫る。
中空に幾つもの炎の塊が浮かび上がり、一つ一つが意思を持っているかのようにしてルイーサに襲い掛かる。
「っ! 《マルファツィーレ》! 《
姿勢を迎撃に併せ、無理に動かす体が魔力に強化されていてなお悲鳴をあげる。
迫り来る脅威に魔力を帯びた剣を合わせ、一発、二発と無効化していくが絶えず発射される炎弾は途切れる事がなく、防戦一方となる。
「そのままでは後がありませんよ」
「分かって……! います、わっ!」
我武者羅に剣を振るい続けるルイーサ。その姿をミアは冷ややかな目で見つめ続ける。
「では死になさい」
「死に、ません、わっ! 《マルファツィーレ》《
剣に込められた魔術が励起し、ルイーサの身を纏っていた魔力が剣の軌跡に合わせ解放された。
魔力により構成された、元の剣の何倍もの長さとなった仮初の剣が魔術士に向かって薙ぎ払われる。
だが、そんな見え見えの悪足掻きが歴戦の冒険者に当たる筈もない。
「……《
身を屈め、一撃を躱しながら紡がれた詠唱により、部屋を揺るがすほどの爆発がルイーサを起点にして発現した。
もうもうと煙が立ち込め、ミアの勝利が確定したと思われたその時、
「ああああああぁぁぁああ‼︎」
爆煙を切り裂き、全身が焼け焦げた状態でルイーサがミア目掛けて突撃する。
「《マルファツィーレ》! 《
「《
もはや限界の体を更なる強化によって疾走させ、ミアに迫る。その速さは先のものと比較にならず、展開中の炎弾さえ無視するような突撃。
再度炎刃を展開する魔術士。だが再び大上段から振り下ろされた魔剣の重さは一撃目とは比較にならなかった。
「ぐっ……!」
「もらい……! ますわよ……っ!」
本来、炎刃に生半可な剣を当てようとすれば溶解し、そのまま反撃されるのが常である。
しかしこの不壊であれ、ただ強くあれと作られた魔剣は切断される事なく、このまま断ち斬るとばかりにその圧力で魔術師に膝をつかせる。
インファイトならば剣士の独壇場とばかりに、掲げられた炎刃をじりじりと押し込める。このまま行けばミアは自らが生み出した炎に焼き切られる事であろう。
だが、相手は魔術士なのである。
「《
両者の間で小規模の雷撃が生成される。
肉体を走る痛苦に互いに、いやルイーサのみが表情を歪め、力がほんの少し弛んだ瞬間ミアが脱出する。
「っ! 逃しませんわ!」
「《
再度肉薄しようとした瞬間、両者の間に小さな、しかし無視出来ない程度の石片が生成される。
それを打ち払って突進しようとした刹那、
「《
「ぐっぁああ⁉」
打ち払った石片から何条もの石の棘が飛び出てルイーサに突き刺さり、追撃せんとした足が完全に止められる。
「《
口早に唱えられた魔術が、剣士の息の根を止めた。
ミアは、ルイーサ・プレスの燃え尽きる様を眺めていた。
炎神の象った意匠の魔法杖は油断なくルイーサに向けられたままで、息を整えながら気怠そうな垂れ目で焼き尽くした対象を睨みつけている。
炎が燃え尽き、対象が事切れたかと思われた瞬間、焼死体が淡い光に包まれた。
突然起こった発光現象に、ミアは動じる事なく構えを解いて見守る。
光が弱まって完全に消えた頃、骸であった筈のルイーサがむくりと立ち上がり、
「はあぁぁぁぁぁあぁ! またやられましたわ!」
傷一つない姿で、悔しさを隠しもせず叫んだのであった。
「もう! あと一息でしたのに!」
地団駄を踏んで全身全霊で悔しがるルイーサ。
王国、第三号ダンジョン、セックスしないと出られない部屋。この部屋の中で起こった事は無かった事になる。
焼け死んだ筈のルイーサは黄金の長髪はおろか、その豊満な胸部を守るために身に付けていた白銀のブレストプレートに煤一つ残っていない。
なお、ミアが長年使用しているローブのほつれかけていた裾部分はそのままである。
常軌を逸した訓練メニュー。
それは、斬っても焼いても潰しても、全てが無かった事になるという、この部屋の性質を利用した殺し合いであった。
「……ねぇミア様」
「なんでしょうルイーサ嬢」
「今更、すごく今更なのですが、訓練なのは分かりますけれど、何も殺し合いをしなくとも……」
散々痛めつけられてきた、散々殺されてきたルイーサが意見する。
いかに元に戻るとはいえ、痛覚などはそのままである。そんな中で一時的とはいえ命を奪い合うような訓練に流石にルイーサも疑問を抱く。
「ミア様に向かって本気で剣を振るうなんて……」
「そういう事は私を殺せるようになってから言いなさい」
「うぐぅ……」
一刀両断である。なおルイーサ的には殺される事自体は既に問題ないらしい。
……いや、この訓練を始めた当初からそうであった。その際は、
