※この作品はR-18です。

きっと私のアカデミア   作:おいーも

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愛ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

香曽我部くんが空に浮きながら霧を槍状に変形。

 

「霧念霧槍(むねんむそう)!!」

 

 

いくつも飛ばしてくる。

 

「きゃっ!?」

 

 

「だいじょーーーーぶ!!」

 

スイスイと横に躱しながら上に登っていく。

 

 

「チィ!速ぇ!!」

 

「へっへっへ!私がカタツムリだからって遅いと思わないでよね!!」

 

「厄介だな!異形系ってのはよォ!!おもしれぇ!!」

 

 

 

そのまま上まで登り切り、屋上へ。

 

着陸と同時に距離をとる。

 

 

香曽我部くんが少し遅れて到着。距離を取られてることを理解して詰めてこない。

 

 

 

「あ……あの……槍田さん………………ターゲット……通り過ぎちゃって……」

 

愛ちゃんの疑問もごもっともだ。

 

 

「……香曽我部くんに見つかった時点で、閉所での戦闘はこっちが不利だと思ったの。どこまで霧が広げられるかわかんないけど、窓を締め切られた上で、フロア全体を香曽我部くんの霧で封鎖させられてたら……香曽我部くんの思うつぼだよね。」

 

「……!」

 

 

「よくわかってるじゃねぇか。……だから屋上……と。」

 

「うん。無頭くんは多分詰めてこないんでしょ?だったら香曽我部くんと思う存分1対1だよね。」

 

「…………俺の足止めか。」

 

「違うよ。勝つよ。」

 

構える。

 

「やるなら勝つまで……完全勝利だよ。」

 

一瞬目を見開いた香曽我部くんは、すぐ満面の笑みになる。

 

「……俺に勝ってターゲットも獲るか!やってみろよ槍田ァ!!」

 

 

「やるよ!!私はヒーローだから!!」

 

頭から槍を生やして抜く。

 

「おもしれぇ!怪刀乱霧(かいとうらんむ)!!」

 

香曽我部くんは霧で刀を作り、そのまま切り込んでくる。

 

 

槍で受け流し、横薙ぎ。

 

香曽我部くんは刀で受け止めるが、吹き飛ばされる。

 

「うおっ!?」

 

 

空中で霧を掴んで体勢を立て直す。霧を纏ってると本当になんでもできるね!

 

「すげぇ力……パワー勝負じゃ勝てねぇな。」

 

 

「へっへーん。どう?どいてくれる気になった?」

 

「んなわけねぇだろ!!」

 

 

今度は二刀流。手数が増える!

 

「オラオラオラオラ!!」

 

 

受ける。流す。引く。全部使って躱す。

 

 

何度か体に当たる。浅い傷。痛いけどまだまだ動ける。

 

「憎田は何やってんだァ?槍田に全部任せていいのかよ!!憎田が背中に引っ付いてるせいで動きが悪いんじゃねぇのか!?」

 

「……!!」

 

 

背中に引っ付いてる憎田ちゃんの手に力が入る。

 

「違うよ!私が弱いだけ!!」

 

香曽我部くんの武器を弾く。

 

 

「!」

 

「何を……」

 

「ヒーローは支え合うものでしょ!!誰かが戦えないなら私が戦う!私が出来ないことはやってもらう!!今!私が愛ちゃんを守る判断をしてるの!余計なお節介は!!ヒーローの本質でしょ!!」

 

 

香曽我部くんに連撃!

 

「……槍田……様……」

 

「そうだな!!槍田ァ!でも俺はお前と本気で斬り合いてぇ!!強ぇ奴と戦って俺の糧にしてぇ!」

 

全部霧に紛れて躱される。

 

 

「ごめんね!これ授業だから!!これでも勝つよ!!」

 

「かかかっ!覚悟は良し!!俺を負かせてみろ!!」

 

「待っててね!愛ちゃん!すぐ終わらせるよ!!!」

 

「…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side憎田愛

 

 

 

ウチは幼い頃からかかさまとととさま。

 

そして当主様に天才ともてはやされて育った。勉学も運動も全て。

 

 

幼い頃から人との接し方がわからなかったが、気にする時間がないくらい毎日が楽しかった。

 

ウチの家系は代々従者の家系で、多くの優秀なメイド、執事を世に排出した名家。

 

小学に上がる頃にはかかさまとととさまと並び家業の勤しみ、技術を学び、腕を磨いた。

 

それは全て未来仕えるであろうご主人様のために。

 

おかげで友達なんて誰1人としていなかったけど。

 

 

 

でも……ウチには決定的にかかさまとととさまとは違うものがあった。

 

それは個性。かかさまもととさまも厳密には少し違うが、他者を憎むことで自分の身体能力をあげる個性。故に暗殺業も勤しみ、ウチもそれを習った。

 

 

 

 

ウチだけ違った。

 

他者を愛することで自らの身体能力を上げる個性だった。かかさまもととさまもウチの個性は素晴らしいものだと褒めてくれたが……人の愛し方がわからなかった。

 

最終的にずっと人の愛し方がわからぬまま、人に仕えていいのか疑問が拭えなかった。

 

 

 

当主様に相談をした結果、家業以外の道を見てみるのも良いのではないかと言われたので、かかさまとととさまに相談。快諾してくれたので日本で1番難しい雄英高校に入った。

 

普通科でも良かったが、幼い頃から見ていたヒーローというものに興味が惹かれ、ヒーロー科を受験。難なく受かってしまった。

 

個性を使わずともクリア出来るレベルの試験内容にガッカリしつつも雄英の門を叩く。

 

 

