※この作品はR-18です。

マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー   作:夜叉五郎

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2068年5月23日(水)
惑星レハーム


2068年5月23日
ch.177「飛んで火に入る......」


マクロス・オーオクが、その妖艶なピンク色の巨躯を光学・電磁ステルスのヴェールで完全に覆い隠し、惑星レハームの地表にある遺跡「エムシー・ハラメ」から見て、ちょうど惑星の裏側にあたる正反対の座標へと潜伏を完了した頃。

 

レハームの宙域外縁に、時空の連続性を乱す強烈なフォールド波の閃光が走った。

 

空間の歪みを切り裂いて実体化したのは、超距離フォールドブースターの推進剤を限界まで使い切った一機のバルキリー――アラド・メルダースが操る、機体背面にパーソナルマークである「剣を咥えた竜の頭骨」が描かれたVF-31Sジークフリードであった。

 

後部座席には、彼が強引に連れ出した美雲・ギンヌメールが搭乗している。

 

「……着いたぞ、レハーム」

 

アラドが血走った瞳で眼下に広がる青と緑の惑星を睨みつけた直後、機体のレーダーに無数の赤い光点が浮かび上がった。

 

ミラージュ・ファリーナ・ジーナスが急造で敷いた、衛星軌道上の重層的な防衛ラインである。

 

『警告。未確認機、直ちに減速し、指定の航路へ移行せよ。従わない場合は撃墜する』

 

衛星軌道上に配置されたピケット艦からの自動警告を、アラドは通信回路を切断することで無視した。

 

その無言の回答を合図に、防衛部隊の迎撃が始まる。

 

無人戦闘機ゴーストの編隊と、レハーム支部の宇宙用バルキリー部隊が一斉にアラド機へと殺到した。

 

だが、歴戦の勇士であるアラドの技術は、その防衛網を嘲笑うかのように凌駕していた。

 

「遅いッ!」

 

アラドはガウォーク形態への瞬時の変形による急減速と、スラスターの偏向噴射を組み合わせた変態的なマニューバで、ゴーストの緻密な予測演算を完全に狂わせる。

 

放たれたミサイルの弾幕を紙一重で躱しながら、その隙間を縫うようにビームガンポッドの正確な連射を叩き込んだ。

 

火球となって爆散するゴーストの破片を突き抜け、アラドは迎撃のバルキリー部隊へと肉薄する。

 

彼らにとってアラドは支部が違う別部隊の所属とはいえ、戦場でワルキューレを守り抜いたΔ(デルタ)小隊の隊長として、星団中のバルキリー乗りから恐れられる生ける伝説だ。

 

その心理的な圧迫感と圧倒的な技量の差を、アラドは容赦なく突いた。

 

物理的な破壊部位を的確に狙い、パイロットの生体機能には致命傷を与えないギリギリの調整で、次々と機体の駆動系や推進器を破壊していく。

 

まさに鎧袖一触。衛星軌道上の防衛ラインを容易く蹂躙したジークフリードは、冷却シーケンスを待つことなく、そのままのトップスピードで惑星レハームの厚い大気圏へと強行突入を開始した。

 

機体との摩擦で生じる灼熱のプラズマがキャノピーを赤く染め上げる中、アラドの飛行ベクトルに迷いはなかった。

 

現在地が不明となっているオリッシュやカナメの居場所を探索しようとする素振りも、彼らが滞在していたアルテミシア・グランドホテルへ向かう気配も一切ない。

 

厚い雲海を突き抜け、機体は高度を下げていく。

 

マッハの速度で地表を舐めるように飛行しながら、目標へと一直線に突き進む。

 

目指すは、惑星レハームに眠る古代の生体エネルギー制御システム――遺跡エムシー・ハラメのただ中央であった。

 


 

大気圏を突破し、一直線に地表へ向かうアラドのVF-31Sの背後から、猛烈な推進炎を吹き上げて肉薄する一機の機体があった。ミラージュ・ファリーナ・ジーナスの駆る、紫のラインが施されたVF-31Cジークフリードである。

 