「ミア様に殺されるのならば本望ですわ!」
と言い放った。そして殺された。そしてケロリと立ち上がった。
異常である。師も師なら弟子も弟子である、二重の意味で。
「命を賭けて戦う鍛錬に勝るものはありません」
「……そうですわね」
だが、ミアの言う通りにこの訓練の効果は劇的であった。
この半年、この苛烈な訓練のおかげで早々にルーキーとは呼ばれなくなるほどの実力を身につけた。
それと同時に、成長期であったルイーサはミアの身長を追い越し、冒険者に恥じない体格となった。しかし筋肉が付き難い体質なのか腕や足は細いままであるのだが、クランの女性メンバーからは逆に羨ましがられているらしい。
「というか最初の振り下ろしは何です? 肉体強化しただけの、そんな細腕を強化しただけの一撃、当たる筈ないでしょう」
「うぐっ」
そして説教が始まった。
「最初に私が何もしないで貴女に時間を与えたのは何のためだと思っているのですか」
「……私に準備をさせるためです」
「そう。最初は全力で、全身全霊で向かってくるように、と言ってましたよね」
「……いきなり斬りかかったら、びっくりするかと」
「あぁ?」
「ひぃっ」
口答えは許されないのである。
「熟練者相手に何アホな事言ってるんですか。常々言ってますよね、勝つ努力をしろと。貴女の目の前にいるのは全て格上であると思えと。そんな相手に奇襲、えぇそれは有効な手段でしょう本当に奇襲になっているのであれば。ですが実際やったのは相対している状態でのただの突撃、奇襲にすらなっていません、無意味です。今やる事じゃありません。まずは全力で、自分のスペックをフルに発揮した状態で掛かって来いと、そう言いましたよね? なのに何ですかアレは、舐めてんのか」
ガチ説教である。
「というか何ですかその軽装。胴体を守るのがブレストプレートだけとか」
ルイーサは胸部を守るブレストプレートは身に付けていたが、手と足を覆うガントレットとグリーブの他はディアンドルを身につけただけという、戦場を大いに舐め切った格好であった。
因みに軽装具合ではミアも負けていないどころか更に軽装である。真っ黒な古めかしいローブの中はブラウスとミニスカートなどという、お前も戦場舐めてんのかスタイルではあるものの、そもそもミアは高速戦闘を得意とするため、重い装備は逆に邪魔になるのである。
肉体魔法を行使すれば鎧等を身につけていても楽々動けるようにはなるものの、その詠唱さえも無駄とミアは自分の意思で切り捨てたのである。
しかし、そもそもミアのローブは対刃対魔法性能に優れている一品なので、完全に無防備という訳でもない。そう、クソダサローブと常々罵っているが超高級品なのである。
だが、剣士であるルイーサの装備は、貧弱にもほどがあった。
「いや、だって、その」
「その?」
「……こちらの方が可愛いではありませんか」
座り心地が悪いかのように、顔を逸らして小声で呟くルイーサ。
顔を赤くしてチラチラとミアの方を見てくる様は可愛らしいものではあったが、
「バカなんですか」
「うぐぅ」
無論一蹴される。
「肉体強化すればババっと動けるようになるんですから、重装とまではいかなくても、せめてチェインメイルでも着てなきゃあんなショボい術で足止めされるに決まってるじゃないですか」
「はい……」
事実、肩口や太腿に石の棘が突き刺さって動きが止められた所に炎弾が叩き込まれ、この部屋の特性が無ければ本当に死んでいたところである。
本人も分かっているのか流石に項垂れて素直に頷くものの、分かってはいるけれどしたくない理由があると言いたげな様子。
「……何か言いたい事でも?」
「だって……」
「だって?」
「貴女に、可愛いと、思っていただきたくて……」
消え入りそうな声が、無音の室内に響いた。
「……はい、次やりましょ」
「ちょっとぉ⁉」
魔術士は聞かなかった事にした。
しかしその耳元は僅かに赤く染まっている。案外効いたらしい。
「はいはい、次もルイーサ嬢の先手で良いですから」
「もう……」
むくれたような声を出して、両者は再度立ち会った。
訓練はまだ始まったばかりである。
何度も、何度もルイーサは殺された。
それでも立ち上がり、ミアに向かっていった。
その原動力は愛。
その原動力は憧れ。
ミアに並び立つのだと、自分を助けてくれた、そして今相対している黒衣の魔術士と共に歩む、そのために強くなるのだと。
ミアのために。
自分自身のために。
だから立ち上がる。
だから立ち向かう。
強くなるために命さえ捨てる。
生きるために死に続ける。
その姿を、ミアは見つめ続けていた。
「あら……」
十度ほどであろうか。
