地下室に日が差し込むことはないが、ユキは身体の内部で時間の経過を知った。五条による「特別指導」が始まってから、すでに数日が経過していた。
目覚めた瞬間、まず実感するのは呪力の異様なまでの安定性だ。以前は些細な感情の揺れでも内側で騒めいていた呪力の奔流が、今はまるで分厚い鉛の層に覆われたかのように静かだ。五条が「呪力制御の回路を快感で上書きする」と称した行為の結果は、呪術師として、彼女にとって否定しがたいほどの恩恵をもたらしていた。
しかし、その安定は、夜ごと行われる行為と、五条の絶対的な支配の上に成り立っている。
ユキは、五条が持ってきた簡素な食事を摂りながら、何とか状況を「教師と生徒の指導」という枠組みに戻そうと試みた。
「センセイ……、明日は、少し任務の話をしませんか?」
五条は無言で分厚い呪術書を読んでいたが、その言葉に、ゆっくりと顔を上げた。六眼がユキの表情、心拍、そして呪力の微細な揺らぎを分析する。
「任務?何のことだ」
「あの、先日の失敗した任務の報告書を。私、もう二度と、あんな失敗は……」
五条はフッと鼻で笑った。冷徹で、感情の介入を許さない、教師の顔だった。いや、もう教師ではない。ここは彼の欲望と理論を具現化した、実験室だ。
「君が今、考えるべきことは一つだけだ。『制御回路の再構築』。それ以外にない」
彼は本を閉じ、ユキの前に座り直した。肌を晒したまま座るユキの姿に、彼は一切の動揺を見せない。まるで、彼女がただの「実験器具」であるかのように。
「ユキ。君が話を持ち出そうとする『任務』や『報告書』といった事柄は、すべて君が過去に築いた『脆いパターン』に過ぎない。君は、自分が教師の期待に応える優秀な生徒でいることで、自己を安定させようとしている」
五条の言葉は、鋭利な刃物のようにユキの心を切り裂いた。
「だが、そのパターンが崩れた時、君の呪力は暴走する。教師としての僕への依存を、理性や義務感といった不安定な感情で糊塗しようとするから、歪みが生まれるんだ」
彼はゆっくりとユキに手を伸ばす。彼の指先が触れる前に、ユキの身体は条件反射のように硬直した。
「君に必要なのは、理性による制御じゃない。『本能による上書き』だ。恐怖や羞恥の先に、僕の力による快感と安定を植え付ける。そうすれば、君の肉体は僕の『特別指導』を拒否できなくなる。拒否するエネルギーがあれば、それは安定へと転換される」
ユキはかぶりを振った。 「それは……違います。先生は、私を助けてくれている。でも、私は……私は、先生の生徒でいたいんです。こんな関係は、先生にとっても……」
「僕にとって?どうでもいいよ」五条は遮った。
「最強である僕の理性なんて、いつでも崩壊しうる。むしろ、この環境は僕の『教師としての理性』と、『最強の捕食者としての本能』の、どちらが優位に立つかという、興味深い実験場だ。君の存在は、僕にとって唯一、その境界線を試せる『愛おしい檻』なんだよ」
その瞬間、ユキの脳裏に、教師としての五条の姿がフラッシュバックした。授業中の真面目な顔、任務後に頭を撫でてくれた温かい手。その全てが、今目の前にいる、絶対的な支配者としての五条によって汚されていくように感じた。
「抗うな、ユキ」五条は優しく、しかし有無を言わせぬ圧力で命じた。「君のその微かな抵抗こそが、古い回路が生き残ろうとする最後の足掻きだ。その足掻きごと、僕が引き受けてやる」
五条は、もはや質問も同意も求めなかった。彼は自らの理論に基づき、ユキの抗いを分析し、破壊しようとしていた。そしてユキの身体は、すでに彼の呪力による「快感」を本能的に記憶し始めていた。理性の拒絶と、肉体の許容。その凄惨な葛藤こそが、五条の望む「治療」の本質だった。
彼はユキの身体を抱き寄せ、その唇を塞いだ。呪力の流入が始まる。それは、もはや指導ではなく、快感を伴う依存の儀式だった。ユキの微かな抵抗は、一瞬の喘ぎとなって、地下室の冷たい空気に溶けて消えた。
