最初は、食欲がわかない事が切っ掛けだった。
元々、
だがその次の段階は看過出来なかった。
眠くならない。夜になっても、朝になっても眠れない。だからといって体の不調は出て来ない。しかし何日も何日も眠れない。
故に尾奈は恐怖した。
何かが自分の身に起こっている、と。
「んぁあああっ! ああっ! ああぁぁあっ!」
故に尾奈は逃避した。
日課であるオナニーを繰り返し、否、いつも以上に激しいオナニーを繰り返し、自分の身に起きている異常から目を逸らした。
「はぁああんんっ! んんっんんっんんんっ!」
もうどれだけオナニーに耽っているか分からない。
おまんこ周りは白濁した愛液にまみれており、膣内をほじくり返しているその指先はとうにふやけている。
「ああっ! またいくっ! いっくぅううっ!」
右手でGスポットを掻き乱し、左手で剥き出しのクリトリスを弄り回し、余計な事を考えずに済むこの行為に没頭する。
全身汗だくになりながら自らの性感帯を刺激し続け、気持ちいいの五文字だけで脳内を埋め尽くす。
これだけ激しくすればきっと、きっと、きっと。
「ふぁああっ! ああっ! あっ! あっ! あっんぁあああああああっ‼︎」
この夜だけで通算五度目となる絶頂。いくら尾奈がオナニー好きだからといって、この回数は異常だった。
何故ならば、
「なん、なの……!」
疲れない。倦怠感がない。眠気がやってこない。
なのに性欲だけは収まらない。
「あんっ……!」
だから尾奈はオナニーする。
気持ちよくなりたいから。この恐怖にも似た焦燥感が耐え難いから。
それ故に、この現実から目を逸らすためにオナニーし続ける。
「あっ……あっ……あっ、あっあっあっあぁっ!」
気付いた頃には、夜が明けていた。
それでも、彼女は疲労すら感じていなかった。
――――――
「高機能性オナニー症候群、ですか……?」
自分に起きている異常にようやく向き合い、かかりつけ医の元を訪れたのはその一週間後だった。無論、その間も尾奈は一睡もしていない。
「そう。Hi-Functionality Masturbation Syndrome、通称HMS」
「はぁ……」
幾つかの問診と簡単な検査が行われた。
それにより出されたのは薬の類ではなく、大病院への紹介状。
「聞いた事ない、ですよね」
「え、えぇまぁ……」
尾奈の不安はよりいっそう増した。
自分に起こっているこの異常が何か大きなモノなのではないかと恐れ、毎晩繰り返していたオナニーはより激しさを増した。
「簡単に言うと、貴女はもう食べなくても眠らなくても良い体になりました」
「え……?」
そして、仰々しい検査を幾つも受け、日々の性事情に偏った問診を受けての結果がコレであった。
「その代わり、貴女はオナニーしなければなりません」
「いや、あの……」
「身に覚えがありますよね? 何日食べていませんか? 何日眠っていませんか? どれだけオナニーしましたか?」
その問いに、尾奈は答えられなかった。答えられないほど長い間、そういった生活をしていた。
「詳しく説明しましょう」
それから始まったのは専門用語混じりの症状解説だったのだが、要約すると、
「女しか罹らず、オナニーすれば疲労が回復し、体に栄養が行き渡る」
そんな体質になってしまったらしい。
それを聞いて尾奈は、
「は? 最高では?」
と、今までの不安が払拭されるどころか、大喜びした。
なにせ尾奈、気持ちいい事が大好きである。オナニーが大好きである。そんな大好きな事をしているだけで食べなくても眠らなくても良くなるだなんて、生活の質、QOLが爆上がりではないか、と歓喜した。
「その代わり……貴女の場合は大丈夫そうですが、オナニーしなければ死にます」
「あ、はい、全く問題ないです」
なにせ夜通しオナニーする程の性欲の持ち主である。一切問題になどならなかった。
「難病指定されてますので、年金も貰える筈ですよ」
しかもお金も貰えるときた。
そして、定期的に通院してください、という言葉と共に診察は終わった。
イマイチ現実感が無いまま病院を後にした尾奈であったが、とりあえず決めた事があった。
「オナニーしよ」
――――――
それからというもの、
「はあっ! はあっ! んくっ、十回、目ぇ……」
オナニー三昧の日々が始まった。
暇さえあればオナニーしていた尾奈であったのだが、HMSになってからその頻度は異常なほど多くなっていた。
なにせ疲れない。眠くならない。
故に、今日は連続でどれだけイけるかを試していたところだった。
「ヤバ……はっ……こんなの、バカになる……」
もう既にバカである。いくらなんでもやり過ぎである。
人は一日の約三分の一は睡眠に時間を充てている。だがそれが必要なくなってしまった尾奈は、その時間をオナニーであったりゲームをプレイする時間に充てていた。もう無敵である。しかも年金も貰える。ウハウハである。
「あー……少し休憩しよっかな」
HMSの特性である疲労回復により荒かった呼吸は長く続かず、身体が平時の状態を取り戻していく。
しかし一度かいた汗は流石に消えないため、本来は虚脱感に溢れている筈の身体を軽々と起こし、鼻歌混じりにシャワーを浴びに浴室へと向かった。
そして、そう時間もかからず心身共にサッパリした尾奈はスマホで何やら調べ始める。
「HMS……」
少しは自分の身に起きた異常について知っておこう、と今更思い立った彼女であったのだが、検索して出てきたのは英語の論文ばかり。日本語で書かれたページは無いものかと探してもなかなかヒットしない。
「うーむ」
なにせ、オナニーに関する記事が多過ぎる。
やれ今年はどこの高校がオナニー選手権で優勝しただとか、やれオナニーバトルのランキングが変動しただとか、世間にオナニーが浸透し過ぎていてなかなか思うように検索出来ない。
今ならばオナニーバトルの二十四時間耐久オナニー部門で優勝出来るな、という確信を抱きながらスマホを操作し続ける尾奈であったのだが、
「む、発情した」
検索結果の副産物、多数のオカズにあてられてしまった。
「あんっ」
故に、本日十一回目のオナニーを敢行するのであった。
――――――
「他の患者、ですか?」
「はい。他の人ってどうしてんのかなーって」
定期検診の際、尾奈は能天気にそう切り出した。
「流石にそれは言えませんよ」
が、当然の答えが返ってきた。守秘義務というものがあるのである。
