※この作品はR-18です。

マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー   作:夜叉五郎

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2068年5月19日(土)
惑星レハーム アルテミシア・グランドホテル


ch.167「銀河最速のABV試遊体験レポート②」

「はぁ……はぁ……、くそっ、二発連続は流石に堪えるな……」

 

現実世界のG棟806号室。

 

SNN(スクランブル・ニュース・ネットワーク)の若手レポーター、剣崎ヒビキはベッドの上に重い四肢を投げ出し、激しい賢者タイムの波に抗っていた。

 

全身から力が抜け、このまま眠りに落ちてしまいたいという誘惑が襲う。

 

しかし、彼は震える手でKBモデルのカバーを開け、二発目の重みが詰まった使用済みコンドームを処理した。

 

(……いや、止まるな。俺はSNNのエースなんだぞ……!)

 

プロとしての根気が、甘えを打ち消す。

 

ヒビキは手近な個人端末を起動し、音声入力による速報レポートの作成を開始した。

 

「……レポート。ABVシステム、感度レベル『中』の検証。特筆すべきは、対象カナメ・バッカニアの『質感』の再現度だ。視覚的な解像度はもちろん、擬似分子による嗅覚刺激と、KBモデルによる触覚フィードバックが相乗効果を生み、脳が『本物』と誤認するレベルに達している……」

 

言葉を紡いでいくうちに、先ほど網膜に焼き付いたカナメのピンク色の乳首や、顔面を白濁で汚した彼女の恍惚とした表情がフラッシュバックする。

 

自分のレポート内容そのものが強力な「おかず」となり、沈みかけていたヒビキの股間が、再び脈打ち始めた。

 

(……やばい、またムラムラしてきやがった。この女、レポートを書いてる最中ですら俺を休ませてくれないのかよ!)

 

もはや恋人のシルヴィアへの罪悪感など微塵も残っていない。

 

ヒビキは三枚目のコンドームをKBモデルに装填し、再びマッドな質感のサイバーゴーグルを被った。

 

ステージ3のフェラ編の開始を選択。

 

視界が戻ると、そこにはシャツの前を大きく肌蹴させ、豊満な乳房を露わにしたままのカナメが、ベッドの上に腰掛けるヒビキ(オリッシュ)の股間に、しなやかな動作で跪いていた。

 

『ふぅ……。サキュバス波が宿るのは、声だけじゃないわ。この、チュパ音も効果があることが、これまでの研究で明らかになってます』

 

彼女はそう囁き、湿った瞳でヒビキの肉棒を見つめた。

 

次の瞬間、温かく、そして濡れた口腔が、怒張しきった亀頭を深く、一気に飲み込んだ。

 

「――っ!? ぁ、ああああ……っ!!」

 

ヒビキは背筋を突き抜けるような快感に仰け反った。

 

レベル『中(7割)』の威力は、カナメの口腔の粘膜が持つ「独特の締め付け」と「熱」を、おぞましいまでの精度で再現していた。

 

KBモデルの内壁が、彼女の舌の動きと連動し、裏筋を執拗に、ねっとりと舐め上げる。

 

『んむっ……じゅぷ、んちゅ……っ!』

 

わざとらしく、しかし官能的に立てられる「はしたない音」。

 

フォールドバリアとKBモデルを通じた圧感再現が、彼女の喉の奥まで突き入れているような錯覚をヒビキに与える。

 

じゅぼじゅぼと、肉を抉り取るような吸い付き。

 

(……たまらねえ! シルヴィアのより、ずっと深くて……締め付けが段違いだ……っ!)

 

ヒビキは、自分の精気が文字通り「絞り取られていく」のを感じていた。

 

カナメが言う「根治療法」――リビドーを極限まで引き出し、体内のセイズノールを白濁と共に排出させるという理論を、今まさに身をもって証明している。

 

『ん、んんぅ……ッ!!』

 

喉を鳴らし、懸命に奉仕する銀河の歌姫。

 

そのピンク色の乳首が、ヒビキの太腿に擦れ、視覚と触覚の同時攻撃が理性を粉々に砕く。

 

もはや限界だった。

 

「カナメさん、飲むんだ……俺の全部、飲んでくれ……ッ!!」

 

三発目。

 

咆哮と共に、ヒビキは絶頂を迎えた。

 

