マクロスΔ オペレーション・スィートプリズナー 作:夜叉五郎
アルテミシア・グランドホテル ロイヤルスィート「ルビー・プリズン」
惑星ラグナ マクロス・エリュシオン 艦長室
ch.99「加速するダイエット、停滞するステージ」
夕食の余韻が、ルビー・プリズンのリビングに甘く残っていた。
カナメの手作り——ヘルシーながらも絶妙な味付けのグリルフィッシュと野菜たっぷりのサラダ、デザートのフルーツタルト。
オリッシュはソファに深く腰を沈め、満足げに腹を撫でる。
ダイエットは順調すぎるほど順調に捗り、1週間で3kg減の106kg。
鏡で自分の体を見ても、腹の肉が少し引き締まり、動きが軽くなった実感があった。
カナメは嫋やかな笑みを浮かべ、オリッシュの隣に座る。
「オリッシュさん、今日の夕食、どうだったかしら」
Eカップ超えの美乳が、ガウンの布地を押し上げ、深い谷間がわずかに覗く。
自然にカナメの腰を抱き寄せ、その柔らかな曲線をそっと撫でるオリッシュ。
「カナメ、今日の夕食も本当に美味かった。カナメが作ってくれるヘルシーな料理のおかげで体が軽いんだ。本当に感謝してる」
「あんっ♡ 良かったわ」
カナメは体をわずかに震わし、甘い吐息を漏らしながらオリッシュの肩に頭を預ける。
隣に寄り添うカナメの体温が、薄いガウン越しに伝わり、股間を熱くさせる。
朝からジムで汗を流し、午後は濃厚な午睡セックス。
夕食後のこのくつろぎタイムが、夜伽への甘い序曲だった。
オリッシュはカナメの耳元に唇を寄せ、囁く。
「あの……さっきクレアから一週間前に撮影したABVの第二弾、『ハニトラ舞姫カナメ・バッカニア』が完成したって連絡が来たんだ」
カナメの体がびくんと反応する。
「あ……あの時の……」
一週間前、橙色のドレスを纏った舞姫姿で、オリッシュを誘惑し、蜜のように甘く絡みついた夜。
フェラで喉奥まで咥え、パイズリで乳房を押し上げ、後背位で腰を振りまくった。
カナメの秘部が、思い出だけで熱く疼く。
オリッシュの瞳が熱を帯び、股間がズボンを押し上げる。
「さっそく試してみたいんだけど……カナメ、またあの衣装で付き添ってくれないかな」
カナメは頰を赤らめ、嫋やかに頷いた。
「はい、わかりました」
カナメは立ち上がり、ABVの一式——サイバーゴーグルと7つのシルバーリングの準備と着替えのために退出する。
オリッシュはソファに残り、暇つぶしに端末を開いた。
ニュースでも見ようか——と思ったところで、はたと気づく。
(あれ?確かアラド・メルダースにあのABVコンテンツのテスター押し付けたんだったよな)
レディMから、それ関係の連絡が来てたような。
メッセージを遡り、過去のメッセージから該当のものを開く。
そこに、アラドのテスト結果への参照リンクが貼られていた。
(野郎のセンズリ回数なんて、わざわざ見たくないけど……どんな風になってるか、一応様子見とくか……)
オリッシュは好奇心を抑えきれず、リンクをクリックした。
表示された結果に、目を疑う。
まさかの驚くべき低進捗率だった。
アラドのABV視聴体験履歴の詳細ログが、オリッシュの端末の画面上に展開される。
ステージごとの再生回数、選択した感度レベル、射精タイミングまで、デイリーで細かく記録されている。
アラドの手にABV一式が渡って既に一週間以上経つ。
奴がどのシーンで抜きまくってるか見てやろうと思ったオリッシュ。
ところが、予想を裏切る結果が並んでいた。
感度レベルは頑なに「並」のまま——それはオリッシュが実際に味わった快感を、一般男性向けに50%ナーフしたマイルド調整のはずだ。
それでも、アラドはステージ3のフェラ編を繰り返してた。
挑み始めて今日で6日目。
最初は序盤の唇のキスだけで即撃墜されていたのが、徐々に粘れるようになり、最近は終盤の喉奥吸引まで耐えられる日も出てきた。
しかし、そこから先——カナメが本気になったラストスパートで、毎回崩壊。
カナメの唇が根元まで沈み、舌がカリを激しく絡め、喉が収縮して吸引する本気のフェラ。
その部分で、アラドは耐えきれず視界が白く染まり、リタイアの繰り返し。
射精回数も日に2回、多くて3回。
しかも、KBモデル(カナメホール)の装着記録はゼロ。
チキンすぎる遅々とした進みっぷり。
(こいつ……感度レベル並のぬるさでさえ、カナメの本気フェラのラストスパートに耐えられないのかよ)
オリッシュは思わず吹き出し、肩を震わせて笑った。
カナメのフェラは、オリッシュ自身も毎回限界ギリギリだ。
あの柔らかな唇が亀頭を包み、熱い舌が裏筋を這い、喉奥で締めつける感覚。
50%に抑えられた幻像ですら、アラドは終盤の猛攻で数秒の壁にぶち当たり、毎回白旗。
カナメに紹介されたアラドの完璧な軍人像が、ガラガラと崩れ落ちる。
抱えていた引け目が、一気に優越感に反転した。
(まあ、しょうがないよな。俺が一から仕込んだカナメのフェラだもん。早漏くんには耐えられないのも当然だ)
上から目線で、アラドを憐れむ。
(カナメ、この男の早漏ぶり知ってんのかな……)
