『実の妹の「性欲ステータス」が見えるようになったので、毎晩こっそり処理してあげることにした』 作:七草七
「……なんだこれ」
朝、目を覚まして一番最初に口をついて出たのは、そんな間抜けな声だった。
カーテンの隙間から差し込む朝日。見慣れた自分の部屋。だが、決定的に違うことが一つだけある。
鏡に映った俺──春日野 湊の頭の上に、半透明のウィンドウが浮かんでいるのだ。
【 名前:春日野 湊 】
【 性欲:35/100(賢者タイム) 】
【 状態:混乱 】
「……は?」
ゲームのUIのような青いプレート。俺が顔を動かすと、それに追従してフワフワと動く。
まじまじと見つめてみる。「性欲:35」?
確かに昨夜、寝る前に一発抜いてスッキリして寝た記憶があるから、賢者タイムというのはあながち間違いではないが……いや、そういう問題じゃない。
「幻覚……か?」
目をこすっても、頬をつねっても消えない。
とりあえず顔を洗おうとリビングへ降りると、キッチンで朝食を作っている母親の背中が見えた。
【 名前:春日野 母 】
【 性欲:12/100(凪) 】
……見たくなかった。親のそんなパラメーター、金輪際見たくなかった。
だが、これで確信した。どうやら俺は、他人の「秘められた数値」を視覚化する能力を手に入れてしまったらしい。
なんだその無駄な能力。どうせならもっと「金運」とか「好感度」とか、役立つものにしてくれよ。
ため息交じりに席につき、トーストをかじる。
その時だった。リビングのドアが開き、我が家が誇る「完璧超人」が入ってきたのは。
「──おはよう、お兄ちゃん。またダラダラしてるの?」
春日野 結衣。俺の実の妹であり、進学校の生徒会長を務める才女だ。
長い黒髪はサラサラと流れ、着崩すことなくピシッと着た制服が、彼女の潔癖さを表している。 外では男子生徒の憧れの的であり、家でも俺のような怠惰な兄を軽蔑……いや、厳しく指導してくれるしっかり者だ。
「……おはよう、結衣。お前こそ、朝から随分と身だしなみに気合が入ってるな」
「当たり前でしょ。今日は全校集会があるの。お兄ちゃんと違って、私は忙しいんだから」
ツンとした態度で冷蔵庫から麦茶を取り出す結衣。
その冷ややかな視線には、いつものように微塵の隙もない。……はずだった。
俺が、彼女の頭上を見るまでは。
【 名前:春日野 結衣 】
【 性欲:99/100(限界突破寸前・危険!) 】
【 状態:発情・ムラムラ 】
「ぶっ!!??」
俺は盛大に麦茶を吹き出した。
「ちょっ、汚い! 何やってるのお兄ちゃん!」
「ご、ごめん……いや、むせただけだ」
慌てて口元を拭いながら、俺は二度見、いや三度見した。
見間違いじゃない。 あの清楚で、男嫌いで有名な結衣の頭上で、『99』という数字が真っ赤に点滅している。しかも(危険!)ってなんだ。アラートまで出てるじゃないか。
(うそだろ……? あの結衣が?)
結衣は眉をひそめて、俺をゴミを見るような目で見下ろしている。
「はぁ……朝から信じられない。そのだらしない顔、学校じゃ絶対に見せないでよね。私の品位に関わるから」
「あ、ああ。気をつけるよ……」
口ではいつものように罵倒してくる。だが、システムは嘘をつかない。
彼女の中のタンクは、今にも決壊しそうになっているのだ。
(待てよ。99ってことは、あと1で100……つまり暴発するってことか?)
俺は戦慄した。
このまま学校に行かせていいのか?
もし全校集会の最中に、何かの拍子で「100」になったら?
あるいは、そのあふれ出るフェロモンを嗅ぎつけた悪い虫が、結衣に近づいたら?
今の彼女は、いわば火薬庫だ。ちょっとした火種で爆発しかねない。
「……行ってきます」
「お、おう。気をつけてな」
何も知らない結衣は、カバンを持って玄関を出て行った。
残された俺は、トーストを持ったまま冷や汗を流していた。
──兄として、この非常事態を見過ごすわけにはいかない。
これは決して、俺がエロいことをしたいとか、そういう邪な理由ではない。
そう、これは『家族愛』だ。
可愛い妹が、性欲を持て余して変な男に騙されたり、学校で醜態をさらしたりするのを防ぐための、緊急避難的措置が必要なのだ。
俺は強く拳を握りしめた。
今夜だ。今夜、彼女が寝静まったあと、俺がその「あふれそうなタンク」を少しだけ抜いてやらなければならない。
◆
深夜二時。
家族全員が寝静まった廊下を、俺は音を立てずに移動していた。
目指すは結衣の部屋。
そっとドアノブを回す。鍵はかかっていない。不用心なやつだ、と心の中で叱りつつ、俺は侵入に成功した。
部屋の中は、ほのかに甘い香りがした。
ベッドの上で、結衣が規則正しい寝息を立てている。
俺は慎重に近づき、まず例のモノを確認する。
【 名前:春日野 結衣 】
【 性欲:98/100(極限) 】
【 状態:睡眠・欲求不満 】
「……減ってない」
学校で何かあったのか、あるいは自力で処理できなかったのか。数値は朝と変わらず危険水域だ。 寝顔は天使のように安らかだが、布団からはみ出した足が、時折もぞもぞとシーツを擦っている。無意識に求めている証拠だ。
「よし……兄ちゃんが助けてやるからな」
誰にともなく言い訳を呟き、俺は結衣の布団をゆっくりと捲った。
薄手のパジャマ越しでもわかる、柔らかな曲線。
俺はゴクリと唾を飲み込み、震える手を、彼女の太ももへと伸ばした。
「……んっ……」
手が触れた瞬間、結衣の唇から甘い吐息が漏れた。
ビクリと肩を跳ねさせて手を止める。 ……起きない。大丈夫だ。
俺は視線を頭上のウィンドウに固定したまま、パジャマのズボンに手をかけ、ゆっくりと引き下ろしていく。
露わになる白い肌。そして、コットンのショーツ。
その中心部分が、じわりと湿っているのが見て取れた。
(やっぱり、限界なんじゃないか……)
俺は意を決して、ショーツ越しに彼女の秘所に指を這わせた。
クリトリスの位置を探るように、優しく、円を描くように撫でる。
「あ……ぅ……ん……」
反応は劇的だった。
寝ているはずの結衣が、腰を小さく浮かせて俺の指に押し付けてくる。
同時に、頭上の数値が動き出した。
【 性欲:98 → 97 → 96 】
(下がってる……!)
俺の仮説は正しかった。
外部からの刺激によって、彼女の溜まりに溜まったゲージを消費させることができるのだ。
これは「処理」だ。あくまで兄としての義務的なメンテナンス。
そう自分に言い聞かせながら、俺は指の動きを少しずつ早めていった。
ショーツの中に指を滑り込ませ、直接、その愛らしい突起を刺激する。
濡れそぼった愛肉が、俺の指に絡みつく。
「んぅっ……! あ、ぁ……っ」
結衣の声が少し大きくなる。
普段の冷徹な生徒会長からは想像もできない、甘く蕩けた声。
そのギャップに、俺自身の「性欲ゲージ」も危険なほど跳ね上がっていくのを感じたが、今は我慢だ。まずは彼女を救わなければ。
俺は、妹の秘密の夜に、深く深く踏み込んでいった。
(続く)