マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー 作:夜叉五郎
ch.210「新生の産声、気高き五色の調和」
「――はい、こちら惑星ディバイドの中央首都イブコーアの特設式典会場です! 地平線を埋め尽くすほどの民衆が集まっており、会場の熱気はまさに最高潮に達しています!」
ケイオス傘下の御用メディアに所属する女性レポーターが、飛び交う報道ドローンを背に、マイクを握りしめて興奮気味にカメラへと語りかけていた。
画面の隅にはギャラクシーネットワークのロゴが躍り、この生中継が全銀河へリアルタイムで配信されていることを示している。
「ご覧ください! 私の後方、ひな壇の特等席には、長年にわたって血で血を洗う泥沼の紛争を続けてきたザーディッシュ、ブルトコッホ、ケネスリード、マジェス、ツァルスクレブトの五大国の元首脳陣、そして彼らを支えていた関係閣僚たちの全員が一堂に集まり、お利口に一列に整列しています! かつては決して相容れなかったはずの彼らが、こぞってオリッシュ社長に対して深く首を下げ、敬意を表しているのです」
カメラがひな壇へとパーンすると、そこには三日前にサキュバス砲による超高濃度サキュバス波ですべての闘争本能をデトックスされ、「終わらない賢者タイム」へと叩き落された男たちが整列していた。
かつての醜い強欲さや顕示欲を完全に去勢され、野生の牙を抜かれた彼らの瞳は、最上席に鎮座する絶対的な主・オリッシュへと、狂おしいほどの崇拝と敬畏の眼差しを捧げている。
レポーターは感極まったような声で報道を続けた。
「そして現在ステージ中央では、昨日のディバイド新政府樹立を記念した歴史的な儀式が執り行われています! そこに用意されているのは、五大国家の元首たちのサインが厳かに刻まれた、新政府樹立の調印書の石碑です。今、その石碑の前に、絶対的な見届け人としてオリッシュ社長が進み出ました! 元首たちが息を呑んで固唾をのんで見守るなか、オリッシュ社長の手によって、この調印文章が不滅の正式なものであると認めるサインが、今まさに石碑へと力強く書き入れられました!」
オリッシュがサインを終え、ペンを引いた――まさにその瞬間だった。
「あっ、ご覧ください! オリッシュ社長のサインが完了した瞬間、ひな壇に並ぶ五大国の元首、そして各国の全閣僚たちが、一斉に立ち上がり、石碑に向かって片膝をついて深く深く礼を捧げました!
建前としては、新政府の調印を刻んだ栄光の石碑への敬意の礼……。ですが、現場のこの圧倒的な空気感を見る限り、彼らが頭を垂れ、跪いているその視線の先にあるのは、石碑そのものではなく、その前に立つオリッシュ社長ご本人です!
五大国が揃って片膝をつき、己のすべてを捧げるように平伏するその光景は、もはや一企業の社長という枠を遥かに超え、ディバイドの新たな『絶対王』、いや全土を統べる『皇帝』へ臣従を誓っている瞬間に他なりません!」
カメラが玉座を背に立ち、平伏する最高権力者たちを従えるオリッシュの精悍で引き締まった姿を捉え、全銀河の視聴者へその圧倒的な勝者の威光をアピールする。レポーターは興奮冷めやらぬ様子で言葉を重ねた。
「この信じられない奇跡の和平を成し遂げたのは、言うまでもなくオーオク社の若き大富豪、オリッシュ・ハメルマン社長です! 彼の放つ圧倒的な統率力と王者のオーラの前に、五大国のトップたちは完全に服従し、新たなディバイドの未来を彼に託しました。まさに、オリッシュ氏の比類なきカリスマ性によって、この星に真の和平が成し遂げられたと言えます!」
レポーターはステージ中央へと視線を移し、最高の笑顔で中継を締めくくった。
「そしてディバイドの民衆が最も待ち望んでいた瞬間がやってまいりました! 今から、先日オリッシュ氏と華々しい結婚式を挙げたばかりの第一夫人、カナメ・バッカニア女史による、激動の故郷への奇跡の凱旋ライブが始まろうとしています! 以上、現場からお伝えしました!」
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中継が遮断されると同時に、グランドプラザは地鳴りのような大歓声に包まれた。