「どうしたんですか急に」
「んー、深い意図は無いんですけど……」
曰く、同じ難病を抱える者同士で話をしてみたい程度の安易な考えらしい。
しかし、それを受けて一度は否定した医師は少し考えるそぶりを見せる。
「……いや、あの子にはそれも必要、か」
「え?」
「分かりました。先方が承諾したならば紹介しましょう」
「あ、え、良いんですか?」
流れ的に叶わないだろうと諦めていた尾奈であったが、医師の急な方針転換に思わず聞き返してしまう。
「はい。まぁ承諾されるかは分かりませんが」
――――――
そんなやり取りがあった事すら忘れた頃、医師から尾奈のもとへ連絡が入った。
『先方から承諾を得られました』
『は……んっ……あ、はい』
『病院ではない場所で会いたいという事でしたので、この場所で待ち合わせしてください』
『あんっ!』
『……聞いてますか? というか、もしかしてオナニーしてますか?』
『んぅっ! あ、はい、オナニーしてます』
『通話中くらい我慢なさい……』
『だってお腹すいたんですもん……ぁっ……』
『く、それを持ち出されると何も言えないのが腹立たしい……とにかく、この日のこの場所この時間、忘れないでくださいね』
『ぁっ、ぁっ、いっ、く……‼︎』
『忘れ、ないで、ください、ね?』
『あ、はい、すみません忘れません』
オナニー中だったので仕方ないのである。
とはいえ、セッティングされた日時を忘れる事なく、尾奈はウキウキしながら指定された場所へと向かったのだが、
「えっと、
「はい……尾奈さん、ですよね?」
そこに居たのは、なんとも内気そうな少女だった。
「あー、その、HMSの人、で合ってる?」
「……はい、そうです」
病の名を出されて少女、静子は小さな身体を更に小さく縮こませた。
……その反応に尾奈は思わず面食らってしまった。
どう見ても年下で、高校生になっているかすら分からない程の外見。そんな静子の見せた反応はHMSである事を嫌がっているかのような仕草。
もしかしたら、歳若いこの少女はHMSという訳の分からない病気に対して、歓喜した自分とは違って不安を抱えているのかもしれない。
普通の反応とは、こういうものなのだろうか。
「……?」
そんな風に尾奈が思考を回転させていると、静子がおずおずと見上げてきていた。
どこか助けを求めているかのようなその姿に確信する。彼女は、HMSに対して負の感情を抱いている、と。
だから尾奈は決心した。
「よし! まずは仲良くなろ!」
「ぇ、え?」
「お姉さんの行きつけの喫茶店行こっか」
「ぁ、ぇ、その……」
「同じ境遇の者同士、だけどHMSの事は一旦置いといて、友達になって欲しいなって」
「ぁ……」
尾奈の言葉に、静子の表情がようやく和らぐ。
だから、彼女は少女の手を取った。
「さ、行こっ」
「ぁわわ、は、はい……っ」
そうして、能天気を装った……実際能天気だが……尾奈は、あわあわと慌てる静子を引きずるようにして歩き始めたのであった。
――――――
それから自己紹介を経て、連絡先を交換し、二人は時折メッセージのやり取りだったり外に一緒に出かけたりしていた。
……まぁ内気な静子を半ば無理矢理に尾奈が連れ出していたのだが。
しかしそれが功を奏したのか、次第に静子は尾奈へ懐きだし、年は少し離れているものの親密な関係を築いていた。
「尾奈さんっ」
「お、静子ちゃんやっほー」
「お待たせ、しましたっ」
「んーん、今来たとこ」
「ぁ……えへへ」
「ん? どしたの?」
「なんというか、その、デートみたいだなって」
そして今日も、互いの休みが重なったこの日も二人は出掛ける約束をしていたのだった。
ラフな格好の尾奈に対し、静子はゆめかわいい系の青のワンピース。少女の気合の入れ方からして、よほど今日の事が楽しみだったらしい。
「よしっ、じゃあ今日は静子ちゃんをエスコートしないとね」
「いつもしてもらってますよぅ」
「そうだっけ?」
だいたい能天気な尾奈が大人しい静子を振り回している事が多いのは事実である。
行動範囲の狭い静子を喫茶店やらブランドショップやら、いろんな場所へと連れ回し、初めての経験、というものを多数与えていた。
だがそれに対し静子は嫌がったりもせず、
『えへへ、大人になったみたいで嬉しいです』
のような反応を見せるものだから、尾奈も尾奈で静子を非常に可愛がるのも無理はない。
今日もそんな静子を更に着飾るべく、まだ行った事のないアパレルショップに連れて行こうとしていた。
「じゃあ行こっか」
「はいっ」
していたのである。
「ぇ……」
急に、静子の体勢が崩れ落ちた。
「静子ちゃん⁉︎」
手を繋いでいたが故に倒れるという事態にはならなかったものの、へたり込んでしまった静子の様子に尾奈はひどく動転する。
「だ、大丈夫⁉︎」
「ぁ、れ……?」
声をかけるも、静子から返ってきたのは自分でも理解出来ていないようなそぶり。
尾奈の背筋が急速に冷える。
何故、どうして。さっきまで元気そうだった。何かしないと。何も出来ない。医者。救急車。
……そこまで考えて、思い至った。
「静子ちゃん、もしかして、オナニー、してない?」
故に、静子の身体を支えながら、小声で問い掛けた。
「…………っ」
それに対して彼女は顔を赤くさせ、直後、顔を青ざめさせた。
故に尾奈は確信する。
「どれくらいしてないの……っ」
「ぁ……一週間、くらい、です」
「っ⁉︎」
HMS患者の主食はオナニーである。食料を摂取する事は出来ても、オナニーによる栄養補充をしなければ、死に至る。
……人は、そう絶食出来るものではない。成人している者でも一週間から二週間ほどで限界が訪れる。
つまり、静子はどう考えても限界だった。
「今すぐ帰ろう! 送るから!」
故に即断即決。一刻も早く静子を家に帰し、オナニーさせなければならない。
「今日、は……親、が……」
「っ⁉︎ そ」
そんなのどうだっていい。そう口走りそうになる尾奈であったが、静子の恥ずかしがりな気質からして、それはあまりにも酷い言葉なのだと思い至る。
だから考える。考える。考える。
静子は今すぐオナニーしなければならない。だが家では出来ない。ならば何処かへ連れていく。救急車、病院。否、親の居る自宅ですら恥ずかしがる彼女が病院でなんて出来る筈がない。ならばここから近い場所。彼女が恥ずかしがらない、最適な場所。
