忍界転生者の非日常 作:雨ノ宮
「連携? そんなもんお前等だけでやってろよ。名門のうちはとハバネロのくせして情けねぇな」
大蛇丸が来る前にヒロシに共闘を持ち掛けたが取り付く島も無かった。
ここまで話を聞かないのはどうしようもない。それでも引き留めようとしても既に僕等から距離を取る始末。
「残念だったわねシズマ」
此方の思惑通り行かなかった事にそう言い放つ大蛇丸に見えないよう溜め息を吐く。
そう言う割には何処となく嬉しそうにも見える。多分、僕とクシナは既に合格扱いなんだろう。いや、下忍の必要最低限の基準に達してないのなら問答無用で不合格にするだろうが。
「…………しゃーない。ヒロシに共闘は持ち掛けつつ僕等も行動しよう」
手加減はしてくれると思いたいけど、それでもあの人ならやりかねない。
原作で中忍試験を受けてたうちはサスケや春野サクラ相手に大人気なく殺意を向けてたわけだから。流石に手加減はしてくれると思いたいが。
「はぁ、本当に前途多難だ。取り敢えず僕等も隠れるとしよっか」
「分かったってばね」
クシナを連れて場所を移動し、土の中に作った空間に隠れる。
親が使ったのを見て盗んだ土遁の術の一つだ。戦闘能力は無いが身を隠すのには打って付けの術でもある。
蛇博士でもある大蛇丸を相手に地上で隠れるのは下策。かといって地中に隠れるのもどうかとは思う。蛇って地中にも潜れるし。
でも地上で隠れるよりかはマシだと判断した。
「一先ず作戦を立てよう。その為に地下に身を潜めたんだから」
「真っ暗だってばね」
「我慢してね。警戒して損は無いから…………あの人の場合尚更ね」
「シズマは先生の事知ってるの?」
「知ってる。結構有名な人だし、個人的な付き合いもあるから」
本当にあの人には世話になってるからな、記憶消したりしてるけど。
「まあ、上で僕の影分身が情報収集してるからそれまで待機してよ――――…………さっきヒロシに共闘を持ち掛けつつとは言ったけど、それは一旦忘れて」
「何かあったの?」
「あいつ僕の影分身倒しやがった」
影分身から送られて来た情報は何とか説得しようとしていたが、何故かクナイで切り付けられて消されてしまった。
ここまでされたら協力は無理だ。ってか仮にも同じチームの人間なのにそんな事すんじゃねぇよ。
これじゃあ
いや、何とかする方法も無くはない。
「クシナ、予定変更。二人で全力で鈴を取りに行く」
「でもどうするんだってばね?」
「実は一回だけなら幻術をかけて鈴を奪い取る事は出来る。確実にね」
最初の一回だけしか通じないし、殺気とかを向ければすぐに気付かれるから今回しか使えない奥の手だ。
ただこれを使うと今後こう言った事もしてくると相手に印象持たれちゃうから本当にしたくなかったけど、この状況になったらしゃーない。
「じゃあやってやるか」
※
「…………おめでとう。まさかこんな方法で鈴を取るなんてね」
何とか鈴を取った僕達を大蛇丸は苦々しい顔をして賞賛する。
実際、こんな子ども騙しにやられるとは思ってなかったんだろう。
まさか手裏剣に変化した僕をクシナと僕の影分身が投げて、回避する際に瞳術を掛けて僕を認識出来なくさせたんだから。
既に投げられて役目を終えた手裏剣に意識が向かない上、認知出来なくなったならいくら大蛇丸といえど鈴を守る事は容易じゃない。
容易くはなかったけど奪うことには成功し、これで無事僕とクシナは課題を乗り越えたということだ。
うずまきナルトやうちはサラダが使った方法のコラボである。
実際、最初の一回だけならどんな相手にも通じるクソ技だ。おいろけ、ハーレム系の術同様結構効く。
「それで、合格なんですか? 不合格なんですか? 正直三人で挑まなかったから不合格でも仕方ないと考えてますけど」
「…………いいえ。彼がやらかしたのは私も知ってるわ。それに貴方達はこの試験の意味を理解してちゃんと協力して鈴を取った。だから二人は合格よ」
やったー、と素直に喜んで良いのか分からない解答だった。
思わず溜め息を吐きたくなるものの、一先ず下忍として活動出来るようになったから良しとしよう。
「それじゃあ明日から任務を受けるわよ。と、言っても最初はDランク任務からだけどね」
大蛇丸はそう言うとこの場から姿を消した。
多分忍術の研究、あるいは別の実験とかだろう。
クローンやらデザイナーベイビー、血継限界の術が起こる比率はどれくらいが適正なのかとかそういった考え方を提案したり別天神を使ったりして思考誘導してるし大丈夫だとは思いたい。ぶっちゃけクローンとかあまり良い印象持たれないだろうけど木ノ葉崩しをやられるよりはずっと健全だ。
それに僕も人の事は言えないからなぁ。
「クシナ、今日って誰かと一緒に居たりする?」
「今日は誰も来ないってばね。そもそも最近は一人暮らししてるってばね」
「分かった。じゃあ今日の夜そっちに行くからこれ持って帰って広い場所に置いといて。それがあれば一瞬で向かえるから」
別天神を使ってクシナから情報を聞き出し、クナイを一本だけ渡す。
正直な事を言うと僕は飛雷神の術を使う事が出来る。ただし転移するのに少し時間がかかるので実戦じゃ使えない。とはいえ、戦闘に使わなければ良いだけの話である。
そんな感じでクシナと夜に会う約束を交わし、一旦家に戻ってから家族と話す。
無事に下忍になった事を伝え、夕飯を食べて風呂も済ませ、ちょっと早く寝ると言って影分身を寝かせた後、僕はクシナの家に転移した。
「お待たせクシナ」
自宅で待っていたクシナに話し掛ける。
「…………本当に一瞬だったってばね」
「移動する瞬間はね。発動する前に少し時間が掛かるけど便利な術だよ。今度影分身と一緒に教えるから」
実際覚えておいて損は無い。
飛雷神の術は適正があるから必ず覚えられるわけではないけど、チャクラ量の多いうずまき一族なら影分身は覚えられるだろう。
「それよりもさ、折角二人っきりになったんだからエッチな事、しよっか」
「…………本当にやるってばね?」
「やるよ。その為に来たようなものだし」
クシナの反応を見るにあまり歓迎はしてないっぽい。
まあ当然の話だとは思う。いくらセフレになったと納得させたとはいえ、だ。
年頃の少女が子どもとはいえ恋仲になっていない男の前で裸を晒すのは抵抗がある。だけど、大蛇丸という予想外の問題を片付けた後でこっちも色々と昂っている。
ここは多少強引にでも話を進めよう。
「僕とクシナの仲なんだから、お願い!」
「ま、まぁ…………そこまで言われたなら仕方ないってばね」
別天神を発動させてクシナを操る。
彼女にかけたのは『僕の言う事を断れず受け入れる』という命令だ。
今回は数時間だけ、僕が帰るまでの間だけこの幻術の効果が適用される。
「じゃあ一緒にお風呂に行こうか」
「わ、分かったってばね」
断れず僕の言う事に従っているクシナを連れて一緒にお風呂へと向かう。
夜はまだ始まったばかりだった。