マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー 作:夜叉五郎
アルテミシア・グランドホテル ロイヤルスィート「ルビー・プリズン」
ch.61「Sleeping Kaname、睡姦の誘い」
任務開始から二十八日目。
朝、カナメ専用ルームでのブリーフィング。
カナメは白いガウン一枚の姿でテーブルについて、ミラージュに向き合っていた。
ミラージュはエージェントスーツ姿で直立し、いつものキリッとした表情。
カナメは少し疲れた声で切り出した。
「ミラージュ、今日のデータ採取についてお願いがあるの」
今日は昨日の続きで、オリッシュへのプレゼントのアダルトBV(五感追体験型アダルトビデオ)の最終調整のためのデータ採取の二回目が予定されている。
今回は男性主体で、オリッシュがマグロ状態のカナメを触りまくるM面のデータ収集となる。
ミラージュは即座に敬礼した。
「はい、カナメさん。何でしょうか」
カナメは小さなメモを取り出し、ミラージュに差し出した。
「これを昼過ぎのデータ収集までに用意してもらえるよう、レディMに依頼してくれる?」
メモを受け取って目を通し、不審げな表情を浮かべるミラージュ
「これは......なぜこんなものを?」
自然と問いが生じる。
カナメは視線を落とし、静かに応えた。
「今日、私はあの人にお尻の穴を晒さないといけない。きっと私は耐えられない。だからソレが必要なの」
ミラージュはメモを握りしめ、カナメの顔を見つめた。
「カナメさんがアナルを恐れられているのは知っていました。しかし、ここまでしないとならないのですかっ」
カナメは苦笑交じりに頷いた。
「そうよ。一晩考えたけれど、これしかこのデータ採取を乗り越える手段はないわ。お願いよ」
ミラージュは一瞬言葉を失ったが、すぐに姿勢を正した。
「わかりました。カナメさんがそこまで決意されておられるなら」
力強く敬礼し、部屋を退出するミラージュ。
カナメは深くため息を吐いた。
(これで私は、また一つ女として大切なものを失うのね)
その決断を責められる者など誰もいなかった。
昼。
ダイニングルームで、オリッシュとカナメは一緒にランチを取っていた。
テーブルには軽いサラダ、パスタ、ワインが並び、大型スクリーンでは三人になったワルキューレが先日実施したチャリティーコンサートの映像が流れている。
美雲の高飛車で力強い歌声、マキナの甘いコーラス、レイナのクールなハーモニー。
しかし、カナメの耳にはどこか不安定に聞こえた。
カナメはフォークを置き、画面を見つめて彼女たちのパフォーマンスを冷静に評する。
(美雲の声、少し張りつめてるわね。マキナはいつもより甘さが控えめ。レイナも安定してるように見えて集中できてないわ)
オリッシュもパスタを口に運びながら、スクリーンに目を向けた。
「へへ、三人でも頑張ってるよな。でも、やっぱりカナメがいないと、なんか物足りないっていうか」
照れ臭そうに頰をかき、ねばっこい視線を画面からカナメに移す。
カナメは内心で胸が痛んだ。
(みんな、私がいなくて無理してるのね)
しかし、表情には出さず、嫋やかな笑みを浮かべる。
ランチが進む中、カナメは時計を見て立ち上がった。
「ごめんなさい、オリッシュさん。この後の準備がありますので、少し席を外します」
オリッシュはフォークを止めて首を傾げた。
「準備?午後は昨日の続きのはずだけど」
カナメは微笑みながら、そっとオリッシュの手に触れた。
「時間になりましたら、ベッドルームにいらしてくださいね」
そう言い残し、部屋を出て行った。
オリッシュは少し戸惑いながらも、スクリーンに視線を戻した。
(そんな準備するようなこと、何かあったっけ? まあ、カナメが言うならいいけど……)
ワルキューレのライブ映像はまだ続いていた。
美雲のソロパート、マキナとレイナのハーモニー。
オリッシュはビールを飲みながら、呑気に見続ける。
スクリーンをよく見ると、観客席にいくつかの垂れ幕が映っていた。
『カナメ、早く戻ってきて!』
『ワルキューレは5人でこそ!』
『カナメ・バッカニア、カムバック待ってる!』
さらに、カナメの公式グッズ――イエローのペンライトや、ソロ時代のTシャツを着たファンが何人も映る。
かつての自分と同じ、キモい野郎どもがカナメの名前を叫びながら必死に応援している。
オリッシュは画面を見て、ねばっこく笑った。
