※この作品はR-18です。

マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー   作:夜叉五郎

203 / 218
2068年6月2日(土)
惑星レハーム アルテミシア・グランドホテル メインダイニング「アルテミス・クラウン」



ch.203「思い出の赤、支配者のオーラ」

カナメが纏っていたのは、燃えるような緋色のドレス――。

それは、3月8日に大人の歌姫であった彼女が初めてオリッシュのもとへ赴き、すべての隷属と愛の物語が始まったあの最初の慰安任務の夜、身に纏っていた思い出の「高級娼婦風」ドレスだった。

 

元々はオリッシュの好みを徹底的に分析し、彼の性癖を射抜くために用意された戦略的衣装。

当然、オリッシュの雄の本能が狂おしいほどに興奮しないはずがなかった。

 

このドレスは最初の夜だけでなく、4月1日のオリッシュの誕生日にも最高の奉仕とともに着用され、彼へのバースデープレゼントとして、初めてのABVソフト録画を行った際にも身に纏っていた特別な一着。

その時以来、実に2ヶ月ぶりに目にするその艶姿に、オリッシュの股間は瞬時に猛烈な熱を帯びていく。

 

当時のキモデブだった自分を優しく、淫らに包み込んでくれたあの扇情的な赤。

しかし、目の前に立つ現在のカナメの着こなしは、あの頃の記憶を遥かに習駕するほどに、果てしないエロティシズムを放っていた。

 

何よりオリッシュを猛烈に魅了したのは、彼女の身体から溢れ出している、尋常ではないほどに濃密なフェロモンと極上の色気だった。

 

実はカナメの下腹部に刻まれた淫紋は、先ほどまでバスルームで四人がオリッシュに貪られ、蹂躙されていた凄まじい快感をリアルタイムで受信していたのだ。

減衰して約半分ほどのレベル感とはいえ、美雲の喉、マキナの乳房、レイナの後ろ穴、そしてクレアの最奥へと突き立てられた王者のペニスの衝撃と快楽の残滓が、いまもカナメの子宮をじんわりと熱く疼かせ続けている。

 

しかし、サキュバス・クィーンとしての絶対的な器と余裕を持つカナメは、その身を駆け巡る快感の電流に一切動じる様子を見せない。

涼しげな表情のまま、ただその溢れ出る愛液と情欲を内側に完璧に飼い慣らし、正妻としての気高いオーラへと昇華させていた。

内に秘めた極上の熱が、彼女の肌を艶やかに上気させ、発せられる吐息を狂おしいほど淫らに変えてオリッシュの五感をダイレクトに狂わせる。

 

サキュバス化し、オリッシュの濃密な愛液を幾度も子宮の奥深くまで注ぎ込まれ続けた結果、彼女の肉体はお互いの愛の深まりに比例して、あの頃よりもバストサイズが1.5カップも劇的に増量している。

 

細く引き締まったウエストのラインとは裏腹に、ドレスの胸回りは張り裂けんばかりの暴力的なボリュームで膨み、深く開いた胸元からは、昨夜刻まれた夫の情熱的なキスマークを隠すことなく、こぼれ落ちそうなほど豊かな双丘の渓谷がこれ見よがしに主張していた。

 

高級娼婦風の退廃的な色香と、四人の快感をその身に宿したサキュバス・クィーンの魔性、そして完全に夫の種に染まりきった本物の“妻”の母性がブレンドされたその姿は、あまりにも神々しく、そして淫らだった。

 

そんな目のやり場に困るほどの艶姿でロイヤルスイートを出るカナメの周囲を、インカムを装着した黒いタイトスーツ姿の護衛エージェントたちがガッチリと取り囲む。

ミラージュの指揮のもと、鋭い眼光で周囲を警戒するプロの集団に厳重に守ながら移動するのだから、ホテルの廊下やエレベーターホールで余計に目立ってしまうのはご愛嬌だった。

 

「な, なんだあの物々しい警護は……」

「おい、見ろよ……あの中心にいる美女、ワルキューレのカナメじゃないか!?」

 