「……ッ、ケイオス・レハーム支部の防衛網も、統合軍の駐留部隊も、まるで役に立たない!」

 

ミラージュはコンソールに表示される味方のロストサインの群れに舌打ちしながら、スロットルを限界まで押し込んだ。

 

頼りない現地戦力をとうに見切り、彼女自身が直掩としてアラドに追い縋るしかなかった。

 

通信回路が強制的に開かれ、アラドの低くドスの効いた声がコックピットに響く。

 

『ミラージュ、俺はカナメさんを頼むって伝えたよな?』

 

かつての隊長からの叱責。

 

だが、今のミラージュはカナメの生体エネルギー(サキュバス波)と、彼女たちの作り上げる巨大な交配システム(ハーレム)の防衛者としての使命感に燃えていた。

 

操縦桿を強く握り締め、ミラージュは回線を繋いだまま叫び返す。

 

「ええ! ですから今こうして! 彼女の快楽(しあわせ)を阻む相手を、この手で排除しようとしているんです!」

 

『……言うようになったもんだ! だが!』

 

アラドのVF-31Sが、物理法則を無視したかのような急制動をかけた。

 

ミラージュの視界から一瞬で機影が消え、次の瞬間には彼女のVF-31Cの死角――真上に張り付いていた。

 

「なっ……!?」

 

反応する間もなく、アラドの機体から放たれた精密なビーム射撃が、ミラージュ機の推進システムと姿勢制御モジュールの急所のみを正確に撃ち抜く。

 

警報がけたたましく鳴り響き、ミラージュのVF-31Cは完全に制御不能に陥り、錐揉み状態で空へと落下し始めた。

 

『これで終わりだ、ミラージュ!』

 

アラドがトドメの一撃を放とうとガンポッドの銃口を向けた、まさにその時。

 

地表に鎮座する巨大な古代の生体エネルギー制御システム――遺跡『エムシー・ハラメ』が、外部からの高エネルギー反応を検知して自動防衛機構を起動させた。

 

遺跡の表面から無数の幾何学的なエネルギーラインが発光し、アラドの機体に向けて強烈な対空電磁パルスと迎撃ビームの網が放たれる。

 

「チィッ……! 遺跡の自動迎撃か!」

 

アラドは舌打ちし、ミラージュへのトドメを諦めて機体を鋭く反転させた。

 

回避運動に移りながら、彼は無数の防衛火線を極限の反応速度で潜り抜けていく。

 

その常軌を逸した機動と、単機で目標へと突貫する狂気じみた姿は、かつて人工知能(シャロン・アップル)の生体ハッキングによって支配された地球のマクロスシティに対し、単騎でタッチダウンを決めたという伝説のパイロット、イサム・ダイソンのYF-19を彷彿とさせた。

 

「美雲! 衝撃に備えろ!」

 

迎撃システムの僅かな隙間を縫い、アラドのVF-31Sはついに遺跡エムシー・ハラメの堅牢な外殻を突破。

 

防衛ラインの最奥、システムの中枢へと続く巨大なゲートの内部へと、弾丸のように突入していった。

 


 

遺跡エムシー・ハラメの最奥部。

 

古代の生体制御デバイスが立ち並ぶ巨大な空間の中央――かつてオリッシュが『宇宙再構築システム』の生体ユニットとして取り込まれた座標に到達すると、美雲はキャノピーを開け、VF-31Sジークフリードからしなやかに降り立った。

 

「アラド、ここからは私に任せてちょうだい」

 

システムの中枢に向かって歩みを進めた美雲は、その場所に直立し、圧倒的な生体共鳴波(フォールドウェーブ)を伴う歌声を放ち始めた。

 

その高密度の生体エネルギー波長に、遺跡の宇宙再構築システムが即座に反応する。

 

空間の位相が歪み、発光現象と共に、美雲の肉体はシステム内部の仮想空間へと強制転移させられた。

 

転移した先で美雲が直面したのは、世界を創り変えるような高尚な演算などではなかった。

 

そこは、システムのコアと深くリンクしているオリッシュの、圧倒的な質量を持った『雄としての欲望(リビドー)』が渦巻くデータ空間であった。

 