そんな都合の良い場所。
「っ! タクシー!」
だから、尾奈は通りがかったそれを呼び止めた。
「静子ちゃん! もう少し頑張ってね!」
「は、ぃ……?」
――――――
「ここ、は……」
意識を朦朧とさせる静子を連れてきたのは、ラブホテルだった。
「……静子ちゃん」
「は、ぃ……?」
「私はお風呂場にいるから、ここで、オナニーして」
あまり力の入らない状態の静子にそう語り掛ける尾奈。
「ぇ……? ……っ⁉︎」
最初はその言葉の意味を理解出来ない様子の静子であったが、時間差で脳に浸透し、一気に顔を赤く染めた。
「恥ずかしいとは思う。でも今やらなきゃ、静子ちゃん、死んじゃう」
日々の付き合いの中で、静子は元々オナニーの頻度が高くないのを尾奈は知っていた。むしろ恥ずかしくて仕方がなくて敬遠している節がある事さえ知っていた。
だが、今はそんな場合ではない。
「……ちゃんと、するんだよ?」
「ぅ……」
そう言って、尾奈はベッド上で真っ赤になっている静子を置いて、お風呂場へと向かった。
――――――
三十分ほど経過しただろうか。
やけに静かな気配に一種の確信を抱きながら尾奈は浴室から顔を出す。
「……静子ちゃん」
そこには、ベッドの上で三角座りをしている少女の姿があった。
「……なんでオナニーしてないの」
その言葉に、静子は顔を上げる。
「……尾奈、さん」
今にも泣きだしそうな顔だった。
その表情を直視した尾奈は思わず顔を歪める。
「……死にたく、ありません」
ぽつり、と紡がれる言葉。そこにはいかほどの意味が込められている事だろう。
ある日急に、貴女はオナニーしなければ死ぬ体になりました、と通告されて受け入れられる人間はいる。オナニーが普及したこの世界の住民ならば、尾奈のように歓喜する人間もいるだろう。
「……でも、オナニー、嫌、です」
だが静子は違う。
オナニーとは恥ずべきもの、秘すべきもの、と考えている。
それは一昔前の慣習のような考えであったものの、そういう思想を持つ者は珍しくもない。
「……そっか」
だから尾奈は、平静を装いながら、その実非常に焦りながら思考を回転させる。
HMS、未だに全貌が明らかになっていない病。唯一分かっているのはオナニーしなければ死ぬという事。セックスではダメだという事。
つまり、性的快感さえあれば良いというわけではない。患者自身が自身で性的快感を貪らなければならない。
「静子ちゃん」
だから、尾奈は決心した。
「手伝うよ」
「……手伝、う?」
「静子ちゃんのオナニー、手伝うよ」
「ぇ……? え?」
「セックス一歩手前の事をしよう」
「ふぇっ⁉︎」
「具体的には乳首アシストします」
「乳首アシスト⁉︎」
尾奈の言動で一気に素に戻る静子。
だがそんな彼女の様子を気にかけない……フリをして……にこやかにベッドの上へと移動した。
「ぇ、あ、え、あの⁉︎」
「はいバンザーイ」
「あっはい、って、えええええ⁉︎」
そしてあわあわしていて理解が追い付いていない静子のかわいらしいワンピースを後ろから一気に脱がせ、有無を言わせず、ぷちん、とこれまたかわいらしい白いブラのホックを外した。
「ちょおーっ⁉︎」
「うん、綺麗なおっぱい」
「見ないでください⁉︎」
現れたのは小振りながら形の整った、本人の気質を表現するようなかわいらしい双丘。
「ちょ、ま、ちょ、ええええ⁉︎」
「はいはい騒がなーい」
「騒ぎますよっ⁉︎」
「いーっぱい乳首クリクリしてあげるからねー」
「んにゃぁーっ⁉︎」
それを尾奈は問答無用に、だが優しく、ふわり、と両手で包み込んだ。
「おお、やわらかい」
「尾奈さんっ⁉︎」
「もみもみしちゃうぞっ」
「尾奈さんんっ⁉︎」
顔を真っ赤にして抗議する静子であったが、慕っている尾奈に対して強硬手段に出られる筈もなく、パニックになりながら狼藉を受け入れる事しか出来ない。
「ぅ……ぅぅ……」
言葉とは裏腹に、尾奈は成長期である彼女に痛みを与えぬよう揉み込んだりはせず、ゆっくりとその表面を撫でさすり始めた。
静子はそんな尾奈の腕をひしっと掴む事で抗議するも、内気な彼女がそれ以上何も言える筈もなく、ただなすがままにされる。
「は……ぅ……」
だから、恥ずかしい、という想い以外のものが、生まれ始めた。
「ん……ふ……」
自分で開発していないとはいえ年頃の敏感な身体。そこに熟練の愛撫が施されて快感が生まれない筈がなかった。
乳房と身体の境界線をなぞられる度に、柔らかな乳房の表面をなぞられる度にゾクゾクとした感覚が静子に送り込まれ、呼吸が僅かに深くなる。
「ゃ……尾奈、さん……」
思わず振り返って尾奈を見上げる静子。
だがそこにあったのはいつも通り優し気な、どこか能天気な笑顔。
だからこそ意味が、意図が分からなくて、ただ困惑しながら胸から生まれる感覚に目を白黒させる事しか出来ない。
「あっ!」
だから、胸先に指を当てられた瞬間、大きな声が出てしまった。
「んんっ! ふっ……ん、ん……」
それを誤魔化すようにして咳払いして口を噤む静子。
しかし乳首に当てられた指は離れる事なく、ゆっくり、ゆっくりと円を描き始めた。
「はっ……ぅ……んぅ……」
乳房に施されていたような優しい愛撫。
だが、比較的性感が薄い胸の膨らみとは違い、性感帯の塊である乳首にされるそれは静子にとって劇的な変化だった。
「ん、く……ぅぁ……んんっ……」
快感が発生する。紛う事なき快感が胸先から発生する。
すりすりと乳首の頂点が優しくゆっくりと撫でられ、ぴくん、と身体が動いてしまいそうになるのを必死に堪える静子。
そんな彼女をもっと感じさせるべく、尾奈はその行為を続ける。
「はぅ……んっ……んっ……」
ゆっくり、かわいらしい薄桃色が起立していく。こんな状況で始まった事とはいえ、身体は正直に快感を表現し始める。
硬くなった乳首はより撫でやすい形となり、静子の胸の奥に疼く何かが蓄積されていく。
「ぁ……ふ、んっ……は、ぁ……」
吐息が、明確に湿っぽくなっていく。
尾奈の暴挙を止めようと腕を掴んでいたその手は、もう力がほとんどこもっていない。時折ぴくん、ぴくん、と反応するだけで、止めようとする意思が感じられない。
もう、静子は快感を受け入れていた。
「ぁん……っ」
だから、尾奈は僅かに指先へ力をこめた。
「は……ん……んぁっ……」
くにゅり、と少しだけ押し潰される乳首。
