目を閉じて気を失った彼を見て、僕は手を止める。
呼吸を阻害しないように横向きに寝かせて、体に着いた体液を用意していた布で拭う。
布が敏感な部位に触れるたびに、彼は艶めかしい吐息を漏らす。
眠る彼は可愛らしい女の子そのもので、あの無謀で格好良かった頃の面影なんてどこにも見当たらない。
「爺さん、居るんでしょう?」
僕が声を掛けると何もない所から執事の爺さんが現れた。
相変わらずとんでもない技術を何でもないように扱う恐ろしい爺さんだ。
「お呼びですかな、旦那様?」
爺さんは恭しくお辞儀をしながら慇懃無礼な態度で問いかけてくる。
僕の中身を見透かして小馬鹿にしてくるような態度が、今の僕にとっては最も信用が置ける。
「彼を着替えさせて寝室に寝かせてきてくれ」
そう頼むと、爺さんは指を鳴らす動作一つで彼の衣服をきちんとした寝間着に変えた。
しかしいつまで経っても爺さんは彼を移動させない。
それどころか僕を見つめて更に深々と頭を下げてきた。
「お言葉ですが旦那様、なぜ奥様と最後まで性交なさらないのでしょうか?この爺、気になって手元が滑りそうなのでございます」
長い白髭を撫でながら、爺さんはそんなふざけたことを聞いてくる。
彼を奥様と呼んだこと。
手が滑りそうなんて言って僕を脅そうとしたこと。
その二つに対して思わず頭に血が上る。
爺さんに掴みかかるが、幻のように手の中をすり抜けて行ってしまった。
「なぁ爺さん、彼を奥様だなんて呼ばないでくれ……前も頼んだはずなんだけど」
そう伝えると爺さんの皺だらけの顔により深い皺ができる。
彼なりの笑顔だ。
「おやおや旦那様、であれば奥様でもない使用人をこんなにもスケベに調教したのですかなぁ?」
楽し気な声でこちらに詰め寄ってくる爺さん。
予想出来ていた反応だ、そこまで頭に来ることは無い。
「そうだよ、僕は呪われた相棒を犯して調教した稀代の変態だ」
僕がそう答えると、爺さんは黒曜石のように輝く目を三日月状に歪ませて笑う。
「ほっほっほ、申し訳ありません旦那様……ですが他人に話したほうが取れる疲れもありましょう」
先ほどまでの態度から一変して、爺さんは真面目な態度でそう聞いてきた。
別に隠し通さなければならない秘密ではない。
リラックスして話すために、ベッドの淵に腰掛ける。
「僕は彼が呪われた時にすぐ傍に居た……僕は女の子になった彼を床に組み伏せて……」
話しながら思い出す。
すっかり日常になっていた遺跡漁り、あの日の僕らは宝物庫を見つけて浮かれていた。
そこで何が起きたか分からないけれど、彼の身体が急に縮みだして気が付いたら女の子になってしまっていた。
そして僕は体が制御できなくなった。
僕が狂ってしまったのか呪いの影響なのかはわからない。
頭では必死に体を止めようと抵抗しているのに、僕の体は彼に襲い掛かっていた。
あの感触を今でも覚えている。
「僕程度の腕力でも彼は何も抵抗できなくてされるがままだったよ、ずっとずっと泣き叫んでたんだ」
キンキンと響く甲高い叫び声を聞きながら、僕は彼を犯していた。
まだ濡れてもいない彼に強引に男根を突き立てて、出血を潤滑剤に使いながら激しく抽送を繰り返した。
「で、正気に戻った時は彼も気絶していてね……彼を抱えて遺跡を飛び出したんだ」
そこまで話して、彼が体を動かす音が聞こえて心臓が跳ねる。
幸い起きてはいない、ぼくはそっと胸を撫で下ろす。
「そこからの話は私も存じております、それで?なぜ最後まで出来ないのかの理由はなんですかな?」
爺さんがいつの間にか彼の体液に濡れた個所の掃除を終わらせていた。
働き者の爺さんに免じてきちんと答えなければならない。
「簡単でばかばかしい理由だよ、入れようとするとあの時の光景を思い出してしまって体が動かないんだ」
そう答えると爺さんが声をあげて笑う。
「本当にばかばかしい理由ですな!こんなにスケベになるまで調教しておいてそれですか!」
本当にそうだ、爺さんの言葉は的を射ている。
「そうだね……でも、彼をこんな風に壊してしまったのは僕だから……」
爺さんの笑い声が止まる。
なんでも見抜いているような爺さんだけど、これは知らなかったのか。
「これは彼の望んでいる扱いなんだよ、僕は彼の望むまま鬼畜の役割を演じているんだ」
思い出すのは、気絶から目を覚ました彼の様子。
僕を見つめる涙で潤んだ瞳、頬の紅潮と早く浅い呼吸。
これだけだったら僕を恐れているのだろうと勘違いもできた。
しかしその夜の事だった。
横たわる僕の股間に顔を埋めて、ズボンを勝手に脱がせてくる彼を見てしまった。
幸福そうな顔で僕の男根を握りながら、妖艶な腰つきで秘部を擦り付けてくる彼の姿を見てしまったのだ。
「もう駄目なんだよレンド……♡もう戻れないんだ♡だからもう、早く、全部壊してくれよぉ……♡」
蕩けた瞳でこちらを見つめて、涙を流して笑いながらそう伝えてくる彼を見て僕は覚悟を決めた。
「彼が願った通りに彼を壊してしまおう……なんて思ってしまったんだよ」
僕の話を聞いて、爺さんが珍しく目を見開いて驚いている。
たまに人間に扮した魔物なんじゃないかなんて疑っていたけれど、どうやら驚けるような人間性はあったようだ。
「旦那様は……はぁ、いいでしょう……面白い話を聞かせてもらいましたよ」
何か言いたげな表情で爺さんが指を鳴らすと、彼の姿が消える。
「では旦那様、おやすみなさいませ、良い夢を」
爺さん自身も居なくなって、一人ぼっちの寝室に静寂がやってくる。
ベッドに横たわり天井を眺めながら、明日に思いを馳せる。
明日はどんな風に彼を壊そうか。
以下読まなくてもいい設定
・使用人の名前
ウク・ツシャト
・ご主人様の名前
レンド・マイフ
・少女化した呪いの正体
宝物庫に有った野生の願望機の影響。
ウクの願い
【現状の生活を変えて新しい自分になりたい】
レンドの願い
【安定した生活、そこにウクも居ればなお良い】
願望機の回答
【ウクを新しくしてレンドと一緒に安定した生活させればいいか】
↓
【変化を望んだウクを女性にして二人で仲睦まじく安定した生活をさせよう】