KBモデルが猛烈な勢いで射精液を吸引し、同時にゴーグル内の視界では、カナメが口を大きく開き、溢れんばかりの白濁液を見せつける。

 

彼女は、口内を満たした熱い飛沫を、一つも零さないように艶めかしく飲み干していく。

 

ゴクリ、と喉が鳴る音が、360度空間音響でヒビキの鼓膜を震わせた。

 

(……信じられるかよ。ワルキューレのリーダーに、俺の精子を飲ませたんだぞ……)

 

背徳感と征服感。

 

その二つが混ざり合った、かつてない全能感がヒビキを包み込む。

 

だが、カナメは潤んだ瞳をさらに深め、自身の唇を指先でなぞりながら、まだ満足していないかのように上目遣いで微笑んだ。

 

これはまだ、全4ステージの第3段階に過ぎない。

 

次に来る「最終ステージ」が何であるか、ヒビキはもはや疑う余地もなかった。

 


 

「……っ、ふぅ……。あと一発、いや、絞り出せば二発か……」

 

現実世界のG棟806号室。

 

ヒビキの額には玉のような汗が浮かび、呼吸は熱を帯びていた。

 

短時間での三連発。並の男なら賢者タイムの底で使い物にならなくなっているはずだが、彼は違った。

 

SNNのエースとして修羅場を潜り抜けてきた精神力が、野生の闘争本心と結びつき、限界を超えた勃起を維持させている。

 

(あの場にいた数千人のうち、今日中にここまで辿り着ける奴が何人いる? 10人か? 5人か? ……いや、俺だけだ!)

 

もはやこれは単なる「取材」ではない。

 

銀河を支配せんとするサキュバスの女神、カナメ・バッカニアという強大な個体に対し、一人のオスとしてどこまで肉薄できるかという、命懸けの決闘だった。

 

ヒビキは四本目のコンドームを震える指で装填し、覚悟を決めて最後のステージを起動した。

 

ファイナルステージのワクチンセックス編が開始される。

 

視界がスイートルームに戻ると、そこには一切の布を纏わない、完全なる全裸のカナメ・バッカニアが立っていた。

 

「……っ、嘘だろ……」

 

アイドル時代には決して見ることのできなかった、完成された肉体の神秘。

 

薄暗い照明に照らされた彼女の肌は、真珠のような光沢を放ち、下腹部には妖しく脈動する「淫紋」が、美しい淡いピンク色の光を放って刻まれていた。

 

(……このマークが、サキュバスの証、なのかっ!?)

 

ヒビキはその神聖ですらある紋様の輝きに、ゾクりと背筋が凍るような、しかし形容しがたい高揚感を覚えた。

 

彼女はベッドに横たわるオリッシュ(ヒビキ)の上にゆっくりと跨り、濡れそぼった秘部を、怒張しきったペニスの先端へと押し当てた。

 

だが、ヒビキの視界の中で、カナメの秘部には映像倫理基準に基づいた、無機質な『ぼかし』がしっかりと掛けられていた。

 

(……はぁっ!? なんだよ、これ……ッ!!)

 

これほどまでに生々しく、男の理性を微塵切りにするような五感再現システムを構築しておきながら、肝心要の視覚情報だけは、クソ真面目に規制を守っているのか。

 

そのあまりにチグハグな「健全さ」の主張に、ヒビキは絶句した。

 

『もちろん、一番効果があるのは……男女のまぐわいねっ……直接繋がって私を存分に感じてください♡』

 

「あ……あぁ……っ!」

 

だが、視覚的な規制など、押し寄せる触覚の暴力の前には無意味だった。

 

レベル『中(7割)』の設定が、膣内の圧倒的な熱量と、吸い付くような粘膜の締め付けを完璧にトレースする。

 

KBモデルが、彼女の腰の動きに合わせて内部を複雑に蠢かせ、ヒビキの肉棒を「彼女の型」の中に引き釣り込んで行く。

 

結合の瞬間、ゆっくりと、しかし確実に、根元まで沈み込まれていく感覚。

 

『あはぁっ……! すごい……お腹の奥まで、貴方を感じるわ……っ!』

 

カナメが恍惚の表情で腰をグラインドさせると、KBモデルの最奥にある「あの輪っか」――すなわちカナメ特有の、少しぽってりとした子宮口が、ヒビキの亀頭にむちゅむちゅとキスをするように吸い付いてきた。

 

(な、なんだこれ……っ!? 絞り出される……っ、精液を全部、吸い取られるような……ッ!!)

