※この作品はR-18です。

マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー   作:夜叉五郎

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2068年3月8日夜
アルテミシア・グランドホテル ロイヤルスィート「ルビー・プリズン」


ch.12「初キスはキモデブ童貞と」

オリッシュの「ずっとここにいる」という言葉が響いた瞬間、カナメの中で任務のゴングが静かに、しかし確実に鳴った。

 

(……嘘をついて誤魔化すなんて無理よ。付け焼き刃の娼婦の演技でボロを出すくらいなら、私の全てが手つかずの処女だと差し出した方が、この男を確実に縛り付けられる……!)

 

覚悟を決めたカナメは、ゆっくりと膝を折り、深紅のドレスの裾を広げながら絨毯の上に正座した。

そして、三つ指をついて、深く、深く、土下座した。

 

背中が完全に開いたドレスのせいで、白く輝く背骨のラインが、鎖骨の下から腰のくびれ、さらに尻の始まりまで、一筋の光のように露わになる。

ニキビ一つない、完璧な白い肌。

金のチェーンが腰を這い、スリットから覗く太腿が、緊張と羞恥で小刻みに震えている。

香水と、わずかに漏れ始めた女の匂いが、室内に甘く広がった。

 

「……っ!?」

 

オリッシュは突然の土下座に、目を丸くして固まった。

だが、次の瞬間、その視線はカナメの白い背中に釘付けになった。

背骨の谷間、腰のくびれ、尻の曲線、すべてが完璧で、まるで触れれば溶けてしまいそうな、神聖さと淫靡さが同居していた。

 

オリッシュは息を呑み、目が血走った。

 

「うおお……! カナメさんが……土下座……!? お、おい……こんなエロい格好で……俺に頭下げてんのかよ……!」

 

股間が一瞬で痛いほどに膨張し、ジャージの前がテントを張った。

何億人といるワルキューレのファンの誰も見たことのない光景。

あの決して手の届かない絶対的アイドル、カナメ・バッカニアが俺にひれ伏している。

あまりの優越感にオリッシュの汗ばんだ手が震え、喉がごくりと鳴る。

 

カナメは額を絨毯につけたまま、震える声で告げた。

 

「オリッシュさん……ごめんなさい……」

 

声は震えていた。

任務のための計算された行動のはずだった。だが、吐き出す言葉そのものは彼女の紛れもない真実だった。

 

「私は……男性経験がなくて……性技も……拙いと思います……あなたを、満足させられるか……自信がなくて……本当に、ごめんなさい……」

 

土下座の姿勢で胸が絨毯に押しつけられ、乳房が布越しに潰れ、乳首が硬く尖って布を突き上げる。

尻が自然に持ち上がり、スリットが割れて、Tバックの細い紐が秘唇に食い込み、わずかに濡れた布が光った。

 

その瞬間、オリッシュの脳裏に衝撃が走った。

 

「……は? 待てよ……マジで……? カナメ・バッカニアが……処女……?」

 

声が裏返り、脂ぎった顔が信じられないという表情で歪む。

 

「俺みたいな……男が……ワルキューレのカナメさんの……初めての男……?」

 

次の瞬間、歓喜が爆発した。

 

「うおおおおおおおおおっ!!! マジかよ!! マジで俺が!! こんな美人でスタイル抜群の歌姫の処女を……俺が奪えるのかよ!!」

 

オリッシュは両手を天に掲げ、涙と涎を垂らしながら絶叫した。

 

「俺みたいな冴えないおっさんが……! 誰も手を出せなかったカナメさんの初めてを……俺のチンポで……俺のザーメンで……! うわああああああ!! 神様ありがとう!!!」

 

興奮で全身を震わせ、股間から先走りが溢れ、ジャージに大きな染みが広がる。

 

「こんな幸運……ありえねえ……! 俺の人生、今日で勝ち確定だあああ!……カナメさんの処女膜……俺が破るんだ……! 子宮に……俺の精子を一番にぶちまけるんだ……!」

 

だが、カナメは土下座の姿勢のまま、さらに決定打となる事実を重ねた。

 

「……それだけじゃなくて……キスも……まだ、誰とも……したことがないんです……」

 

今度は、オリッシュが完全にフリーズした。

 

「………………え?」

 