五条の唇がユキのそれに重なり、最初は軽く触れ合う程度だったが、すぐに深く侵入してきた。彼の舌が彼女の口腔を探り始めると同時に、ユキの身体の奥底から奇妙な熱が湧き上がる。それは昨夜刻み込まれたばかりの記憶だった。
「ふぅ……っ」
ユキの吐息が漏れる。抵抗すべきだと理性が叫ぶ一方で、身体はすでに覚えてしまった安堵感に戸惑っていた。五条の手が彼女の背中を滑り落ちる。そのたびに小さな痙攣が走る。
「まだ怖いか?」五条は一旦唇を離して問いかけた。しかしその言葉とは裏腹に彼の瞳には確信に満ちた光が宿っている。「安心していい。君の呪力経絡は完全に開いている」
その証拠にユキの全身が淡い青白色に染まり始めた。呪力が皮膚表面にまで溢れているのだ。五条の手が腹部を押さえるとさらに強い脈動が響いた。
「あっ……!」
悲鳴とも歓喜ともつかない声が地下室に反響する。五条は彼女を寝台へ導きながら耳元で囁いた。「感じているんだね。これが正解だ」
「違います……こんなの……」ユキは首を振りながら否定するものの、声は弱々しい。「本当に訓練なの?」
「もちろん」五条は冷笑と共に答えながら彼女を仰向けに押し倒した。「呪力の伝達効率を最大限にするためには直接接触が必要なんだ」
彼の指が太腿を開かせようとすると反射的に抵抗してしまう。しかし次の瞬間、五条が腰を押さえつけたことで容易く突破された。
「うぅ……っ」
五条のペニスが膣口に押し当てられるだけでユキの体内で呪力が渦巻き始める。昨晩刻み込まれた印が疼いているのだ。
「行くぞ」
短い宣言と共に五条が腰を沈めていく。ずぷりという粘膜同士が擦れる水音と共に一気に根本まで貫通した。
「ひゃああん!!」
鋭い悲鳴と同時にユキの呪力が爆ぜる。青白い稲妻が全身から迸ったが今回は暴走ではなく解放だった。快楽に溺れる肉体を通して呪力の循環が円滑化されている。
「ほら見たか」五条の声に愉悦が滲む。「昨日よりもずっと効果的だ」
彼は容赦なく抽送を開始した。ぱちゅっぱちゅっという湿った摩擦音が地下室に響く。ユキは両手で顔を覆い隠そうとしたが五条が片手で掴んで妨害した。
「全部見せてくれ」彼は命令する。「呪力の変化を見るためにも」
抗えない圧迫感と共に快楽の波が押し寄せる。呪力が結合部を中心に渦を巻きながら昇華していく感覚。それはこれまで知らなかった種類の陶酔だった。
「はぁっ……はぁっ……ダメです……っ!」ユキは懇願するように喘いだ。「おかしくなる……!」
「それでいいんだ」五条は加速しながら宣言した。「これが『呪力回路の再構築』だ」
ぐぽぐぽという淫靡な音が大きくなっていくにつれて二人の接合部から金色の粒子が舞い上がった。最高潮に達した五条が低く唸ると同時に大量の精液を放出した。
どぴゅっドピュルッ!ドピュルッ!ドビュュゥーードピュルルルルルル!……
「あぁーっ!!」
白濁と共に体内で弾ける快感は前回以上に強烈だった。ユキの身体は弓なりに反り返り意識が飛びかけるほどの衝撃を受け止める。五条の呪力が直接注入される感覚はもはや痛みではなく甘美な毒薬と化していた。
「感じるだろう?」彼は浅く息をつきながら確認する。「僕のものが君の中に入ってくるとき君の呪力はどう反応してる?」
ユキは何も答えられなかった。ただ朦朧とした瞳で虚空を見つめ続ける。しかしその呪力循環だけは規則正しいリズムを取り戻していた。まさに完璧な制御状態である。
五条は満足げに微笑むとゆっくり引き抜いた。溢れた精液と愛液が混ざり合いシーツを濡らす。彼はユキの額に浮かんだ汗を親指で拭いながら宣告した。
「明日から本格的に教えるよ」彼の目は危険な光を湛えている。「本当の呪術というのはこういう風に使うものだということをね」
ユキの頬を涙が伝った。恐怖からかそれとも別の何かなのか彼女自身にもわからない。ただ一つ確かなことはこの"特別指導"から逃れられない運命にあるということだった。