初めて同じ志を持った人が集まる空間に身を置いた結果、緊張しすぎて何も喋れなかった。

 

コミュニケーション能力は鍛えたのだが……実戦で使えないと意味が無い。かかさまとととさまと当主様しかいない連絡先を見て、少しだけ後悔した。

 

それでもみんなは暖かく迎え入れてくれた。こんなウチでも……人の接し方がわかんないウチでも少しは皆と仲良くなれるのかなと期待した。

 

 

 

初めての対人訓練。対人であればウチはなんとでもできるが、個性がほぼ使えない上、緊張のし過ぎで全く喋れなくなってしまった。

 

コスチュームは何もデザインがわからなかったので、かかさまと同じようなメイド服にした。着方も動かし方も1番身体に染み付いている。

 

 

ペアは槍田さん。女性ながら体力測定でとんでもない記録を何度もたたき出したフィジカルエリート。コミュニケーション能力もずば抜けて高く、すぐにクラスの中心人物になった。…………ほんの少しだけ羨ましかった。

 

ちなみにウチは緊張して体力測定はいい成績を残せなかった。残念。

 

 

 

槍田さんもウチみたいな緊張しいのコミュ障は……きっと話すの大変だよね。会話が続かない。

 

ウチはきっとこのまま……何も変われずに……何も出来ずに…………

 

 

「愛ちゃん!」

 

初めて同級生に下の名前で呼ばれた。

 

朗らかな笑顔とその声色が眩しかった。

 

少しだけ胸が高鳴った気がした。よく分からない感情が溢れてくる。

 

 

咀嚼に苦しんだ。疑問がやまぬまま……

 

「……愛ちゃん。一緒に行こ?」

 

「何か事情があるんだよね?大丈夫!私が全部蹴散らしちゃうよ!!」

 

 

ウチは彼女の優しさがわからなかった。赤の他人に懐を開けることも。事情を察し助けてくれる事も。この高鳴る胸も。

 

 

 

 

何もかも理解ができぬまま、ウチという足枷を付けたまま香曽我部広霧と戦い始める槍田さん。

 

やはりウチの分だけデメリットになってるのか、どんどん押されてる。

 

 

「憎田は何やってんだァ?槍田に全部任せていいのかよ!!憎田が背中に引っ付いてるせいで動きが悪いんじゃねぇのか!?」

 

痛いところを突かれた。ウチが緊張とよく分からない感情と戦ってる内に、槍田さんがどんどん傷だらけになっている。

 

ウチのせいで……私が何も出来ないせいで……

 

やっぱりヒーローなんて目指すんじゃなかった。もっと不相応な……

 

 

 

ごめんなさいかかさまととさま。ウチはあなた達から学んだ術を何1つ活かせぬまま……不甲斐な……

 

 

 

「違うよ!私が弱いだけ!!」

 

「ヒーローは支え合うものでしょ!!誰かが戦えないなら私が戦う!私が出来ないことはやってもらう!!今!私が愛ちゃんを守る判断をしてるの!余計なお節介は!!ヒーローの本質でしょ!!」

 

 

ウチを……守る。

 

 

こんなに素晴らしい御方が……私のために……

 

 

 

 

昔ととさまが言っていた。

 

「愛。自らが思う素晴らしい御方に仕えなさい。自らを守り、導いてくれる太陽のような御方に。その知恵は選ぶための力。自らの眼を曇らせぬよう日々鍛錬すること。」

 

 

 

 

昔かかさまが言っていた。

 

「守られるだけじゃなくて守れるようになりなさい。貴方は素晴らしい才能を持っているわ。その力は守るための力。人を愛せるようになるのよ。きっと素晴らしい人に出会えるわ。」

 

 

 

 

「槍田……様…………」

 

ととさま。かかさま。ウチ、見つけました。

 

ウチの御主人様。愛しの方を。

 

あぁ……これがきっと愛!この高鳴りは……きっとウチが求めていたこと!

 

ウチはきっと!この方に仕えるために生まれてきたのだと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side槍田日巡璃

 

 

 

何度目かのお互いに突撃。

 

「オラァ!!」

 

刀の攻撃を受け止め、頭から槍を突き出す。

 

「うおっ!?」

 

香曽我部くんが距離をとる。

 

 

「躱されたか〜!香曽我部くんやるね!」

 

「さすがにビビったぜ……お前やっぱすげぇよ!!」

 

「香曽我部くんもね!!」

 

 

頭から槍を引き抜いて二槍流。

 

「へっへっへ。楽しいね!香曽我部くん!!」

 

「あぁ!!時間があれば無限にやりてぇ!!」

 

あれ?ちょっと軽くなった……?

 

 

「……槍田様。」

 

後ろから声が聞こえたので振り返ると、愛ちゃんが私の殻から降りている。

 

 

「どしたの??」

 

「……愛しい貴方。ターゲットはわたくしめにお任せ下さい。見事手に入れてご覧に入れます。」

 

なんか喋り方変わった?こっちが素なのかな?

 

 

「およよ……?うん??わかった!行ける?」

 

「お任せ下さい。すぐにでも。」

 

綺麗なカーテンシー!すごーい!!

 

 

「よーし!じゃあ私が全力で香曽我部くん足止めしちゃうもんね!」

 

「はい。無茶をされてお怪我をなさらぬよう。」

 

「任せて!」

 

 

愛ちゃんが屋上を後にする。

 

「よーーーし!!香曽我部くん!こっから全力だよ!!」

 

「よっしゃぁ!ばっちこいやぁ!!!」

 

負けないぞっ!!

 

愛ちゃんのためにも!!!

 

 

 

 

 

 

 

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