 

子宮口に直接愛撫されるという、禁断の快感。

 

それはこれまでの手コキやフェラとは比較にならない、魂を直接揺さぶるような劇薬だった。

 

ヒビキは悶絶し、枕に顔を埋めて呻いた。

 

『気をつけて。あんっ、同じワクチンABVを使い続けると、んんっ、興奮度も下がってセイズノールの排出率も下がっていくわ……。んっ……でも大丈夫。はぁんっ……私たちオーオク社は今後もっ、様々なワクチンABVをリリースしていくっ予定ですっ。オーオク社は決して貴方を見捨てない……っ!』

 

激しく腰を振りながらも、彼女は宣伝文句を吐き出し続ける。

 

そのプロフェッショナルな姿勢と、対照的に乱れ狂う肉体の動き。

 

そのギャップが、ヒビキの背徳感を限界まで押し上げた。

 

(オーオク社……。あんたたちは、男を救うんじゃない……家畜にするつもりかよ……っ!)

 

そんな思考さえも、彼女の激しいピストンによって散らされていく。

 

溢れ出る愛液の滑り、ぶつかり合う肉と肉の音、そして耳元で爆発するサキュバス波の喘ぎ声。

 

絶頂の瞬間、彼女の下腹部の淫紋が、視界が真っ白になるほどの閃光を放った。

 

「っ、あああああああぁぁぁぁっっっ!!!」

 

四発目。

 

ヒビキの全てを出し尽くす、渾身の射精。

 

カナメの最奥へと注ぎ込まれる白濁と同期するように、KBモデルが最大出力で振動し、ヒビキの意識を現実から完全に切り離した。

 

カナメの身体が大きく跳ね、彼女の意識もまた、白い悦楽の彼方へと塗り潰されていく。

 

……そして、静寂。

 

『――プレイ終了。お疲れ様でした』

 

どこか真面目そうな女の声のシステム音声が流れ、視界がゆっくりとフェードアウトしていく。

 

現実世界のG棟806号室。

 

ヒビキはシングルベッドの上で、抜け殻のようになって動かずにいた。

 

股間からは、自動排気されたコンドームの熱い感触が伝わっている。

 

(……勝ったのか……? いや……)

 

彼は、自分の頬を伝う一筋の涙に気づいた。

 

敗北感はない。

 

だが、そこにあるのは、もう二度と「これを知る前」の自分には戻れないという、取り返しのつかない変容の予感だった。

 

彼は今、惑星レハームの片隅で、銀河の新しい「秩序」の最初の犠牲者であり、同時に最初の目撃者となったのだ。

 

(……シルヴィア……)

 

射精の余韻と、とてつもない虚無感の中で、ヒビキの脳裏になぜか、故郷で待つ恋人の、あの金髪そばかすの顔が浮かんだ。

 

この銀河を統べる女神の、あまりにも生々しい肉体の深淵に触れた後だからこそ。

 

彼女の、あの強気で、しかし健気な愛おしさが、今のヒビキにとって唯一の「現実」の錨のように感じられた。

 

(……戻ったら、シルヴィアに、結婚を申し込もう……。俺には、あいつしか、いないんだ……)

 

女神の腕の中から辛うじて生還した男は、震える手でゴーグルを引き剥がし、汗と涙で濡れた顔を拭った。

 

その心には、新しい時代の到来への恐怖と、一人の女への歪んだ、しかし切実な愛着が、奇妙に同居していた。

 


 

アルテミシア・グランドホテルのG棟806号室。

 

四連発という、27歳の若さをもってしても過酷な「聖戦」を終えた剣崎ヒビキは、汗と精液の匂いが混じり合う空気の中で、ふらつく手で音声入力を再起動する。

 

賢者タイムの気怠さを振り払い、無気力な思考を奮い立たせ、脳内に渦巻く快楽の残滓を、鋭い言葉へと変換していく。

 

「……追記。剣崎ヒビキによる、ABVシステム・ファイナルレポート」

 

彼は、喉の渇きを無視して一気に言葉を紡ぎ出した。

 

【SNN特報:ABVがもたらす『悦楽の統治』とその危うさ】

 

今回の体験を経て断言する。

 

ABVは単なるアダルトコンテンツではない。

 

それはプロトカルチャーの遺産を「性」に特化させた、人類史上最も甘美で強烈な『依存症量産兵器』である。

 