「へへ……お前らも、カナメのこと大好きなんだろうけどさ……」
ビールを一口飲み、満足げに息を吐く。
「今のカナメは、俺だけのものなんだよな……」
垂れ幕やグッズを見るたび、胸の奥に熱い愉悦が広がる。
カナメを求めるファンが大勢いるのに、自分だけがカナメを抱ける。
しかも今は、こんな状況で。
「さて、俺のカナメの全身を、舐めまわしに行くとするかー、むふふ」
時間になり、オリッシュはベッドルームに向かった。
ドアを開けると、驚いて立ちすくんだ。
エンペラーサイズのベッドの上に、真っ裸で仰向けに横たわるカナメの姿があった。
淡いピンクの乳首がわずかに硬く、横に広がったEカップの乳房が静かに上下している。
白い長い脚が優雅に投げ出されており、股間は無防備に開かれ、パイパンの秘部がわずかに光っている。
長い茶色の髪が枕に広がり、ハーフアップの跡が残る。
カナメの美しい寝顔は、まるで人形のように完璧で、無垢だった。
オリッシュは息を呑み、ねばっこい視線でカナメの全身を舐め回すように見つめた。
「カ、カナメ。これは、どういうことだってばよ」
ベッドルームの入り口で立ちすくんだままのオリッシュ。
その手に持っていた端末が着信音を奏でる。
画面を確認すると、差出人はレディM。
無機質な件名は「Sleeping Beauty」。
本文を開くと、冷徹で簡潔な文面が並んでいた。
『対象:カナメ・バッカニアは現在、完全昏睡状態に入っている。覚醒予定時刻は本日19時前後。
この間、貴方は対象の身体に対し、生命に危険を及ぼす行為を除き、一切の自由行動を許可される。
膣内、肛門、口腔を含むすべての部位への接触、挿入、射精が認められる。
対象は自発的に本許可に署名済み。法的責任は一切発生しない。
データ採取を優先しつつ、貴方の欲望を満たせ。
——レディM』
オリッシュの目が震え、息が詰まり、手が震える。
最推しの戦術音楽ユニット・ワルキューレのリーダー、憧れのカナメ・バッカニアが、完全に目覚めない昏睡状態で、目の前のベッドに真っ裸で横たわっている。
しかもカナメ本人がそれを望み、すべての部位を好きに使っていいとまで許可している。
顔、口、耳、首、胸元、乳房、腹、肩、手、足、腰、尻、股間、膣内、肛門――すべてが、オリッシュのものだ。
「カ、カナメ、お、お前、ここまで俺のためにしてくれて」
声が震え、涙がにじんだ。
妄想の中でしか起こり得ないシチュエーション。
それが現実として、目の前に広がっている。
カナメの献身が、オリッシュの胸を熱く締めつけた。
ベッドルームのドアを閉め、震える手で服を脱ぎ捨てながらベッドに近づき、ベッド横に置かれていたアタッシュケースを開ける。
中にはアダルトBVの機具――シルバーのリング、サイバーゴーグル、フォールドバリア発生装置。
オリッシュは一つずつ丁寧に装着していく。
手首、足首、乳首、そしてチンポの根元にリングを嵌め、ゴーグルを頭に固定。
最後に装置を起動し、薄いフォールドバリアが全身を覆う。
白く光る部位が、カナメの体表に次々と表示されるのを確認しながら、オリッシュはベッドに上がってカナメに近づいた。
カナメは穏やかな寝息を立て、微動だにしない。
「すぅ……すぅ……」
オリッシュはベッドに上がり、カナメの横に跪いた。
震える指先で、まずカナメの頰に触れる。
温かく、滑らかな肌。
カナメは反応しない。
オリッシュの息が荒くなり、ねばっこい笑みが浮かぶ。
「カナメ。俺の最推しの女。寝てる間に、この体、ほんとに全部好き勝手に使っていいんだな」
オリッシュは知らない。
自分の意識があった状態でアナルを弄られた場合、データ採取に支障が生じる恐れが高いと判断し、朝のブリーフィングでミラージュに昏睡薬の手配を頼んだこと。
ランチの途中で抜け出してシャワーで全身を洗浄した後、ベッド上で昏睡薬を服用したこと。
完全にオリッシュに身を任せて精神を手放してしまうことで、己がアナルに惑乱する状況自体を回避したこと。
ある意味、カナメは徹底的にアナルを弄られる感覚から逃げたとも言える。
しかし、そんなカナメの事情を知らないオリッシュは、ただただ感涙していた。
最推しのアイドルが、ここまで自分に尽くしてくれる。
眠っている間に、好きにしていいとまで。
オリッシュは震える手で、カナメの身体に触れ始めた。
データ採取の二日目は、こうして始まった。
カナメは深い昏睡の中で、迫る脅威を感じることなく、ただ静かに横たわっていた。
(続く)