side槍田日巡璃
「…………今日……何しよっか……」
「ん〜……何があるの?」
「…………よくわかんない。」
私は今自分のベッドを背もたれに、スマホをスイスイ。壊理ちゃんが洸汰くんと遊園地行ったって。写真いっぱい貰っちゃった。
今日はパパもママも居ない。少し遠出して色々買ってくるって。何買うんだろ。
「…………ん。……こういう日も……いい。」
「天捻ちゃんはいつも寝てばっかりでしょ〜?動かないとダメだよ〜。」
「…………ひまひまが動くなら……動く。」
「……少し家の周辺を調べてみましょうか。」
「ありがとう。愛ちゃん。」
ほかの3人は私のベッドの上。今日の攻防戦に疲れたから好きにさせた。カナは何故か私のスマホ覗きこめるくらいくっついてるけど。昨日言っちゃった事が少し響いちゃったのかな……。
「…………。」
無意識なのか……違うのかわかんないけど、私のほっぺたに時々キスしてるんだけど……これってなにか意味あったりするのかな?個人的にはちょっと嬉しい。
「カナ〜?私のほっぺは食べ物じゃないよ?」
「……唇ならいいの?」
「…………したいんだ?」
「いつでも。」
真っ直ぐな目。良く恥ずかしげもなく言えるよね?
「……もー……しょうがないな。」
「照れてる日巡璃。可愛いわね?」
「うるさい。んー……」
「ん。」
軽いキス。不思議と頬が緩む。キス……好きだなぁ。なんか胸の奥がジーンってして……自然と幸せな気持ちになる。
「日巡璃……我慢できなくなっちゃいそう。」
「もー……まだお昼だよ?」
「……んふふ。日巡璃とならいつでもいいわ?」
カナが私から離れていく。
「色ボケ様。少し待ちなさい。」
愛ちゃんがカナの首根っこ引っ張ったみたい。カナが持ち上げられてる。
「誰が色ボケよ。弱弱メイド。」
「フン。………………それよりもお嬢様。カラオケとかどうでしょう?」
「「「カラオケ?」」」
「おぉ……ここが……カラオケ。……入ったことないや。」
「私も。」
「私もです。」
行ったことないからぜひ行ってみよう……と皆でカラオケに。私とカナと愛ちゃんはカラオケ初心者で全部が初めて。
「……妹と……何度も行ったことある……から……私に任せて。」
「「「頼りになる!天捻!」ちゃん!」様!」
天捻ちゃんが慣れてるらしいので全部任せます!!
天捻ちゃんが受付を済ませて、マイクが入ったカゴを持って部屋に行く。
大きなモニターと……ソファと机と……すごい部屋だね?ここでカラオケ出来るんだ……?
それぞれ思い思いの場所に座って……天捻ちゃんの動きをみんなで観察。
「……これ使って……歌を入力すれば……歌える。……採点もできる。」
「……採点!?私あんまり歌ったことないから恥ずかしいな……」
「……いいんじゃない?あんまり皆点数なんて気にしないでしょ。」
「……ん。わかった。」
天捻ちゃんがピッピッピと分厚いパットを操作して、採点モードに設定。歌を1曲入力した。
「……これ……最近話題の歌手の奴ですよね?」
「ん。」
「へぇ〜……愛ちゃん知ってるんだ?」
「知ってるも何も……お嬢様ってだいぶ俗世に疎いですよね?」
「流行りとか分かんないね!」
「日巡璃らしいわ。」
「ん…………カラオケ……久しぶりだから……緊張。」
天捻ちゃんの歌……お手並み拝見って感じだね!
