その日、あかねとの日常の喧嘩の中で、乱馬は不意にあかねにバケツの冷水を浴びせられ、らんま(女)の姿になってしまった。疲労困憊の状態で、らんま(女)は自分の部屋で横たわっていた。心身ともに疲れた状態では、お風呂に入って男に戻る気力も起きなかった。
(くそっ、この体はやっぱり慣れねぇ……。男の時の力も、動きも、全部半減だ)
らんま(女)は、自分の女の身体を改めて見つめた。そこには、乱馬(男)にはない繊細な曲線と、異質な熱がこもっていた。
そして、ふと、昨日までのなびきや小太刀と交わした熱烈な時間を思い出す。あの時の激しい快感は、乱馬(男)の身体で受け止めたものだが、らんま(女)の身体では、どう感じるのだろうか?
「男」としての記憶と、「女」としての本能的な好奇心が、らんま(女)の心の中で渦巻く。これは、誰にも見られてはいけない、自分自身との探求だ。呪泉郷の呪いは、彼(彼女)に二つの性の感覚を与え、その境界を探れと誘っているようだった。
(女の身体が、男の自分にどう感じていたのか……それを知るには、これしかねぇだろ。ちょっとだけだぞ。どうせ、男の時と同じで大したことねぇだろ……)
らんま(女)は、誰もいないことを確認し、そっと自分の異質な身体に触れてみた。その瞬間、男の時とは全く異なる、鋭く、甘美な快感が、全身を駆け巡った。それは、呪泉郷の呪いが生み出した、「自分自身との、最も深い共鳴」だった。
誰もいない部屋。汗ばんだパジャマのボタンを一つずつ外していく指先が震えていた。鏡に映るのは見慣れたようで全く違う輪郭。長く伸びた髪と細い鎖骨のラインに戸惑いながらも、恐るおそる胸元に手を伸ばした。
「……っ!?」
接触した瞬間走った電流のような刺激に思わず肩を竦める。男ならただの脂肪の塊でしかないはずなのに、この柔らかな膨らみは何なのか。掌全体で包み込むと形を変えながら温もりが伝わり、乳首が芯を持ち始めるのが分かる。
「おかしい……こんな場所が……」
爪先で軽く引っ掻いただけで鋭い感覚が脊髄を貫く。無意識に内腿を擦り合わせていることに気づき慌てて手を離したものの、中途半端な疼きだけが残ってしまう。
「確かめないと……」
ベッドに横たわり太ももの隙間に指を滑り込ませる。湿った下着越しでも分かるほど潤った割れ目に辿り着くと、微かに聞こえる水音に戸惑いながらも探索を続ける。「あっ……!」
浅い窪みをなぞった途端反射的に跳ね上がった腰。昨夜小太刀と交わしたときとは異なる、もっと根源的な何かが芽吹いていく。下着を脱ぎ捨て直接触れるとヌメる液体が溢れて指を染めた。
「嘘だろ……こんなにも……」
羞恥心と共に生まれた奇妙な満足感。人差し指一本で狭隘を押し広げるたびギチギチと切なげな声が漏れる。第二関節まで埋まったところでGスポットらしい隆起を発見し執拗に捏ねくり回す。
「ひゃあん!あぁっ!何コレぇぇ!!」
未知の悦楽に戸惑いながらも速度を上げる掌。ぬちゅっぬちゅっと淫らな音が鼓膜を犯していく。片方の手は乳首を摘み捻りあげることを忘れず同時多発攻撃へ移行していった。
「ダメェ……なんか来るぅ……すごいの……きちゃうぅぅぅ!!!」
全身が弓なりになるタイミングでぷしゃああと透明な飛沫がシーツへ降り注ぐ。初体験の潮吹きによって思考回路がショートするほどの多幸感に包まれた。
身体の秘密と百合への予感
行為を終えたらんま(女)は、ベッドの上で呆然としていた。シーツは汗と熱気で湿っている。
(なんだ、これ……! 男の時とは、全然違う……。この体、こんな秘密の扉を隠してたのか……)
らんま(女)は、女の身体が持つ快感の深さと、解放感に打ちのめされていた。それは、男の自分では決して体験できない、究極の自己満足だった。呪いは、罰ではなく、無限の可能性を与えていたのだ。
その時、あかねが心配そうに部屋に入ってきた。
「らんま、熱でもあるの? 顔が真っ赤よ」
あかねは心配そうにらんま(女)の額に手を当てる。らんま(女)は、先ほどの秘密の行為の余韻と、あかねの温かい手の感触に、心臓が跳ねるのを感じた。
「な、なんでもねぇよ! お、お前こそ、いちいち人の部屋に入ってくんな!」
らんま(女)は、慌てて毛布を被り、顔を隠した。
あかねは、らんま(女)の不自然な態度に首を傾げながらも、「変な奴」と一言残して部屋を出て行った。
らんま(女)は、毛布の中で、あかねの温かい手の感触と、自分の女の身体が放つ熱を比べていた。
(あかねの奴……。女の俺に触れて、どう思ってるんだ?……女同士ってのは、一体、どこまで親密になれるんだ?)
この自己探求の経験は、らんま(女)の中に、許婚であるあかねに対して、「女同士」としての、新たな好奇心の種を植え付けることになった。
第四話予告
第四話:シャンプー - 恋敵の精算
次は、乱馬(男)への一途な愛と、らんま(女)への憎しみを燃やす中国娘、シャンプー。彼女は、愛憎の全てを込めた強引な誘惑で、乱馬(男)を己の支配下に置こうとする。呪いのキスと恋敵への精算という名の行為が、乱馬の男のプライドを試す。