疑問がよぎるが、まあ、いっか、とすぐに振り払う。
カナメの口から他の男の話なんて、聞きたくなかった。
ちょうどマンダリン・ゴージャスに着替えたカナメが、AVBの機器一式が入ったケースを携えて戻ってきた。
「オリッシュさん、準備できたわ」
オリッシュは端末を閉じ、スキップするように立ち上がる。
アラドの存在など、すぐに頭から消え去った。
オリッシュにとって、アラドはその程度の脅威に成り下がっていた。
カナメとともにベッドルームに向かう足取りは軽く、股間の熱がさらに高まる。
今夜オリッシュは、リアルなカナメのバイオペニスを自分の手でしこりながら、ABVの舞姫のカナメの演技を再びじっくりたっぷり楽しむつもりであった。
一方その頃、惑星ラグナのバレッタシティのマクロス・エリュシオン。
夜勤の静けさが艦長室を包む。
アラドはアームチェアに全裸を預け、深い息を吐いた。
照明を落とし、サイバーゴーグルを被る。
7つのシルバーリングが肌に冷たく触れ、股間のリングがすでに半勃起した肉棒の根元を締めつける。
(今日こそ……ステージ3を突破する)
『高級娼婦カナメ・バッカニア』のフェラ編。
6日間、感度レベル「並」で挑み続けた。
一般向けの標準刺激——それでさえ、カナメの唇に敗北し続けていた。
柔らかな赤い唇が亀頭に優しくキスをし、熱い舌が絡みつき、喉奥までゆっくり沈む。
カナメの媚声が耳朶をくすぐり、豊満な胸が胸板に押しつけられる感触。
毎回、終盤の本気吸引で耐えきれず、白濁を噴き上げてリタイア。
だが、今日は違う。
アラドの手が、感度選択画面で止まった。
いつも通り「並」を選ぼうとして——美雲の昨日の一言が、脳裏に蘇る。
「カナメ、とても悲しそうだったわ」
その言葉が、胸を刺す。
(カナメさん……俺のせいか)
勘違いが、アラドの心を蝕む。
カナメさんは、このABVを俺に薦めてくれた。
奴に対抗できる男になってと、俺を鍛えようとしてくれたんだ。
幻像のカナメさんすら抱けない俺では、貴女の本当の体を悦ばせられない。
それが、貴女を悲しませている。
クリアできない俺が、貴女の期待を裏切っている。
その想いに、応えなければ。
アラドは歯を食いしばり、感度レベルを「小」に切り替えた。
感じやすい人向けのマイルド刺激。
(俺のカナメさんへの想いが強すぎて、耐えられないだけだ。まずはこれで全体を掴んで、攻略法を練る!)
自分に言い聞かせる。
これまで付き合った女たちとの別れは、性格の不一致や些細なすれ違い、時には喧嘩別れがほとんどだった。
だから、ベッドに何か決定的な問題があったわけじゃないはずだ。
本当は、ベッドでの短すぎる時間に耐えかね、気を遣って何も言わずに去っていっただけなのに、アラドはそんな滑稽な事実に気づいていない。
彼女たちはみな教養のある良い女たちで、ただ単にアラドの尊厳を傷つける一線を越えてこなかっただけであった。
自分を正当化しまくるアラド。
悲しくも滑稽な決断だった。
ゴーグルを被り、再生ボタンを押す。
カナメさんの唇が近づき、熱い息がかかる。
刺激は穏やかで、心地よい。
まさにアラドにぴったりな、絶妙な快楽。
肉棒が熱く脈打ち、先走りが溢れ出す。
カナメさんの舌が優しく絡み、喉が柔らかく締めつける。
(これなら……耐えられる)
アラドの体が、心地よく震える。
ステージ3の終盤——カナメさんが本気になったラストスパート。
唇が根元まで沈み、舌が激しく絡み、喉が強く収縮する。
マイルドとはいえ、アラドにぴったりな刺激。
限界が、静かに訪れる。
オリッシュが実際に射精したタイミングで、アラドの肉棒がびくんと震え、白濁が噴き出した。
視界が白く染まり、快楽の波が全身を駆け巡る。
だが、射精ポイント外ではない。
オリッシュと同じタイミング——完璧な同期。
ABVは継続され、ステージ3を最後まで体験するアラド。
カナメの丁寧な後始末による快感を味わい終えたアラドは、ゴーグルを外し、荒げていた息を整える。
(クリア……できた。これで全体像が掴めた。この感度なら、ステージ10のラストまで一通りクリアできるはずだ。その次こそ並に戻して……貴女の本気の刺激にも、耐えてみせる)
勘違いが、さらに深まる。
小で最後までプレイできたことで、刺激のレベルはともかく、カナメさんがどう動いてどのタイミングで快感が襲ってくるかは把握できた。
備えるタイミングをあらかじめ理解できていれば、並もクリア可能になるはず。
アラドは気づかない。
この「小」が、元々自分の限界にぴったりだっただけだということに。
ただ、先が見えたことによる喜びに胸を膨らませる。
(これで……ひとまず、貴女を抱けるようになるのか、カナメさん)
艦長室に、静かな達成感が広がった。
カナメさんの幻像が、優しく微笑む。
アラドの心は、初めて満たされた気がした。
一方その頃、オリッシュは本物のカナメを侍らせ、限定解除の舞姫ABVとリアルな肉体を同時に味わう、正妻独占の至福に満ちていた。
同じカナメを想う二人の男の夜は、残酷な格差で彩られていた。
(続く)