今までの優しい刺激とは異なる、少しだけ鮮烈な快感が静子の胸先から発生する。
「ぁ……ふ、ぁ……んんっ……」
そのままコロコロと乳首が転がされ、先端だけ気持ちよかったものがその根本に至るまで刺激の範囲が広がり、静子の呼吸がまた僅かに乱れる。
成長期の胸の痛みに干渉しないような、乳首だけを狙った愛撫。それは静子が経験した事のないような快感で、思わず身体がくなくなと揺れてしまう。
「あぅ……っ!」
だから、尾奈の手付きがまた変わった。
「ふぁぁ……んぅ……んん……っ」
今まで一本の指で撫でられていたものが二本の指により摘まれ、そのまましゅりしゅりと乳首の全周が愛撫され始める。
「はぁぅっ……んっ……ぁん……っ」
反応が段違いだった。
僅かに揺れるだけだった静子の身体がぴくんっと跳ね、くっと背が反る。
胸が前に突き出され、それが気持ちいいです、もっとして欲しいです、と本人が恥ずかしくて言えないような事を身体が表現する。
「ぁ……ぁっ……あっ……あぅ……っ」
そんな快感に比例するようにして、静子の声が高くなっていく。
だから尾奈は形が変わらない程度の力で乳首を扱き、もっと気持ちよくさせるために、もっと快感を欲するようにして愛撫を続ける。
「んんっ……あっ……んぅぅ……っ」
上半身のものだけだった身体の揺れが、下半身にも伝播していく。胸の先端に蓄積された快感が脳へ浸透していき、その脳からお腹の奥へと熱い何かが送られる。
「はぁっ……んんっ……ぁん……っ」
静子の脚が、もじもじと、擦り合わされた。
まるでそこの付け根が気になるとでも言うように、僅かに湿ったそこが切ないとでも言うように。
「ふぇ……?」
だから尾奈は、静子の利き手を、そこへと導いた。
「……静子ちゃん」
「尾奈、さん……?」
耳元で、熱っぽく尾奈が囁く。
「今、ここ触ったら、とっても気持ちいいよ……?」
「……っ!」
かぁっ、とこれ以上ない程に静子の顔が赤くなる。
自分の疚しい感情が見透かされたと感じ、途方もない羞恥に襲われる。
「ね……オナニー、しよ……?」
だが尾奈は囁き続ける。
乳首を優しく愛撫しながら、女の子が一番気持ちよくなれる場所へと指を導きながら、静子を誘惑し続ける。
「切ないよー、って言ってるここ。触ったら、絶対気持ちいいよ……?」
「ぁ……」
ぴと、と華奢な指が、下着の上に充てがわれた。
「くにくにーって、してごらん……?」
そのまま、尾奈の手が離れる。
だが、静子の指は、そこに残された。
「また乳首してあげるから……一緒に、しよ……?」
「ぁ……んぅ……っ」
一旦止まっていた乳首への愛撫が再開される。しゅにしゅに、と先程静子が一番反応していた愛撫が再開される。
「んあっ……ぅ……はぁ……っ」
くなくなと上半身が揺れる。
もじもじと脚が絡み合わされる。
その間もずっと尾奈は、オナニーしよ、気持ちいいよ、と囁き続けている。
「ぁっ……はあっ……ん、あ……っ」
静子の目線があちこちに動く。何かを求めるように、何かから逃げ出そうとしているように、何か言い訳を探しているように。
「ぁ……」
だが、目に入った。入ってしまった。
尾奈の指が、真っ赤になった自分の乳首が、くなくなと揺れ動いている自分の身体が、もじもじ擦り合わせている自分の脚が。
そして、下着の上に置かれた、自分の指が。
「は、ぁ……はぁっ……はあ……っ」
もう目が離せない。そこから目が離せない。一番気持ちよくなれる場所から目が離せない。
少しだけ動かせば、指が届く。切なくて堪らない場所に、指が届く。絶対に気持ちいい場所に、指が届く。
呼吸が深くなる。
お腹の奥が熱くなる。
もう指先はじりじりと動き始めている。
止めなくては。止めなくては。そんな恥ずかしい事をしてはいけないから止めなくては。
「ふあ……っ!」
だから、静子はそこに触れた。
「ぁ……あ……あ……っ!」
途端に、満たされた。
これが欲しかったのだと、身体はこれを求めていたのだと即座に理解した。
「んぅ……っ!」
だから、もう静子は止まらなかった。
そこに、クリトリスの真上に置かれた指はすりすりと動き始め、乳首からの快感で興奮しきっていた突起が癒されていく。
「ふぁあ……っ! あっ、んぅぅ……っ!」
もう脚は絡み合っていなかった。
力がこめられていたそこからは力が抜け、指先の動きを阻害しないように軽く開かれている。
その付け根には、かわいらしい白の下着。
その中心には、初々しい動きの指。
「ぁうっ……! んっ、んっ、んっ……!」
硬くなっていたクリトリスの輪郭を確かめるようにして、くるくると円が描かれる。
それは軽いタッチではあったものの、身体の中で一番敏感で一番気持ちいいその場所は腰が勝手に浮いていくような気持ちよさで、もはや恥ずかしいという感情すら湧いてこない。
「はぁうっ……! あっ……! あんっ……!」
夢中だった。クリトリスを撫でる事に夢中だった。
パンパンに腫れ上がったそこを癒すようにして指を動かすとジンジンとした快感が広がり、お腹の疼きが治っていくのと同時により膨れ上がっていく。
だから、クリトリスオナニーが止まらない。
「ふぁっ……! あっ、んっあっ……!」
すりすりと下着の生地さえ動かないような手付きは、今では下着の内に潜んでいるものをくにゅくにゅと明確に刺激するようなものへと変わっていた。
下着、包皮、と二段階の防護があるにも関わらず、それは静子に今まで以上の快感を与え、腰がひくん、ひくん、と不随意に動いてしまっている。
「あんっ……! んんっ……! んぁあっ……!」
それに加えられるのが胸への刺激。
発達途上の乳房が優しく撫でられ、性感帯の乳首が優しく擦られ、上半身に甘い甘い快感が常に発生している。
静子が触っているのはクリトリスだけだというのに、同時に胸が気持ちいい。
それは正に、贅沢なオナニーだった。
「ぁっ……! あっ……! あぁっ……!」
だから、静子の指がますます早くなっていく。気持ちよくて仕方ないから、もっと気持ちよくなりたいという淫らな願望を叶えるためにクリトリスを捏ね回す。
「んぅぅっ……! あっ……! はぁうっ……!」
かわいらしい下着の中心に、僅かな染みが浮き上がる。未成熟な性器から、おまんこから布地を貫通するほどに愛液が溢れ出ていた。
だが静子はそんな事に気付かない。クリトリスを捏ねる事に夢中で、そんな事に構っていられない。