「ふぅ〜……ま。こんなもん。」
「……95……すごいんじゃないの?」
「すごくいい点数なのはわかるわ。……平均80点とか書いてあるし……」
天捻ちゃんの歌はなんか凄かった。すごく失礼だけど、いつもの天捻ちゃんからは想像できないくらい力強い歌。お腹から声が出てるっていえばいいのかな?ストーンて響く歌だった。
「……慣れてるから…………こんなもん。」
「ほんとかなぁ??天捻ちゃんが上手いだけじゃないの?……よーし……次はわたs……」
「日巡璃はいちばん最後。次私。」
カナにパットを奪い取られる。
「なんでさぁ!!」
「こっちにも事情があるの!だから最後。」
「……まぁ……いいけどさぁ?」
「お嬢様。お願いですから最後にしてください。もしかしたら我々がこれから一度も歌えない可能性すらあるので。」
「…………どゆこと???」
「ひまひまの……歌は……危険。」
「えぇ!?そんな音痴かなぁ!?」
ガーン……鼻歌とかは歌ったことあるけど……そんなに滅茶苦茶下手って訳じゃないと思うんだけど……
「そういうことじゃないんだけど……まぁいいわ。よくわかんないし知ってる歌入れるわ。」
「…………なにこれ?題名外国語だよね?英語じゃ無さそう……」
「……歌劇系……オペラって言われてるやつね。1番慣れてるし……これでいいでしょ。」
「えぇ!?カナオペラ歌えるの!?」
「中学これでも合唱部だったのよ。どのパートでも歌えたのよ?リードボーカルも経験したことあるわ。」
カナってなんでも出来るよね。努力家なのは知ってるけど、それをものにできるって本当にかっこいい。
「……リードボーカル?」
「ア・カペラで1番重要なな歌を歌う役割の事ですよ。表現力が高くないと選ばれないとか。」
「へぇ!…………めっちゃすごくない?」
「めっちゃすごいです。」
「ふふっ……なんか照れるわ。」
「……ん。……お手並み拝見。」
「ふーっ……まぁ……初めてだし気負わず行くわ。」
「93点……」
「ん〜……まぁこんな物ね。」
「…………やるじゃん。……カノカノ。」
滅茶苦茶上手かった。もう言葉が出ないくらい上手かった。合唱部とは言ってたけど……レベル高すぎでは?
「……カノーテス様の中学校は合唱部が凄く有名ですから……まぁ上手くて当然でしょう。」
愛ちゃんがスマホを見せながら補足してくれる。……すごい学校だね。校舎真っ白だ。
「……よく知ってるのね?」
「この辺りでお嬢様学校となれば選ばれるのはひとつですから。」
「…………たしかにね。」
「……次は…………私ですか。」
「愛ちゃん!楽しみにしてるね!」
「…………やれるだけやります。」
なんでもそつなくこなす愛ちゃんなら……多分歌も上手いと思うなぁ……
「…………62点。」
「……お嬢様……見ないでくださいまし……」
「アンタにも苦手なことってあるのね。」
なんというか……うん。個性的な歌だったよ。凄く。
「愛ちゃん……人には得手不得手があるからしょうがないよ。」
「………………昔から……音痴なんです。歌だけ……歌だけはなんともできなくて……」
すごく落ち込んでる様子。……そんなにかなぁ?
「愛ちゃん……いいんじゃない?」
「え?」
「少し抜けてるところがあるくらいが可愛いよ。この世に完璧超人なんて居ないんだしさ!」
「……お嬢様……!!」
「んふふ。私愛ちゃんの歌好きだよ!気持ちが籠ってるっていうか!」
「…………お嬢様ぁあああっ!!」
「ふべっ!!」
愛ちゃんに突撃されてソファに崩れ落ちる。
「お嬢様お嬢様お嬢様!!」
「わかった!わかったよ愛ちゃん!!」
愛ちゃんが頭をグリグリ。もう。可愛いなぁ……
「…………次……私だね?」
「っふーっ……気合い入れて聞くわよ。」
「ん!」
「…………確かに。しっかり理性を保たないと……」
愛ちゃんが私から離れて襟首を治す。
「えぇ?そんなにかなぁ?音痴じゃないと思うんだけど……」
「「「…………。」」」
えぇ……?……まぁいいけどさ。……んー……どれにしよ……知ってる歌……知ってる歌……ちょっと古くなっちゃうけど……これでいいか。
「よーし!槍田日巡璃!いきます!」
「88点!おお!!いい感じじゃない?」
やっぱり下手じゃないんだ!いえい!
「…………ふっ……ん……」
「…………ん。……やっぱ……暴力的……」
「え?え?どうしたの??」
なんかみんなの様子が……
「お嬢様……お嬢様の歌は……なんと言いますか……とても良くないのです。」
「え?」
「……お嬢様がより……っ……魅力的に見えてしまうというか……我々の心臓を……ふーっ……撃ち抜いてくるというか……鼻歌ですら相当危険なのに……生歌は……っ……相当っ……まずいですね……」
3人の目の色が……なんかおかしい……よ?
「待って!?ここカラオケだから!そういうの良くないんじゃないかなぁ!?」
「だから!!……帰るわよ。今から!!」
「えぇ!?天捻ちゃん!時間どれくらい取ったの!?」
「1時間。」
「1時間って……まだ30分くらいあるじゃん!!もっと歌おうよ!!」
「ダメ!!これ以上……日巡璃の歌聞いたらおかしくなる!!」
「えぇ!?!?」
「ん。……帰る。……今すぐ帰る。」
「あっ!……ちょっ!?」
そのまま3人に家まで引きずられて……そこからはご想像にお任せします。
みんな凄く凄かったです。