美雲の最大の敗因は、彼女の生体情報があまりにも無垢(クリア)すぎた点にある。

 

デザインされた彼女の肉体は十分に成熟した大人の雌のものであり、脳内には生殖行為に関する高度な知識もデータとしてプリインストールされていた。

 

だが、それに伴う物理的な実体験や、粘膜を通じた快楽の蓄積という「リアルな処理経験」が、決定的に欠落していたのだ。

 

そこへ、システムを通じてオリッシュとリンクしているカナメたちの、強烈な生体ログ(情動データ)が一気になだれ込んでくる。

 

ミラージュの監視カメラ越しに見守られながら、二人同時にオリッシュの逞しい質量を受け入れ、理性を溶かして貪り合うカナメとクレアの視覚情報。

 

そして、マキナとレイナがオリッシュから与えられた生体器官(バイオペニス)の異常な機能に翻弄され、幾度も絶頂を繰り返しては分泌液に塗れた爛れた夜を送り続けているという生々しい感覚データ。

 

この約二ヶ月半の間に蓄積された、常軌を逸した濃密な交尾と快楽の記録のすべてが、致死量の生体パルスとなって美雲の脳を直接蹂躙した。

 

「あ……っ、ああぁっ……!? なに、これ……こんな粘液の匂い、私は知らない……っ、知らないわっ......ああっ!」

 

実体験の伴わない美雲の脳髄は、防壁を容易く突破して濁流のように注ぎ込まれる極彩色の快楽データに耐えきれなかった。

 

細胞の隅々まで強制的に発情させられた彼女の思考回路は、あっけなく処理能力の限界を超え、完全な停止(ハングアップ)を起こす。

 

瞳の焦点を失い、艶やかな唇からだらしなく唾液を垂らして崩れ落ちる美雲。

 

その無防備な肢体を、オリッシュの剥き出しの欲望が具現化した何本もの生体触手が這い上がり、容赦なく拘束していく。

 

膨大な雄の快楽と欲動の渦の中で、星間を揺るがすほどの力を持っていた彼女の自我は、ただの一匹の雌として為す術もなく沈んでいった。

 


 

システム内部の仮想空間で、美雲の無防備な肢体に絡みついたのは、ただの拘束具ではなかった。

 

それは、先端がオリッシュの逞しい生殖器(チンポ)の形状と質量を正確に模倣した、無数の生体触手であった。

 

うねる肉の束が彼女のスーツを容易く溶解させると、豊満なFカップの頂にある未開発の突起に吸い付き、貪るように吸引を開始する。

 

「んっ……! ぁ、あ……ッ!?」

 

同時に、別の触手が彼女の未交尾の生殖器(秘部)と排泄器官(アナル)の粘膜に這い寄り、緻密な生体電気のパルスを伴って容赦なく舐め回した。

 

さらに、彼女にとって最大の兵器であり、外界への出力機関である「声帯」を封鎖すべく、太い触手が口腔の奥深くまで侵入し、その息を完全に塞いでしまう。

 

「んぐっ……! ぉ、おぉぉッ……!!」

 

物理的な実体への挿入(ペネトレーション)こそないものの、神経回路に直接叩き込まれる雄の欲望(リビドー)のデータと、絶え間ない粘膜への蹂躙。

 

実体験を持たない彼女の自我(エゴ)は、あっという間に快楽の濁流に呑み込まれて消失した。

 

強制的に幾度も、数え切れないほどの絶頂(オーガズム)へと引きずり込まれ、彼女の脳髄は白くショートする。

 

その凄まじい生体エネルギーの連続放出の中で、美雲のベースとなっていた「星の歌い手」としての中核機能が、システムによって完全に初期化(フォーマット)されていく。

 

それは、極めて歪で甘美な再構築(リビルド)だった。

 

肉体的な処女を保ったまま、彼女の細胞、神経系、そして欲求のすべてが、オリッシュの好む仕様へと書き換えられていく。

 

高次の音階を紡ぐための論理回路は、雄の質量を受け入れ、快楽を増幅させるための生体デバイスへと変異を遂げた。

 

