蛇っ子を拾ってしまった日 作:HUNK_The Reborn
「寒…」
11月中旬、季節も秋からだんだん冬に移り変わり、ジャケットを着込まなければならないぐらい寒い日が続いていた。俺は自宅からほど近いコンビニへ夕食を買いに出かけていた。自炊も考えたが、こんなに寒い日だとわざわざ暖房の通らないキッチンで料理なんて作る気も失せるというものだ。
と、言う事でコンビニで暖かいコーンスープやおにぎりカップラーメンなどを買い込んだ俺は早々に帰ろうとコンビニを出た矢先、ふと隣の駐車場の所に1人の少女がちょこんと
金髪で赤いパーカーに短い黒のハーフパンツといういかにも季節外れの格好、それだけならそういったファッションなのだろうかと不思議に思う程度だろう。だけど彼女が一瞬、俺に視線を向けたその時、その美しい茜色の蛇のような瞳を見た瞬間、俺はその目に惹き付けられるように彼女に話しかけていた。
「ねぇ、君…えっと、大丈夫…?」
「…」
無視された。結構勇気出して声を掛けたのにガン無視だ…い、いや!ここで引いてしまえばそこまで、もうちょっと声をかけてみよう。
「ごめん、夜にこんな所で君が一人で蹲ってたから少し気になって…えっと、親は…?」
「…いない、ガキの頃に悪魔に殺された」
(この子…悪魔被害孤児なのか…)
ー悪魔ー
それは日本…というか世界に存在する化け物達の総称だ。俺みたいな一般人じゃあまり詳しい事は分からないが、日本の至る所に出没し、人に危害を加えている。そのため、デビルハンターという職業の人達がいて悪魔を倒したりしているらしい。この子も、その悪魔の被害にあった子の一人なんだ。
「隣、座っていい?」
「…いいけど…」
彼女の隣に座った俺は、ガサガサのコンビニの袋を漁り、まだ買ったばかりの暖かいコーンスープと、おにぎりを彼女に手渡した
「これ、はい」
「…なんのつもり?」
「い、いや違くて…ただお腹すいてそうだったから、お腹の足しになるか分かんないけど」
ギリっと彼女に少し睨まれてしまった。まずい、親切のつもりでやったつもりが、彼女には施しを受けられてると思われたらしい…結構プライド高い子なのかと思っていると、彼女のお腹が少し鳴った…やっぱり空腹だったらしく、少し頬を赤らめながらも俺が手渡したスープとおにぎりを取った
「まぁ…もらう…ありがと。」
「うん、どういたしまして」
「…」
「…」
そこから、彼女はゆっくりと食べ始めた、久しぶりの食事だったらしく、彼女はペロリとものの数秒で食べ終わった。
「君、名前は…?」
ふと、俺は彼女に名前を聞いた。
「沢渡…沢渡アカネ」
「アカネちゃんか…俺、ユウスケって言うんだ、よろしくね、アカネちゃん」
「アカネでいい、ちゃん呼びやめて」
「じゃあ…アカネはさ、近くに住む所はあるの?」
「ない、孤児院飛び出してきてからは民間のデビルハンターやりながら漫喫とかで暮らしてる」
びっくりした、彼女が孤児なのは分かっていたが、まさかデビルハンターやってるなんて…アカネって、もしかして俺より全然強いのか…?
「マジか…す、凄いんだなアカネって…デビルハンターってアレだろ?悪魔を倒したりする職業で…」
「私たちが狩ってる悪魔っていうのは、人間から認知され、恐れられている度合いによって強さが決まるの…例えば、地震の悪魔とか、炎の悪魔とかがいたら、お兄さんも怖いでしょ」
「そうか…地震は怖いし、炎も危ないもんな…だから恐れられてる分、その悪魔も強いって事か」
「…逆に、トマトの悪魔とか、ナスの悪魔とかだったら大して強くない。お兄さんでも死ぬ気で戦えば勝てるくらいにはね」
「そ、そうなんだ…」
初めて知った情報ばかりだ、悪魔っていうのは総じてどれも強いのかと思ってたから。
「ま、その分弱いやつは報酬も渋いんだけどね」
「で、今はその仕事をしていると…」
「まぁね。でも最近は悪魔もあんまり出現しないし、したとしても公安や他の民間デビルハンターにすぐ横取りされちゃうから…今はもう金もないし、漫喫にも泊まれないから、こうやって適当に時間潰してる」
適当に声を掛けたこの子が、こんな壮絶な人生を送ってるなんて思わなかった。違う人生なら、この子はきっと幸せな人生を送ってきたはずなのに、悪魔なんて意味不明な化け物のせいで、誰にも頼れず、たった一人で生活してる。今まで、親の金でそこそこの大学へ行ってそこそこの企業へ入って、そこそこ良い生活を遅れているのは、この子達デビルハンターのお陰なんだ。
俺は、本当に無意識に、彼女に喋った
「あのさ、今日めちゃくちゃ寒いし、泊まる所も無いんなら…俺の家、来る?」
「……は?」
その一言が、俺の人生を大きく変えるなんて、思いもしなかった。
沢渡アカネの作品がひとつもないので書いてしまいました…