ミアに焼き殺されたルイーサが再度立ち上がった時、二人の目の前に紙片が落ちてくる。
そこには、
“目的外の利用時間は過ぎました。直ちに退室してください。
追伸:常連だから許すのはここまでやで。”
「…………」
「…………」
この部屋の主からの伝文であった。とっとと出ていけ、と。
読み終えると同時に、広大な広さであった部屋は元の空間に戻り、目の前に天蓋付きのベッドが出現した。
「今日はここまで、ですね」
「はい。本日もありがとうございました」
両者共に得物を下げ、鎧を、ローブを脱いでいく。
そして、どこか緊張した様子で、カーテンを捲り、ベッドに乗った。
そう、ここはセックスしないと出られない部屋である。
††††††
「さっ、ミア様。横になってくださいませ」
どこかウキウキした様子で……多少鼻息が荒かった……促すルイーサであったが、ミアは動かなかった。
「……ミア様?」
何も反応を返さない事に不安を抱くルイーサ。
普段であれば、ミアにあんなことやこんなことをして、なんやかんやで部屋を後にする。そういう流れだった筈だ。
だが、今回は少し違った。
「……今日は、私がしますから」
頬を染め、ぷいっと横を向きながらぽそりと告げるミア。
「だから……横になるのは、そっちです」
ルイーサは一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「……? …………⁉」
だが遅れて現実が追いつき、その言葉を理解した瞬間、ぼんっと顔を真っ赤に染めた。
「ほら、いいから、横になれって言ってんですよ……!」
ミアが、よく分からないけど、自分を、求めてくれた、いや、え、何故、何で、いや、嬉しいけど、え?……と、ルイーサの脳内は混乱の極地にあった。
「もう……とりゃ!」
「ひゃわっ⁉」
脳がオーバーヒートを起こして動けない状態のルイーサを、案外短気なミアが押し倒した。
「そういう、気分なんです。大人しく、犯されろって言ってんの」
「ちょ、ちょっとお待ちになってください⁉」
「待たない」
そう言って、ルイーサの服を脱がしにかかるミア。
「せ、せめて自分で脱ぎますから!」
「いや、服の構造にも興味がありますので脱がさせてください」
「そんな理由ですの⁉」
わたわたしているルイーサを歯牙にもかけず、ミアはディアンドルに手をかけた。
コルセットのファスナーを下ろすと、締め付けられていた胸部が解放され、ふよん、とブラウスが揺れる。
「なるほど、こうなってて、あぁ、ブラウスとスカートに分かれているのか、なるほど」
「……あの、服の構造が知りたくて、攻めに回ったのですか?」
「いや違いますけど」
そう言いつつ、しげしげと興味深そうにルイーサを眺めるミア。
「あ、あんまり見ないでくださいまし」
「……あぁすみません。脱がせてからですよね普通は」
「そういう事ではなくてですね⁉」
顔を真っ赤にして抵抗するルイーサであったが、それは口先だけであった。
ミアの手を力無く掴み、イヤだと、けれど本当はミアから迫られる事が嬉しくてたまらず、だけど気恥ずかしく、だから止めてほしくない。そんな願望を口にする。
スカートが、ブラウスが、徐々に剥ぎ取られていき、雪原のように透き通る肌を飾るような、純白の下着が顕になった。
「……あんまり、見ないでくださいまし」
「綺麗ですよ」
「~~~~~~!」
普段は絶対にそんな事は言わないのに、何故今日に限って恋愛小説に出てくるような事を、そんな嬉しくなってしまう事を言うのか。
ルイーサは嬉しさと恥ずかしさで声にならない叫びをあげた。
「さ、手をどけてください」
「…………はい」
胸元を隠していた腕が外され、ついにはその身を守る最後の砦が取り外される。
コルセットにも下着にも締め付けられていないそれは豊満と呼ぶほかなく、仰向けになっていてもなお形を崩さずにツン、と宙に張り出しており、その頂には薄桃色の突起がフルフルと震えていた。
「……どんどん赤くなっていきますけど、恥ずかしいんですか?」
「恥ずかしいに決まっておりますわよ……!」
自分の感情がうまくコントロール出来ず、ヤケになったような反応をするルイーサ。
だがそれも致し方のない事である。今までこの部屋の中で行われていた退室の儀式では主にルイーサが攻め手であったため、裸身を晒す事は稀であった。
それなのに、何故か今日は、こんな状態になっている。
「では、触りますよ」
「はい…………んっ」
ミアがその胸元に手を伸ばすと、ふにょり、とたやすく形を変えた。
それと同時に、ルイーサの鼓動がミアに伝わる。
「は……んっ……ふ……ぁ……」
