※この作品はR-18です。

マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー   作:夜叉五郎

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2068年3月7日午前
惑星レハーム行き民間シャトル・個室


2068年3月7日
ch.3 「Training for Kaname Buccaneer ONLY」


 惑星レハームに向かうシャトル内のカナメの個室に、銀色の小型クレートが届けられる。

 

「これは何かしら……?」

 

 訝しむカナメの手に持つ端末が震える。

 レディMからの指令メールの着信だ。

 

 件名は【極秘・慰安任務研修資料と実技練習器具について/視聴必須】。

 

 クレートの中身の実技練習器具を確認後に、VRゴーグルを装着して極秘・慰安任務研修資料を視聴するよう指示される。

 研修資料のタイトルは「Training_for_Kaname_Buccaneer_ONLY」。

 

 カナメの指が凍りつく。

 タイトルに自分の名前が堂々と入っていることに、背筋がぞくりと震えた。

 

「……レハームに着くまでに見なきゃいけないのね。そして。これが……実技練習器具?」

 

 カナメは震える手でクレートを開けた。

 

 中には、VRゴーグルが一台の他、ディルドーが一本と、小さなボトルに入ったローション、そして吸盤付きの固定台が入っていた。

 ディルドーは明らかに成人男性の平均を大きく超えていた。

 

「……こ、これを……私が……?」

 

 カナメは何度もクレートを閉じそうになり、そのたびに自分を叱咤した。

 

 ――世界がかかってる。

 ――フレイアの想いを無駄にするわけにはいかない。

 ――私はワルキューレのリーダーなんだから……!

 

 カナメは意を決して、クレートからディルドーを取り出した。

 男根の形をしたものを初めて手に取った瞬間、

 

「……ひゃっ……!」

 

 指先がビクンと跳ねた。

 手のひらにずっしりと重く、温かみのあるシリコン素材。

 

 先端から根元まで、血管までリアルに再現されている。

 ただのゴムなのに、熱を帯びているような錯覚。

 

 思わず両手で包み込むように握ってしまい、その重さと硬さに、子宮の奥がきゅんと疼いた。

 

(こんな……大きいものを……口に……? 中に……?)

 

 想像しただけで膝が震える。

 でも、逃げられない。

 

 カナメはディルドーをそっとサイドテーブルに置くと、個室の照明を落とし、リクライニングシートに腰を下ろした。

 


 

 VRゴーグルを取り出して装着し、教材ビデオの再生を開始するカナメ。

 視界が暗転し、漆黒の背景に赤い文字が浮かび上がる。

 

【極秘指定・慰安任務「スイート・プリズナー」研修教材】

【視聴対象:カナメ・バッカニアのみ】

【無断複製・外部持ち出し厳禁/違反者は即時処分】

 

 そして、ゆっくりと視界が明るくなっていく。

 

「こんにちは、カナメ・バッカニアさん♡」

 

 現れたのは、ゴージャスな巻き毛の金髪を腰まで垂らした妖艶な美女。

 深いワインレッドのスリップ一枚だけの姿で、胸元が大胆に開き、谷間がこぼれそうになっている。

 唇は艶めかしく濡れ、瞳は獲物を狙う雌豹のようだ。

 

「私はミランダ・メリン。ケイオスのアダルト映像部門で現在売上No.1のAV女優よ。今日はあなたの先生になるわ♡」

 

 カナメの顔が一瞬で真っ赤に染まった。

 ――な、なんでこの人が……!?

 

 あのランカ・リーも出場した第12回「ミス・マクロス・フロンティア」コンテストの優勝者。

 新人だったランカ・リーが助演女優賞を獲得した映画「BIRD HUMAN -鳥の人-」で、彼女もメインヒロインのサラ・ノーム役でデビュー。

 

 しかし、同期のランカ・リーの大ブレイクもあって、その存在は完全に霞んでしまい、その後は泣かず飛ばず。

 映画や歌の道をあきらめて舞台女優に転身するも、最終的に抜群のプロポーションのみが評価されてAV堕ち。

 その堕ちた先のAVこそが、彼女にとって天職であった。

 

 ランカ・リーに憧れてアイドルになったカナメは、当然「BIRD HUMAN -鳥の人-」を何度も視聴していた。

 ミランダのことも勿論知っていたが、まさかAV女優になっていたとは……

 

「この映像は、あなたのためだけに作られた完全オーダーメイド教材。目的はただ一つ――あなたがあの男を骨抜きにして、完全に精神安定させること。レディMから、あなたの全部のデータはもらってるから安心してね♡ あ、そうそう。カナメさんは23歳、男性経験ゼロ、VIOはきっちり永久脱毛済みのパイパン処女……ちゃんと把握してるわよ?」

