『実の妹の「性欲ステータス」が見えるようになったので、毎晩こっそり処理してあげることにした』 作:七草七
翌朝。
目を覚ました俺は、激しい自己嫌悪と、それ以上の背徳的な高揚感に包まれていた。
やってしまった。ついに一線を越えてしまった。
昨夜の記憶が鮮明に蘇る。妹の柔らかな感触、甘い喘ぎ声、そして最後に見た幸福そうな寝顔。
「……合わせる顔がない」
俺は布団の中で頭を抱えた。
だが、いつまでも引きこもってはいられない。喉も渇いた。
意を決してリビングへ降りると、そこには信じられない光景が広がっていた。
「あ、おはようお兄ちゃん♥」
エプロン姿の結衣が、満面の笑みで振り返ったのだ。
いつもの冷徹な生徒会長の面影はどこにもない。そこには、新妻のような甲斐甲斐しさを纏った、とろけるような笑顔の美少女がいた。
「お、おはよう……結衣、機嫌がいいな……?」
「うん、とっても。昨日はぐっすり眠れたから」
結衣は意味深に頬を染めながら、味噌汁をよそってくれた。
俺はおそるおそる、彼女の頭上を見る。
昨夜、ピンク色に輝いていたウィンドウは、今朝になって禍々しいほどの赤紫色に変貌し、バグったように点滅していた。
【 名前:春日野 結衣 】
【 性欲:測定不能 】
【 兄への愛:∞(限界突破・永続) 】
【 状態:依存・独占欲・発情 】
(……なんだこれ)
性欲ゲージが消えている。代わりに現れたのは、『兄への愛』という重すぎるパラメーター。 俺が呆然としていると、結衣がトコトコと近づいてきた。
そして、俺の耳元で甘い声で囁く。
「ねえ、お兄ちゃん。……昨日は『治療』してくれて、ありがとう」
ドクン、と心臓が跳ねた。
バレていた? いや、夢だと思っているはずじゃ……。
「夢、じゃなかったんでしょ?」
俺の思考を読んだかのように、結衣がクスクスと笑う。
その瞳は、獲物を追い詰める肉食獣のように妖しく光っていた。
「最初は夢かと思ったけど……あんなに気持ちいい夢、あるわけないもん。バイブの時も、昨日の……中に出してくれた時も、全部わかってたよ」
「お前……起きてたのか!?」
「うん。お兄ちゃんがいつ手を出してくれるか、ずっと待ってたんだから」
結衣は俺の胸に指を這わせる。
彼女の告白は衝撃的だった。
俺が能力に目覚める前から、彼女はずっと俺を見ていたのだ。
あの『99』という異常な数値は、単なる性欲ではなく、俺に対する抑圧された想いが爆発寸前だった証だったのかもしれない。
「あのね、お兄ちゃん。私のステータス、今どうなってる?」
結衣が上目遣いで尋ねてくる。
俺は正直に答えるしかなかった。
「……『愛』が、限界突破してる」
「ふふっ、当たり前だよ。一度あんなことされたら、もう戻れないもん」
結衣は俺の手を取り、自分の下腹部へと導いた。
スカートの上からでもわかる、熱と湿り気。
「見て。また『溜まって』きてるの」
ウィンドウを見るまでもない。
彼女の瞳が、昨夜と同じ色で俺を求めている。
『 警告:新たなミッションが発生しました 』
『 ミッション名:生涯のパートナー契約 』
『 報酬:妹との甘い生活 』
システムが空気を読んで、とんでもないポップアップを出してきた。
俺は観念したように息を吐き、そして覚悟を決めた笑顔で妹に向き直った。
「……仕方ないな。お前のその異常なステータス、俺が一生かけて管理してやるよ」
「うんっ! 約束だよ、お兄ちゃん♥」
結衣が嬉しそうに抱きついてくる。
朝のリビングで、俺たちは家族という枠組みを超えた、甘く背徳的なキスを交わした。
俺の能力(チート)は、世界を救うことはなかった。
けれど、目の前のたった一人の妹を(性的な意味で)救うことには成功したようだ。
──その後。
我が家では毎晩、そして時には休日の昼間から、「兄妹間のステータス調整会議」という名の濃厚な交わりが行われるようになったのだが、それはまた別の話である。
【 名前:春日野 兄妹 】
【 状態:幸せな共犯者 】
(完)