やがて、拘束していた生体触手がスッと退くと、空間に放り出された美雲は、粘液に塗れた自身の肢体を抱くようにしてゆっくりと目を開いた。

 

その瞳に、かつての超然とした光はない。

 

宿っていたのは、極上の生殖行為に対する飢えと、深い発情のサインだった。

 

「……ああ。私の、声……もっと、聞いて……」

 

熱い吐息とともに、艶やかな唇からだらしなく甘い声が漏れる。

 

彼女は今や、銀河のネットワークに高尚な歌を響かせることなどどうでもよくなっていた。

 

自らの子宮が震え、オリッシュのチンポによって与えられる極限の快楽――その絶頂から生み出される淫らな『喘ぎ声』を、全宇宙に響き渡らせたいという強烈な生体的欲求。

 

それのみを存在意義とする、オリッシュ専用の新たな『性の歌い手』が、ここに誕生したのだった。

 


 

遺跡エムシー・ハラメの最奥部。宇宙再構築システムの中枢デバイスが低い駆動音を立てて空間の位相を歪ませると、仮想空間のデータ領域から解放された美雲の生体が、再びアラドの目の前に実体化(フォールドアウト)した。

 

「……美雲!」

 

システムを強制的に初期化し、カナメたちを洗脳から解き放つという一縷の望みをかけて叫んだアラドだったが、煙が晴れた後に現れた彼女の姿を見て、完全に絶句した。

 

彼女が纏っていたのは、転移前のパイロットスーツではない。

 

それはかつてのウィンダミア戦役において敵陣営に囚われ、「星の歌い手」という名の音響兵器として利用された際に着せられていた衣装に似ていた。

 

しかし、さらに露出が多い。

 

だが、アラドの目を最も惹きつけたのは、あの時とは決定的に異なる「生体的な変異」であった。

 

かつては彼女の全身を縛るように覆っていた制御用のタトゥーは、どこにもない。

 

代わりに彼女の滑らかな下腹部――子宮の座標を正確に示すその位置に、カナメやクレアの肌に浮かんでいたものと全く同じ、妖艶なピンク色に発光する淫紋がくっきりと刻み込まれていたのだ。

 

濃密なフェロモンを漂わせながら、美雲はかつての冷徹さを微塵も感じさせない、とろけるような笑みを浮かべてアラドを見つめた。

 

「アラド、残念だったわね。……やっぱり貴方じゃ、カナメは満足させられないわ」

 

その声は、かつての絶対的な真理を告げる高次元の女神のような響きではなく、圧倒的な雄の質量を知ってしまった雌特有の、甘く淫靡な振動を帯びていた。

 

彼女の淫蕩に濡れた瞳の輝きと、下腹部で生々しい鼓動を打つように明滅する淫紋。

 

それは、美雲の強靭な自我が、オリッシュという一個体の強烈な生殖エネルギーの前に完全に屈服し、彼専用の生体デバイスとして再構築(リビルド)されてしまったことを雄弁に物語っていた。

 

「……ああ。俺の、負けだ……カナメさん......」

 

自らの最後の賭けが、最悪の形で敗北したことを悟り、アラドはその場に膝から崩れ落ちた。

 

彼の胸中から、抗うためのすべての推進力が失われていく。

 

そこへ、背後の巨大なゲートを破る音が響いた。

 

姿勢制御を失って墜落した機体から脱出し、現地の保安部隊を再編して遺跡内部へと強行突入してきたミラージュ・ファリーナ・ジーナスである。

 

「動かないでください、アラド・メルダース! あなたを拘束します!」

 

息を切らし、ブラスターの銃口をまっすぐに突きつけるミラージュ。

 

だが、アラドはもはや逃げる素振りも見せず、振り返ることすらしなかった。

 

圧倒的な雄の遺伝子ネットワークの前に敗れ去った抜け殻は、重い沈黙のまま両腕を力なく差し出し、かつての部下が掛ける冷たい手錠(拘束具)を、ただ静かに受け入れるのだった。

 

(続く)

 

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