 

 カナメは思わず映像を止めて、VRゴーグルを外しそうになった。

 誰にも言っていないはずの秘密が、さらりと暴かれる。

 

 ソロアイドル活動時の事務所が恋愛禁止で、ケイオスに勤め始めてからもワルキューレが激務過ぎて、これまで男と付き合う暇など無かった。

 そして、戦場ライブで全身をぴったり覆うアンダースーツを長時間着用する場合が多く、ワルキューレの面々は全身の無駄毛を全て脱毛済みだ。

 

 ワルキューレのメンバーに選ばれる際、候補者の身辺調査はかなり精密に行われており、ワルキューレの活動がスタートしてからも日々の生活は完全にトレースされている。

 レディMは彼女の全ての個人情報を握っており、普段は厳重に管理されているその情報が、今回の任務にあたっては完全に開示されフル活用されていた。

 

 恥ずかしさで耳まで熱くなるカナメ。

 でも、世界を救うためだ。

 カナメは深呼吸して、もう一度再生した。

 

 

【挿絵表示】

 

 


 

 ミランダ・メリンが朗らかに講義を始める。

 

「では早速始めましょう。教材は【初級編】と【応用編】に分かれてるわ。初級編は、キス → フェラ → パイズリ → セックス → 特殊プレイの順番になってるから、一つずつ丁寧に教えていくわね♡」

 

 カナメは震える指で虚空に浮かんだチャプターを選択。

 まずは【初級編・第1章:キス】

 

 ミランダの顔がアップになる。

 

「キスって、単に唇を重ねるだけだと思ってるでしょ?甘い甘い。男を虜にするキスは、もっと奥が深いわ」

 

 画面が切り替わり、ミランダが男優と絡み合う実演映像が流れる。

 

「まず、軽いチューから始めて……次に唇を軽く吸って……そう、ちゅっ、ちゅっ……そして舌を絡める前に、相手の唇を自分の舌でなぞるの。これだけで男はゾクゾクする♡」

 

 カナメはミランダの口元に釘付けになった。

 ミランダの舌が男優の唇をゆっくり這う様子が、超高画質で映し出される。

 唾液の糸が引く様子まで、はっきりと。

 

「次はディープキス. 舌を相手の口の中に入れて、絡めて、吸って、噛んで……でも痛くしない程度にね。男は支配されてる感覚と、支配してる感覚を同時に味わいたがるの」

 

 カナメの喉がごくりと鳴った。

 自分の唇を無意識に舌でなぞってしまう。

 

「さらに上級テク。キスの最中に甘い吐息を漏らしながら、相手の耳元で囁くの。『もっと欲しい……』とか『気持ちいい……』とか……カナメさん、あなたの最大の武器は“声”。普段ライブで披露している美しい声で喘げば、貴女のファンなら即落ちよ♡」

 

 映像はさらに細かく、

・角度の変え方

・唾液の量の調整

・息継ぎのタイミング

・相手の首筋や耳たぶ、乳首へのキスの仕方

 まで丁寧に解説されていく。

 

 カナメは必死にメモを取ろうとするが、あまりの羞恥に手が震えてうまく書けない。

 

「キスだけでイカせたいなら、最後はこう」

 

 ミランダは男優の首に腕を回し、激しく舌を絡めながら、甘くくぐもった声で喘いだ。

「んっ……はぁ……もっと……奥まで……」

 

 男優がぶるっと震えて果てる様子まで映っている。

 

 カナメは息を荒くしながら、ようやく第1章を終了させた。

 時計を見ると、すでに2時間以上が経過していた。

 

「……キスだけで、こんなに……」

 

 画面のチャプターリストを見上げる。

 まだ【フェラ】【パイズリ】【セックス】【特殊プレイ】が残っている。

 応用編に至っては、さらに項目が増えている。

 

 カナメは額に手を当て、めまいを感じた。

 ――こんな量……全部覚えられるの……?

 

 股間がじんわりと熱を帯びていることに、今さら気づく。

 キスの映像を見ているだけで、身体が勝手に反応してしまっていた。

 

「……だめよ、私」

 

 カナメは小さく首を振った。

 

「これも、任務……世界を救うための……」

 

 でも、胸の奥に小さな不安と、なぜか期待のような疼きが混じるのを、どうしても抑えられなかった。

 

 あと十数時間後には、「熱烈なファン」の前に立つ。

 カナメは次のチャプターに震える指を伸ばす。

 まだまだ、学ばなければならないことは山のようにあった。

 

(続く)

 

 

 

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