エージェントたちが周囲を威圧しながら進むため、すれ違う新統合政府の高級官僚やセレブの男たち、そしてホテルの男性スタッフたちの視線が、一斉に彼らへと集中する。

 

何よりその視線の多くは、純粋な好奇などでは決してなかった。

 

ここにいる男たちのほとんどが、有り余るコネと財を使って、昨日6月1日にリリースされたばかりの、あのプロトカルチャー由来のオーバーテクノロジーを基にした五感追体験型システム『ABV』、そして最新鋭電動オナホール『KBモデル』を自室のベッドで貪るように使い倒した重度のユーザーたちだったのだ。

 

ゴーグルから放出される70〜80%の再現度の甘い体臭を嗅ぎ、全身に展開する極薄フォールドバリアが再現するカナメの肌の温もりにため息をつき、黒地に黄色の警告ラインが走るあの「カナメホール」の締め付けに悶絶しながら、彼らはカナメの肉体をナカまで犯し尽くした気になっていた。

 

特に、昨日の結婚式終了後に一斉配信されたばかりのKBモデルの限定パッチ『新婚人妻モード(子作り感強化版)』の生々しい快感は、男たちの脳髄を完全に狂わせていた。

カナメのぽってりとした子宮口がムチュムチュと亀頭に吸い付き、精液をねだるように収縮するあの狂おしい「受精ウェルカム動作」を、昨夜一晩中生々しく味わわされたばかりなのだ。

 

(おい、昨日俺のペニスを子宮口で咥え込んで、俺の種を欲しそうに啼いてたあのカナメが目の前にいるぞ……っ)

(信じられない!あの人妻モードの淫らな締まりは俺のものだろ……! なんであんな男の隣で澄ました顔をしてるんだ!)

 

ABVシステムとオナホールの向こう側で、カナメを完全に「自分だけの従順な妊婦オナホ」として調教したと傲慢に勘違いしている男たち。

 

衣服の隙間から覗く、豊かな双丘とそこに生々しく浮かび上がる夫からの情熱的なキスマークを見つめる彼らの瞳には、裏切られたような強烈な嫉妬と、今すぐその赤いドレスを剥ぎ取って、あのほっそりとした腰の内側に息づく子宮に本物の自分の精子を注ぎ込みたいという、下劣でねばっこい執着の情欲がドロドロと渦巻いている。

 

網膜を焼き切るほどの不躾な視線のレーザーが、ヌメヌメとカナメの肌を、秘処を、抉るように舐め回していく。

 

「ふふ……っ」

 

しかし、カナメはそんな男たちの低俗で醜悪な視線を全身に浴びることを、むしろ最高のスパイスとして愉しむように妖艶に微笑んだ。

 

彼女は、自分のナカを貪る妄想で股間を限界まで膨らませている男たちに見せつけるようにして、オリッシュの逞しい二の腕に、自らの豊かな乳房をぐにゃりと押し当てて深く腕を絡める。

さらに恋人繋ぎにした指先にきゅっと力を込め、私が愛し、私を支配している唯一の雄(主人)はこの人だけなのだと、エージェントたちの警戒の目の前で、誇らしげに全身で“夫婦アピール”をしてみせた。

 

(あなたたちがどれだけ器具の向こうで私をオナホにしようと、私のこの本物の身体も、溢れ出る本物の愛液も、オマンコのリアルな締め付けも……ぜんぶ、この旦那様だけのものよ♡)

 

ミラージュの指揮のもと、エージェントたちが鉄壁の壁となって俗世の視線を遮断しながら進み、二人は最上階の最高級レストランのフロアへと足を踏み入れた。

 

と、格式高いエントランスを目の前にした静謐な通路の途中で、オリッシュが少し決まり悪そうに足を止めた。

 

「あ、ごめんカナメ。急にちょっと、トイレに行きたくなっちゃってさ。先にここで待っててくれるかい?」

 

「ふふ、ええ、いってらっしゃい、あなた。ゆっくりで大丈夫よ」

 

カナメが優しく微笑むと、ミラージュは即座にインカムで周囲の護衛に指示を飛ばした。

 

「警備班、A班は社長の護衛に回れ。残るB班は私と共にカナメ様の周囲を固める。急げ」

 

