※この作品はR-18です。

マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー   作:夜叉五郎

201 / 218
2068年6月2日(土)
惑星レハーム アルテミシア・グランドホテル ロイヤルスィート「ルビー・プリズン」


2068年6月2日
ch.201「新婚の朝」


前夜、夫であるオリッシュの獰猛な剛根によって三度にわたり子宮の最奥まで蹂躙され、そのたびに濃厚な白濁を容赦なく叩き込まれたカナメ・バッカニア。

サキュバス・クィーンとして覚醒し、「ばっちり受精しちゃいました♡」と夫の胸の中で啼いた彼女の身体は、早くも明確な「予感」に満たされていた。

 

まだベッドのなかで泥のように眠っている最愛の夫を起こさないよう、カナメはそっとエンペラーサイズのシーツを抜け出した。

 

しなやかな全裸の肢体に朝の空気を受けながら、静かにクローゼットからシルクの白いガウンを取り出して身に纏ったカナメは、床に脱ぎ捨てられていた純白のウェディングドレスと、引き裂かれるように脱がされた金の紐のTバック下着を優しく手に取る。

夫の狂おしいほどの支配欲の痕跡を愛おしそうに見つめ、片付けつつ、ガウンの裾からすらりとした細い生脚をのぞかせながら、彼女は隣室の広々としたパウダールームに向かった。

 

ドレスをリネンボックスへと収め、パウダールームの洗面台の脇に目をやる。

そこには、サキュバス化した彼女の生体管理用として、オーオク社のメディカル部門によって予め備え付けられていた、プラスチックの包装に包まれた未開封の『妊娠検査薬』があった。

 

カナメはそれをそっと手に取り、パウダールームに併設されているガラス張りの清潔なトイレへと足を向ける。

 

包装を破り、初めて目にする細長いプラスチックのスティックと、同封された説明書を広げ、カナメはそこに書かれた文字をじっと見つめた。

 

「一番濃い、朝一番の小水じゃないと、正確に出ないのね……」

 

ぽつりと呟いたその声には、未知の領域に対する小さどよめきが含まれていた。

 

かつて戦術音楽ユニット『ワルキューレ』のリーダーとして、銀河の命運を賭けた戦場を何度もくぐり抜けてきた彼女だったが、説明書に書かれた「採尿部に5秒間、直接尿をかける」という生々しい記述を前にして、どうしようもないほどの羞恥と戸惑いに襲われていた。

 

「私も、ついにこれを使う時が来たのね……」

 

売れないソロアイドル時代、あるいは命を燃やして歌っていた頃の自分からは、想像もつかない未来。

誰のモノでもなかった自分が、今やキモデブと蔑まれていたはずのオリッシュという一人の雄に身体も心も完全に調教され、その種をお腹のなかに宿して、今まさに母親になろうとしている。

 

昨夜たっぷりと注ぎ込まれた“夫”の『生命の歓喜』の成果を、今度は自分の小水を使って、自らの手で証明しようとしている――。

そんなあまりにも生々しい“妻”としての有様に、誇らしいような、それでいて荒々しく犯された記憶が蘇って猛烈に恥ずかしいような、幸せでむず痒い感覚が下腹部からせり上がり、カナメの頬を林檎のように真っ赤に染め上げていった。

 

ごくり、と唾を飲み込み、白いガウンの裾を捲り上げて便座に腰を下ろす。

昨夜の激しい交尾によって未だにわずかに赤みを帯び、夫の精液の甘い匂いをかすかに残したパイパンの秘唇が、朝のひんやりとした空気に晒された。

キャップを外す指先が、期待と羞恥でかすかに震える。

 

サキュバス化によって生理の苦しみから解放された特権的な肉体。

それが今、主の「孕め」というコマンドによって、世界で最も淫らで完璧な受精デバイスとして駆動しているのだ。

 

チョロチョロと、朝一番の、水分を一切含んでいない最も濃厚な黄金色の小水が、カナメの秘処から静かに注がれる。

その温かい熱線を、恥じらいに身を震わせながら、自らの手でしっかりと採尿部へと命中させた。

 

じわじわと尿を吸い上げていくフィルターを見つめながら、カナメの胸の奥は、愛欲と母性の混ざり合った甘やかな歓喜で満たされていく。

 

