宇宙戦艦ナガト ―TS戦士たち、その勇気と淫欲の冒険記― 作:えぴっくにごつ
カナタの号令にて、ナガトの一番砲塔が唸りを上げた。
劈くまでの砲声とともに、連装の両砲身から撃ち放たれたのは、ビームにも似た砲撃の一閃。
それが砲塔砲身より撃ち上がり、直後にはまさに一瞬の間に、離れた向こうまでの空間を飛び抜け。
またこちらを、ナガトを狙っていたゲティスオン艦隊形の内、先頭を行く駆逐艦に到達。
――そして、直撃から貫通。
一瞬、弾かれ揺れるような動きを見せたそのゲティスオンの駆逐艦は。
次にはその内から膨張してその艦形を歪に変形。そして瞬間、爆散にて轟沈した。
その一隻目の敵艦の撃沈から、さらに間髪入れずに。二番砲塔が今程と同様の形で発砲。
また撃ち上がった砲火の光線は、今度は向こう敵隊形の中程の位置していたフリゲート艦に直撃。貫通から、また膨張爆散に至らしめて撃沈した。
「二隻撃沈!残る三隻、散会したッ」
「駆逐艦、誘導弾を投射!電子妨害にて対応するッ」
また響く、サクの知らせる声。
そしてケイからも、各旨を知らせる声が発せられる。
残るゲティスオン艦は、仲間が立て続けに二隻もやられた影響か。散会から、その攻撃の苛烈さを増加させ、光線砲火や誘導弾による攻撃を寄越し始めた。
しかし、ナガトは回避行動や防空砲火、電子妨害などでそれを迎え撃ち。それらを掠め回避、あるいは船体装甲で受け止めて絶え、潜り抜けて行く。
「CIC、VLS制御席へ、調整完了次第撃て。右舷高射砲座管制、誘導弾を優先して迎撃しろ、敵艦攻撃補助は副次的でヨシ――」
艦橋の前席にて、戦闘分隊長たるツルギは、艦のあらゆる装備の指揮調整に忙殺されている。
今にもその指揮の元、ナガトが船体に備えるVLSから誘導弾が撃ち放たれて上がり。艦の各所に配置装備される中小の各銃砲座群からは、防空行動を主として各方向へ防御砲火が撃ち上がっている。
「三番、四番、照準再調整、再び敵艦捉えた――」
そんな中、主砲群の指揮主導を主として預かり、必要ならばツルギに代わって判断を下すのがカナタの役目。
次には散会した敵艦を追って、再照準を完了した後甲板の三番四番砲塔からの知らせが、コンソールの表示にして寄越される。
「撃ェーーッ!」
そしてまた、カナタが号令を通信に発し上げる。
それに呼応し、ナガトの後甲板の各主砲砲塔が咆哮を上げた。
それぞれ各方向に射ち上がった砲火射撃は、散会から宙空間にて機動航行を見せていた敵艦に、しかし予測射撃をもってその軌道にみごとに飛び込み。
駆逐艦に、続いてフリゲートに立て続けに直撃。
それぞれを貫通から爆散させ、轟沈に至らしめて見せた。
「駆逐艦1、フリゲート1、撃沈!――っ!残りフリゲート1、反転した!」
敵艦撃沈の報告をまた張り上げたサクが、しかし次にはその動きに気付き伝える。
計5隻が確認されていた敵艦の、残る最後の一隻。今しがたにVLSから放たれた誘導弾によって、損傷を受けていたそのフリゲート艦が。
反転回頭から、推力を吹かして離脱、逃走する姿を見せたのだ。
「逃げるか!戦術士、主砲次弾どうかッ?」
「今、一番砲塔から装填完了の知らせッ。追撃射撃可能ッ」
敵艦のその様を向こうに目視したツルギは、「そうはさせるか」と言うように。振り向きカナタに尋ねる声を寄越す。
それにカナタは、追撃攻撃の態勢は整っている旨を返す。
「――いや。分隊長、あれは逃がせ」
「はい?」
「?」
しかしそこへ背後から、静かだが確かに命じる声が割り込んだ。
それは他ならぬ艦長のオウカの命じる声。
だが、追撃を止めるその命令に。ツルギは思わずの訝しむ声を漏らして振り向き、カナタも疑問に思う色を浮かべる。
「M級フリゲートの作戦想定範囲は広くはない。それが出張って来ているということは、そう遠くない所に連中の拠点がある可能性が高い」
そしてそのツルギやカナタ、他乗組員たちに向けてオウカが紡ぎ示したのは。そう明かし伝える内容。
「なるほど……それを探るために、泳がせますか」
そして、そのオウカの意図した所を察し。ツルギもその美麗な顔に浮かべていた訝しむ色を、ニヒルな笑みに変える。
「あの損傷では、拠点に帰還せざるをえまい。その拠点が近くに存在するのならば、これを放って置くこともできない」
そんなツルギに小さく頷く肯定で返し、さらに言葉を続けるオウカ。
「防衛隊からの応援を呼ぶにも時間を要する、その間に雲隠れされては厄介だ――本艦は敵艦の後退を追い、敵の拠点を見つけ出してこれを叩くッ」
そして続く説明の後に、オウカはそう続けてのナガトの取るべ作戦を、その愛らしい声色でしかし確かと張り上げて見せた。
「ふふ、了解!では追跡機を向かわせます」
それにツルギは不敵に笑い、了解と併せて取り掛かる行動を答える。
「もう一戦かッ」
「ハハ、やれやれだな」
その背後では、カナタが気構えを整え直す様子で零したり。隣ではケイがニヒルに笑い漏らしたりと。
各々の様子を見せるが、しかしいずれが同時にまた動き始める様子を見せ。そこに士気戦意が衰えた様子は無い。
「各部署、これに当たるための態勢を整えろ――封堂戦術士」
「!、はッ」
そんな所へ、また指示命令の声を発し向けていたオウカから。しかし次には、カナタを呼ぶ声が掛けられた。
それを受け、少し急きつつ艦長のオウカへと向き直るカナタ。
「敵拠点の発見に至った際は、航空隊を用いてこれの無力化を試みる。準備を頼む」
「了解ですッ」
そして向けられ紡がれた、オウカの指示命令の言葉。
それにまた可憐な声色で、しかし確かと受け取った旨を発して返すカナタ。
「カナタっ」
直後、そのカナタに視線と合わせて声が寄越される。それは他でもないサクからのもの。
「出番だねっ」
「あぁッ」
サクの表情は、いつもの悪戯っぽさを垣間見せながらも、しかし同時に真剣かつやる気に満ちたもの。
そして寄越された彼女からのそんな言葉に。カナタも、負けじとやる気を見せるニヒルな笑みで返した。