カチッ、カチッと足音を響かせて、オリッシュが護衛を伴って通路の奥にあるレストルームへと向かう。

残されたカナメの周囲のガードは、一時的に普段の半分以下の薄さとなった。

 

この、絶対的な主人であるオリッシュという『巨大な盾』が一時的にその場から消え、護衛の数が少なくなった絶好のタイミングを、物陰からじっと隙をうかがっていたハイエナどもが見逃すはずがなかった。

 

先ほどまで手出しできずに遠巻きに視線を送るだけだった、地元の富豪や財界の権力者どもが、ここぞとばかりに物陰からぞろぞろと本性を現して這い出て、オリッシュを待つカナメの元へと一斉に殺到したのだ。

 

「いやぁカナメさん! 昨日の結婚式、本当に本当に素晴らしかった! 感動しましたよ!」

「そうとも! 独身最後のライブも実に最高だった! いやはや、あんな若い成金男の妻になってしまうとは、銀河の損失ですな!」

 

にやにやと下卑た笑みを浮かべ、脂ぎった顔を歪めた男どもは、表向きは最大級の「祝福」の言葉を並べ立てながら、合法的にカナメとの距離を詰めようとすり寄ってくる。

だが、その目は全く祝う気などなく、完全にドロドロとした下劣な欲望で濁りきっていた。

 

昨夜、自室のベッドでKBモデルのパッチ『新婚人妻モード』を使い倒し、カナメのぽってりとした子宮口がムチュムチュと吸い付くあの淫らな快感に脳髄を焼かれた彼らは、「昨夜散々玩具にしてやった女」が目の前にいるという歪んだ特権意識から、祝福を装ってお近づきになろうとする厭らしさを隠そうともしていなかった。

 

「これ以上、カナメ様に近づくことは許しません。下がりなさい」

 

ミラージュが鋭い眼光で前に立ち、残った数名のエージェントと共に毅然と男どもをガードする。

しかし相手はレハームの権力を握る富豪や統合政府の高級官僚たち。

彼らは数と権力、大して「ただの熱狂的なファンとしての挨拶だ」という建前を盾にして、傲慢に身を乗り出して殺到してきた。

 

「どけ、小娘! ファンとしてお祝いの言葉を述べているだけだ、この私に命令する気か!」

「私はレハーム随一の富豪だぞ! 統合政府のお偉方にも私の顔は効くんだ、お前たちの立場などいつでも吹き飛ばせるんだぞ!」

「ハハッ、カナメさん、今夜のディナー、あんな若いだけの男なんかより、私たちがもっと良い店を――」

 

祝福を騙りながら、衣服の隙間から1.5カップも増量した豊かな乳房を覗かせ、夫のキスマークを咲かせているカナメの肉体を、男どもは今すぐここでひん剥かんばかりの剥き出しの視姦で舐め回す。

そんな醜く卑劣な権力者たちに対し、ミラージュは冷たく視線を正面に据えたまま、一寸の慈悲もない声で言い放った。

 

「苦情は広報まで!」

 

防衛線を突破せんばかりに、祝福の仮面を被った男どもがさらに一歩、身を乗り出した、まさにその瞬間だった。

 

通路の奥から、圧倒的な、文字通り空気を一瞬で凍りつかせるほどの強烈な「覇気」が、濁流のように押し寄せてきた。

 

「ひっ……!?」

 

男どもの誰かが、驚愕のあまり喉を詰まらせたような悲鳴を上げた。

 

用を済ませて通路の奥から戻ってきたのは、オリッシュだった。

 

仕立ての良いジャケットに身を包み、鍛え上げられた強靭な肉体を堂々と揺らしながら近づいてくるその佇まいは、一言も発していないにもかかわらず、周囲の空間を完全に圧殺していた。

 

若返り、遺跡「エムシー・ハラメ」の超常的な力をその身に宿したオリッシュの放つ『真なる王者のオーラ』。

その凄まじい威圧感に触れた瞬間、権力者どもの脳裏には、昨日全銀河に配信されたあのド派手なライブ結婚式の、あの衝撃的な誓いのキスの記憶がありありと蘇り、全身に走る戦慄とともに鮮烈にフラッシュバックした。