ステージ上にワルキューレの五人が姿を現す。
今回、彼女たちが身に纏っているのは、約半年前に行われたウィンダミアとの停戦記念式典ライブでも披露され、銀河中を熱狂させたあの最高級の「ノーブルシリーズ」の舞台衣装だ。
「歌は生命!」
リーダーのカナメは、正妻としての風格を漂わせる『マンダリン・ノーブル』にその身を包んでいた。
深く艶やかなネイビーのボディスーツに、鮮やかなマンダリンオレンジの豪奢なフリルスカートをアシンメトリーに重ねた気品あふれるドレス。
頭部には大輪の薔薇とオレンジのリボンが美しく踊り、深く開いた胸元からは、オリッシュの愛を一身に受けて豊かなボリュームへと劇的に増量した双丘が、眩いばかりに主張している。
「歌は愛!」
その隣に立つレイナは、カチッとしたミリタリーのテイストが融合した瑞々しいグリーンの『エメラルド・ノーブル』の帽子とマントを翻し、ドールのようなミステリアスな透明感を際立たせていた。
「歌は希望!」
マキナは彼女の愛らしさを極限まで爆発させるピンク基調の『ローズ・ノーブル』を着用し、頭部のうねるううさ耳調のリボンと白黒のチェッカー柄タイツで小悪魔的な魅力を放っている。
「歌は神秘!」
美雲が纏うのは神秘的な夜空を思わせる『ヴァイオレット・ノーブル』だ。
深い高貴な紫とブルーのグラデーションが美しいフリルドレスは、透け感のある優雅なロングスリーブと胸元の精緻なビーズワーク、そして頭上の煌めくティアラと鮮やかな羽飾りが相まって、彼女の持つ圧倒的なカリスマ性と妖艶な色香を全方位に放っている。
「歌は勇気!」
今回のステージのために特注されたのが、クレアの纏う『アクアマリン・ノーブル』であった。
美雲のヴァイオレットとカナメのマンダリンの中間に位置する、気品あるカッティングと華やかな幾重ものフリルが融合したデザイン。
それを彼女のパーソナルカラーである清澄な水色(アクアマリン)へとカラーチェンジさせた一着は、はち切れんばかりの豊満なボディを完璧に包み込み、オーオク社の看板広報役に相応しい華やかさと可憐さを見事に調和させていた。
カナメがセンターで一歩前へ踏み出し、神々しい瞳で会場を見据えた。
「聞かせてあげる。私たちの平和を願う歌声を!」
「「「「「超時空ビーナス、ワルキューレ!!!!!」」」」」
ワルキューレのハンドサインでポーズを決める五人。
割れんばかりの拍手と歓声のなか、中央へ進み出たカナメがマイクを掲げ、五人を代表して静かに、しかし力強い声でディバイドの民衆へ向けて語りかけ始めた。
「ディバイドの皆さん。約8年前、私は戦乱に明け暮れていたこの故郷を離れ、ただ歌を届けるために、一人でアイドルを目指して飛び出しました。それから本当に色々なことがありました……迷い、傷つき、それでも歌い続けてきた。そして今、私はこの星の戦さを止めるための大いなる力を得て、こうしてディバイドに戻ってくることができました。私にこの力を与え、再び故郷と向き合う勇気をくれた私の大切な夫に、心から感謝しています」
そこまで語ると、カナメは慈愛に満ちていた眼差しを一転させ、凛とした鋭い光を宿して全土の民衆、そしてひな壇の首脳陣たちを見据えた。
「だからこそ、皆さんにお願いします。もう二度と、この星で戦さなんて起こさないでください。――もし、またここで戦を始める者が現れたなら、その時は私と私の愛する夫が、決して許しません!」
女神そののもの絶対的な威厳を放つその宣言に、グランドプラザの空気は一瞬にしてピシリと張り詰め、直後、それを上回る圧倒的な熱狂の歓声が爆発した。
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カナメはこの式典会場で、三日前のハメキューレアタックによって彼女の放つサキュバス波を最高司令部に直接浴びせた、旧ディバイド政府の主導国であるザーディッシュの男たちから狂おしいほどの熱狂の視線を向けられていた。
彼らの瞳には、自分たちを快感だけで完璧に調教し、ねじ伏せた偉大な女神への、圧倒的な羨望と平伏の情欲がドロドロと渦巻いている。
だが、彼女に向けられる熱視線はそれだけではない。