「ふあっ……! あっ、あっ、あっ、あっ……!」
何故ならば、至ろうとしていたから。一番気持ちいい瞬間を迎え入れようとしていたから。
「んんっ……! はあっ……! あっぅう……!」
激しさが、増した。
夢中になってクリトリスを捏ね回していた。
布地が常に円状に歪み、それが速さを、強さを物語っている。
「ひんっ……! ぁんっ……! んんっ……!」
だから尾奈もそれに合わせる。
静子のオナニーを阻害しないように、だがよりサポートするようにして乳首に対する愛撫を強めていく。
「あっ……! あっ……! ああっ……!」
乳首から体験した事のない快感が生まれる。クリトリスから今までで一番の快感が生まれる。
上半身が尾奈に押し付けるようにして反っていく。腰がかくんかくんと上下する。脚が足先に至るまで一直線になる。
身体がその瞬間を迎える最適なカタチになる。
だから止まらない。オナニーが止まらない。
クリトリスをもはやがむしゃらに掻き回し、脳を灼き尽くすような快感に没頭する。
そこに恥ずかしがっていた少女の姿などどこにも無い。そこにあるのは快感を貪っている女の子の姿だけ。
乳首が気持ちいい。
クリトリスが気持ちいい。
オナニーが気持ちいい。
満たされる。
満たされる。
満たされていく。
「んあっ!」
満たされた快感が、爆発した。
「ああっんんんぅぅぅぅぅう……‼︎」
ぴくんっ、と静子の身体が僅かに浮いた。
尾奈に身体を完全に押し付け、腰をベッドから離し、脚を一直線にしてその瞬間を享受する。
チカッチカッと視界が煌めき、思考が真っ白に染まる。
その瞬間クリトリスから指先は離れ、快感を内側に封じ込めるかのようにしてぎゅっと拳が握られる。
それと同時に尾奈も乳首から指先を離し、静子が自涜に耽っていたものとは反対の手から力強く握られるままにする。
そんな姿勢のまま、静子はふるふると震え、約一週間ぶりとなる絶頂を噛み締めていた。
「はあ……! んくっ……! ん……!」
それが十数秒続いただろうか。
強張っていた全身から力が抜けて荒い呼吸をした、と思った瞬間、荒ぶっていた心臓が急速に平時の状態へと戻る。
HMSの特徴である疲労回復。
それはつまり、乳首アシストがある状態でのオナニーも有効であったという証拠。
「ぁぅ……」
が、そんな事は本人にはどうでも良かった。
「ぅぅぅぅぅぅ……」
途方もない恥ずかしさがやって来ていた。
オナニーする事さえ恥ずかしくてたまらない、という少女が、まさかの乳首アシストされながらのオナニーである。そりゃ恥ずかしいにも程がある。
「ちゃんとオナニー出来たね、良い子良い子」
「ぁぅぅぅぅぅ……」
しかもそれを褒められる。頭を撫でられる。
もう羞恥の極みだった。
「じゃ、二回戦ね」
「!?!?!?!?!?」
が、そんな静子の恥じらいなど気にする様子もなく、尾奈は能天気にそんな事を言い出した。
「一週間分、いっぱいオナニーしよっか」
「ふぇぇっ⁉︎」
一週間の絶食。そんなものがたった一食で補われる筈がない。
これが単なる食事であれば、胃に負担がかかる、などといった事があるのかもしれない。
だが、HMSにそんなもの、関係なかった。
「はいパンツ脱ぎ脱ぎしようねー」
「ちょおおおおおおっ⁉︎」
故に、動転しまくりな静子を無視するようにして、尾奈は下着をひっぺがした。
その中心部はぬるぬるしていた。
「今度はおまんこアシストしたげるから」
「おまんっ⁉︎」
更に、後ろから支えていた姿勢を抜けだし、静子をベッドに沈め、正面から両脚をパッカーンと開いた。
その中心部はぬるぬるしていた。
「尾奈さんんんっ⁉︎」
静子はそりゃもう動転するなんてもんじゃなかった。
乳首アシストされて絶頂してしまった、という事実が時間差で襲い掛かってきて頭が沸騰しそうになっているのに、二回戦、おまんこアシスト、お股パッカーン、である。そりゃもう沸騰通り越して気絶しそうである。
「あああのあのあのあのもういいですからっ⁉︎」
「ダメです」
「ダメぇ⁉︎」
故に抗議したものの、それは即座に棄却された。
「十回はイってもらいます」
「じゅう⁉︎」
「あ、もちろんオナニーでね?」
「そういう問題ではなくてですねっ⁉︎」
「はいおまんこぬぷー」
「んぁあっ⁉︎」
という訳で、無慈悲に尾奈の薬指が静子のおまんこの中に挿入された。
「おぉ、きつきつ」
「ちょま、ま、ま、あのっ⁉︎」
「あ、そっか。静子ちゃん中はあんまりしない?」
「そういう問題ではなくてですねーっ⁉︎」
「じゃあおねーさんが開発したげよー」
「ひぁああ⁉︎」
という訳で、ぬぷぬぷと抽送が始まった。
「ちょっ、んっ、尾奈さんんんんっ⁉︎」
無論、静子の抗議など尾奈は聞かない。彼女には少女がオナニーしたくなるような気持ちいい事を与える義務があった。
そう、義務なのである。決して、静子ちゃんを気持ちよくするのが楽しくなってきた、とかそういうのではないのである。
「ぅぅぅぅぅぅぅ!」
もはや涙目になる事しか出来ない静子。
……なのだが、目線は尾奈の指に固定されていた。
視線の先でゆっくり、ゆっくりと抜き差しが繰り返されている。おまんこの中はこんなにも濡れたぎっている、という証明が指に纏わりつき、ここまで入った、という証明が光を僅かに反射している。
そんな光景から、自分でシた事も見た事もない光景から、目が離せなかった。
「はぅ……ん……ぅぅぅ……」
だから、顔を真っ赤に染めながら、抗議が弱まっていく。
くちっ、くちっ、という音が静かに鳴り、その音が更に羞恥をかき立てる。
だが、そんな恥ずかしいものから気を逸らそうとすると、中に何かが入っているという異物感が気になりだした。
「んっ……んぅ……」
自分では怖くて、中に何かを入れるなど出来やしなかった。そもそも指入れオナニーなんて恥ずかしくて出来やしなかった。
それが今、脚を大きく広げさせられて、おまんこに、指を入れられている。
「ふ……ん……ぁぅ……」
おろおろと視線があちこちにいく。
上に、右に、左に、正面……から尾奈の顔を見るのは極限に恥ずかしかったので下に。
「ぁ……」
再び、直視してしまった。
自分の中に確かに尾奈の指が入っている事を。
その指がぬるぬるとしたものでコーティングされている事を。
恥ずかしい音と共にそれが抜き差しされている事を。
「ぅぁ……はっ……んん……」