声が裏返り、目が点になる。口がぽかんと開いたまま固まった。

 

「キス……も……? ファーストキス……も……まだ……?」

 

涙が止まり、興奮が頂点を越えて、呆然とした表情に変わる。

 

「うそ……だろ……? こんな美人で完璧な女が……唇すら……誰にも奪われてない……?」

 

カナメはゆっくりと顔を上げ、潤んだ瞳でオリッシュを見つめた。

任務のための演技。好意など、かけらもない。

だが、それを悟られないよう、完璧な大人の女として微笑んでみせる。

 

「だから……今日は、優しくしてね……オリッシュさん……」

 

土下座からしなやかに立ち上がり、深紅のドレスの胸元を揺らしながら、静かに、静かにオリッシュへと歩み寄る。

白い脚がスリットから覗き、香水と雌の匂いが濃密に漂う。

カナメは震える指先でオリッシュの脂ぎった頬にそっと触れ、目を閉じて、自らの唇を重ねた。

 

柔らかく、熱く、震える、初めてのキス。

カナメ自身から捧げた、生涯最初のファーストキスだった。

 

オリッシュの目が、見開かれたまま固まる。

カナメの唇がそっと触れていた間、オリッシュの意識はどこか現実から切り離された白昼夢の中にあった。

 

(……あのカナメが……自分から……俺に……キスしてくれた……)

 

画面越しに何千回、何万回と見つめ続けてきた手の届かない女神。

その温もりが自分の唇に押し当てられていること自体、脳の処理能力を完全に麻痺させていた。

 

だが、カナメが顔を離そうとしたその刹那、オリッシュの汗ばんだ太い手が無意識に伸びた。

 

(俺の……初めてのキスが……カナメ・バッカニア……俺が……このカナメ・バッカニアの……最初の男……)

 

恐る恐る、壊れ物に触れるように差し伸べられた両手が、深紅のドレスから露わになったカナメの両の二の腕を、左右からぎゅっと掴む。

 

――柔らかい。

 

指先が吸い込まれるように沈み込む、信じられないほどきめ細やかで吸い付くような素肌の弾力。手のひらを通じて生々しく伝わってくる、カナメの体温と小刻みな心臓の鼓動。そして何より、自分のような脂ぎった男の手に掴まれながらも、彼女は身を引くことも、拒絶して振り払うこともしない。

 

実体のあるカナメ・バッカニアの肉が、いま、確かに自分の掌の中にある。

 

その抗いようのない『現実』の感触が、オリッシュの脳天を凄まじい雷撃のように貫いた。全身の毛穴が開き、背筋を灼熱の電撃が駆け抜ける。

 

(夢じゃねえ……! 本物だ……! 本物のカナメ・バッカニアが、生身の女として、俺の目の前にいるんだ……!!)

 

長年、冷たいモニターやプラスチックのグッズ相手にぶつけ続けてきた歪で強大な欲望が、一瞬にして沸点を超えて暴発した。拒絶されないという確信が、彼の中で眠っていた獰猛なオスの本能を解き放ち、理性の箍を跡形もなく吹き飛ばす。

 

「あ、あああぁっ……!」

 

喉の奥から獣のような濁った息が漏れると同時に、二の腕を掴む指に乱暴な力が込められた。

華奢なカナメの体を力任せに引き寄せると、肥満した重い身体で押し潰すようにして、その細い腰ごとがっしりと抱きすくめる。

 

逃がさない。絶対に離さない。

 

オリッシュは涎を垂らしながら、貪り食うように自らの分厚く湿った唇を叩きつけた。驚きに小さく開かれたカナメの口元へ、ねっとりと熱を帯びた太い舌を強引にねじ込み、処女の清らかな口内を隅々まで蹂躙していく。

 

歯列を割り、上顎をいやらしく撫で回し、逃げ惑うカナメの小さな舌を強引に巻き取って貪り吸い尽くす。ジュルジュルと淫らな水音が静まり返った豪奢な寝室に響き渡り、オリッシュは初めて味わう生身の歌姫の体液の甘さに狂喜乱舞しながら、泥沼のような情動のままにその口中を犯し続けた。

 

(……これが……私の……初めてのキス……メッサー君でも、アラド艦長でも……ない……この男の……熱い舌が……私の口の中を……犯してる……)