(まだ……早すぎるのは分かっているわ。着床するまでは、ここには何も映らないって。でも……っ)

 

案の定、平らなプラスチックの窓には、まだ判定のラインは浮かび上がらない。

だが、カナメはがっかりするどころか、うっとりとした微笑みを浮かべながら、愛おしそうに自分の下腹部――ほんのりとピンク色に明滅している淫紋のあたりを、ガウンの上から優しく愛撫した。

 

「ふふ、待っててね、あなた……。毎日朝イチで、あなたの種が私のお腹に根付く瞬間を、ここで確かめてあげるんだから……♡」

 

大人の歌姫としての気品を残しながらも、中身は完全に夫の子供を欲してやまない新妻の顔になったカナメは、丁寧にスティックを洗ってパウダールームの引き出しの奥へと仕舞い込んだ。

ガウンの襟元を少し整え、溢れんばかりの甘い期待を胸に抱きながら、まずはベッドのなかで無防備に寝息を立てている、愛しい愛しい主を起こすために、カナメは弾むような足取りで寝室へと戻るのだった。

 


 

朝の柔らかな光が差し込む最高級のダイニング。

これまでの慰安任務(セックス)の場において、カナメは主であるオリッシュを喜ばせるため、恋人同士、同棲シチュエーション、客と店員、あるいは上司と部下、女医と患者といった、ありとあらゆる極上のコスプレプレイを散々こなしてきた。

食事の際も、主を最高にもてなすために「清楚なビクトリアンメイドスタイル」の衣装を完璧に纏い、恭しくサーブする立場を自ら好んで演じていたのだ。

 

それらの隷属の日々も、カナメにとっては主の愛欲を一身に受け止める、どこまでも甘やかで愛しい至福の時間であった。

しかし、新婚初夜を越えた今日からは、その幸福のベクトルがさらに深く、決定的に変化していた。

 

テーブルの上に美しく並べられたホテルの豪華な朝食ルームサービスを前に、二人は向かい合って席に就いている。

贅沢にカトラリーを響かせながら、穏やかな朝の時間を楽しむ――それはコスプレの「ごっこ遊び」ではない、戸籍も魂も完全に結ばれた、本物の「新婚夫婦」として迎える初めての食卓だった。

 

「ふふ、お口に合いますか、あなた?……あ、卵焼き、私のナカみたいにトロトロで美味しいですよ♡」

 

ラフな部屋着の襟元から覗く、昨夜オリッシュの歯型がくっきりと残った鎖骨を恥じらいながらも隠そうとせず、カナメはうっとりとはにかんで夫に微笑みかける。

その姿を正面から見つめるオリッシュの胸には、言葉にできないほどの激しい感動が去来していた。

 

かつてはキモデブと蔑まれ、誰からも顧みられなかった自分が、あの銀河一の歌姫を正妻として迎え、こうして日常の光景として向かい合って朝食を食べている。

ビクトリアンメイドの衣装でかしこまるのではない、完全に自分だけのものになった新妻が、ラフな私服姿で甘い秋波を送ってくるという厳然たる現実に、オリッシュの目頭は熱くなり、オムレツを口に運ぶ手すら震えるほどの全能感と幸福感に包れていた。

 

と、そんな至福の余韻のなかで、オリッシュはふとカトラリーを置き、少しソワソワした様子で首を傾げた。

 

「ねえ、カナメ。そういえば……昨日の俺たちのあの派手なライブ結婚式って、世間じゃどう報じられてるんだろう? 俺、ちょっと気になっちゃってさ……」

 

「ふふ、やっぱり気になる?」

 

カナメは悪戯っぽく微笑むと、手元の情報端末を軽く操作した。

 

「じゃあ、ちょっと見てみましょうか。はい、これ」

 

彼女の指先から、ダイニングの空間へと立体的なニュースサイトのホログラム映像がパッと広がった。

 

その瞬間、オリッシュの目は点になった。

視界を埋め尽くしたホログラムのウインドウは、全銀河の主要メディアから発信された、二人の結婚式の話題一色で文字通り真っ赤に染まっていたからだ。

 