とくとく、と早い心音を手に感じ取りながら優しく揉みしだくと、ルイーサから甘い吐息がこぼれ始めた。
その反応にミアは安心した。攻め方自体は身をもって知っている。だが実際に誰かを攻めるなんて事は無論始めてであったため、正しいという事を実感する。
「はぁ、ぁ……んぅ……んっ……」
だから、壊さぬよう、痛くしないよう、触り方を変え、強さを変え、ルイーサがミア自身にくれたものを、一つずつ返していく。
「んっ……! は、ぁ……はぁ、ぅ……!」
時折その頂に触れると、ルイーサは胸を僅かに突き出すようにして過敏に反応した。
それは快感を感じたからなのか、もっとして欲しいからなのか、ミアには判断がつかなかった。
だから、その薄桃色を摘んだ。
「あんっ! ……っ! んんっ、んぅ……!」
帷の中に、色付いた声が響いた。
自身から漏れ出た声に驚き、口元に指を添えて声を抑えるルイーサ。
「んぁっ! そこ、は、ぁんっ……! ふっ、ぁ……!」
だが、一度漏れてしまったものは、止めることが出来ない。
ミアがきゅむきゅむとそこを摘むたびに、その美しい双丘はふるふると揺れ、体感している快感を視覚と聴覚をもって主張する。
「んぅっ、ぁ……ぁんっ! はぅぅ……んっ……!」
「……なるほど、攻め手に回るのも結構楽しいですね」
ルイーサを観察しながら、その美乳を優しく蹂躙するミア。
揉みしだけば切なそうにくなくなと身体をよじり、突起を苛めれば堪えられないようにぴくんと反応し、いつもの必死そうな表情とは異なる淫靡な表情。
「ぁぁっ! そんなっさわりかた、んっぅぅぅっ!」
固くなってきたそれを、親指と人差し指を使ってコリコリと挟み転がすと、ルイーサの嬌声が一段階大きくなる。
「ぁんっ! あっ、んんっ! んぅ、ふっぁ、んんんっ!」
転がし、擦り上げ、潰し、弾き、あらゆる手段で真っ赤に充血するそれを苛め抜く。ルイーサの口元に添えられていた指はもはや用を為せなくなり、いつの間にか掌で口元全体を覆っていて、籠ったような声が奏でられていた。
……が、ミアは面白くない。普段は自分があんあん言わせられているのに、不公平だと。こうなったらとことん苛めてやる、と。
だが同時に思う。胸だけで感じ過ぎだと。
そこでふと一番最初の情事を思い出した。確かこのお嬢様は感じやすく、即ち濡れやすいのではなかったのかと。
「……下着、脱がさないと汚れてしまいますね」
「あっ、やっ、自分で、自分で脱ぎますから、あんっ!」
反抗しようとしたルイーサを、乳首をきゅっと摘む事で黙らせる。
そうして体勢を変え、下腹部を覆う心許ない布切れの両端を掴み、ゆっくりと剥ぎ取っていく。
「見ないで、くださいませ……」
下着の中心部には既にコイン大の暗い染みが広がっていた。
遅かったかと思いながらゆっくりと下ろしていくと、クロッチ部分が陰部に張り付いていて直ぐには離れない。だがその張力の限界を超えた瞬間、にちゅっ、と軽い水音を立てて、ようやくその純白を脱がす事が出来た。
「ほら、ルイーサ嬢。足、開いてください」
「うぅぅぅぅぅ」
傍らに下着等をまとめて置き、ルイーサに促すミア。だがご令嬢の両足は頑なに閉じている。
「む……ルイーサ嬢、ほら、ほら」
「ひぅ……っふぁ……むぅぅぅ」
太ももの表面をなぞるように手を這わせると、ぴくんと反応するが、それだけであった。
「…………さい」
もういっその事、無理矢理というのもアリなのかとミアが思い始めた時、ルイーサがぽそり、とこぼす。
「ルイーサ、と。……呼んでください」
「あの、その、不躾なお願いだとは思って、きゃあっ⁉」
ミアの脳が、何かに殴られたかのようだった。
その情動に従うままに、閉じられていた両足をこじ開ける。
「ルイーサ」
「はっ、はいっひぁっ⁉」
曝け出された陰部に、ミアの手が添えられると、ぴちょ、と既に潤っている音が微かに鳴った。
「犯すよ」
「……はい……はい! んぁっ!」
ルイーサの表情が、歓喜に染まったのは一瞬の事。ゆるゆると動かされた手の動きに合わせて、その表情はすぐさま蕩けだした。
「ルイーサのここ……すごく、熱いね」
「やぁ……ぁっ、んんっ! ぁぁっ、んぅっ……!」
ルイーサの花弁からは、とくとくと淫蜜がこぼれており、掬い取るようにして指先を動かすとくちゅくちゅ、と淫猥な音色が奏でられた。
「ルイーサ、ここも固くなってる」
「ぁぁあっ! んっ、やぁっ! はっぁぁぁ、ぅぅん……っ!」
その上部に位置する花芯、そこは胸の突起と同じくらいに固くなっており、真っ赤な顔を僅かに覗かせていた。
そんな一番敏感な場所を、ぬるぬるになった指先で、ゆっくりと、ころころと刺激し始める。
「ルイーサ。きもち、いい?」