 


 

同じ頃、ルビー・プリズンの真下に位置するスィートルーム。

 

照明を落とした薄暗い室内で、ミラージュ・ファリーナ・ジーナスは無機質に発光するマルチモニターの前に陣取っていた。

 

ルビー・プリズンの各所に仕掛けられた隠しカメラと超高感度集音マイク。

さらにミラージュが手元のコンソールで遠隔操作する複数の極小ステルスドローンが、エンペラーサイズベッドの上空を無音で旋回し、二人の姿をあらゆる角度から超高画質で捉え続けていた。

 

コンソールには、カナメの手首に巻かれた監視リストバンドから送られてくる生体データ――急上昇する心拍数、跳ね上がる体温、皮膚電気抵抗の乱れがリアルタイムで波形を描いている。

 

(カナメさん……)

 

ミラージュは拳を握りしめ、冷たいモニターを見つめていた。

自分が生き残ってしまったがために、尊敬する先輩に背負わせてしまった過酷な生贄の役目。

せめて異常事態が起きたときは即座に対応できるよう、軍人として神経を研ぎ澄ませていた。

 

だが――スピーカーから流れてきたカナメの震える告白に、ミラージュの息が止まった。

 

『私は……男性経験がなくて……』

『……それだけじゃなくて……キスも……まだ、誰とも……したことがないんです……』

 

「…………っ!?」

 

ミラージュの全身から血の気が引いた。

 

(嘘……カナメさんが……処女……!?)

 

性技教育を担当したミランダとは違い、ミラージュにはカナメのパーソナルデータの詳細――極めてプライベートな性歴までは開示されていなかった。

大人の魅力と包容力に溢れ、常に自分たちを導いてくれた頼れるリーダー。

誰よりも美しく完成された大人の女性であるカナメが、男性経験ゼロはおろか、誰ともキスすら交わしたことがなかったなど、夢にも思っていなかった。

 

(そんな……誰にも触れさせたことのない大切な初めてを……ファーストキスすら……)

 

モニターには、ドローンが捉えたカナメの姿が冷酷なほど鮮明に映し出されていた。

深紅のドレスから溢れそうな胸を絨毯に押しつけ、三つ指をついてキモデブの男に頭を下げる姿。

そして、自らその唇をオリッシュの脂ぎった顔へと重ね、直後に腕を掴まれて押し倒されそうになりながら貪り食われている瞬間。

 

スピーカーから、じゅるり、と唾液が激しく絡み合う生々しい水音が絶え間なく響く。

オリッシュの太い腕に抱きすくめられ、太い舌を押し込まれて口内を犯されるカナメの横顔。

 

「……っ……あぁ……っ……!」

 

ミラージュは両手で口を覆い、溢れ出る嗚咽を必死に押し殺した。

視界が涙で激しく歪む。

爪が掌に食い込み、血が滲むほど強く握りしめられた。

 

あの過酷な戦場を駆け抜け、誰よりも気高く生きてきた歌姫の純潔が、今、自分の目の前で、自分が用意した檻の中で、名も知らぬ男の欲望に汚されていく。

自分が無力だったせいで。

自分が事故の引き金を引いてしまったせいで。

 

「ごめんなさい……カナメさん……っ、ごめんなさい……っ!」

 

誰もいない暗闇の部屋で、ミラージュはモニターの光に照らされながら、胸を掻き毟るような激しい自責の念に打ちのめされていた。

しかし、ドローンのレンズを逸らすことは許されない。

どれほど心が引き裂かれようと、この残酷な任務のすべてを見届けることこそが、生き残ってしまった自分に課された唯一の贖罪だった。

 


 

上の階のルビー・プリズンで、ようやくオリッシュとカナメの唇が離れた。

二人の口元を、一本の濡れた銀色の糸が淫らに繋ぎ、ぷつりと切れて落ちる。

 

息を切らし、乱れた唇を艶やかに光らせながら、カナメは潤んだ瞳でオリッシュを見つめ、プロの笑みを浮かべた。

 

「これから……よろしくね……オリッシュさん……」

 

慰安任務は、今、確実に始まった。

 

(続く)

 




カナメの衣装
オシャレマクロス10の赤ドレス
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