宇宙戦艦ナガト ―TS戦士たち、その勇気と淫欲の冒険記― 作:えぴっくにごつ
始まった、探査艦ナガトと乗組員たちの新天地を目指す長い旅路。
その航海の最中は、何も遊覧船に乗るようにのんびりとしていられる訳ではない。
特異な使命を帯びているとは言えども、ナガトは軍艦であり戦艦。
いつ遭遇するかも知れぬ宇宙の未知の脅威に、鍛錬し備えることは義務とも言え。
航海の始まりにおいて気を引き締める目的もあり。ナガトでは航海中の通常の業務の合間にも。
異常事態や、最悪戦闘に備えての訓練がみっちり行われていた。
「――ふぁ……っ」
ナガトの第1艦橋空間。
自身の指定配置たる、戦闘系の各種を扱うコンソール座席に着いて居たカナタは。
「訓練状況終了」の通達音声が艦内に流れると共に、思わずの声を漏らして座席にもたれ掛かり、身を沈めた。
本日の戦闘状況を想定した訓練が、今ちょうど終わりを告げたところだ。
カナタに限らず艦橋要員の乗組員たちは皆、訓練の終わりを迎えて、大なり小なり安堵から脱力の色を見せている。
「――皆、ご苦労だった」
そんな艦橋内へ、背後頭上より言葉が発せられ響く。
それは荘厳な言葉遣い反して、なにか高く可愛らしく、そして舌ったらずさを含む声色。
カナタ他数名が振り向けば、背後に設けられているナガトの艦長が座る場所である座席に――一人の幼女の姿があった。
ふわっとした黒髪ロングが愛らしいロリ娘。
その眼こそ凛々しいものだが、顔の造形は愛らしい子供のそれそのもの。
その小さな身体もまさに、『つるぺたイカ腹』の幼女特有のもの。
幼女はその身姿を艦長用のものである、しかしやはりボディスーツ状の白を基調とする任務服で包んで飾り。
そして彼女だけにあっては、その上からまた艦長用のコートを羽織っている。
その服装に見えるように、明かせばその幼女こそこのナガトの艦長その人。
大洋 オウカ 一等宙佐。
ナガトが先日始めてお会いした時は、50代のまさに老練の手本といったような渋い男性であったのだが。
次に会った時には、艦長であるオウカすらもナガト乗組員の御多分に漏れないのか。性転換し、そしてオウカにあっては今に見える愛らしい幼女になっていたのだ。
実は性転換技術には一つの法則性が見られ、絶対では無いが性転換に伴い若返りを伴うケースが多く見られたのだ。
しかしその幅はランダムで、カナタのように数歳程度にものであったり。オウカのように大人から子供の身姿にまで若返ってしまうケースも見られた。
「決して悪くはない――だが、困難な事態に直面した時、それで通る保証は無い。慢心せず、一層精度を上げるよう努力して欲しい」
その幼女の身姿となったオウカは、今に終了した訓練を振り返っての訓示を伝え。併せて皆に求める心構えを口にする。
「副艦長、後は任せる。私は機関室にも顔を見せる」
「は」
そしてその一連を伝えると、オウカは傍らに立つ副艦長に任せる旨を伝え。
各部署の巡察などもしなければならない多忙な身の上から、一足先に席を立って艦橋を後にして行った。
「もう間もなくシフト交代の時間か――皆、余裕があれば各自訓練を振り返って欲しいが、休息も疎かにはしないように。引継ぎを終えた者から上がってよし」
オウカから引継ぎだのは、長身で凛とした顔立ちに黒髪ショートが似合う、まるで王子様のような美人の副艦長。
呉 リンネ 二等宙佐。彼女にあっては元よりの女性。
その引き継いだ彼女もしかし、そう一つ二つ事項を伝えるのみで。本日にあってはそれ以上を求めることはなく。
ちょうどのタイミングで、次シフトに当たる乗組員たちがポツポツと艦橋に到着し始めたこともあり。
ここまでのシフト担当の皆には、本日の勤務は終わりの空気が漂い始めた。
「ストライクカノンは電子制御の癖がなかなか独特だな……早いうちに掴んでおきたい」
そんな中、カナタにあっては座席で力を抜きながらも。本日の訓練においての自己反省点を思い返すなどしてる。
カナタは妙に生真面目な一面があった。
「――相変わらずの生真面目っぷりだな」
そんなカナタを揶揄うように、近く隣から声が掛けられる。
その声はカナタの席の隣の、艦の電子装備系のコンソール座席に座る人物から。
そこに座して居たのはカナタやサクとまた同じような、美女になりかけといった外見年齢の美少女。
美麗な長い黒髪を、ポニーテールで結って飾り。
その前髪の元には、凛とした眼が特徴の可憐な顔が飾り。その顔はしかし今は、揶揄う色に作られている。
有月 ケイ 二等宙尉。
カナタの宇宙防衛隊学校の同期。
卒業後は別部隊の配置となって一度分かれる事となったが。此度のナガト・プロジェクトにてまさかの再開を果たし、それを互いに喜び合った。
明かせば、ケイはまた元は男性。それから今の美少女へと変じた身。
そしてケイにあっては女体への変貌については興味深く思い、面白がっている節があり。
再会を喜んだのは良いが、その後にはカナタの美少女への変貌っぷりもさんざん揶揄われ。カナタはそれにあっては渋い顔をすることになった。
今にケイのそのスラっとした抜群のボディを包むは、青を基調とする任務服。
ケイはカナタと同じ戦闘分隊であるが、その内でも電子戦を担う分所の所属であり。任務服はそれを表す意匠のものだ。
「副艦長もおっしゃってたろ、休息も疎かにするなって。イキみ過ぎるとすっ転ぶぞ?」
「それも分かるけど、詰める所を詰めずにヘマを打つほうがより懸念だ」
また揶揄う色で、しかし同時にカナタの身を案じてか、そんな言葉を寄越すケイだが。
カナタはそれにも理解を示しつつも、しかし自身の姿勢を曲げることはしない。
そんなカナタの生真面目過ぎるそれを前に。ケイは少し困った笑みで、「やれやれ」と肩を竦める仕草を見せた。
そしてしかし程なく、そんなカナタやケイのもとにもシフト交代の乗組員たちが到着し。
カナタたちのその日の業務は終了となった。