「はぃ……んぅぅっ! はい……あぁぁぁっ……!」
ルイーサは歓喜で叫び出しそうだった。
いつもぶっきらぼうで、意地悪で、どこか他人行儀だったあのミアが、自分だけを見て、自分の名前を呼んで、親しげに声をかけてくれている。
並び立ちたいとは思っていた。けれど、自分の全てを受け入れてほしいと思っていなかった訳でもない。
今は、自分が、受け入れられている。
「ミア様、ミア様っ! 私、わたくしっ! んぅぅぅうっっ!」
ミアは、どうにかなってしまいそうだった。
どうにもルイーサが可愛い。どうにもルイーサが愛おしい。
確かに、この部屋で何度も必死そうなルイーサを見るたびに、かわいらしい子だなと、思う事はあった。
だが、今は、よく分からないけれど、この子が、ほしい。
「ルイーサ、もっと、気持ちよく、なって?」
「はいっ! んぁああああっ! はぁぅっ! んぁぁあっ!」
いつの間にか、ミアの手付きは少し荒々しいものとなっていた。
もはや粘液まみれになった花芯の周りをくるくるとなぞり、頂をとんとんと押さえ、顔を覗かせていた下部をすりすりと擦り上げる。
その度に、ルイーサはもはや抑える必要はないとばかりに嬌声をあげる。口元を押さえていたその両手は、ベッドシーツを皺が出来るほどに掴んでいた。
「ミアさまっ! わたく、しっ! もう、もうっ!」
「……いいよ、ルイーサ、イって?」
快楽と歓喜に蕩けながら、ミアを見つめるルイーサ。
だがその表情は蕩けていながらも、絶対にミアを、愛しい人を見つめていたい、見ていてほしい、そんな必死さがあった。
そんな言外の叫びにミアは応え、花芯をカリカリと、一番反応が良かったそれでルイーサを導く。
「見ていてあげますから、ルイーサ」
「はぃっ! ぁっ、ぁぁぁぁあっ! やっ、んんんぅっ! いくっ、いっきま、す! あぁっ! はっぁぁぁああああああっ‼︎」
いつの間にか絡み合っていた手がぎゅっと握られ、ルイーサのお腹がびくん、びくんと波打つ。
花弁からはとろぉ、と一段と濃いものが流れ落ち、花芯はこれ以上ないくらいに固くなりながらぴくん、ぴくんと痙攣した。
ミアは花芯をきゅっと押さえ、指先からとくんとくんと脈を感じ取りながら、ルイーサが長く蕩けていられるようにして、そのまま両者は見つめ合っていた。
「ルイーサ……嬢」
「むぅぅぅぅう」
「離れて、ください……」
「嫌ですっ!」
情事が終わった後、ルイーサがミアにくっついて離れない。
なんだか救出したあの時のようだとミアはうっすら思った。
「ルイーサと! 呼んでください!」
「嫌です」
「むぅぅぅぅぅぅ!」
セックスまでしたのに、行為の最中に愛おしげに語りかけていたというのに、致す前の他人行儀な雰囲気を醸し出すミア。無論ルイーサはむくれた。それはミアなりの照れ隠しであったのかもしれない。
しかし、
「ルイーサ嬢」
「…………? はい」
ミアの声が真面目なトーンに切り替わるのをルイーサは感じ取る。
「私は、愛というものが、いまいち分かってません」
愛し合う、という呼び名がふさわしい行為を何度もしてきたというのに、ミアは未だに理解出来なかった。
「ルイーサ嬢から向けられるそれが、好意だという事は理解できます。私に憧れた、というのも、まぁ、理解できます」
だが、それは理解ができない。
意味が分からない。
けれど、真摯に向き合うべき、という事はミアにも理解できた。
「……私は、どうしたら貴女にそれを返せますか」
初めて、ミアからルイーサへ歩み寄った。
不安げな表情でルイーサを見つめると、ぽかんとした表情が返ってきた。
「……なんです、その顔」
「いえ、あの、なんと申し上げたら」
やはり、今までの事も含め不誠実に過ぎたかと、ミアは落ち込みかけたが、ルイーサは何でもないように口を開いた。
「今までのままのミア様で、よろしいではないですか」
「……は?」
今までのままとは、ルイーサを蔑ろにし、痛めつけ、向けられる感情に気付かないフリをしているままで良いのか、そう思ったが、そうではないと、ルイーサの目は物語っていた。
「ミア様はお気付きではないのかもしれませんが、だんだんとミア様は私に対し優しくなられております。それに以前であれば、昨晩の事も含め、このような事は仰りませんでした」
「いや、それは……」
確かに、普段であれば絶対に言わない事ではあった。
だがそれは、雰囲気に流されて、とか魔が差して、というものであって、と返そうとするミアであったが、ルイーサの、あの強い視線に遮られる。
「私の愛はエゴなのです。貴女に並び立ちたい、貴女の力になりたい、その一心なのですから。ですからミア様からの愛が無いとしても、それは、まぁ、切ない事ではありますが、関係ありません」