 

昨日の式、ヴェールアップされたカナメを強靭な腕でキツく抱きしめ、深く、深く、魂を啜り上げるような接吻で完全にその身も心も従属させていた、堂々としたオリッシュの姿。

キスの瞬間に噴出したサキュバスフィールドの圧倒的な力によって、抗う術なく魂をハッキングされ、オリッシュを「絶対者」として仰ぐ隷属状態へと叩き落されたあの恐怖の感覚――。

 

目の前にいる男は、自分たちが逆らうことなど絶対に許されない、世界を掌中に収めた「本物の皇帝」なのだ。

 

オリッシュは男どもを一瞥すらしない。ただ、冷徹なまでに超然とした王の歩みで、カナメのもとへと近づいていく。

 

その一歩が進むたびに、男どものお調子者の顔はみるみる恐怖で土気色へと変わり、あまりの格の違いに心臓を締め付けられ、ただただ気圧されて縮み上がるしかなかった。

昨日、深層意識の奥深くまで完璧に刻み込まれたオリッシュへの絶対的な服従心が、オスの覇気を前にして一瞬で呼び覚まされたのだ。

 

偉そうに威張っていた権力者としてのプライドや、いやらしい祝福の建前など一瞬で消し飛び、彼らの股間のナニは恐怖のあまり完全に干からびて縮み上がっていた。

 

オリッシュがカナメの隣にピタリと立つ。彼は一言も発していない。

男どもに文句を言うことすら、王としてはそぐわない無駄な行為だからだ。

 

だが、オリッシュが発した一言もない沈黙の威圧そのものが、昨日の誓いのキスですでに彼らが逆らえない状態になっている事実をまざまざと突きつけ、「カナメが誰の女か」をこれ以上ないほど残酷に、完璧にわからせていた。

 

「おかえりなさい、あなた♡」

 

カナメの顔に、パッと華やかな、至上の歓喜に満ちた新妻の笑みが咲いた。

 

彼女は男どもに「ざまあみなさい」と言わんばかりの冷笑を一瞬だけくれてやると、すぐに蕩けた瞳でオリッシュを見つめ、その逞しい二の腕へと誇らしげにしなやかに寄り添った。

 

自分を安っぽい妄想と厭らしい祝福で汚そうとしていた醜い男たちが、夫のただ佇む姿一つで一瞬にして文字通り平伏し、縮み上がっていく。

昨日の式で、鉄鎖のような抱擁に拘束されながら身も心もすべてを明け渡したあの至高の幸福感が、カナメの脳裏に最高の快感としてリフレインする。

 

(そうよ……私はこの人のもの。銀河で唯一無二の、この絶対的な雄(マスター)だけの皇后(妻)なんだから……っ♡)

 

カナメのオマンコの最奥、今朝仕込まれたばかりのオリッシュの白濁が、その圧倒的な独占欲の充足感とゾクゾクするほどの快感に反応し、きゅぅぅと愛おしく、熱く収縮していた。

 

気後れした男どもがクモの子を散らすように逃げ出していくなか、オリッシュは優しくカナメの手を取り、今度こそ最高級レストランのエントランスへと堂々と足を踏み入れ。

 

「さあ、カナメ。最高のランチにしよう」

 

「ええ、あなた♡」

 

レストランに移動したオリッシュは、ガラス張りの天井から降り注ぐレハームの陽光と、磨き抜かれた大理石の床に興味津々で目を輝かせる。

 

「わあ……すごいな。ロイヤルスィートの外って、こんな風になってたんだね」

 

彼がこのアルテミシア・グランドホテルに足を踏み入れて以来、過ごしてきたのは防衛と隔離が徹底された最上階のロイヤルスィート「ルビー・プリズン」の内部のみ。

客室以外の一般施設を利用するのは、昨日の挙式を除いて、これが初めての経験だった。

 

「ふふ、驚いた? あなた。ここはね、新統合政府の要人や、銀河系のトップセレブしか予約が取れない、特別な場所なのよ」

 