何かが、切り替わった。
異物感が大きいのは変わりない。だが、それと同時に、何かぞわぞわするような奇妙な感覚を静子は感じ始める。
「ゃ、ぁ……んっ……んぅ……」
抜かれる度に奇妙な感覚がする。
挿入される度に奇妙な感覚がする。
未成熟な静子のおまんこは、それを快感とは認識しない。だが、確かな何かが、おまんこから立ち昇ってきている。
「尾奈、さん……なんか、変、です……っ」
「変?」
「すごく、んぅぅ……ぞわぞわって……っ」
「そっかぁ」
だから素直にそれを吐露した。
恥ずかしいのは変わらない。変わらないのだが、それ以上にこの奇妙な感覚をどうにかして欲しかった。
「じゃあここは?」
「ひぁあっ⁉︎」
だから、尾奈はおまんこの中で
「なんか、もっと、ぞわぞわ、します……っ!」
よく分からない何かを訴える静子。
それに対して尾奈は一つ頷く。
「ん、慣れていないならそれで合ってるよ。」
「合ってる……んぅ……ですか……?」
「そーそー。」
くちっ、くちっ、と膣口を鳴らしながら、尾奈はそのスポットを撫で続ける。
無論それにより静子はぞわぞわを絶え間なく感じる事となり、くなくなと腰を揺らめかせてしまい、そんな自分のはしたない姿に更に赤面してしまう。
「さっきみたいにクリトリス、触ってごらん?」
「ふぇえ⁉︎」
そんな矢先、尾奈から指示が出た。
「でっ、出来ませんよっ⁉︎」
が、そんなものに静子が、はいそうですね、と従える筈がない。
なにせ、先程とは状況が違い過ぎる。
下着を脱ぎ、中に指を入れられたまま、尾奈におまんこを直接見られている状況なのだ。
それだけでも頭がパーになってしまうほど恥ずかしいというのに、目の前でガン見されながらオナニーするなど、想像するだけで死んでしまいそうになる。
「んー、じゃあ仕方ない」
「はぁうっ⁉︎」
だから尾奈は、ひくひくと存在を主張している静子のかわいらしいクリトリスに、何の前触れもなく触れた。
「尾奈さんんんんんっ⁉︎」
これ以上ないと思っていた動揺が更に上書きされる。
だがそんな静子の必死な叫びを黙殺して、尾奈は指を動かし始めた。
「んんんぅぅっ!」
下着越しでないその刺激は、目を白黒させる程の激感だった。
静子とてオナニーする際はクリトリスに直接触る事はある。視界がパチパチする程の快感を得た事もある。それで絶頂した事だってある。
だが、
「んあっ! ぁあぅっ!」
経験した事のない何かが、腰から生まれていた。
「なん、でっ! ふぁああっ!」
今自分の身に何が起きているのかを理解出来なくて、思わず再度視線を下腹部に向ける。
自分の中に消えた指。その少し上で尾奈の指先がゆっくりと動いていた。
「あっ! んんっ! んんっ! んんぅぅっ!」
ゆっくり、ゆっくりと指先が円を描いている。
生のクリトリスを潰さないよう、包皮の上から優しく優しく撫でている。
それは静子のオナニーと似ていた。自分がやっているものと似通っていた。
だが、それが他者からされている、というのを抜きにしても、異様な快感が発生している。
違いがあるとすれば、中に入れられている、という事だけ。
「んんんんぁっ! あぁっ! はぁぅっ!」
「静子ちゃん、中の素質あるねー」
「んゃぁっ! そん、なのぉっ!」
「ぞわぞわが広がって、クリがじんじんして、それが混ざって、すっごく気持ちよくない?」
未知の感覚に翻弄されている中、尾奈から問いが投げられる。
正にその通りだった。
ぞわぞわが腰全体に広がっている。クリトリスから覚えのある快感が発生している。それらが混ざり、痺れるような、蕩けるような、だが嫌ではない感覚が襲いかかってきている。
「ふぁああっ! あっ! んんぅぅっ!」
だから静子は、目を白黒させながら悶える事しか出来ない。
問いを肯定すれば自分がいやらしい事を認めてしまうから、問いを否定すれば自分に嘘をつく事になるから、だからその身をくなくなと揺らしながら、出した事のないような声をあげる事しか出来ない。
「ぁっんっんっあっ! ひぅんんんっ!」
くちょ、くちょ、と粘ついた音が静かに鳴る。それと同期するようにしてゆっくり、ゆっくりとクリトリスが撫で回される。
自分がやっているオナニーと違うところは、おまんこに指が入っているか否か、というだけなのに快感の量があまりにも違い過ぎてそれを処理する事が出来ない。
「んゃああああああっ⁉︎」
なのに、唐突に快感が爆発した。
「はぁあんんんっ! ああっ! あっあぁぁあっ!」
クリトリスが、苛められていた。
今までのは下準備だった、と言わんばかりにクリトリスが左右にくにゅくにゅくにゅっと無音で高速でなぶられていた。
「おなさっ! だめっ! それだめぇぇえっ!」
またもや体験した事のない快感。先程までのものでも経験した事のない快感であったのに、それを遥かに上回る快感が発生する。
それがあまりにも気持ち良過ぎて静子は思わず叫ぶ。こんな事をされてしまったらどうにかなってしまうと必死に泣きつく。
「んぁああああっ! あああっ! あぁぁあっ!」
だが尾奈はそれを止めない。続ける。ひたすらにクリトリスを苛めぬく。
熟練の指遣いは静子に痛みなど一切与えない。許容量を遥かに上回る快感を与え続ける。
「ああっ! ああっ! あああっぁぁああっ!」
だから、急速に静子は至ろうとしていた。
ぐぐぐっと腰が持ち上がり、おまんこが急激に収縮し、それによりぞわぞわがより強くなり、それがクリトリスからの快感と混ざり合い、脳内が気持ちいい気持ちいい気持ちいいという原始的な感情に埋め尽くされる。
お腹をひくひくと上下させ、拳をぎゅっと握り込み、両脚をピンッと伸ばして無意識に一番気持ちいい体勢を取ってしまう。
「ふぁあああああっ! ぁあっ! ……は、ぇ?」
だが、唐突に快感が止んだ。
「んくっ……は……はぁっ……はぇ……?」
あれだけ苛め抜かれていたクリトリスから、尾奈の指が離れていた。
「静子ちゃん」
「は、い……ぇ……え……?」
ドクドクと心臓が早鐘を打っているのを感じながら、静子は困惑していた。
イきそうだったのに。あと少しでイきそうだったのに。あと少しでイかせてもらえそうだったのに。
「っ!」
そんな思考に辿り着いた瞬間、静子は思わず顔を覆った。
自分のあまりにも浅ましい感情をついに処理出来なくなり、羞恥を越えた何かで思考が埋め尽くされる。
