side槍田日巡璃
「カナ。どこ行ってたの?」
「ちょっとお花摘みにね。」
今は今昔鏡さんの家で映画を見てる。……って言うかこの家すること全然ない。娯楽が少ないって言うか……今昔鏡さんはこの家で何してるんだろう。
……いやね?カナの家もぜーんぜん娯楽がないけど、カナが居るから全く暇にならないの。カナと一緒にいるだけで楽しいし。……カナのこと好きだし。
だけど相手は今昔鏡さんなんだよね……ん〜……嫌いじゃないんだけど……今日はなんかよくわかんないんだよね。何がしたいんだろ。そもそも今いないし。何してるんだろ。
天捻ちゃんも寝ちゃってるし。眠そうだったから私の膝貸してあげてる。
ちなみに映画はめちゃくちゃ面白い。って言うか映画専用のモニターがあるっていうんだから流石お金持ち。映画専用って何?
「……お金持ちって改めてすごいね。」
「……日巡璃の全てを買うことも出来るのよ?」
「!!」
「管理されるってこと?……んふふ。皆にならいいかも。カナは私に首輪でもつけたいの?」
「!?!?!?」
カナが固まっちゃった。……なにか変なこと言ったかな?
「自分で仕掛けておいて撃沈しないでください。」
「??」
「お嬢様。今のは誰から……」
「壊理ちゃん。」
「ですよね……お嬢様にしては火力が高すぎるかと……」
「???」
どういうこと……?
「……おはよ。」
「おはよ。天捻ちゃん。映画終わったよ。」
天捻ちゃんが目を擦りながら上体を上げる。私の膝枕好きだね?
「…………どうだった?」
「面白かったよ。うん。」
「そっか。」
すごく興味が無さそう。
「失礼するわ。」
「あ。今昔鏡さん……どこ行ってたの?」
今昔鏡さんが天津場さんを連れて部屋に入ってくる。
「ちょっ……ちょっと色々あったのよ。」
「そっか。」
彼女が私たちを家に招待した理由はよくわかんないけど……危害を加える感じはしないから、なんというかあんまり嫌な感じはしない。
「……。」
「……。」
「…………はぁ。」
天津場さんはなんか大変そうだけど。
「うっ……槍田日巡璃!」
「なに?」
「えっと……あの……その……お……お……」
「……?」
「ううううっ……はぁ……やっぱりなんでもないわ。」
「そう?」
「「「……。」」」
どうしちゃったんだろ。いつもの感じじゃないから少し心配。風邪ひいてる?
結構おめかししてるから……何もないってことないと思うんだけど。
「……。」
「……やはり私のライバル……ここまで実力が拮抗してるとはね!」
「こんな所で拮抗してても意味わかんないでしょ!?」
『槍田日巡璃!とらんぷ?するわよ!』
と今昔鏡さんが持ってきたのを皮切りに、みんなでトランプで遊ぶことに。ちなみに今昔鏡さんはトランプをやったことがないらしい。
私が滅茶苦茶弱いし今昔鏡さんは天才だからすぐ上がると思ってたんだけど……
「……頑張れ。ひまひま。」
「…………今何回目?」
「10ですね。本当に実力が拮抗してるんでしょうね。」
私と同じくらい弱いなんて……
「こっちよ!!」
「残念。」
「うがぁ!!」
「あ、11です。」
3人は早々に上がって私と今昔鏡さんのデッドヒート……最下位決定戦。
「……これで中学時代友達でもなんでもなかったは……まぁ日巡璃じゃないなら嘘よね。」
「お嬢様ですからね。」
「ひまひまだし。」
「なんか私バカにされてない!?」
「「「してないしてない。」」」
「槍田日巡璃!よそ見してる暇はあるのかしら!?」
「あるよ!ババ抜きだもん!」
トランプだけでこんなに遊べるの……私たちだけじゃない?いつも皆と遊ぶ時私が1弱だから速攻で決着がつくんだよね……
「こっちだ!!」
右のカードに手をかける。
「ふふっ。」
「何その笑い!!」
「いいのかしら。そのままだと負けてしまうわよ?」
「……じゃあこっち!」
左だ!!