『銀河の歌姫カナメ・バッカニア、電撃入籍! お相手はオーオク社の新星オリッシュ社長!』

『惑星レハームが揺れた! ワルキューレが歌い上げた世紀の挙式ライブ、同時接続数ギネス記録を更新!』

『新統合政府要人も祝福! 謎に包まれた若き大富豪オリッシュ、その驚異的なカリスマ性と美貌の全貌』

 

これでもかと躍るセンセーショナルな見出し。

挙式時の超イケメン細マッチョ化したオリッシュと、神々しいウェディングドレス姿のカナメが抱き合う高解像度ホログラフィック写真が、無数のネットワークを飛び交っている。

各星系のSNSトレンドも、彼らの名前と「ハメキューレ」の憶測、そして二人の愛の軌跡に関するファンの悲鳴と祝福のコメントで完全にサーバーダウン寸前だった。

 

あまりの情報の濁流、そして銀河全域を巻き込んだ騒ぎのスケールの大きさに、最初はソワソワしていたオリッシュも、すぐに目がチカチカしてきてしまった。

 

「うわあ……情報量が多すぎて、なんだかもう、どうでもよくなってきたな……。俺、カナメが隣にいてくれれば、外がどうなっててもいいや」

 

「ふふ、それでいいのよ、あなた。世界が何と言おうと、あなたは私の旦那様なんだから」

 

カナメが愛おしそうにホログラムを消去し、再び二人だけの甘い空間に戻った、まさにその時。

そんな奇跡のような新婚の食卓に、静かな足音が近づく。

現れたのは、仕立ての良い燕尾服に身を包んだ執事スタイルのミラージュ・ファリーナ・ジーナス、そしてマクロス・オーオクの艦長であるアーシェリー・ラサールであった。

 


 

「社長、カナメさん。素晴らしい朝をお迎えのところ恐れ入ります」

 

ミラージュが洗練された所作で一礼し、ハネムーンの話題を切り出した。

 

「今日から一週間、ハネムーンの期間を頂戴しておりますが……その具体的な行き先として、カナメさんの出身地である『惑星ディバイド』はどうでしょうか」

 

「えっ……ディバイド?」

 

不意に故郷の名を挙げられ、カナメは小さく息を呑んで顔を曇らせた。

一方のオリッシュは、感動に浸っていた目を輝かせて身を乗り出す。

 

「それ、いいな! カナメの故郷でしょ。どんな綺麗な星なのか、俺、一度見てみたかったんだよ!」

 

無邪気に喜ぶ夫の言葉に、カナメはさらに胸を痛め、伏し目がちに首を振った。

 

「……いえ、あなた。あの星は、あまりオススメしないわ」

 

「え? どうして?」

 

「ディバイドはね、もう長年にわたって、泥沼の内乱(戦争)が続いている過酷な惑星なの……。銀河の辺境に位置しているから、新統合政府の統治も治安維持の目も、完全には行き届いていない荒廃した地域。とても、新婚旅行で行くような場所じゃないわ」

 

カナメの脳裏に、かつて売れないソロアイドルとして、硝煙に塗れた故郷を絶望と共に飛び出した悲痛な過去が蘇る。

せっかく手に入れた夫との神聖な新婚の時間に、あの凄惨な戦火の記憶を持ち込みたくはなかった。

しかし、その紛争こそが、ミラージュを通じて彼らをディバイドへと誘った、黒幕である『レディM』の真の目的だったので原。

 

不安を募らせるカナメの横から、艦長のアーシェリーが艶然たる笑みを浮かべて太鼓判を押した。

 

「ご安心くださいな、カナメさん。我がオーオク社が誇る最新鋭超大型戦艦『マクロス・オーオク』の防衛能力をもってすれば、どのような無法地帯であっても完全な安全が保証されますわ。現地の暴徒など、指一本触れさせはいたしません」

 

上品で知的な年上の女艦長からそう自信満々に告げられ、オリッシュはすっかり安心しきった表情で笑った。

 

「アーシェリー艦長がそこまで言うなら大丈夫なんだろ。カナメ、カナメもディバイドにだいぶ帰ってないんでしょ? 俺が夫として守るからさ、いい機会じゃないか。行き先はディバイドにしよう!」

 