「関係、ない」
「えぇ。もちろん私を同様に愛していただけるのであれば嬉しい事には違いありません。ですが……」
そう言って、ミアを強く抱きしめるルイーサ。
「今の貴女様に心の底から惚れてしまったのです。無理に変わろうとなどしていただかなくて良いのです。少しずつ、今までのように少しずつ、私を分かっていただければ、それで良いのです」
何も返さなくてよいのだと、充分に返してもらっているのだと、ルイーサは言う。
だが、ミアは更に理解が出来なかった。
……だが、もう恐怖はしなかった。
「……とんでもない御令嬢に会ってしまったものです」
「運命ですわ、仕方ありません」
「運命て」
顔を突き合わせてクスクスと笑いあう二人。
……その距離が近過ぎて、ミアは、ふと、魔が差した。
「……ちゅっ」
「!?!?!?!?!?」
ルイーサは混乱した。
これ以上ないほど混乱した。
「まぁとりあえず、今出来るだけのお返しって事で」
ミアは晴々とした表情だった。
ルイーサは茹で蛸のようだった。
だが、ミアは知らなかった。
ルイーサが、どれだけ自制していたのかを。
「……ミア様が、悪いんですからね」
「はい? ……ってうぁ⁉」
ミアが、ルイーサに押し倒された。そりゃ、まぁ、そうである。
「色々我慢しておりましたのに、なんでもないかのようにそういう事をされるんですからっ!」
「いや⁉ その⁉ すみません⁉」
鼻息荒く、ミアの衣服を脱がしにかかるルイーサ。
ミアは抵抗しようとしたものの、いつの間にか逆転していた体格差で押し切られてしまう。
「前言撤回ですわ」
「ぜ、前言、とは……? あっ、ちょっ⁉」
ブラウスも、スカートも、インナーも、全て剥がされ、下着さえもひん剥かれるミア。
先程まで真面目でしっとりした話をしていた筈が、どうしてこうなってしまったのか。
無論、ミアのせいである。
「今日はミア様に、とことん私の愛を知っていただきますわ!」
「いやそんなの知って、パンツ返して……!」
「いいえ返しません!」
お互いの裸身が曝け出された状態で、ルイーサがミアにのし掛かった。
そして、
「《
「んぅぅぅぅ⁉ ちょ、ちょおおおおおおっ⁉」
「んっ……!」
何度も、何度もこの部屋を利用しているがために、碌でも無いものばかりであったがルイーサは加護を幾つか得ていた。
その中で身につけた、楽神の加護であれば何でも起動させる強制起動、および陰核を強制的に勃起させる陰核フル勃起。それにより
「ちょ、ちょっ! これは卑きょ……! 落ち着きましょルイーサ嬢!」
「嫌です。ん、っちゅぅ……っ」
「んんっ⁉」
ミアの唇が、ルイーサによって塞がれる。
何度も、何度も啄まれ、まるで今までの鬱憤を晴らすかのように、情熱的なキスが降り注ぐ。
「ちゅ……っふ、は……んぅ、ん……」
「っは……ま、っん……んっ、ん……」
ちゅ、じゅる、と粘膜同士が絡み合う音が響き、それ以外の音が聞こえなくなる。
驚きに満ちたその目がルイーサを睨みつけたのは数瞬の事。口内を蹂躙する柔らかいものに思考を奪われ、次第にぼうっとしていく。
ルイーサを押し退けようとしていたミアの両手は、いつの間にかルイーサのものと絡み合い、送られてくるものを受け止め始めた。
「……ちゅ、ぷ……はぁ、ん……はっ」
「ばっ、ばかルイーサ嬢……」
両者の舌先が一筋の虚ろな橋を作りながら離れていく。
ミア自身、何に対して罵っているのか分からなかった。だが、頬は赤く染まり、呼吸も心なしか早まり、ルイーサとのキスに間違いなく恍惚を感じていた。
「もう……レヴぃぃぃっ⁉」
「させませんわ」
せめて、下腹部を苛むこの熱をどうにかしようと詠唱した解除魔法が、ルイーサによって止められる。
「んんんんんっ! こ、こらっ! だ、めぇぇっ!」
肥大化した陰核が、ルイーサの手によって捏ねられた。
くにくにと、柔らかくもある固いそれが二本の指にて蹂躙されると、魔術に集中するどころか、発声する事さえ出来なくなる。
「やぁっ、あぁぁあっ! も、やめっ、んぅぅぅっ!」
既に潤っていたそこから愛液を掬い取り、花芯に塗りたくっていくルイーサ。
ぴんぴんにそそり立ったそこは、ぬめる指先を形を崩す事なく受け止め、過剰な快楽をミアに送る。
「だっ、め! だめですって! んぁっ! こ、らぁ、あぅぅんっ!」
止めるよう要求するミアであったが、ルイーサはいつもの事と流した。
ダメ、やめて、いや。全て気持ちいいから止めないでという意思表示。
……こら、と叱られているのは気にしない。叱りたいのはこちらの方だとさえ思った。
