マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー 作:夜叉五郎
アルテミシア・グランドホテル ロイヤルスィート「ルビー・プリズン」
白いフリルビキニを脱いでバスルームで軽くシャワーを浴び直し、更衣室に戻って身支度を整えるカナメ。
タオルで体を拭きながら、用意されていた着替え用の衣装と、添えられたメモを見て眉を顰める。
メモには、ミラージュの丁寧な文字で次の指示が書かれていた。
【慰安対象の希望は同年代の恋人とランチ。善処願います】
カナメは小さく息を吐いた。
(恋人?あの人と同年代の彼氏彼女ごっこ?あの人、十歳以上も年上なのに)
用意された衣装は、いつものカナメの私服に合わせたものだった。
オフホワイトのノースリーブトップは首元に小さな黒のリボンがついたシンプルなデザインで、胸のラインを優しく包みながら鎖骨を綺麗に見せていた。
下はダークブラウンのスリムパンツで腰骨の位置がくっきり浮き、長い脚をより長く見せる。
足元は黒のパンプスで控えめながらも大人っぽい印象だ。
服に合うように、赤茶色の髪を軽くほぐして自然に下ろすカナメ。
鏡に映る自分を見て、カナメは小さく呟いた。
「恋人ね」
なかなかキツい設定であったが、任務のためには完璧に応じなければならない。
カナメは深呼吸し、微笑みを貼り付けて、更衣室を出てダイニングに向かう。
オリッシュはすでにダイニングのテーブルに座り、少し照れながら待っていた。
カナメが現れると、オリッシュは目を輝かせた。
「お待たせ!オリッシュ君」
指定の設定に合わせ、呼び方を変えてみるカナメ。
オリッシュは一瞬驚いたが、すぐに嬉しそうに顔を赤くした。
「全然待ってないよ……カナメ……オリッシュ君って呼ばれるのって……なんかすごく新鮮だ……」
カナメがテーブルに着くと同時に、ルームサービスの自動配膳台が到着。
ステーキサラダ、パスタ、デザートのティラミス、ノンアルコールのスパークリングワイン。
カナメは自然に、オリッシュのグラスにワインを注ぎ、フォークでパスタを巻いて、オリッシュの口元に運んだ。
「あーん、してあげる」
オリッシュは嬉しそうに口を開け、カナメが運ぶ一口をぱくりと頬張る。
「んっ! うまい!カナメが切り分けてくれるから……なんか……特別美味しく感じる……」
カナメは微笑みながら、内心では複雑であった。
(この人が喜んでくれるなら、こんな感じであってるかしら? でもこれって、側から見たら、恋人と言うより同伴ランチじゃないの?)
オリッシュはカナメの手を取って指を絡め、幸せそうに呟いた。
「カナメ……俺……カナメとこうやってご飯食べるの……夢だったんだ……」
カナメは指を絡め返し、甘く微笑んだ。
「私も、オリッシュ君と一緒で、すごく楽しいよ」
(この人、本当に嬉しそう。任務、ちゃんと果たせてるわね)
恋人ごっこと同伴ランチの、甘く微妙な空気の中で昼食は進む。
そしてデザートまで食べ進めて満腹になったオリッシュが、椅子に深くもたれ、満足げに息を吐いた。
「カナメ……お腹いっぱい……本当に美味しかったよ……」
そして、オリッシュは目を細め、欠伸を堪えながら呟いた。
「なんか……眠くなってきちゃった……ちょっと寝たい」
(そうよね。朝から10発近く出してるんだもの。さすがに眠くなる頃よね)
カナメは穏やかに頷いた。
「じゃあ、ベッドに行きましょうか」
彼女はオリッシュの手を取り、ダイニングからベッドルームへと移動する。
ベッドに横になると、オリッシュは恥ずかしそうに、でも甘えるように呟いた。
「カナメ……子守唄……歌ってくれない……?カナメの声で……寝たいんだ……」
カナメはベッドサイドに腰掛け、優しくオリッシュの髪を撫でながら、 小さな声でワルキューレのバラードを歌い始めた。
「♪ 星の海を……越えて……」
オリッシュはすぐに寝息を立て、幸せそうな顔で眠りに落ちた。
カナメは静かに歌を終え、そっと手を離した。
(これでやっと自分の時間が取れるわ)
オリッシュは気持ちよく午睡に入った。
やっと解放されたカナメは、自分も休憩を取るために一旦ロイヤルスィートを出て、下の階の自分の部屋に戻ろうとした。
朝のメイドセックスの後の4時間にもわたるソーププレイで、流石のカナメもヘトヘトだった。
廊下に出ると、ミラージュが待機していた。
「カナメさんも休息が必要です。こちらへ」
カナメの肩を支えるミラージュ。
「ありがとう。助かるわ」
カナメはその手に半ば身を任せ、疲れ切った体を引きずる。
案内された先は、カナメの専用ルームのある下層階の別室だった。
ミラージュは扉を閉めると、一歩下がって背筋を伸ばし、敬意を込めた口調でカナメに告げる。
「慰安対象の精力は異常です。宇宙再構築システムの影響でしょう。対抗処置としてこのポッドを手配しました」
そこには、カナメがマクロス・エリュシオンで見慣れた、青白く光るロケット型の回復ポッドが急遽設置されていた。
戦場で歌う激務のワルキューレは、戦場ライブ後は必ずこのポッドに入って、体力の回復や全身の傷のケアを行うのだ。
カナメは、ミラージュの言葉に、小さく、しかし確かに頷いた。
「助かるわ。確かにこのままじゃ体力がもたないもの」
カナメは服を脱ぎ、裸になってポッドに横たわる。
すでにミラージュの前で裸になるのに忌避はない。
慰安任務の様子は全て監視カメラで撮影されており、ミラージュにはもっと恥ずかしいところを全て見られているのだから。
ミラージュは、ポッドの操作パネルを起動しながら、表情を緩めてカナメに優しい声で語りかける。
「……お疲れ様でした、カナメさん。ゆっくりおやすみください」
蓋が閉まり、青い薬液がゆっくりと体を包み込む。
カナメはポッドの中で深い眠りに落ちた。
(これで……また……あの人の……相手を……できる……)
ひんやりとした液体が乳首、秘唇、太腿の内側を撫で、オリッシュにつけられた赤いキスマークを癒していく。
薬液の中で、カナメの体は完全にリフレッシュされていった。
(続く)