主の鶴の一声により、ハネムーンの目的地はあっさりとディバイドに決定してしまった。

ちょうど二人が朝食を終えた最高のタイミングで、ダイニングの重厚な扉が開き、美雲・ギンヌメール、マキナ・中島、レイナ・プラウラー、そしてクレア・パドルの四人が姿を現す。

 

「おはよう、マスター。さあ、今朝もカナメのために、みっちりと肉体を追い込む時間よ」

美雲が美しい肢体をしなやかに揺らしながら、オリッシュを誘うように艶然と微笑む。

 

「おっはよ〜、オリオリの引き締まった胸筋、今日もすっごくセクシーでマキマキ堪んないぞぉ!」

マキナがトレードマークの豊満な双丘をこれ見よがしに揺らしながらオリッシュの腕に飛びついた。

 

「社長、肌の血色……すごくいい。ジムの後は、私が特製の泡で……隅々まで、綺麗に洗ってあげる」

レイナがいつもより少し熱を帯びた、吸い込まれそうな瞳でオリッシュの下腹部をじっと見つめ、小さく舌を覗かせる。

 

「うふふ、ご主人様、今日も素晴らしい雄のフェロモンですわ。私たちが付きっきりで、そのお身体を限界までサポートして差し上げますわね」

クレアが嗜虐的な光を瞳の奥に宿しながら、肉感的なボディをすり寄せてオリッシュの耳元に甘い吐息を吹きかけた。

 

四人がオリッシュをトレーニングに誘う。

かつてカナメが慰安任務を開始した3月8日の時点では120kg近くあったオリッシュの醜悪な巨体。

そこからカナメの献身によって2ヶ月半に及ぶ過酷な筋トレで約30kgも絞り込むことに成功したオリッシュ。

さらに昨日の結婚式までのラスト一週間、ワルキューレの面々やマクロス・オーオクのスタッフ百十七名を狂ったように抱きまくった結果、リンクしている遺跡エムシー・ハラメの力が濁流のように注ぎ込まれ、現在のオリッシュは182cm75kgの引き締まった筋肉質の超イケメン細マッチョへと完全にメタモルフォーゼを遂げていた。

 

外見年齢も劇的に若返り、実際の34歳から10歳は若く見え、今や168cmの痩身巨乳な歌姫であるカナメの隣に立つのに非の打ち所がない、完璧な理想の男へと進化している。

今や一日でも身体を動かさないと、雄としての血が燻るようでもどかしくなってしまうほど、毎朝のトレーニングは完全にオリッシュの身体が欲するルーティンと化していた。

 

ロイヤルスイート内に完備された最高級のプライベートジムで限界まで汗を流し、その後に超豪華で広大なバスルームへと移動して、美女たちに寄ってたかって泡まみれにされる極上のソーププレイ――。

それも含めて、彼の毎朝の完璧な日課であった。

 

「ふふ、あなた。私は昨日ここに注いでもらった子種、このまま体に馴染ませておきたいので……今朝の運動のサポートとその後の洗体は、この四人に任せてあります。たっぷりと汗を流して、さらに逞しい身体になってきてくださいね♡」

ラフな部屋着の下っ腹を優しく抑えながら、カナメが良妻そのものの微笑みで送り出す。

 

「ああ、そうだね! カナメのためにも、今日のトレーニングもバッチリ追い込んでくるよ!」

 

至れり尽くせりの美女たちのサーブと、愛する妻からの健全な激励を受け、オリッシュは鼻の下を伸ばしながら、四人に傅かれるようにして嬉々としてダイニングを後にした。

 

バタン、と扉が閉まり、室内が静まり返ったその瞬間。

先ほどまで恭順な部下だったミラージュと、見送る側だったアーシェリーの纏う空気が、劇的に一変する。

カナメを挟み込むように距離を詰める二人。

 

「カナメさん。今回のハネムーンの真の目的は、純粋な観光旅行などではないわ」

アーシェリーがカナメのガウンを纏った肩に細い指先を這わせ、冷徹な軍人の声で耳元に囁いた。

 

「目的は、ディバイド星系の全戦場の制圧。マクロス・オーオクの『サキュバス砲』の一斉掃射による、泥沼の内乱の力技での終結よ」

 

オリッシュのいない場所で、レディMから託された真の作戦行動が明らかにされる。

 

波乱に満ちたハネムーンが今、始まろうとしていた。

 

(続く)

 

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