宇宙戦艦ナガト ―TS戦士たち、その勇気と淫欲の冒険記― 作:えぴっくにごつ
→正面から迎え撃つ
「――真正面から突っ込むぞ、機関砲を撃てッ!」
《!》
咄嗟に、カナタは決断の張り上げ、通信にそれに聞いたクルスも瞬時にそれに呼応。
二人は同時に操縦桿のトリガーを強く引き。それに答えて烈風改、烈風のそれぞれの搭載機関砲が唸り、前方真正面に砲火弾幕を放ち展開した。
それは功を成した。
我武者羅の様相でばら撒かれた機関砲弾の弾幕は。迫っていた敵ミサイル群に対して直撃弾を生み。
敵ミサイルはカナタ機たちに届く前に爆散、宙空で爆炎へと変わり果てる。
「――ッぉ」
そして直進進路を保っていたカナタ機とクルス機は。そのまま爆炎へと飛び込み割って退け、その向こうへと飛び抜けた。
「ッ……クルス、無事か!?」
《あぁ!》
まずは僚機の無事を確かめ尋ねるカナタに、クルスからは肯定の返答が返され。真横にはクルスの烈風の健在な姿が見える。
「カナタ!眼下の森林帯から敵艦――G級駆逐艦、防空型!」
それに安堵したのも、しかし束の間。次には後席のサクから、伝える言葉が張り上げ寄越される。
下方の森林帯に視線を降ろせば、その一点に。生い茂る木々を文字道理の様相で割って押し退け、大きな物体が――ゲティスオン軍の駆逐艦が姿を現し、上昇してくる姿が見えた。
それこそ今にミサイルを撃ち寄越した正体だろう。
さらにその敵駆逐艦が出現した付近では、また森林帯のあちこちが割って崩れ。
そして人口構造物、銃砲塔やレーダー装置、他施設類が次々に出現。
それらはゲティスオン軍の防空、防衛陣地に他ならなかった。
《おい!上空、010の向こうからも敵機!》
それに立て続けに、今度はクルスが知らせの張り上げ声を寄越す。
示された方位の上空をまた見れば、向こうの空から四機ほどの敵機が迫る姿が見えた。
「奇襲の企みが外れて、力押しして来たか!」
そんな次々に現れ来た敵に、その動きから。そう推察を浮かべてカナタは言葉を零す。
《ここが連中の拠点かっ?》
「地中にも熱源が多数、少なくともそれなりの規模の施設っぽいねっ」
続いて、また湧いて出て来た敵の数々を見てクルスが推察を零し。
さらにレーダー機器が捉えた熱源情報などから、サクが考えを示す。
「ファントムよりナガト・コントロールッ、敵の拠点と推察される施設群を発見。現在交戦中、こちらに増援を求ム!」
そしてカナタは判断から、ナガトの管制に向けての応援要請を、通信にて張り上げ送った。
《カナタ、上のお客さんは俺が相手をするッ》
「了解、頼む。駆逐艦はこっちで対応する」
そしてそれから直後。それぞれの役割分担を短く交わすと。カナタ機とクルス機はすかさず散会した。
「一機で大丈夫なのっ?」
「案ずるな、クルスはエース殿だからなっ」
急上昇していったクルス機を見送りながら、心配の言葉を零すサクに。しかしカナタはニヒルな色でそう答える。
そして、上空より迫る敵機の相手をクルス機に任せ。カナタ機の烈風改は敵駆逐艦に向かい、旋回からその機首を向けた。
「ッ」
機体姿勢を戻し、敵駆逐艦の横っ腹を向こうに捉えるカナタ機。
駆逐艦は低高度を滑るように航行しながら、旋回した砲塔より対空砲火を吹いて寄越し。さらに地上の防空銃砲座からも対空砲火が上がり寄越されるが。
しかしカナタの操る烈風改はブレイク機動にて、それを翻弄するかのように回避。
「ロックオン――発射!」
そして敵駆逐艦のロックオンの完了から、ミサイル発射ボタンを強く押して搭載のミサイルを撃った。
撃ち放たれたのは烈風改に装備されていた、対地対艦に使用できる汎用ミサイル。
計二発の放たれたそれらがブースターを吹かして飛び、敵駆逐艦の展開する防空砲火を潜り抜けて敵艦へと迫り。
そして――直撃。
敵駆逐艦の艦舷を叩いて、その装甲を爆発衝撃にて貫き剥がして、破壊。
次には艦の動力系か何かが誘爆を起こしたか、駆逐艦自体が大爆発。
航行不可能と陥ったのだろう、墜ち、轟沈していく駆逐艦の真上を。カナタ機は上昇行動を行いながら飛び抜けた。
「敵艦、轟沈!」
「上は、クルスどうなってる?」
背後後席からサクの報告を聞きながらも。カナタは上空へ敵機との交戦に向かったクルス機を探す。
自分で心配無用とは言ったが、やはりカナタにも少なからずの心配があった。
「うぉっ!」
しかし、やはり心配は無用であった。
上げた視界広くに飛び込んで来たのは、一機の敵機が向こうへ煙を噴いて降下、墜落していく姿と。
さらに上空で、クルス機が早くも二機目に機関砲火を叩き込んで撃墜した瞬間の光景。
そしてクルス機はそこから恐ろしいまでに機敏な機動で。残る敵機をまた相手取り始める。
「流石」
そんな様を見て、呆れにも近い感嘆の声を零したカナタ。
「カナタ、350から影が複数!大き目、敵艦の可能性!」
しかし息つく暇も無いように、またサクより寄越された知らせの声。
「――あれか!」
そして示された方位に視線を向ければ、レーダーが捉えたものの正体が肉眼でも見えた。
向こうに見えたのは、森林帯の上空低くを、また滑るように高速で接近する敵艦の隊形だ。
おまけに護衛の戦闘機の姿も見える。
そしてそれを見止めたのも一瞬。直後には遠方から、その敵艦艇隊形からの砲火が寄越されて飛び来た。
「ゲ軍、F級巡洋艦1、駆逐艦2、フリゲート2!護衛戦闘機も複数!」
「ッ、なかなかの手勢だな!いよいよ本腰入れて来たか!?」
サクがデータ判別から読み上げ伝えたその概要に。カナタは皮肉気に零しながらも、その色には苦いものが混じる。
現在の戦力的に、好ましい状況とは言えない。「まずいか」、内心でそんな言葉をカナタは浮かべる。
――だが、直後。
向こうより砲火を上げながら高速で迫る艦艇隊形の内、一隻の駆逐艦から突如として爆炎が上がった。
「え!」
次には隊形を脱落して墜ちて行く敵駆逐艦、突然のそれに思わず目を剥くカナタ。
「!、上空170に反応複数――IFF、フレンド!」
「!」
そしてしかし、次にサクが伝えて来た言葉が、今のその光景を成した「正体」を明かした。
カナタも背後上空を振り向き、その向こうに大空を背景にするその「正体」を見る。
それは複数の機影――味方機だ。