まず、その実効性について。

 

感度レベル『中』における没入感は、既存のいかなるバーチャル体験をも凌駕している。

 

対象――カナメ・バッカニアの体温、唾液の味、そして子宮口の拍動までもが物理的な質量を伴って脳に直接書き込まれる。

 

オーオク社が提示した「一回500クレジット、月4回まで」という料金プランは、一見すれば高価な抑制策に見える。

 

だが、実際に体験した身からすれば、そこには優に数千、数万クレジットを支払うに値する『圧倒的な体験価値』が存在していた。

 

確かに、生の肉体を抱く方が素晴らしいという、古き良き意見もあるだろう。

 

しかし、ABVの真の恐ろしさはその「清潔な生々しさ」にある。

 

現実の性行為に付随する「汚らしい部分」や「面倒な人間関係」は、このシステムからは完全に削ぎ落とされている。

 

ここでは、銀河の女神がただひたすらに自分を肯定し、最高純度の快楽だけをゲーム感覚で、カジュアルに提供してくれるのだ。

 

さらに特筆すべきは、この仮想空間における『雄の気配の完全なる排除』である。

 

本来、カナメ・バッカニアの隣には、彼女を真の雌へと作り変えたオリッシュ・ハメルマンという圧倒的な存在がいるはずだ。

 

しかし、ABVのプレイ中、彼の存在を意識させられるノイズは微塵もなく、まさにカナメという極上の個体と自分だけが一対一で交尾(セックス)をしているという完全な錯覚に没入できた。

 

だが逆に、この完璧な隔離空間の構築すらも、オリッシュの底知れぬ演出技量とシステム統制によるものだとすれば、それはそら恐ろしいことである。

 

また、システムを通じて伝わってくるカナメの真に迫った発情の生体反応や、交尾における完成された演技(パフォーマンス)から推察するに、彼女とオリッシュの間で結ばれている心身の絆は、極めて濃密なものであることが窺える。

 

一人の男として、あの女神を完全に独占している彼が羨ましくもあるが、同時に、これほどまでに極上の生体データを大衆向けに解放してくれたことには、深いありがたみすら感じてしまう。

 

懸念点:人類の未来への問い。

 

断言する。

 

自分のように、現実世界に愛するパートナー――帰るべき場所としての『錨』を持っていない男たちは、この快楽の沼から二度と引き出せなくなるだろう。

 

このABVによるヴァール根治計画を推し進めるならば、同時に抜本的かつ強力な少子化対策を並行させねばならない。

 

さもなくば、我ら人類は現実の伴侶を求めなくなり、銀河の片隅で静かに、そして絶頂の中で絶滅への道を歩むことになるであろう。

 

ヒビキはレポートを送信し終えると、力尽きたようにシングルベッドに深く沈み込んだ。

 

ふと、目をやった彼の視線の先には、数時間前に意気揚々と注文した「専用コンドーム50個パック」の箱があった。

 

箱の横に転がる使用済みの包みは、たったの4つ。

 

箱の中には、まだ46個ものコンドームが手付かずのまま残されている。

 

「一晩中プレイして、限界まで搾り取ってやる」と息巻いていた数時間前の自分が、今のヒビキにはひどく滑稽に思えた。

 

一人のオスの身体機能など、銀河を統べる女神(サキュバス)の圧倒的な生体処理能力の前には、たった四回の連続絶頂で完全に限界(ショート)を迎えてしまうのだ。

 

残されたコンドームの山が、人間の生物学的な限界と、ヒビキのオスとしての完全なる敗北を静かに嘲笑っているように見えた。

 

「……勝てるわけ、ねえよな。とりあえず、寝るか……」

 

ヒビキは自嘲気味に笑うと、泥のように深い眠りへと落ちていった。

 

SNNから配信されたこの「銀河最速レポート」は、爆発的な反響を呼ぶこととなった。

 

しかし、ヒビキが魂を削って書き記した後半の「人類滅亡への警鐘」は、熱狂する大衆によって完全に無視されることとなる。

 

SNSや掲示板を埋め尽くしたのは、前半部分に記された「カナメの唾液の味」や「子宮口の驚異的な再現度」、そして「ワルキューレのリーダーを汚す背徳感」といった、官能的なディテールへの渇望ばかり。

 

結局、皆が知りたがるのは『女神』の下の事情だけであった。

 

(続く)

 

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