「ふん。騙されやすいのね!」
「うわあああっ!?嘘じゃん!!」
「…………日巡璃。」
「……ひとりで慌ててる……ひまひま……可愛い。」
「お嬢様らしいといえばらしいですが……色んな意味でお嬢様と同レベルの方って居られたんですね。」
「ね。まぁ……可愛い日巡璃撮っときましょうか。」
パシャ……
「…………ふふ。」
「その写真……後で送って?」
「私も欲しいです。」
「ぐっ……あのまま決着がつかないなんて……」
「そうだね……結局私たちはライバルだったってことだよ。」
私の家の前……車で送ってもらったんだけど、私の家の前は少し狭いから車は別のところ。少し歩いてきた。
「ふん。いい勝負でしたわ。またやりましょう。」
「次は負けないよ!」
「またやるんですか……?」
「何回やったの……?」
「20超えてから数えてないわよ。」
なんか30分くらい2人でやってたね。
「……!」
「どうしたの?」
「…………いえ。少しこちらへ。」
今昔鏡さんが私の横に1歩。
その次の瞬間。
バシャッ……
「え?」
「…………。」
今昔鏡さんが水を被った。
「は!?」
「あいつ……!!」
私たちの視線の先には……
「フーッ……フーッ……」
私をいじめてた女。両手をこちらに向けていたから……今昔鏡さんが濡れたのは……多分あの子の個性。
「……まだ懲りてないんだ……」
「お嬢様。ご命令を。」
「絶対許せない。……折角の綺麗な服も……メイクも!きっと時間かけて準備してくれたのに!台無しじゃない!!」
「!……槍田日巡璃……」
「何よ!!自分達だけ楽しんで!!!いいわね雄英生は!!将来ヒーローが約束されたようなものだものね!」
「何を……!!」
すると……今昔鏡さんから手で制される。
「……え?」
「ダメよ。私に任せてちょうだい。」
「…………う……うん。」
「あなた。確か水谷雫。この辺の高校のヒーロー科の生徒ね。」
「…………何よ。なんであんたまで槍田日巡璃の肩を持つのよ。」
1歩。
「持ってるつもりはないわ。私は私のことが大切だから。」
「なっ……中学の時はあんた虐めも傍観してたじゃない!!」
「そうね。」
また1歩と歩みを進める今昔鏡さん。後ろでもわかるくらい明確な怒りをあらわにしながら。
「何を急に……なんで庇ったのよ!?」
「だって彼女は私のお友達ですから。」
「!?」
「……え?」
お友達??……あぁ……オットセイとかそういう事か!
私とお友達になりたかったんだ……そっか……
「私のお友達を守ることは、自身を守ることでもある。……故に……あなたは私に手を出したと同義。」
「はぁ!?そんなわけないじゃない!!」
「それをどうにかできてしまうのが力あるものよ。」
「うるさい!どきなさいよ!私は……ノロマウイルスを……」
今昔鏡さんがパシャンと扇子を広げ、口元を隠す。
「会話にならないわね。…………去りなさい。今なら見逃してあげる。」
「……!」
「去りなさいと言っているわ。それとも何?私の全てを使って消して欲しい?」
「何を……」
「消えなさい。今すぐ。私の目の前から。」
「……ぐっ……」
あの女は走って姿を消した。
side今昔鏡見歳乃
「……ふん。造作もない。」
少し威嚇したら水谷雫は帰って行った。……ここからどうしましょうね?
「とっ……とりあえず愛ちゃん!タオル持ってきて?それと天捻ちゃん。お風呂沸かしてきて!」
「ん。……任せて。」
「かしこまりました。」
槍田日巡璃が何かしてる……と思った矢先。
「よいしょ!」
「……え?」
視界がズレる。槍田日巡璃に抱き上げられてるとわかるまでさほど時間はかからなかった。
「カナ。天津場さんに一言連絡お願い!家に入れてもいいから!」
「任せて。」
「ちょ……え……?何を……?」
「お風呂入るよ!今昔鏡さん。」
「………………はぇ?」
……え?