宇宙戦艦ナガト ―TS戦士たち、その勇気と淫欲の冒険記― 作:えぴっくにごつ
「――チェイサー1へ、現状了解。引き続き軌道上からの観測支援を頼む」
《了解、ご武運を》
カナタたちの偵察隊は間もなく、先行して放たれた追跡機。詳細にはナガト艦載の偵察観測機、「6式宙間偵察機 彩雲」と合流。
彩雲が観測確認した情報を受け取り調整。
それを終え、そしてカナタたちの偵察隊はいよいよ自由浮遊惑星へと降下した。
部分的にフォーミングされているとはいえ、惑星を覆う大気は地球などより厚いものでは無く。
偵察隊はその大気圏を難無く抜けて降下、惑星の表層上空へと進入を果たした。
「――何か、少し禍々しさを感じる景色だな」
「ゲティスオンではこれが自然な在り方なのかもね」
地表上空を飛ぶ偵察隊。カナタとサクはその内の烈風改のコックピットから、眼下に流れ抜けていく景色を見て呟く。
眼下に広がるは鬱蒼とした、そして遠目からも地球のものとは異なる植物のそれと分かる森林帯。
この不毛の惑星に、フォーミングにより生成したのだろうそれ。
その異質さを見て、その感想に考察を交わす言葉。
「よし、ここから二手に分かれて索敵を行う」
そしてしかし、そんな考察もそこまでと。カナタは気引き締める色で、索敵行動を開始する旨を通信に上げる。
「イーグル2と3は右方、包囲060方向を頼む。左方、包囲300方向を当機とイーグル1で調べる」
《イーグル1、了》
《2、了解》
《3、コピー》
続けての詳細指示を伝える発信に、各機からは了解の旨が寄越される。
「各機、くれぐれも気を抜くな――かかれッ」
そしてカナタの指示号令にて、両バディはそれぞれの方向へ散会。
索敵行動を開始した。
地表に近い低めに取っての高度を飛行する、カナタたちの烈風改と、それに追従して援護する形を取るクルスの烈風。
《こんな鬱蒼とした景色の中から、敵拠点を見つけられるのか?》
索敵行動の最中で、通信にそんな訝しむ声を上げたのはクルス。今も護衛のために周囲空域に、警戒の意識と視線は抜かりなく向けながらも。
疑問に思ったそんな事項を零すもの。
「艦艇始め、ゲティスオンの機械動力関係は独特な熱を有するの――その熱源の片鱗でも見つけられれば……」
「そこが敵の拠点、でなくともゲティスオンに関わる何かだ」
それにまず答えたのは、烈風改の後席で電子機器計の扱いを担っているサク。
続いてカナタが、そう示す言葉を紡いだ。
「――待って!防空レーダーの方に感!020方向!」
しかし、直後にサクが張り上げたのは別の知らせ。空域を監視する防空レーダーが接近する物体を捉えたのだ。
《上だッ!右上ッ!》
そして続け、クルスが張り上げて伝え寄越す。
カナタもすかさず視線を上げて見れば、示された上空方向に影が――敵機の機影が見えた。
「――ッぅ!?」
それを上空に目視確認したのも束の間。次に寄越されたのは、その敵機よりの上方からの銃撃砲火。
正しくはレーザー光線によるそれが浴び寄越され、カナタたちの機の近くを掠め飛び抜けた。
《野郎ッ》
受けたそれに、通信にクルスの悪態が上る。
その間にも敵機はこちらの近くをすれ違って抜け、後方へと飛び去った。
「旋回、追撃をッ」
《おう!》
しかし、その程度でカナタたちは怯みはしない。
直ちにカナタが指示を張り上げ、クルスがそれに応じ。そして烈風改と烈風はそれぞれ旋回反転。
飛び抜け去った敵機の追撃を開始。
旋回の完了から向こうに見えたのは、一撃を終えて散会から旋回に入る二機の敵機。
「ファントム1は右をやるッ」
《了解、左は任せろ》
それぞれ分担を決め、カナタたちの両機はまた散会。
片方をクルス機に任せ。カナタ機はもう片方を目標と定めて、また軌道の変更からバーナーを吹かして敵機を追いかける。
敵機は一撃を浴びせてこちらを怯ませ動揺させた後に、旋回から背後をとっての二撃目を――そんなことでも企んでいたのだろう。
しかしそれが成されるよりも、カナタたちの反応は早かった。
二撃目の進入のために旋回に入っていた敵機の背後へ、カナタ機は容易く追い付き。敵機の無防備な背面をその照準に捉える。
「『フォルフ』か――捉えた――」
その敵機を見止め、その形式の地球側が名付けた呼称をカナタは零し。しかし次には照準完了の旨を口にして――カナタは、トリガーを引いた。
瞬間。烈風改に装備される複数門の機関砲が唸り、砲火を向こうに注ぎ叩き込んだ
それは敵機の晒した背面を叩き貫き。
それを受けた敵機は、直後に爆散。宙空で弾けて散り、舞い堕ちていった。
「――撃墜」
容易く成し遂げた撃墜を、知らせとして声にするカナタ。
「向こうは?」
その次にはカナタは、散会して別の敵機を追撃したクルス機の烈風を探す。
「向こうも仕留めたみたい」
それにサクが答え伝える。
そして二人が視線を側方向こうの空に向ければ。同じく爆散から墜落していくもう一機の敵機と、それを眼下に飛び抜けていくクルス機の烈風が見えた。
「他に敵影は?」
「ナシ」
「よし。イーグル1、合流しよう」
《了解》
その様子を見止めた後。カナタはまずはサクに他敵影が無い事を確認し。
その後に合流をクルス機に要請する。
《二機だけってこたぁ無いよな?》
「即応で上げられる迎撃機だけを向けて来たか。それともこちらの様子を探っているか……」
両機が合流して編隊を組み直し。
そしてカナタとクルスは訝しむ、あるいは推察する言葉を交わし合う。
「!――待って、下方にゲ軍パターンの熱源!?いきなり……!」
「!」
しかし直後、サクが伝える声を張り上げた。
それは熱源レーダーが、下方に唐突な熱源の――ゲティスオン関係のそれの出現を表示したことを伝えたもの。
しかし、それも束の間。
下方前方の、異質な植物からなる鬱蒼とした森林帯の中から。噴煙が上がったのは瞬間だ。
「!、ミサイル警告っ!」
次にはサクが、叫ぶに近い声で張り上げる。
そう、現れ来たのはミサイル。それがゲティスオンのものであろう事は疑いようがない。
そしてそれがカナタたちを狙ったものである事を訴え、両機のコックピットではアラートの電子音が鳴り響き始めた。
森の中から現れ撃ち上がったゲティスオンのミサイルは、次には機敏な起動で方向を変え。
カナタたちの真正面からこちらに迫る。
《正面――ッ》
「!」
クルスからの訴える声。
ミサイルはすぐ目の前まで迫っている。
どうする――?
・回避する
・正面から迎え撃つ