カナメの主演するワクチンABVソフトは配信開始から七日目を迎え、戦乱の渦中にあったディバイド星系を除いたブリージンガル球状星団全域で、彼女の甘い抱擁と淫らな嬌声によってセイズノールを抜かれた男たちの数は爆発的に増加している。
彼らはギャラクシーネットワークの画面越しにステージを見つめ、カナメへの狂おしいほどの情欲と感謝の気持ちを滾らせていた。
カナメのことを自分の女だと錯覚して、応援にのめり込む者も多数現れる。
肉体関係にある美人が、キラキラとした舞台で数多くの人間を熱狂させてる様を見せられたら、誰もが優越感を抱くであろう。
たとえそれが錯覚であろうとも。
ひな壇の上で、未だにサキュバス波の余韻に身体を震わせる元首脳や閣僚たちも同様である。
彼らもまたステージに現れた歌姫たちの姿を見つめて、感極まったように声を漏らしていた。
「おお……なんという神々しさだ……。我々の醜い闘争が、これほど気高く美しい女神たちの前に無力化されたのは、むしろ至上の救いだったのだ……!」
「カナメ様……! ディバイドの、いや銀河の真なる救世主よ……! 貴女の放つ光の前に、我々はただひれ伏し、従うことしかできない……っ!」
そしてディバイド全土、そして全銀河からの視線を一身に浴びるステージの上で、歌姫たちは眩いライトを浴びて躍動する。
「ディバイドの新時代に、私たちの歌を響かせるわ。――いくわよ、みんな!」
リーダーであるカナメの凛とした号令とともに、特設ステージのスピーカーから、時空を震わせるイントロの重低音が生配信の電波に乗って銀河全域へと炸裂した。
五人が一斉にステップを踏み出し、その最高級のドレスの裾が初夏の風に鮮やかに翻る。彼女たちが放つ歌声は、連日オリッシュによって子宮の最奥までたっぷりと極上の愛を注ぎ込まれ、サキュバスとしての生体パルスを極限まで高め合っている彼女たちの生体フォールド波そのものだった。その圧倒的な多幸感の波動は、イブコーア全体を優しく包み込んでいく。
ひな壇の元首脳や関係閣僚たちにいたっては、至高の五色の調和に完全に魂を奪われ、絶頂の余韻に浸りながらガタガタと身体を震わせ、絶対服従の悦びのなかでただただ涙を流して聞き惚れていた。
「カナメ様のあの気高さ……まさにディバイドの夜明けを告げる歌声だ!」
「美雲様の響き、銀河を震撼させる圧倒的なカリスマよ……!」
「アクアマリンを纏ったクレア様の瑞々しい美しさ……心が洗われるようだ!」
「マキナ様のあの愛らしいステップ、どんな男も虜にならずにはいられない……!」
「レイナ様のクールな眼差しと完璧なリズム……魂まで見透かされている!」
ステージの最前列から彼女たちの輝く姿を見つめるオリッシュの胸には、熱い全能感が満ち満ちていた。
あの美しく気高い五人の女神たちのすべてを、毎夜ベッドの上で獰猛に蹂躙し、自分だけのものにしているのは、他でもない自分なのだ。
カナメは激しいダンスの合間、最愛の夫であるオリッシュへと、蕩けるような熱い視線と最高のウィンクを贈った。
(見ていてね、オリッシュさん……。あなたの愛で満たされたこの身体で、あなたの作ったこの平和を、故郷のすべてに届けてみせるわ……っ♡)
カナメの最奥、今朝仕込まれたばかりのオリッシュの熱い白濁が、ステージの興奮と夫への狂おしいほどの愛着に反応し、きゅぅぅと愛おしく、熱く収縮していた。
五色のノーブルドレスがステージ上で完璧な調和(ハーモニー)を描き、最後のワンフレーズがディバイドの青空へと吸い込まれていく。
その瞬間、ネットの向こうの全銀河と、惑星全土がひっくり返るかのような、凄まじき地鳴りのような大歓声が巻き起こった。
五大国の末端の暴走すらも完全に抑え込み、一滴の血も流さずに星系を完全掌握したレディMの電撃作戦は、ここに完璧な結実を見たのである。
大成功のステージを終え、誇らしげに胸を張るカナメたち。
オリッシュはこのあとすぐ、セックス奉仕ユニット・ハメキューレに早変わりした彼女らに、この高貴なノーブル系のドレスのまま、式典成功のご褒美セックスを強請られることになる。
ディバイドの全土が絶対的な安寧へと包まれるなか、いよいよ明日6月8日――オリッシュの誕生日であり、カナメのお腹のなかに新たな命の息吹が「確定」する運命の日に向けてのカウントダウンが始まっていた。
(続く)