なにせ、あんな誘惑をされてしまっては止まる事など出来る筈もない。
「んんぅっ! るいっ、ルイーサぁ! ちょ、んぁぁあああっ!」
摘めるほどに大きくなった花芯を、丁寧に愛撫するルイーサ。
愛液を絡め、包皮を完全に剥がし、二本の指の間で挟み込むようにしてすりすりと動かすと、未だ繋いでいる手がきゅっと強く握られる。
その反応に、その表情に、正しく快楽を感じているのだと確信し、更に責める事を続ける。
「あっ! あっ! んっ! やっ! それっ、やぁっ!」
ルイーサがぴんっぴんっと左右に花芯を弾くと、それに釣られるようにして短い嬌声が何度もあがった。
強くなり過ぎない、けれど弱くはない衝撃がミアに送られる。
そそり立った淫柱が根元から押し倒され、元の位置に戻ろうとして反発し、反発した分だけ強く指の表面に擦りつけられ、拮抗が破れた瞬間に解放される。その一連の流れが、何度も何度も繰り返され、ミアの身体が快楽によって泡立つ。
「ひぁぁっ! んっ、はぁぁあっ! さきっぽ、んぅぅっ!」
何度も弾かれ、感じ疲れてしまった陰核をあやすようにして、咲き誇る花芯の先端だけがゆるゆると撫でられる。
指の柔らかい腹を使って、他の部位に触ることなく、小さく円を描くようにして、ゆっくり、ゆっくりと撫でると、ミアの眉根がきゅっと歪む。
僅か数ミリの動きであるのに、限界まで張り詰めているそこには、神経が集中し、意識が集中しているそこには絶大な快感が送られた。
「ミア様のお胸も……ん、っちゅ」
「はぁぅっ! いっしょに、吸っちゃ、んぅぁあっ!」
下に釣られて真っ赤になったミアの果実が、ルイーサの口内に収まり、柔らかさの中に固くなったものが舌先に触れた。
もう優しくなんて出来ない。吸って、舐めて、弾いて、口内で蹂躙を開始する。
「やぁぁっ! んぅっ! あたまっ、へんに、なるからぁっ!」
「んぅっ……!」
無自覚に人を誘ってしまう愛しいミアなんて、変になってしまえばいい。八つ当たりにも似た感情を抱きながらミアに寄り添うルイーサ。
片手は繋いだまま、もう片方の手は花芯をなぶり、口は果実を含み、身体は絶対に離れないとばかりにぴったりとくっつき、文字通り絡み合う二人。
そんな中、ミアの太ももを挟み込んだルイーサの足の付根が、極限まで勃起した陰核が、ミアの滑らかな肌に擦りつけられた。
「はぁんっ! やっ、あぁぁっ! んんぅっ! ぁあっ!」
「ん、っちゅ、んぅっ! ちゅ、っは、ぁんっ! んっ!」
ルイーサの腰がゆるゆると前後し始め、ミアの足を使った自慰が行われ、ミアの肌にルイーサの花弁が這った後が刻まれる。
「ルイーサっ! わたしっ、もう、もうっ! んぅぁぁああああっ⁉」
一緒に気持ちよくなれると思った矢先、ミアが限界を訴える。
素直に吐露するミアをかわいらしく思い、ならばと、花芯を苛め抜いていた指をその花弁の中に埋めた。
「ぁぁぁぁああだめっ! それだめっ、んっぁあああぅ!」
どろどろに熱くなったそこをかき混ぜ、手の平で張り詰めた花芯を押さえつける。
そのまま指を、手を激しく動かして、ミアを頂へと導き始める。
「んぅうぅぅぅっ! もっ、ルイーサっ! あぁっ、だめ、もうっ、はっぁああああっ! だめ、だからぁっ! んぁっ! ひっぅ、んんっ! もう、やっ、んんぁぁぁぁあぁぁああっ‼︎」
嬌声が帷どころか部屋中に響き渡り、ミアが絶頂する。
その間も胸の果実は舐め転がされ、花弁もかき回され続けている。
まるで、これで済まさないとでも言うように。
「ひぃぅっ! るいー、さっ! とめ、てぇ!」
「……いいえ、止めませんわ」
ぐちゅぐちゅと、優しく花弁がかき回される。
「あぁぁっ! だ、めぇ! かきまぜ、ないでぇっ!」
絶頂直後のミアの身体に追い討ちがかけられ、更なる絶頂へと誘われる。
「るいーっ、んっ! んむぅっ、っちゅ、ぷ、んぁっ⁉」
再度舌先を絡め合い、また頂に登ろうとした瞬間、ルイーサの指が引き抜かれた。
「はっ……んっ……ふぁ、はっ……」
「……ミア様、以前から思っておりましたの」
「なに、を……?」
重ねていた身体が離れ、ミアの下半身側へ移動するルイーサ。
また、あそこを舐め回されてしまうのか、そう
「ここを、重ね合わせたら、とても気持ちいいのではないか、と」
「……? ……ひぁっ⁉」
未だ力の入っていないミアの片足をぐいっと持ち上げ、乗り掛かるようにして互いの足を交差させるルイーサ。
「んぁっ!」
「んっ……!」
くちゅ、という音が鳴り、花弁と花弁が触れ合った。
「どっ、どこで、こんな……んぅ、動かないで……!」
「え? ……いえ、純粋に気持ちよさそうだな、と」