だが、そんな彼女に対し尾奈は静かに語りかける。
「オナニー、しよ?」
「ふぇ……?」
理解出来なかった。熱暴走している脳ではそれを理解出来なかった。
「ほら……」
だから尾奈は、顔を覆っている静子の手を、優しく、ゆっくりと下へ導いた。
「クリトリス、ジンジンしてるよね?」
していた。今まで受けた事のない刺激を与えられ続け、クリトリスがジンジンと掻痒感にも似た何かを訴えていた。
「おまんこ、ぞわぞわしてるよね?」
していた。今もなおGスポットが緩やかに撫で回されていて、お腹がぞわぞわするような感覚が止まらなかった。
「今オナニーしたら、絶対気持ちいいよ?」
言われずとも、その確信はあった。
何故ならあそこへ導かれた自分の指が、今にもクリトリスへと無意識に着地しようとしている。
「ほら……」
「ぁ……」
だから尾奈は、寸前で停止していたその指先を、触って欲しい、気持ちよくなりたい、と自己主張しているクリトリスへと、優しく着地させた。
「ぁ……ぁ……」
それ以上、何も言わない。何も促さない。
だが、おまんこの中をくちゅくちゅと優しくかき回し続ける。
「ぅぁ……ぁ……っ」
おまんこがぞわぞわする。
クリトリスがジンジンする。
「は、ぁ……ん……はっ……!」
一点が、クリトリスに接触している一点が異様に気になる。
「はぁっ……んっ……はぁっ……!」
今これを動かしたら、絶対に恥ずかしい。
今これを動かしたら、絶対に気持ちいい。
今これを動かしたら、絶対に止まらない。
今これを動かしたら、絶対にダメになる。
「んぁああああああああああっ!」
だから、動かした。
「ああぁあっ! んゃぁああああっ!」
いつもの通り、くにゅくにゅとクリトリスを優しく撫でる、なんて事はしなかった。
そんな事で飢えが満たされるとは思っていなかった。
「はぁぁああぅうっ! あっ! あっあっあぁあっ!」
静子は、クリトリスをなぶっていた。自分で、クリトリスを苛め抜いていた。
尾奈から施されたような横方向への刺激。指先を揃え、クリトリスを中心にくにゅくにゅくにゅくにゅっと無音で高速で左右に動かすやり方を自らの意思で実践していた。
「ぁぁぁぁもうだめぇぇぇえええっ!」
だから、一瞬にして至ろうとしていた。
じっくりと煮詰められ、絶頂を寸止めされ、快感が頂に至るまでの距離は、ほぼゼロ。
「んんんんゃぁぁああああああああっ‼︎」
びくんっ、と静子の身体が跳ねた。
両脚が静子を挟みながらピンッと一直線に伸び、くんっと腰が浮く。
全身がかぁっと熱くなり、思考が気持ちいいで汚染される。
おまんこが急激に収縮し、尾奈の指をぎゅぅぅと締め付ける。
ドクドクと心臓が早鐘を打つ。
しかし、その反応は急速に収まる。疲労回復の効果が十全に発揮され、平時の状態へと戻ろうとする。
だが、
「ふぁああああっ!」
止められなかった。クリトリスを苛める事を止められなかった。
「んんんんんんあっ! ひぁぁぁああああっ!」
絶頂から急速に戻ろうとする。HMSの特性により快感の余韻が霧散しようとする。
なのに、おまんこはぞわぞわする。クリトリスはジンジンする。それらが混ざり合って気持ちいいが止まらない。
「とまんなっ、とまんないぃっ! んぁあああっ!」
だからもう自分の意思では止められなかった。
身体が半永久的に快感を追い求め、ずっと気持ちいい事を貪りたくて、止めたくても指先が言う事を聞いてくれない。
「だめだめだめまたっ! あっあっぁああああっ‼︎」
だから、もう一度頂を越えた。
目をギュッと瞑り、足先に至るまで力をこめ、なんとかこの衝動を抑えようとする。
が、もう止まらない。
「んゃぁぁあああっ‼︎ ふぁぁああああっ‼︎」
常に絶頂しているようなものだった。
クリトリスを左右に捏ね回している指の動きは更に激しさを増し、脳に突き抜けるような快感が一瞬毎に最高記録を更新していく。
「はぁあっぁああっ‼︎ んあっ‼︎ ああっぁあっ‼︎」
それを目の当たりにしていた尾奈は、ゆっくりおまんこをかき回していた指を、停止させた。
「ああっ‼︎」
だが単に停止させたわけがない。
静子のGスポットを正確に捉え、指先を
「んんんんんぁあああっ‼︎ あっあつあっああっ‼︎」
止まった。確かに尾奈の指は止まった。
だが静子を襲うぞわぞわは、止まるどころか更に強くなった。
「ああっぁぁああっ‼︎ んぁっあああぁあっ‼︎」
腰が浮いた状態でのGスポット圧迫。
それは下半身の体重がその一点にかかるという事。
だからぞわぞわが強まる。それがクリトリスからの強烈な快感と混ざり合う。快感が、爆増する。
「ひぁぁぁああっ‼︎ んあっ‼︎ ああぁあっ‼︎」
静子は泣いていた。啼き喚きながら、この快感をどうすれば処理すればいいのか一切分からず涙をポロポロとこぼしていた。
だが手が止まらない。指先が止まらない。快感の終わらせ方が分からない。
「あっ‼︎ あっあっあっんんんぁぁぁああっ‼︎」
だが身体は知っている。更なる高みがそこにある事を知っている。
未知が迫ってきているのを静子は感じた。怖いと感じた。自分が消え去ってしまうのではないかという恐怖を感じた。
「はぁっぁぁああんんんんんんんっ‼︎」
だから、指の動きが限界まで早くなった。
怖いものを早く無くしたいから、怖くなりたくないから、気持ちよくなりたいから、もっとイきたいから、終わらせたいから、終わりが見えたから、一刻も早くそこに辿り着かなければならないから限界までクリトリスを苛め抜く。
腰が浮く。尾奈の眼前まで高々と掲げられる。
足先に至るまで力がこもり、全身が弓形の状態になる。
クリトリスを苛めているものとは反対の手が何かに縋るようにしてシーツを全力で握り締め、ベッド全体に皺が寄っている。
嬌声が部屋中に響き渡る。
だが自涜の音はひたすらに静か。
おまんこの中の指は一切動かず、クリトリスは激しく揺さぶられたまま。
涙が溢れる。
気持ちよくて、怖くて、頭が破裂しそうで、意識が混濁して、何もかも処理出来なくて、最後の理性がこぼれていく。
「ああぁあっ‼︎」
だから、静子は何もかも手放した。
「んゃぁぁあああっ‼︎ ああっ‼︎ ああっ‼︎ ああっ‼︎ はぁぁああんぁぁぁああっ‼︎ ひあっ‼︎ あっあっあっぁっあぁぁっぁあああぁっぁああああああああああああっ‼︎」
思考が、停止した。
