side槍田日巡璃
「お嬢様。何を買われるのですか?」
今日の買い出しはちょっと遠出!ショッピングモールに来ました!
天捻ちゃんがカートを引いてます。私はメモとにらめっこ。
「……えーっとね……今日はもつ鍋らしいから、ニラとシマチョウと……」
「シマチョウ?」
「あー……えっとね!牛の大腸。」
「牛の……大腸……シマチョウっていうの?」
あれ?もしかしてカナはモツ鍋食べたことない?
「そうだよ。ぷりぷりしてて美味しいんだ〜……あぁ!なんでシマチョウって言うかって?えっとね、表面にヒダがあって、それがシマシマに見えるからシマチョウ。」
「……ふーん。初めて知ったわ。ありがとう。」
「いえいえ。美味しいからいっぱい食べてね?」
「ふふっ。楽しみね。」
「ママのモツ鍋は世界一だよ!」
出汁がいっぱい効いてて美味しいんだ〜!お味噌とも絡んで……へへへ!いっぱい食べれるよ!!
「あったあった!シマチョウ!……なんか可愛いよね。」
ぷりぷりで……白くて……可愛さがあるね。あるよね??
「それはそうと……お嬢様。マルチョウじゃなくていいんですか?」
「…………マルチョウ?」
「うん!いいよ。うちはシマチョウだから。」
「そうなのですか。モツ鍋……と言ったらマルチョウのイメージがあったもので。」
「ママ曰くマルチョウは煮崩れしやすいんだって。脂身も多いし。」
「なるほど。」
「……日巡璃。マルチョウって?」
「マルチョウはね!牛の小腸。輪切りで提供されることが多いからマルチョウ。」
「へぇ……面白いわね。」
「シマシマチョウ……マンマルチョウ……んふふ。」
「何言ってるんですか?」
天捻ちゃんワールド炸裂……だね。
「あとは……お味噌と野菜だね。キャベツとニラとごぼう。鷹の爪は家にあるらしいし、ニンニクもあるって。」
「お味噌取ってきますよ。」
「いいよいいよ。時間はあるし……一緒に行こ?」
折角のお出かけだから……ね?
「野菜なら……目利きは任せて。」
さすが野菜生産会社の社長令嬢!
「頼りにしてるね!」
「ふふっ……美味しいの選んであげる。」
「ふぃー!いっぱい買えたね!」
「そうですね。……野菜の目利き……参考になりました。」
「まぁ……慣れよ慣れ。」
「凄かった……」
「えーっと……?ニラは匂いが強いものが良くて、ごぼうは土がついてる方がいいんだっけ……?」
カナが教えてくれた野菜の目利き。……スラスラ出てくるもんだね。やっぱカナは凄いや。
「ざっくりとね?ニラはピンと貼ってるものの方がいいし、ごぼうはひげ根が少ない方がいいわ。」
「へぇ〜…………勉強になる。」
よし。袋詰め完了!
「……お金余ったから……飲み物買って帰ろうよ!」
「いいわね。自販機行きましょ。」
「お嬢様。袋おひとつ持ちますよ。」
「ん!……クリームソーダ!」
みんなでわちゃわちゃ自販機に。
「んー……じゃあ……私カルピスにしよ!」
ピッ……ガコン……
「じゃああっちで待ってるね!」
「わかったわ。すぐ行くから待っててね。」
自販機の前で大荷物持ちながらウロウロしてるのは……邪魔になるかもしれないからね。
近くのベンチに腰掛ける。
「…………えーっと……ママに連絡しなきゃ。」
買い物が無事完了したから、ママに連絡を入れようとスマホを開いたその時……
「槍田日巡璃?」
後ろから声をかけられた。
「…………え?私?」
「やっぱり!!槍田日巡璃!!」
この……金髪ぐるぐるロールの……真っ赤で大きなリボンは……
「あっ!……えーっと……金輪際さん?」
「今昔鏡(こんじゃくきょう)!!今昔鏡見歳乃(こんじゃくきょうみとせの)!!全く貴方って人は相変わらずですのね!!!」
今昔鏡見歳乃……私の中学時代の同級生で……私のことを唯一いじめ無かった子。まぁいじめを止めてくれる事もしなかったんだけどね。
「いやぁ……ごめんごめん。周りあんまり気にしてられなかったから。」
「……そうですわね。ですが私には関係の無いことですので。」
「うん。そうだね。関わらないのがいちばんだよ。」
「……ふん。」
この子はみんなに対してこんな感じ。孤高。自分勝手。自己中心的。みんなに平等だから私は結構すきな子。…………あんまり話せてなかったけど。
「帰ってきたんだ?聖愛学院だよね?」
「ええ。……張り合える相手がいなくて残念ですわ。」
「……そりゃどうも。」
この子……ずーっと2位だったんだよね。勉強も。運動も。私の下だった。ずーっと。すっごくライバル視されてたのは知ってたけど、お互いの状況を理解した上であまり関わらなかった。
私が虐められてなかったら友達だったのかな?…………いや。無いな。この子馴れ合いしないから。
「ふん。雄英で少しは活躍しているみたいですが……私も負けてなくってよ!」
「そうだね。どっちが立派なヒーローになれるか勝負だ。」
「当たり前です。勝つのは依然この私。今昔鏡見歳乃ですのよ!!オーッホッホッホ!」
「その高笑いまだやめてないんだ。ダサいよ?」
「あなたは何時も一言多いんですの!!」
コテコテの悪役令嬢って感じだけど……根はいい子なんだよねぇ……話してて楽しい。
「日巡璃。……誰それ。」
「!」
後ろ……から……なんか背筋凍りそうなんだけど!?