「エロルイーサぁ……はぁ、ん……!」
少し身じろぎするだけで、くちゅり、といやらしい音が響く。
股間同士を突き合わせて、まるで本当にセックスしているかのような姿。
「では、参りますわ……はぁ、ぁ……!」
「ちょ、ま、んぅっ……!」
宣言されるや否や、ルイーサの腰がゆるゆると動き出す。
花弁同士でキスをするように、ちゅく、ちゅく、と音を鳴らしながら触れ合う。
「ぁぁ……んっ……ふふ、とてもいやらしい音が鳴りますわね」
「んぅ……はっ、んっ……! ば、ばかルイーサ……!」
ルイーサが腰を押し付けると、未だ熱冷めやらぬ花弁が、更に熱をもったものと触れ合う。
濡れやすいルイーサのものが、濡れたぎったミアのものが、互いの熱を奪い合って、熱が均一化されていく。
「はっ、んんんっ……ふぁ、んっ、ぁ……っ!」
「ひぅぅっ……んぁっ、ぁっ、ぅんん……っ!」
くちょくちょと、互いに愛液をこぼし続ける蜜壺が絡み合う。
時折、ちょん、と肥大化した陰核が掠め合い、その度に互いの肌が泡立つ。
「ひぁっ! んぅ、ぁあああっ!」
「んぅっ! はぁぅぅぅぅぅっ!」
少し触れ合うだけでは物足りず、ルイーサの姿勢は自然と前傾し、ついに陰核同士が接触した。
限界以上に勃起したクリトリス。それが互いのものを押し潰すと、二つの嬌声が入り混じる。
そこからはもう、言葉は要らなかった。
「んぅっ! っは、ぁあっ! んっ、あんっ!」
「あぅっ! んっ、ん、はぁあっ! んんっ!」
ぐちゅぐちゅと、花弁を擦り合わせると同時、花芯同士も擦り合わせることで快楽を貪り合う。
熱く滾ったものが押し合い、拮抗が崩れればにゅるん、と互いの側面を滑り、一時も離れたくないとばかりに絡み合う。
「ひぁっ! んぁぅっ! はぁ、んんっ! あぁぁっ!」
「あんっ! はっぁ、んんっ! ひぅっ、んぅぅぅっ!」
柔らかく張り詰めた真珠が、こりゅこりゅと互いを責め立てた。
ぴんっぴんにそびえ立ったそれが、互い違いに交差し合って表面を抉り取る。
腰が上下するたびに更なる淫蜜が纏わりつき、花芯同士の交配がより円滑になっていく。
「はぁぅぅっ! っは、あぁぁあっ!」
「んぁぅぅっ! んんっ! あぁっ!」
神経が集中し、血液がどくどくと流れこんでいるそこがもたらす激感により、ミアも、ルイーサも、何も考えられなくなっていく。
ただ、この気持ちいい行為に夢中になっていた。
「はぁぅぅっ! ミア様っ! ミア様ぁっ!」
「んぅぁあっ! ルイーサ! ルイーサぁっ!」
互いの両手を握り合い、耐えるようにして快楽を享受する二人。
限界以上に起立した花芯から送られる快感は凄まじく、一度達していたその身体が更に昇り詰めるのはすぐであった。
「すきっ! 好きですっ! 愛してますっミア様ぁっ!」
「るいー、さぁっ! んぁぁぁあっ! ルイーサぁっ!」
血が滲むほどにその手を握りしめ、互いの名を呼びながら想いを伝え合う。
「いくっ! いってしまいますっ! ぁぁあっ! 一緒にっ、いっしょ、にぃ! んんんぅぅぅっ! ミアさまぁぁぁぁああっ‼︎」
「いこっ! ルイーサっ! いぃっ! んぅぅぅっ! だめっ、もう、だっめぇ! はぁあんっ! んああああぁぁぁああっ‼︎」
ごりゅ、と互いの淫核が強く擦れ合い、同時に絶頂する。
絶頂してなお、両者の腰は動くことをやめず、まだ足りない、まだ欲しい、と最後の最後まで快楽を貪り合う。
花弁からはぷちゅ、と収まりきらない愛液が噴き出し、絡み合いながら、互いの淫蜜を交換し合った。
既にこの部屋を出る鍵は得ていたものの、帷の中では二つの裸身が絡み合い続けていた。
††††††
「ルイーサ嬢のばか!」
「私は悪くありません!」
「あんな……あそこまでします⁉」
「ミア様があんな事をしたからですわ!」
「ぐ……だ、だからと言って、腰が抜けるまで、しなくても、いいじゃ、ないですか……」
「だ、だってミア様がぁ……というかルイーサと呼んでくださいませ!」
「嫌です」
「んもう!」
そんな、犬も食わないような言い合いをしながら第三号ダンジョンを出ると、ベルノルトが変なものを見る目を二人に向けていた。
「……君達、何故そんなに発情した匂いを発しているのかね」
馬の嗅覚は誤魔化せなかったらしい。
それから、ベルノルトに散々イジられつつゆっくりと王都へ向かう一行。
その道中、ミアの背にルイーサはきゅっと抱きつきっぱなしであったが、ミアは鬱陶しがったり照れたりなどはせず、何かが吹っ切れたような表情であった。
愛なんて未だに分からない。
だけど、まぁ、いいか。
そう、ミアは思う。
「ミア様」
「はい?」
「愛してますわ」
「……はいはい」