大人の気品と極上の色香を振り撒くカナメが、新婚の夫の腕にそっと自分の腕を絡め、優しくエスコートするようにテーブルへとリードする。

 

119kgの巨体から己を磨き上げ、遺跡の力を引き出して完璧なメタモルフォーゼを遂げたオリッシュ。

その逞しい二の腕に豊満さを増した自慢の乳房を優しく押し当てながら、カナメは昨夜仕込まれた子種に塗れたままのマンコがキュンと愛おしく蠕動するのを感じていた。

 

向かい合って席に着くと、最高級のヴィンテージワインと、シェフ特製の眩いばかりの極上コースが運ばれてくる。

 

「すごい……美味いよ、カナメ! こんな風に、普通の夫婦みたいに外でデートできるなんて、夢みたいだ」

 

無邪気にフォークを動かすオリッシュの言葉に、カナメは胸がいっぱいになりながら微笑んだ。

 

「ええ、私たち、もう本物の夫婦なんですもの。これからは『ごっこ』じゃない、こういう当たり前の幸せを、たくさんあなたと重ねていきたいわ」

 

二人の極上のランチデートの空間は、一見すると平和そのものだったが、その裏ではオーオク社の防衛網が完全に駆動していた。

 

レストランの入り口、死角となる柱の陰には、黒いタイトなスーツに着替えたミラージュをはじめとする精鋭護衛エージェントたちが、インカムで冷徹に情報を共有し合い、新婚夫婦の貴重な時間を一人たりとも邪魔させないよう、完璧なステルスガードを展開しているのだ。

 

時折、ミラージュと目が合うたびに、カナメは小さく目礼を返す。

胸の奥には、このランチの後に待っている、故郷ディバイドの命運を賭けた「五連射(フルチャージ)作戦」への淫らな覚悟が静かに燃えていた。

 

贅沢なデザートまでをすべて平らげ、至極のランチデートを終えた二人は、レストランを後にし、グランドホテルの巨大なロビーへと降り立つ。

そこにはホテルの支配人を筆頭に、全コンシェルジュやスタッフがずらりと一列に整列していた。

 

「ああ、ありがとう。最高のホテルだね、ここは。それじゃあ、行ってくる」

 

「ええ、少しの間、留守にするわね。……また戻ってきたら、よろしく頼むわ」

 

ロイヤルスィートとその下層の四部屋を、向こう五十年間オーオク社で完全貸切にしているカナメにとっては、ここはハネムーンが終われば再び帰ってくる「我が家」に他ならない。

 

支配人たちに新妻としての余裕に満ちた笑みを返しつつ、カナメは思い出の赤いドレスの胸元を誇らしげに揺らしながら、オリッシュの大きな手に自らの細い指を絡ませ、しっかりと恋人繋ぎで握り締めた。

 

あの3月8日には拒絶と絶望の象徴でしかなかったこの男の手が、今では自分を最も激しく愛し、世界で一番幸せにしてくれる愛おしい主の手なのだ。

絶対的な愛の証明を周囲の視線に見せつけるように、彼女は凛とした美しい姿勢のまま、一歩一歩を堂々と踏みしめて車寄せへと進んでいく。

 

ロビーの吹き抜けに大理石の床。

光り輝くシャンデリアの下を、カナメは燃えるような緋色のドレスの裾をエレガントに翻しながら歩く。

圧倒的な美貌と、世界を支配する男の『正妻』としての絶対的な風格を漂わせる彼女の姿に、見送るスタッフたちはもちろん、行き交う宿泊客たちさえもが言葉を失って足を止め、神々しいまでの艶姿に見惚れて溜息を漏らす。

 

ホテルの車寄せには、マクロス・オーオクへと直行する、強固な装甲が施された専用の高級リムジンが滑り込んできていた。

 

ミラージュがそっとドアを開け、二人を車内へと促す。

 

見送るスタッフたちの拍手のなか、リムジンは静かに滑り出し、大気圏外で待つ超大型戦艦マクロス・オーオク――二人の愛欲を兵器の弾丸へと変える、あの広大なゴッデスサイズ・ベッドの待つ深奥へと向かって、力強く加速していくのだった。

 

(続く)

 

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