振り向くと3人が……3人ともすごい顔してる!!?
「あぁ……みんな!中学校で仲……良くは無いけど……何って言えばいいのかな?古今東西さん。」
「今昔鏡!!今昔鏡見歳乃!!何度言えばわかるんですか!!この鳥頭以下!!」
「今昔鏡……?どこかで聞いた覚えが……」
「そこ。」
今昔鏡さんが愛ちゃんを指さす。
「見る目がありますわね。私……九州に本社を構える大手ドラッグストア……ドラッグミライの社長の娘なのよ!」
……らしいです。今思ったら私の周り本当にお金持ちしかいないね!
「……ドラッグミライ……知ってるわ。最近関東に出店したわよね。」
カナも知ってるんだ……私知らなかったんだよね!!
「ふぅん……よくご存知で。これからもどんどん出社して利益拡大を目指しますわ!……あなた達は?」
「私?日巡璃の彼女。カノーテス・ディミトリウ。」
「ん。……中曲瀬天捻。…………ひまひまの……彼女。」
「憎田愛と申します。日巡璃お嬢様の彼女です。」
「………………え?」
今昔鏡さんと目が合う。
「…………何さ。」
「私の……」
「「「は?」」」
「私の……ライバルが……ヤリ〇ンになって帰ってきましたわああああああ!?!?!?!?」
「「「ブッ!」」」
「声でかいよバカ!!!」
「…………申し訳ありません。取り乱しました。」
「取り乱しすぎだよ。」
お水を飲んで冷静になってもらった。……変な出費だよ本当に。
「……んんっ。……今思い直せば……ディミトリウも中曲瀬も憎田も……ジャンルは違えど有名なお家…………玉の輿狙ってるんですの?」
「たまたまだよ!!偶然!」
みんな言うよね!もうやになっちゃう!!
「…………中学時代の日巡璃に友達なんていたのね。」
……カナさん。なんかジェラってる?
「いいえ。友達ではありません。」
「え?」
「ライバルです。私の超えるべき目標です。負ける訳にはいきません事よ。」
今昔鏡さんが持っている扇子で口を隠す。この人笑ってる時とかよく隠すんだよね。
「…………お嬢様の……いじめを黙認しても……ですか?」
「……愛ちゃん。」
愛ちゃんが少しだけ怒ってるみたい。……愛ちゃんだけじゃないね。3人とも。なんか……私の同級生ってだけで嫌な目するんだよねぇ皆。
「はい。黙認してもです。私には全く関係ありませんので。」
「「「!!」」」
「そもそも……彼女は私が転校した時から既に虐められておりましたが……何処吹く風。何も感じておられないようでした。」
今昔鏡さんは中学2年生の時に転校してきた人。……転校してきて速攻で孤立して1週間後にはバチバチにライバル視されてたの意味わかんないよね本当に。
「それが無くとも私は虐めに加担しませんし、虐めを辞めさせるよう動く事もしません。私は私の事だけ考えておりますので。」
天上天下唯我独尊を地で行く彼女。……さーて3人の様子は……
「「「…………。」」」
意味わかんないって顔してる。そりゃそうだよね。
「故に私が誰にも靡かない。誰も救わない。私の私の為の私だけの人生!自分の為に生きぬして何が生き様ですか!」
「……あはは。」
笑うことしか出来ないや。