気持ちいい、という五文字すら浮かべられないほどに深く、高く昇り詰めた。
バチバチと視界が明滅を繰り返し、意識が飛んでいきそうになる。
全身に快感が走り抜け、脳が言葉に出来ない何かによって灼き尽くされる。
身体は弓形のまま。腰を高々と掲げたままに細かくぶるぶると震えている。
無意識の内に静子の指は止まっており、これ以上気持ちよくならないで、とばかりにクリトリスを押さえつけている。
おまんこは過去最大級の力で指を締め上げ、中から押し出された愛液がとろとろとかわいらしいお尻の方まで伝っていく。
尾奈はその様子を見て、くの字に曲げていた指先から力を抜いた。
「はあっ! はあっ……んく……」
それと同時、どさり、と静子の身体がベッド上に戻ってきた。
「…………」
HMSの特性が即座に発揮される。
荒ぶった呼吸は一瞬にして収まり、どこか具合の悪そうだった様子が欠片も見受けられなくなった。
「…………」
が、無言。
おまんこから指を抜かれても、クリトリスから指を離しても、無言。
「んにゃあああああああああああああああっ!」
そして壊れた。
「にゃああああっ! にゃあああああああっ!」
汗やら愛液やらに濡れた身体を丸めこませ、大声でにゃーにゃー鳴き始めた。
「やー、良いオナニーだったねー」
「ばかああああああああああああっ!」
だから尾奈は追い討ちをかけた。
無論、静子は吠えた。
「ばっ! にゃっ! んにゅぅううううううっ!」
もはや言葉にならないらしい。
恐らくは、なんて事言うんですか、なんて事をしてしまったのか、等といった意味合いが含まれているに違いない。
「よしよし良い子良い子、偉い偉い」
「ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
が、そんな思いを正確に読み取った尾奈は何も気にせず静子をよしよしした。
「よし、シャワー浴びよっか」
本当にマイペースである。
いや、尾奈なりに気を遣っているのである。本当である。
「ぅぅ……」
それを受けて静子はようやく呻き声をあげるのを止め、尾奈の方を見ないようにしながら身を起こした。
「洗ったげようか?」
「いらないですっ!」
尾奈なりに気を遣っているのである。本当である。たぶん。
そんな一幕はあったものの、静子は一人でシャワーを浴び、色々スッキリした状態で戻ってきた。
が、ぐちゃぐちゃに乱れたベッドは全力で見ないようにしていた。
「おかえりー」
「た、ただいまです……」
そんな静子を尾奈は能天気に迎える。
だからこそ静子は色々言いたい事が噴出し、口を開こうとしたのだが、
「お腹、いっぱいになった?」
「っ!」
出鼻を挫かれた。
だから、つい思わず全身の様子を探る。
「…………調子、良い、です」
あれほど日常的に感じていた倦怠感が、先程感じていた危機感が無くなっていた。
それはHMSの症状が、色々アシストがあった状態とはいえ、オナニーによって解消されたという事。
「……ありがとう、ございます」
だから、それが分かったからこそ、静子はお礼を言った。あのままだったら死を迎えていたと今ならばハッキリと分かるからこそ、感謝した。
が、顔は真っ赤だった。それはそれ、これはこれである。
「よし、じゃあデートの続きしよっか」
「ふぇ?」
「デート。服屋さんに連れてくって言ったでしょ?」
「ぁ……もうっ」
そんな静子の様子をまるで見ていないかのようにして、尾奈は能天気にそう提案した。
だから、尾奈なりの気遣いを感じた静子は思わず苦笑する
「オナニー記念で何か美味しいものも食べに行こ」
「~~~~っ!」
「ぁ痛っ⁉︎」
が、あまりにもデリカシーの欠ける発言で声なき声で叫んだ。
という訳で、しばらく尾奈を叩き続ける静子なのであった。
――――――
「やほー静子ちゃん、お待たせー」
そんな事件はあったものの、尾奈と静子の関係は良好なままだった。
「いえ、今来たとこですっ」
「あはは、デートみたいだねぇ」
「ですね、ふふ」
「じゃ行こっか」
「はいっ」
合流し、のんびりと歩き始める二人。
近況を話したり、趣味の事を話したり、その姿はまるで仲の良い姉妹のように見えた。
もうすぐ夏。
今日は一緒に水着を買いに行く予定だった。
だが、
「ぁ……」
「ん? どうかした?」
少し大きめのデパートへと向かおうとしていた最中、静子は尾奈の服の端をキュッと掴む。
「あの、えと……」
そのまま顔を俯かせ、何かを訴える静子。
「トイレ?」
「違いますっ!」
が、能天気な尾奈の指摘に思わず顔を上げた。
「ぅっ……あのっ……そのっ……!」
そのまま、やはり口に出せない。
目はキョロキョロとあちこちに動き、顔がだんだん赤くなっていく。
その様子に尾奈は首を傾げる。何があったのか、と。この引っ込み思案な少女は何を訴えようとしているのか、と。
「……あぁなるほど」
そして、思い至る。
「もしかして、お腹すいた?」
「……っ」
それは的中した。
静子は更に顔を真っ赤にさせ、こくん、と頷く。
「よし! 何食べたい?」
「っ⁉︎ あ、あの!」
「私は中華の気分かなー」
「えとっ! そのっ!」
「静子ちゃんは何食べたい?」
「ち、違くてっ!」
「でもちょっと時間早いから喫茶店でも行こうか」
「い、行きたいですけど、そのっ、あのっ!」
だが想定していたものとは少々異なる反応に、静子はわたわたと慌てふためく。
そんな少女の様子に尾奈は、むふん、と意味深な笑みを浮かべ、
「それとも……ホテル、行く?」
意地悪気に静子の耳元で囁いた。
「~~~~っ!」
「あ痛っ⁉︎ ごめっ、ごめんってば⁉︎」
無論、静子はビシバシと尾奈を叩いた。当然である。
「お腹がっ! すいた! んですっ!」
「わかっ、分かったから! ごめ、ごめんマジで!」
「一人だとっ! よく! 分からないんですっ!」
「ちょ、痛っ! わりとマジで痛いっ⁉︎」
無論、全力である。当然である。
「だからっ! そのっ! その……っ」
だが、その勢いも徐々に弱まっていく。
最終的にはまた尾奈の服の端をキュッと掴む体勢になった。
「……うん、行こっか」
「……はぃ」
そして、二人はデパートとは別の方向へと歩き始めた。
「ところで今日はどんなアシストが良い?」
「~~~~っ!」
「あ痛ぁっ⁉︎」
一応、少しでも空気を和らげようという尾奈なりの気遣いなのである。本当である。